王様ランキングを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
オウケンとボッジの戦いが激しさを増す中、父王ボッスはミランジョとの出会いを述懐する。
優しさに満ち溢れた故郷と、それを踏みにじる卑劣な悪。
炎の記憶は形を変えて再生され、不死身の邪剣に皆が倒れ伏す。
幸せの上に幸せを築く、優しき王国。
それは、儚き夢なのか!?
そんな感じの過去の戦争現在の死闘、運命交錯点たる王様ランキング、第18話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
ボッス王が”最も優しき”ベビンと、体を乗っ取った我が子に語りかける、魔女たちの国の真実。
その惨劇の先に、オウケンの暴威がボッジ達を苛み、カゲくんは巨大な獣と化す。
なんとも、重苦しい展開である。
彼女の運命の男が自らそこに身を置くように、ミランジョも自身を獄に繋ぎ、答えを待っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
優しさが弱さにしかならない、厳しい世界の中でどうすれば、正しくいられるのか。
正しいということは、一体何を意味するのか。
もはや魔女にはさっぱり分からない
(画像は”王様ランキング”第18話から引用) pic.twitter.com/cqjXnn2WSp
自分が何者であるか、カゲくんに答えられない迷いのミランジョを、ボッス王は善悪を図る浄玻璃の鏡として信頼し、大きな価値を置いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
ミランジョを通して王が見つけたものを、果たして鏡自身も見られたのか。
ねじ曲がりこじ開けられた牢の先に、微かに確かに存在するものを。
力を求め殺しもしたかつてのボッスが、丘の上に国を築き、民の希望となるまでの道のりは、おそらくミランジョがいなければ果たせなかったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
全てを王に捧げるミランジョの狂愛に、釣り合うだけの思いを王も持っていて、だから開かれた獄から出ず、思いを語る。
優しさが血みどろに踏みにじられる悪逆こそが、世界の真実だとは思わなかったからこそボッスは王となり、国を作った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
力だけが全てではないと、悪しき流れは断ち切れると信じるに足りる何かを、旅路の中で見つけたのだろう。
だが、ミランジョには未だ、それが訪れない…
だからこそその瞬間を心の何処かで待ち、子供のまま殺されてしまった自分を先に進めてくれる誰かを、自分が何者で世界がどんな形か教えてくれる”王”を、求めている感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
ボッス王が壊れた檻に未だ自分を繋ぐのは、そんな風に何処にもいけないミランジョへの義理立て…という感じもある。
寡黙なるボッス王がどんな人物であるかは、なかなか表にされない札だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
これが分かってしまうと、父殺しの物語であるこのお話、大体の構図が見えちゃうからな…。
しかし推測するだに、ボッス王は既に世界がどんな場所で、自分がどんな存在であるのか、答えを得ている感触がある。
その上で、自分では呪いを解いてあげれなかった最愛の友(なのか”女”なのか、そこは解んないけど)が、獄から解き放たれるために、あえて見えてる答えに踏み出さない感じを受けるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
その立ち竦みに巻き込まれて、子供たちは大変なことになっとるが…父には父の、思いと義理があるのだろう。
語られる思い出は壮絶であり、かつてダイダが触れた謎めいた人形の傷が、種明かしもされていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
家族を殺した敵すらも許す優しさが、仇にしかならない修羅の巷。
その犠牲となって、少女は魔女となり、人形となり、悪徳の鏡と成り果てた。
(画像は”王様ランキング”第18話から引用) pic.twitter.com/nwfqAfKHiQ
ある意味ミランジョは、かつて自分と家族を襲った悲惨を反射しているだけであり、非常に”鏡”らしい人生だと思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
人間の本質は悪と、自分自身含めて固めてしまって動けず、悲しい子供を再生産していく生き方は、なんとも悲しい。
ここら辺、蔑まれ善意を利用されてきたボッジが、自分を取り囲む泥に飲まれなかった奇跡と対象的であるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
