その着せ替え人形は恋をする を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
小物にウィッグ、メイクに衣装。
”コスプレ”に必要なものを一個ずつ揃えて、遂に来ました”烈!”合わせ当日。
そこに飛び出した突然のサプライズは…まさかの颯馬お兄ちゃん!?
ネガティブハートをアンロック! なりたい自分に、今こそジャンプだ心寿ちゃんッ!
そんな感じの楽しいコスプレ青春日記、お前だけ仲間外れにはしねーぜ! っていう第9話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
仲間が増えていいムードになったところで、引っ込み思案なデカ妹の震えに気付き背中を押し、ピーカン青空皆笑顔でジュジュ様編フィニッシュ! というエピソードである。
青春群像劇の王道で、大変いい。
お話としては凹型の構造で、五条くんと海夢ちゃんのイチャイチャスケッチ、どんどん”コスプレ”が出来ていく手応えで一旦上げて、衝撃のお兄ちゃん登場から心寿の心を掘り下げて下げて、五条くんのスパダリ力でぐいっと上げてあとは天を突き抜け最高のエンディングに一直線…という仕上がり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
上がる部分と下る部分のメリハリがよく付いていて、演出によって生まれるテンポが心地よい回だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
前回が短編映画や写真をアニメに落とし込んだバキバキの表現だとすると、今回は書き文字やデフォルメ、コマ割りなど”漫画”を取り込んだ表現が目立つ
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第9話から引用) pic.twitter.com/MOz22OtO6f
文字通りComicalな表現を、『此処は心から楽しんでいいところだよ!』と視聴者に告げるアンカーとして使うことで、物語の上がり下がりを共有しやすくなり、下向きの流れに引っ張られ過ぎもしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
異質なメディアの表現を巧みに取り込むことで、違和感ではなく異化作用が生まれ、画面も面白くなる。
前回の超絶オシャレムード満点な表現とはまた違うが、これもまた大変優れた演出であり、Clover Worksの底力、人材のバラエティをよく感じることが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
コミカルとシリアス、エロスと爽やかさの両立が気持ちいい作品なので、表現の幅は強みよね。
まぁ今回もワンプラ人材(副監督)なんだがなッ!
いつもの和室でイチャコライチャコラ、五条くんと海夢ちゃんが仲良く過ごしているフツーの時間から始まるのが、なんともありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
彼らの出会いと青春はとても優しく眩しい、あり得るはずがないからこそ追いたい理想なので、こういうスケッチ見れるのは嬉しいよね…。
まーた海夢ちゃんの無自覚えっちで、五条くんが進退窮まった状況に追い込まれていたけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
コケティッシュな”モノ”としてだけ海夢ちゃんを見ていないから、五条くんは優れた衣装製作者であり、ドレッサーであり、人形師である。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第9話から引用) pic.twitter.com/cq4P6r6BsF
後に寿心の悩みへの処方箋となる、異質な他者への優しい眼差し。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
誰かの役に立つことが嬉しいという気持ちが、違う世界の人だと思っていた海夢ちゃんと同じくあって、その素直な優しさで確かに繋がっている。
そういう実感に、今の五条くんは目を塞がない。
もともとそういう感性が鋭敏だからこそ、心無い言葉に傷ついて心を閉じていたわけだが、めっちゃグイグイ来るギャルにこじ開けられ、瑞々しい感性が蘇った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
一見無関係な”コスプレ”が人形師としての成長に関わっているのも、そういう心の再生が強く関与しているのだろう。
五条くんは自分の世界を変えてくれた海夢ちゃんにも”コスプレ”にも感謝を忘れず、その優れた視力を戸惑う心寿へと向けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
常に先を生き憧れで導く姉ですら…むしろそういう立ち位置だからこそ気づかないものに、手を差し伸べて夢を叶える。
そこに、五条くんがこの話の主役たる理由がある。
それは第1章で既に開花したもので、花満開のアーパー空気は漫画的表現の力を借りて元気よく、楽しく世界を満たす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
ここに”コスプレ”の細かい技芸やコツ、苦労しどころなんかを的確に描く筆が加わって、青春にいい陰影が乗っかる。
ウンチクの活用が巧みで、リアリティ製造の精度が高いよねー。
小物を作り、顔を作り、体を作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
画面の中にしかいない憧れと同一化するために、コスプレイヤーがどんな苦労をしているか。
金銭的な生っぽさも適度に交えつつ、テーマとしているものの立体感をちゃんと彫り込んでいることが、キラキラな青春へのシンクロ率を上げていく。
そこで高まった体温が、突然のサプライズでグッと冷える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
心寿に何があったか回想するパートのシリアスな重さは流石で、彼女が抱え込むシリアスな痛みを巧く伝える。
それが重いからこそ、受け止め道を示す五条くんの素晴らしさも際立つ。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第9話から引用) pic.twitter.com/la0EuyYFVw
