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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
三途の川で対峙する、ミランジョとその母、そしてシーナ王妃。
悲劇の根源に宿る哀しみを見届け、現世に戻ったボッジに、巨大な棍棒を携えボッス王が立ちふさがる。
敵か、味方か。
定かならぬまま振るわれた一撃は、不死身の悪鬼を粉砕していく。
かくの如く、父王は強し…。
そんな感じのさらばオウケン! 遂にボッス王が歪な牢獄から出てきて話が動く、王様ランキング第20話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
こんだけ長い間、猛者が打ちかかってどうにもならなかった不死身の暴威を、圧倒的な力で制圧する鮮烈な顔見世。
こっから話がどう転がるか、なかなかにワクワクする。
同時に誰も止めてやることが出来なかったオウケンを、石の牢獄に剛力で封じ込めてあげて、妙にホッとした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
いやまぁ、正直これでVSオウケンの状態が動く安堵感ってのはあるけど、理性を失った暴力装置であり続けることは、冥府最強の騎士にとっても、その縁者にも辛いことだったわけで。
息子の力を喰らい、その身を乗っ取って蘇ったイカレ親父のデビュー戦が、ボッジと同じく”制する”スタイルなのは、この後のクライマックスに光明が見えて、少し嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
まぁ何考えてミランジョの外道を飲み込んでるか、まだまだだんまりなので、読めないところもあるけどね。
そのミランジョは生と死の境目で、自分を守って死んだ母と、自分が殺した女に対峙していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
自分から声は届かずとも、身の丈も心も大きな母を間近に見れて、ボッジは何を感じただろうか。
自分を殺した存在すらも、許すシーナ王妃の器量。
(画像は”王様ランキング”第20話から引用) pic.twitter.com/uqf43gnW7R
それは生身の業から解き放たれた特権か、はたまた母として母と語り合って、仇の心が解ったからか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
対立の中心に生者を挟む構図は、不敵な笑みで噛み砕かれ、飲み干されていく。
もはや人として死ぬことも許されぬ、ミランジョの血塗られた道を、シーナ王妃は憐れむ。
それは同情と言うにはちょっと渇いていて、力強い共感に思える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
生者に先んじて業と恨みを捨てて、罪を憎んで人を憎まず。
そう言い切れる身軽さが、高みから見下ろすミランジョの軌跡は、どうにも救われぬ苦しみに満ちている。
この母の視線を、デスパーさんに寄り添われながらボッジは共有していく
ミランジョと魔神もどうやら、濃い因縁がありそうなんだが…そこは最後の伏せ札か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
何を求め、何を贖うために裏切りと謀略を積み重ね、苦難の道を進むのか。
シーナ王妃の問いかけに、魔女の顔が歪む。
カゲくんの問いかけに対しそうであったように、ミランジョは見つけたはずの答えを見失っている。
その代わり涙を取り戻して、ミランジョは自分を映し出す鏡を嵐で否定し、苦しみに満ちた現世に戻っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
自分から言葉と力を奪い、塗炭の苦しみに投げ込んだ”敵”が、何に苦しみ何を恨んだか。
デスパーさんの力は、それをボッジに共有させていく。
(画像は”王様ランキング”第20話から引用) pic.twitter.com/iU9Civvhn8
デスパーさんは賢さと鋭さを武器として与えることで、弱きボッジが現世を変えていく手段を教えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
冥府での修業を経て、切り離されていたボッジと世界が繋がったわけだが、それは無常なる現実に力で抗議できる資格と同時に、相手のことを理解する優しさにも通じている。
手を繋ぐ描写が非常に多いこの作品、今回も師がその異能で見据えた真実を手渡される形で、ボッジは導きを得て、未来への準備を整えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
判断するに足りる材料を与え、ボッジ自身が未来を選ぶことを、デスパーさんはとても大事にしている。
自分の目で確かめ、考えること。
触れ合い解ってしまった相手の体温に、嘘のない選択をすること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
そんな強さと優しさに、デスパーさんは自分たちの世代が超越し得なかった業の突破口を見出してる感じもある。
それは父王ボッスも、多分同じなのだろう。
子供に乗せるには重い荷物だが、英雄とはそういう存在なのだろう。大変だ…。
デスパーさんは政治の現実、戦場のグロテスクから目を背けられないからこそ、宮廷から離れ賢者として生きた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