逆に言うと、ミランジョが手助けしたボッス王の伝説は、彼女を苦しみから解き放ち、時の止まった人形/少女から、善を信じられる人間にする助けに、あんまならんかったのかな…。
デスパー師匠とオウケン含め、親世代が克服できないカルマの反射を、特権的に無垢なるボッジが超越していく話に、全体として収まるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
繰り返す業を乗り越えうる特別さが、過酷な人生の中で優しさを諦めなかったボッジにはあるのか。
そこら辺、クライマックスに大きく問われそうではある。
色んな人と自分の国の命運滅茶苦茶になってるこの現状で、ボッス王が獄から動かないのも、血に汚れ国を作った自分では、ミランジョを解放できなかった負い目…なのかなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
色々思うところはあれど、マッチョな父は黙して語らない。
ここら辺の”男”の面倒くさい描き方は、実は結構好き。
ヒリングママンも、かつての英雄を思わせるボッジの輝きを信じて、恩讐を飲み込んでアピスを癒やす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
王の死により散り散りになった王国四天王が、最終局面を前にそれぞれの迷い道を抜け、再び集結しそうな気配はアツい。
(画像は”王様ランキング”第18話から引用) pic.twitter.com/H7wnYrvWYJ
アツいんだが、希望を背負うボッジの生身は自身の信念を徹底的に試す強敵相手に、息も絶え絶えである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
ここで剣を布で結わえなければ戦えないボッジの脆さ…優しいボッジですら、殺傷の武器を自分と一体にしてしまう危うさが描かれるのは、結構好き。
ヘロッヘロのボッジがオウケンを殺す覚悟を固める裏で、カゲくんは黒幕の素顔をちゃんと見て、殺せるのに殺さない選択をしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
そんな事をしても状況は変わらないし、相手はなんか迷ってる風だからだ。
彼女の母と彼女自身を八つ裂きにした、業に飲まれた邪悪なる罪人たちと、カゲが見るものは違う
カゲくんは生来善良だったわけではなく、ボッジと出会うことで生き方を改め、悲しいことばかりの世の中がこれ以上悲しくならないよう、優しさを差し出す道を選んだ人である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
多分”選択”が彼の属性で、ここでも彼は『殺さない』という行為を選んでいる。
それは本来人を癒やすべき布で、殺しの道具を腕に固定することを選んだ…あるいは選ばざるを得なかったボッジと、鏡合わせの決断だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
これは後に反転し、殺す覚悟を固めたボッジに守られていたカゲくんは、皆殺しの怪物となってボッジを…”みんな”を守る事になるのだが。
何も知らぬまま善良でいられたものも、不殺の優しさではけして止まらぬ暴力を前に、何かを選ばなければいけなくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
あまりにしぶといオウケンの不死身は、無邪気だった(からこそ、カルマを超える聖性を期待されもする)ボッジに選択を迫り、強制的に大人にしていく。
そうして試され、自分が人殺しになるよりももっと辛い現実が押し寄せてなお、刃ではなく優しさをその手に握れるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
この戦いは、そこらへん問いただしている感じもある。
マージで登場人物を、倫理の砥石でゴリゴリ削る事に躊躇いがないアニメである。少年漫画らしいよなぁ…。
かつて自身を押し留めた冥王の雷霆すら克服し、オウケンは邪悪の権化として、様々な人を手に掛ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
その非道をせき止めるために、デスパーさんは目が見える距離までオウケンを引き寄せ、共に傷つく戦術を取る。
(画像は”王様ランキング”第18話から引用) pic.twitter.com/UztOSxNxJA
あんだけズル賢い立ち回りをしてた道化騎士が、愛する弟を救うためにガムシャラに歯を食いしばり、命がけで業の精算をしようとする行為が、強く心を揺さぶる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
