東京24区を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
運命の住民投票に向け、加熱していく24区。
秩序と自由、多数派と少数派が対立したまま火花を散らす状況の中で、シュウタは己の立場に悩んでいた。
黒葛川が告げるカナエシステムの真実は、非情を持って子供たちを揺るがす。
最後の嵐が、近づいていた。
そんな感じの最終章一歩手前、どんどんロクでもなくなる我等の街! な、東京24区第11話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
クラッキングされる民主主義、軋みだす犯罪予報システム、飛び交う”現実的”な手段…。
もともとそこまで爽快な話ではなかったが、どんよりずっしり生っぽい展開となった。
RPG全員にカナエシステムの真実が明かされ、卑劣上等な大人のやり方に飲み込まれていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
そこで主役たちがこれまでの因縁を打ち破り、なにか新しい可能性を切り開くことが出来るかが、最終章の問いかけなんだと思う。
答えはYESと出るのだろうが、説得力を出すには上手く試し導かなければいけない。
グラグラ煮立ってる24区は、そのための孵卵器なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
誰もが世の中良くしようと、自分と大事な人が幸せになるよう手を尽くして、決定的にズレて壊れていく場所で、ちったぁマシな答えがありうるのか。
古くて常時更新される問を、このお話も追う。ヒーロー物語だからね。
24区の運命を決める投票を前に、行政府は強権的な姿勢を崩さずシャンティタウンを”浄化”しようと試み、そこに住まう人たちはいない者にされていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
声高な主張と偏狭な断絶が加速していく場所で、子どもたちも綺麗なままではいられない。
カナエシステムの根幹がブラックボックスとして秘匿されているので、頻発するエラーの原因を覆い隠したまま、コウキは運営責任者をやらなきゃならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
技術的な問題もそうだけど、スゲーシンプルに部下に信頼されないよな、あの立ち回り…。
第2のカルネアデスとして汚れをひっかぶる覚悟を決めたのは良いが、そもそも一人間を万能の神様に押し込めるシステム自体が(叶さんが正確に予期していたように)不安定なもので、社会治安の基盤インフラとしては危うすぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
それでも、そこに完璧な夢を託さなければ生きれなかった人達。
我執に呪われた人たちが権力ピラミッドの上にいることが、色んなものが危うく揺れてる現状の根幹じゃねぇかな…とも思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
24区ではそういうものを公平に共有するメディアも、それを正す投票システムも、私権によってハックされ、特定の目的のために書き換えられる。
24区に限った話でもないけど、さ
犯罪マネーの力を借りて、ビッグデータを用いた世論誘導で嵐を起こす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
ランちゃんが気づけば首までつかってる泥沼は、巨大な権力を以て上から叩き潰す戦術が取れない、弱者のゲリラ戦だ。
賢く、現実的に、理念を忘れて薄汚く。
清廉なアート・アクティビストは、気づけばそんな位置に流れ着いていた
コウキが古くて堅牢な秩序軸のパワーを体現するのに対し、新しく流動的な自由軸のパワーを背負うランちゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
彼の末路をどう描くかは、”現代的”…であろうと、少なくとも試みたこの作品の肖像画として、かなり重要になると思っている。
泥を抜いて、カッコよく仕上げて欲しい。
投票期日というデッド・リミットがなければ、のんびりアートで世界を変えれもしたのだろうが、現実はそうもいかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
欠乏を煽り不安を燃料とする”広告”というシステムを設計ベースにする電子社会は、そもそもにおいてイライラさせられ、余裕がなく、足りないものだけに目を向けられるモノなのだろう
そこに乗っかって加速し、捻じ曲げられたDo Redの革命は、今や過程を置き去りに結果だけを求める、無情な経済原則で駆動する装置になってきてる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
最も短絡的で直接的な、テロルという現実改変手段をクナイが選んだ時点で、そういう変貌は止め得なかったのかもしれないが。
自分が忌み嫌っていたものに、気づけば自分自身が成り果てている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
ランちゃんの現状が、真逆の位置で繋がり合ってるコウキ…彼が所属する区の公権とほぼ同じなことに、彼自身気づいていないだろう。
気づいたなら止まれるし、変えられる。
しかし自分を率直に照らす鏡は、いつでも遠い。
内省と自己分析という特性は、気づけば一番ガキだったはずのシュウタに移っていて、彼は自分のことも、自分を取り巻く世界のことも、足を止めて考える立場にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
脳筋野郎が現実に向き合う中で、否応なく獲得した思慮。
これが、加熱していく現状への処方箋足りうるのか?