絡み合った縁は切れず、彼は再び冥府の王族として、その権益を背負い、力と力、意図と意図がぶつかる場所に立つ。
”解ってしまう”力を持ちつつ、共感を殺さねば進めない道に立ち続けること。
冥王デスハーがボッジに可能性を感じ軍を引いたのも、ボッス王が回想を終えて牢屋から出てきたのも、血みどろの狂気…オウケンが飲み込まれた泥に沈みきらないからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
鏡の魔女も、囚われのダイダも、皆そんな境界に立っている。
(画像は”王様ランキング”第20話から引用) pic.twitter.com/lbnV1TRUwz
ダイダは心の牢獄の中で、否応なく自分を導き、利用した相手の素顔を見た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
これを息子に見せるために、ボッス王は過去を語った…とも取れるけど。
それは鏡に囚われたミランジョにも同じで、殺した相手にすら憐れまれ、過酷に試した子供たちに強さを教えられ、凍ったはずの心臓が動き直しつつある。
王冠を簒奪し兄を謀殺しかけた時、ダイダは過大な強さに焦り、誰の心も見つめようとしなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
しかし今哀れな犠牲として自由を奪われ、弱者と為ることで弱者の心を知ったことで、友と頼り裏切られた相手の見えなかった顔を、ようやく見つめるようになった。
ミランジョ、ずっとお前を知りたかった。
その根源に立ち返るために、心の牢獄に囚われていたのかな、と思ったりもするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
巨大な運命に飲み込まれ、自分を見失って迷走する歩みを止めて、自分自身と取り巻く世界を見つめ直す。
そうして己を改めていく歩みは、ダイダとミランジョに共通しているのだろう。
過ちは皆犯していて、無垢なるボッジが唯一原罪無き主人公として、全てを優しく許し救っていく未来は、あんまこないんじゃないかなー、と思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
このお話の結末がどうなるかはまだ分からないが、間違えてなお改む人の可能性、それを許す寛容というものを、信じている手触りを勝手に感じている。
力無ければ踏みにじられ、剣を求めれば血に染まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
そんな二者択一の荒野から出ていく希望は、無垢なるボッジだけにあってはいけないし、むしろ真実求めるものを見れなかった愚者にこそ、与えられるべきだと思う。
そういう意味では、ドーマスを通じてボッジも無原罪ではないと描いといたの大きいな…
ボッジは自分を利用し可能性を奪った父、その企みに母を殺した魔女を許せるかという闘いに、この後踏み出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
正しい結論は解っているが、安楽にそこへ飛躍しても、物語に説得力は宿らない。
これまでと同じように…あるいはそれ以上に苛烈な問を、クライマックスに用意していて欲しい気持ちと…
いい加減ボッジを過酷な運命から、無力で無垢であるがゆえに、業を超越する希望として試される道から開放してやって欲しい気持ちが、7:3くらいで同居している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
やっぱさー…かわいそうだよね、ボッジ。
話がここまで転がっても、そう感じる話運びってのは、やっぱ良いと思うよ。
かくして王は己を封じ込めていた獄から身を乗り出し、決戦の舞台へと飛び出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
ダイダの体を借りた事で手に入れた癒やしの力が、巨魁なる王だった時には振るい得なかった優しい力を、ボッスに許す。
場違いな仲良しムーブが、一息つけてありがたい。
(画像は”王様ランキング”第20話から引用) pic.twitter.com/v9ZU17YBSH
シーナ王妃との婚礼は力の対価、ヒリング王妃との婚礼は”スペア”を作るための謀略。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
そう描かれてきたわけだが、王は我が子を戦場から遠ざけ、獄を出て鏡の魔女に対峙した。
その決断が全部わが子愛しさだとは思わないが、人並み以上に子を思う心は、確かにある。
同時に一瞬、全てを捧げた王が敵に回ったミランジョをクローズアップする所が、巧くて痛いカメラワークだな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
王は何を思って、ここで新たな道へと踏み出したのか。
剛力を使えばすぐに出られる牢獄に、わざわざ己の身を置き続けていたのか。
ここら辺は、今後大事になりそうだ。
仮にかつてミランジョを守りきれず、自身も血に染まった覇道…あるいは外道を悔いているのなら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
そして例えば、ボッジが選び得たような別の生き方を望みつつ果たせなかったとしたら、生前のボッス王にはなかった癒やしの力を、ダイダ=ヒリングから借用/簒奪出来たのは、ある種の救い…なのだろうか?