海夢ちゃんと出会う前の五条くんなら、ここで心寿の苦しみに気付き、手を差し伸べることはなかったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
グイグイ来るギャルにマジ助けられたからこそ、その活力に憧れているからこそ、五条くんは今までの自分らしくない自分…最も自分らしい自分へと変化できる。
五条くんはあくまで裏方であり、彼だけのビスクドールを支える魔法使いなわけだが、理想に近づき変わっていく”コスプレ”の本質的輝きは、こういう形で発露もされている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
そうして差し出した手が、心寿の”非常口”にもなる。
今回静物のクローズアップ結構多いんだが、使い方が巧いね。
ここで示される雨の暗さ、世界の重さがしっかりしているからこそ、凹型に下がって上がっていく物語のメリハリが上手く生きて、強いカタルシスも生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
五条くんが心寿の願いを受け取った時点で話は上向きになるので、コミカルな表現も顔を出す
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第9話から引用) pic.twitter.com/KN3MEmb7a2
お金がなくて、”男”になるには体つきが女性的過ぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
一歩を踏み出したあとにも具体的な問題が沢山あって、でもそれは知恵と努力でなんとでもなる。
前半ジュジュ様と海夢ちゃん主演で描かれた『コスプレの大変な所、それを越えていく手応え』が、ここでもう一度描かれるのが良い。
五条くんが心寿に差し出す処方箋は世界の見方、心の問題であるけども、『みんな色々在る』のは物質的な領域でも同じで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
ちっちゃい姉にはそれ相応の苦労と工夫があり、でっかい妹にも彼女だけの夢と困難が待っている。
形は違えど同じ苦労と達成感で、皆それぞれ頑張っている。
それを高い理念のレイヤーだけでなく、卑近で身近な領分でもしっかり描写し、同じ回の中で重ねることで、どこか輪の外側に似た心寿がグッとは物語の中心…”コスプレ”に近づいてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
こういう実感を、『へー、そんななんだ』と知る楽しさに上手く絡めて届ける手腕は、この作品の武器だろう。
かくして色んな厄介を頑張って乗り越え、形になった心寿の夢。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
お姉ちゃんは妹大好きなので、震える手を取って即座に超絶高まり、好きで繋がる私とあなたーッ!
心寿が信じたいけど信じきれなかった、最高の姉が今此処にいるッ!
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第9話から引用) pic.twitter.com/bkO0bvOgUa
ここで今までのコミカルさとはまた違う、点描背景を生かした心理表現を”漫画”から借りてきて、心寿がたどり着いた場所を鮮烈に見せるのが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
露骨なサービスカットを油っぽく入れ込みつつ、上品さが消えないのは少女マンガ味の活用が巧いからだよなー…キュンキュン力の使い方とかさ。
心寿が”兄”になりたかったのがまー、シスコン此処に極まれり、って感じで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
ホントお姉ちゃん大好きで、だからこそ世界に知って欲しくてカメラを取りアカウント作り、でも心の奥底では不安を抱えていた。
姉が愛するに足りる、姉に憧れる自分は、あまりに遠い。
暗く沈んだ雨の中から、五条くんが魂の震えに気づいて引っ張り上げてあげることで、心寿はなりたかった自分になれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
性別も年齢も越えて、理想を現実に引き寄せるための営為。
”コスプレ”が持っている真の力を、心寿の変身を通じて見せる話運びが、やっぱり好き。
五条くん自身変わりたいと願いつつ変われない、暗く沈んだ心の持ち主だったからこそ、心寿の震えに目を配れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
ちびっ子姉さんは、どう頑張ってもかっこいいお兄ちゃんにはなれない。
コンプレクスだった大きな体は、心寿の可能性を広げる扉にもなった。
弱さは、いつだって強さに繋がってる。
そういうメッセージもしっかり描けてる所が、青春群像劇の本道をしっかり抑えていて、骨の太いところだなと感じます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
メチャクチャ具体的な描写の多いマテリアルな話なんだけども、イデアルな理念でそれを下支えして、抽象的価値にアプローチできてるバランスの良さ、やっぱ凄いわな。
というわけで心寿が秘めていた”好き”も形となり、皆が幸せあったかエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
ここで舞台裏に引っ込んでいた心寿を話しの真ん中に引っ張り出して、全員の”好き”を完璧に叶える所が、やっぱ良いなー、と思う。
ますます幸せになり、万事幸せになってほしい。(コスプレ武者小路実篤)
かくして”烈!”合わせは最高のサプライズもバッチリ決まり、最高の笑顔を生み出して終わった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月5日
楽しいことだらけの最高の青春は、海夢ちゃんと五条くんを何処へと進めていくのか。
次回からのお話も、大変楽しみですね。
はー…みんな可愛くて幸せで、最高のアニメだなッ!