プロセカイベスト”Cast Spell on You”を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
ファンに支えられ大成功に終わったリアルイベントに、手応えを感じるMORE MORE JUMP! の四人。
新たな活動の一環として、ステージ衣装をそれぞれ考えることに。
そんな中、雫の脳裏に蘇るのは彼女に”アイドル”の魔法がかかった、初心の日の記憶だった…
そんな感じの、モモジャン新章第一弾。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
ここ最近の”流れ”であるゼロ地点の掘り下げを雫主役でやりつつ、なんか良い感じに足場を作りつつあるモモジャンの新しい景色を、”衣装”という要素から掘り下げていく感じ。
過去・現在・未来のリンクとバランスが良く、モモジャンらしい爽やかさな可愛さがあった
イベントタイトルはアイドル・シンデレラストーリーの定番を少しひねった『魔法をかけてあげる』。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
中心なき偶像として祭り上げられた結果、消耗しきってカラデのセンターから降りた雫が、作られたシンデレラではなく、皆で夢を作る魔法使いに、新たな自己像を見出す話と言える。
新衣装を考える時、雫にこれといった”芯”がないのが印象的だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
自分を強く押し出さず、運営の便利な人形として転がされてたプロ時代から、雫は色んな流れに抵抗する引っかかりがない。
傷つく心もなりたい自分もしっかり持ってたからこそ、アイドル一回止めた桃井姉貴とは、そこ正反対である。
同時に濁りなく他人を受け入れられる優しさと、執着の薄い人格から滲み出る透明感は間違いなく雫の武器であり、個性でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
彼女は流れの赴くままにしっかり考え、アイドルが好きな自分と、自分を好きなファンと、お互い状況が落ち着いていい具合に話せるようになった妹に向き合って、答えを探す。
青春凸凹道を自分なり越えてきて、だんだん人格が成熟してきた志歩が、姉貴に優しいのがとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
親友や世間と巧く付き合えない自分に苛立っていた時間が終わり、持ち前の”芯”の使い方が解ってきた彼女は、姉がいつでも頑張っていたこと、それを間近で見てきたことを、ちゃんと言葉にできる。
それぞれ別のユニットで、色んな荒波に揉まれ色んな体験をしてきたことが、姉妹としてクリエーターとしてお互いを尊重し合える、豊かな関係に繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
大好きな志歩の言葉で元気を出して、初心を思い出し答えを掴む雫の姿は、日野森家をキャンバスにキャラの物語が交錯する、群像劇の面白さだ。
欺瞞と嫉妬に満ちたカラデ時代は、ユニスト時点では思い出したくもない辛い過去だったと思うが、モモジャンで夢を取り戻し、”アイドル”として再出発の手応えを掴むうち…最高の仲間と最高の青春を過ごすうちに、そこに確かにあった輝きを、雫も蘇らせてきている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
始めて衣装を身にまとった時の、”化ける”感覚。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
戦闘服であり思いの魔法でもあるステージ衣装を着込んで、自分はどんなアイドルになりたかったのか。
作られたシンデレラの役を演じきれなかった雫だが、”衣装”というファクターがアイドルに、ファンにどんな力を与えるかは、確かに知っている。
ここで雫は、シンデレラではなく魔法使いをモチーフに選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
魔法をかけてもらう(Cast a spell on me)受動的立場ではなく、魔法をかける(Cast a spell on you)能動的立場へと、カラデからモモジャンへとユニットを変える中で、彼女も変わった。
それは事務所主導のツリー構造のアイドルから、セルフプロデュースとコラボレーションが基本のリゾーム構造のアイドルへと、ビジネススキームが変化した事と関連している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
作られたシンデレラだった時代、雫は動かし得ない中心の権力に振り回される、芯のない辺境的存在でしかなかった。
しかしモモジャンは演者自身が運営であり、ファンはスタッフやブレーンに簡単に変化する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
中心と辺境、権力を持って支配する側と芯なく支配される側の境界が、とても薄くなっているのだ。
その相互侵犯性が今の雫には、とても良く噛み合っている。
だから、雫中心のアイデアだけでは衣装は完成しない
芯も濁りもないからこそ、雫はメンバーを思って個別のモチーフを入れ、しかし自分を象徴するものが何かは思い至らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
それを思い出させてくれる鏡は、大事な仲間たち、自分を支えてくれるファンにこそあるのだ。
そういう形で、自己を支える”芯”を手に入れていくのが、日野森雫のスタイルなのだろう