ボッス王とミランジョがどれだけ悩み苦しみ迷って道を選んだとしても、それが罪なき他者を犠牲にしてきた事実は揺るがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
彼らはどう生きたくて、なぜそれを果たし得なかったか。
おそらくクライマックスはそれを暴いていくのだろうが、真実の描き方、届け方はかなり大事になりそうね…。
まぁここまで20話、かなり前のめりに体重かけてこのアニメを消化してきた自覚はあるし、作品の現状が誘導してくる印象に飲まれすぎないよう、キャラの懐を読むようにしても来たわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
あんま『こいつはこういうヤツ!』と決めつけすぎない読み方してきて、結果的に良かったかな、とは思う。
四天王すら鎧袖一触、圧倒的な不死性と暴力を誇るオウケンを相手に、ボッス王はそれを上回る実力を見せつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
パワー型ファイターの完成形というか、人間型の災害というか。
次元の違う強さの描写が、むしろ心地良い…
(画像は”王様ランキング”第20話から引用) pic.twitter.com/YSwgBgmY6y
てのは、のんきな外野か、相変わらずマッチョ気質が抜けきらないドーマスの感想であって、肉親をボールサイズにまで縮められ、無明の獄に救われぬまま閉じ込める悲痛は、冥府の騎士たちには大変つらい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
『己こそ運命を乗り越え、報われぬ弟を人に戻すのだ!』と思えばこそ、ここに来たんだろうしね…
同時に対決前、ボッス王は神に呪われしオウケンの悲痛をちゃんと聞いている描写もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
複雑に絡み合った運命の糸の中で、救いたいと願い救えなかった鏡の魔女の操り人形となった、偉大なる騎士。
狂気の奥にある真実に、しっかり耳をそばだててはいるのだ。
だからこそ、なぜミランジョの暴挙を止め得ず、悪魔の契約に乗ったのか…という疑問も深まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
どーも悪魔も何らか事情と因縁を抱え、ミランジョとマジ色々あったっぽいからなぁ…。
事情と因縁があれば何間違えても良いのか、という問い含めて、まだまだ因縁は掘られそうである。
ともあれ、集った戦士誰もが止め得なかったオウケンを文字通り叩き潰し、その暴力が脅威たりえない状況を、ボッス王の怪力は作り上げた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
それは優しさを排除した強さに、何が成し遂げうるかを如実に語る。
強いことは、かくのごとく有効で有益である。
同時にヒリングとダイダという外部の血が混ざったことで、癒す力も使えているのが、呪いと流血からその英雄譚を始めた男にとって、結構良いことかな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
それはミランジョとともに歩みだした頃には、けして使えなかった力だ。
王が国を作り、新たに妻を迎えたからこそ手にした力…
かどうかは、もう少し見てみなければ、解らぬけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
ボッジはかつて憧れた巨大な力、皆を守る大きな背中を前に、興奮を隠せない。
父が獄から出てきたことで、ボッジが傷だらけの戦士から、夢いっぱいの子供に戻れる。
(画像は”王様ランキング”第20話から引用) pic.twitter.com/IhxG25yMcp
そういう構図でもあるし、デスパーさんが油断なく目を配るように、全ての陰謀の黒幕に無垢なる王子が挑む形でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
さて、流転した運命は再び親子を出会わせ、二人の戦士は視線を重ねる。
もはや力にただ憧れ、父の背中に隠れる子供ではないボッジは、運命の簒奪者に堂々その身を晒す。
そこに運命の精算を求める気持ちはなく、父存命のときと同じ無邪気な憧れと、あの時は持ち得なかった”男”としての滾りが見え隠れする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
絶対に手に入らない力への渇望を、ボッジが捨て得なかった理由が、このワクワク顔から伝わる感じもある。
オウケンを封じた巨人王の武力は、強くて優しく思える。
その温もりが真実から発するものなのか、儚い幻なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
友と師を得て、長い旅をくぐり抜けて鍛え上げられたボッジの剣は、父が黙して語らぬ真実を貫けるのか。
そう出来るだけの強さがあると、見込んだからこそ親父も、重い腰を上げて牢獄から出たんだろうけど。
とすれば、ボッジは父を表舞台に引っ張り出し、ミランジョに相対させた時点で、ある意味勝っているんだろうな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月4日
運命と血の全てを捧げた彼女の王に”裏切られ”た形だが、鏡の魔女は何を思うか。
現世で、冥府で、様々なふれあいの中揺れる魂は、どこに行き着くか。
新たな物語が紡がれる。次回も楽しみ