果たしてデスパーさんに致命の隙を作った魂の言葉は、救いがあって欲しいと願う甘さが生んだ幻なのか。
それとも不死の呪いにかすかに残った、愛弟の祈り、尊厳の残滓なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
その判断はなかなか難しいが、ここでオウケンがどんな人物であるのか、自分の目で確かめ自分も傷つくゼロ距離まで近づいてしまうのが、デスパーという人間なのだろう。
ボッジの師匠に、なるべくしてなったキャラだな…。
狂気を乗り越え、オウケンが往年の輝きを取り戻し戦いが終わる奇跡は、けしてやってこない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
ボッジは修羅の形相で刃を振るい、しかしその怒りもまた、オウケンを留めはしない。
一度は見えた…デスパーさんが命がけで取り戻した人の顔も、狂気に塗り直される
(画像は”王様ランキング”第18話から引用) pic.twitter.com/onz4IgGlXf
俺はボッジに笑っててほしい人なんで、オウケンと対峙してからずーっと歯を食いしばって、向き合いたくもねぇ殺意を掻き立てて、頑張ってマッチョな修羅になろうとしてる姿を見てるのが、とても辛い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
彼に先立つ沢山の王が、おんなじ顔で敵を、愛する人を殺してきたんだろうな、とも思う。
殺してでも暴力をせき止めなければ、優しさを貪る悪党に正しい裁きは訪れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
でもそれが、殺し得ない無敵の存在だったらどうなるのだろうか。
何もかもが蹂躙されて、獣の形相でしがみついても突き刺されて、ただただ力の比べあいが正しさを示すような世界こそが、世界のあり方なのだろうか。
ミランジョも賢く冷たい、鏡の仮面の奥で他分、ずっとそれに迷っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
自分を引き裂き、否応なく『これが答えだ』と叩きつけられたもの以上の奇跡を、何処かで希っている。
しかしそれは、彼女が愛した彼女の王すら、彼女に教えることが出来なかった希望だ。
揺らぎつつも、簡単には救われない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
救われてしまえば、優しき母を殺した世界の醜さも、それを反射して残酷を極めた自分も、過ちだったと認めざるを得ない。
幾度も、王子たちの修羅場を見つめる鏡がインサートされる今回、そんな黒幕の逡巡が匂い立つ。
ミランジョが孤独に縛られる牢獄に、踏み入り語りかける資格を得るためには、ボッジも厳しく”現実”なるものに試されなきゃいけないわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
そらー師匠もぶっ刺されるし、親友も怪物に堕ちる。
…英雄試験にしては、ガキ相手に厳しすぎないスかね…。
(画像は”王様ランキング”第18話から引用) pic.twitter.com/Dt0ED1sA98
怪物を飲み込む怪物となったカゲくんが、ただただ泣きじゃくる子供でもあるのが、僕には悲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
ミランジョも同じ顔で泣きじゃくりながら、謀略を巡らせ王妃を殺し、彼女の英雄を永遠にする呪いを編み上げたのか?
答えは未だ、遠くにある。
それを掴み取りたければ、試練を超えなければいけない。
そんな感じの、シビアでハードな回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
ボッジが身にまとっていた無垢なる正しさを、徹底的に試して問いただす感じの展開は、爽快感がなくてズシリと重い。
しかしその重さこそが、主人公がなにか新しい答えへとたどり着き、物語を導くのに必要な対価なのだろうな、とも思う。
カゲくんの暴走が、不死の怪物相手にどんな答えとなり、過ちを導くか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
それに対し彼の親友たるボッジがどんな行動で応え、世界に範を示すのか。
なかなか目を離せない展開となってきました。
冥府建国神話といい、ボッス王と魔法の王国といい、過去世代の地獄絵図が表に出るたび、出口が塞がる。
悲しさや過ちを超えたくて力を求め、悪を倒したのに、幾度も同じことが繰り返される世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
その渦中に飲み込まれながら、ボッジは何を選ぶのか。
一度結びつけてしまった剣は、もう手から離れないものなのか。
鏡はただ、自分を引き裂いた悪意を反射するだけか。
次回、とても楽しみです。