ユーザーを巻き込み、中心なく駆動していくノマディズムな生き方は、コンテストのはずなのに勝者がいない…皆が特別な魔法使いになって、最高の自分たちを輝かせるスタイルを可能にする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
リアルタイムで可塑性と機動力の強いモモジャンのスタイルは、とても現代的だなぁ、とも思う。
リアルイベントを経て存在感を増しただろうモモジャンが、どんな風にファンにコンテンツを提供しているかが濃く追体験できるエピソードでもあって、”アイドル”としての彼女たちの今がよく感じられたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
とくにみのりが一皮剥けた感じがあって、妙に可愛かった。いや、前から可愛いけどさ…
自分がどんな存在かわからない雫の象徴として、桃井の姉貴は”雫”を選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
それは舞台裏で流している努力の結晶であり、シンデレラに祭り上げられた先で流した涙であり、そういう辛いことを経てなお失われない、彼女の柔軟性と透明感の象徴だ。
水はどんな場所にも流れていけるし、どんな形にもなれる。
芯のない靭やかさこそが、アイドルとして人間として、日野森雫の一番強い所なんだろうなー、と思わされるエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
でもそれは、誰かの思惑に流され、望まぬ嫉妬を背負った時代には、活かされなかった長所だ。
華やかな舞踏会に背を向けて、泥に塗れてなお、”アイドル”でいたいと思えた。
モモジャン全員が持つ志こそが彼女の”芯”なのであり、確固たる自分がないように見えて、それだけはけして譲らないし、曲がらないし、折らないのが、今の雫である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
身にまとう象徴はそれぞれに違うとしても、夢に向かってひた走り、世界を魔法で魅了する輝きは、同じく強く輝いている。
多彩な個性が重なり合って、それぞれを強く光らせるモモジャンの良さも、強く感じられるエピソードだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
人脈も広がりノウハウも蓄積され、自信も尊厳もフル充電。
今のモモジャン上がり調子! て状況に、こういう形で説得力が乗っかるのは良い。
雫の衣装をユニフォームとして選んだことで、モモジャンは”魔法使い”をセルフイメージとして、世界にメッセージを発していくことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
それぞれに挫折を経験し、一度”アイドル”を諦めかけたからこそ、そこからもう一度歩き出す魔法がどこにあるか、良く知っている。
それはステージで肩を並べるかけがえない友との絆であり、ファンから受け取りファンへ差し出す愛であり、どす黒い欲と偏見と嫉妬に塗れつつ眩く輝く”アイドル”という、永遠の夢だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
そういうものをステージから、配信から、己の中に生み出し”あなた”に届ける。
モモジャンはずっとそういう存在であったし、”衣装”を通じて”魔法使い”である自分たちを、強く認識もするだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
どういう集団にしろ、アイデンティティとミッションが明瞭な奴らは強い。
今後も様々に迷いつつ、自分たちが何者であり、どこから来てどこへ行くのか、モモジャンは確信し革新し続ける。
モモジャンの物語にはどん底からの成り上がり、世間に否定された自己の再獲得という、サクセスストーリーの側面が色濃くあると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
そこをどんな歩調で進んでいくのか、”衣装”というとても具体的なフェティッシュでもって鮮明に描く、とてもいい物語でした。
モモジャンの快進撃は続く。次回も楽しみ
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
ここ最近過去エピが増えてきてるのは、時系列を先に進めすぎないテンポ調節…ってのは勿論あるんだろうけど、プロセカの子供たちが辛かった過去を振り返り、『でも悪いことばっかでもなかったな…』と思い返すだけの足場が、形成されてきた証拠だと思う。
嵐の只中で、昔を思い返すのは難しい。
無論未だに青春は継続中で、色々な波風も吹き荒れているのだが、ユニット内部に、あるいはその外側に縁が広がり思いが繋がり、”今”を肯定できる足場が出来たからこそ、ゆっくりと自分の足取りを確認して、そこに確かにあった輝きを蘇らせる余力も整ってきた…て話だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
それは未来にも繋がっていて、そう悪いもんでもなかった過去を学び直すことで、未踏の明日をより善くする材料も確保できる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
苦しみの中で分断されていた過去と現在と未来が、豊かに繋がってより良い自分とセカイを描き出す段階へと、この物語は歩を進めつつあるのだろう。
逆に言えば、より豊かな未来に踏み出すために”昨日”を思い出すべきフェイズ…今目の前にあるものだけでは闘いきれない段階に、子供たちの人格と関係が変化してもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月12日
思い出の泥に手を突っ込み、キラキラ輝くものを取り戻して武装した後で、挑む”今”はどんなものか。
この先のプロセカも楽しみだ。