考えること自体は皆やってて、しかし人間である以上何かを取りこぼし、自分だけが正しいのだと独善を加速させていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
これを正すはずの機械の神様は、人間(の遺骸)を根幹に据えている以上、透明な存在になりきれず助けを求める。
一人の人間が背負うには、選別は重たすぎる荷物だ。
この責任/権利を分配するべく民主主義ってのがあると思うのだが、これを不確定な現実の中駆動させていくためにはリスク管理が必要で、そのためには人智を超えたシステムが求められて、そのためにはアスミの魂を陵辱した無理ある予言機会に頼らなきゃいけなくて…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
堂々巡りは終わらない。
とりあえずカナエシステムは止めて、アスミは成仏させてやったほうが(倫理的にも、現実での問題対処としても)良いと思うが、死を認められない人たちの業は、それを許さないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
死を超えて繋がりうる大きなものを信頼できないから、形ある生存に固執する形か…。
この物神崇拝的現実主義を見てると、世代を超えて希望をつなぐ”教育”に叶さんが足場を変えたのは、印象的な決断だな、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
今はすべてが上手くいかなくても、いつかきっと上手くいく。
そう思える自分と世界を維持するために、次代の子供たちに教えを届ける行為に、彼女は可能性を見出した
その教えや願いすらも、届かず歪んで世界をきしませるのが、なんとも皮肉であるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
どんどんその言葉の最悪の意味合いで”大人”になっていくコウキとランちゃん…あるいは叶さんの死に呪われた大人たちを見てると、遺志ってのは本当に、願ったとおりには繋がらんもんだなと思わされる。
そう考えると、RGBのオリジンであるアスミの死が、”学校”で起こったのも皮肉と言うか、的確というか…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
叶さんが願いを込めた場所にこそ、暴力が牙を剥いて呪いが芽吹く。
世の中そんなもん…と諦念するのが嫌なら、道を定めて走るしかない。
でも、一体何処へ?
秩序の管理者となったコウキも、自由の守護者となったランちゃんも、もうそこには悩まない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
悩まないことにして、自分が正しいと思えた狭い結論にしがみつき、それ以外を切り捨ていく。
そんな”現実的”な決断は、薄汚れた不公平も『しょうがない』と飲み込ませていく。
まぁ区長にしてもゼロスにしても、子供らがそういう場所…自分たちが立たされてるのと同じ余裕のない現場に引き込まれるよう、状況を誘導してた部分があるけどね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
ここら辺の引き込み、大人気取ってる寂しがり屋の甘えが見れて、ゲロ吐くほどヤダなー…。
同時に、そこが人間味でもあろうけど。
地獄に進むにしても一人じゃ嫌だから、周りにいる子供を自分の見てる世界の色に染めて、道連れに選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
これも”教育”ッ! と言ってしまうと、叶さんが怨霊と化して24区を更地にしそうだが。
でもま、現状そんな感じではあるよね…男衆、生存者、何やっとるんだお前らは。
中立な立場から対話を持ちかけるコウキは、扇動されたDo Red支持者に殴りつけられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
加熱した状況において、『どっちも大事』は『どっちも大事じゃない』と否応なく繋がる。
『俺らと奴ら』に世界を切り分けて、憎悪で頭を染め上げて突き進んでいくことは、決断も選別もしなくて良いので心地いい。
この快楽が国も燃やせば人も燃やすことを、モニターの向こう側現在リアルタイムで嫌ってほど思い知らされてる最中に、そういう人間の性をほじくるこのフィクションは、どんな風に己のメッセージに説得力を持たすか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
終盤を迎え、やはりそこが大事になってくるだろう。
行動様式をハックし、民主主義をハックし、様々な技術や理念が生まれた始原を忘れ去って、過程を置き去りに結果だけが加速していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
効率的で現実的なスタイルが、行き着く先の、そのまた先。
技術進化と、それによる力の集中が止め得ない潮流に棹さして、人間のあるべき道を示す。
現実と繋がったネタを扱っている以上、そんなお話の結末にはある程度以上の説得力が必要になってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
『ココには人情があらァ!』と、自分たちで戯画化したアンサーが答えになっちゃいけないとは思うが、結構精妙に追い込んだ問いかけに対して、作品と主人公はどんな『それでも』を提示するのか。
なかなか気になるところである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
カナエシステムの真実を告げられたシュウタが、どんな形で自分を”大人”にするかが、かなり大事になるだろうなー。
残酷のレールから世界を引っ剥がすヒーローに、自分がなっていたこと。
それを告げるのが、黒葛川さんだとは思わんかったな…。
コウキとランちゃんはもう戻れない道に進んだ…ように見えて、全然やり直せるし良い方向に変わっていけると教えるのが、彼らの友達であるシュウタの仕事になりそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
区長やゼロスにはもう迷いと聞く耳がないけども、子供らはまだ可塑性が残ってるからね…。
アスミのSOSもどんどん大きくなってきて、彼女のヒーローとしては応えにゃならん局面である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
記憶の中で美化された無敵の少女が、死んだことで無力なまま冥界に置き去りにされて、大人になりつつあるかつての仲間に解決を求めてる構図だよなー…。
アスミが信じてくれたヒロイズムを信じることで、シュウタはここまで進んでこれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
でもそうして縋った相手が結構弱い存在で、彼女が担保してくれたヒロイズムには穴があって、苦しむからこそ助けなきゃいけない人間でしかないのだと思い知るのが、シュウタ最後の試練なのかもしれない。
カナエシステムが透明な神様としてアスミを捕らえているのとは、また別(で、同じ)の檻に、彼女を自分のヒーローとして理想視するシュウタの幼い視線が捕らえちゃってる感じもあるし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
そこで不自由に藻掻いているのは、幼いアスミだけでなく、彼女にすがるシュウタも同じなのだろう。
こうしてまとめてみると、死んだ幼馴染に囚われてる少年が”大人”になるまでの物語として、結構シンプルで骨が太い作りだな、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
そこにダイレクトには繋がらない、デカくて早い世界のうねり、テックと政治のトレンドを盛り込んだことが、吉と出るか凶と出るか。
そこもこれからの最終章で、否応なく見えてくるでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
作品のテーマと選んだものが、ドラマに絶対不可欠な必然であったという納得が欲しいんだな、僕は…。
ナウいファションとして掴んで、手になじまなないまま描ききれず滑って…て感じに(おそらく意図せず)なってしまうと、色々キツい。
”現代”なるものの最先端に障り、噛み砕いて咀嚼し、飲み込みやすい物語を視聴者に出力する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
ナウい素材を選んでしまった以上、そこを頑張り切る責務が、このアニメにはあると思う。
それが果たせたのか、至らなかったか。
残り話数は、それを見届ける時間になりそうです。楽しみですね。
補記 秩序を維持する側だけが力を持ちうる時代はとうに終わっていて、”平等”が加速した現代においては自由を標榜する側にこそ暴力含めた力が偏りうるよね、という話。
犯罪マネーの力を借りて、ビッグデータを用いた世論誘導で嵐を起こす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
ランちゃんが気づけば首までつかってる泥沼は、巨大な権力を以て上から叩き潰す戦術が取れない、弱者のゲリラ戦だ。
賢く、現実的に、理念を忘れて薄汚く。
清廉なアート・アクティビストは、気づけばそんな位置に流れ着いていた
って書いたけども、経済と情報をハックする実力があって、アートの才で他人を震わせられるランちゃんは既に”弱者”ではないわな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
これまで一元的に管理されていたパワーが、流動化して多軸化した先にあるもう一つの”強者”として、市民と企業と犯罪が入り混じった今の立ち位置がある、て感じか。
世界をハックする足場がなかったクナイは、自身の芸術を企業力によってハックされ、絶望の先にテロルを選んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
ランちゃんの気質と能力はそこに手を差し伸べ得なかったと既に描かれているわけだが、今回掴んだハッキングデバイスは、その無力を補いうるのか、加速させるのか。
コウキが古くて堅牢な秩序軸のパワーを体現するのに対し、新しく流動的な自由軸のパワーを背負うランちゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月23日
彼の末路をどう描くかは、”現代的”…であろうと、少なくとも試みたこの作品の肖像画として、かなり重要になると思っている。
泥を抜いて、カッコよく仕上げて欲しい。