ヴァニタスの手記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
暗示を超えてノエの命を守ったヴァニタスに、激怒するミハイル。
暴走する力は遊園地を焼き、ノエの爪がその顔を引き裂く。
愁嘆場に舞い降りたのは、嘲笑う無貌。
死を思いながら続く旅に、未だ終わりは見えねども。
それでも、貴方が私の側にいる。
そんな感じの、ヴァニタスアニメ最終回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
大変良かった。
大長編であるジェヴォーダン編を終えて、残りの尺でどうまとめてくんのかな~…と思っていたが。
なるほど、余韻を残しつつ関係性の変化、人格の成長を魅せるよい終わりで、素晴らしかったです。
最終話で運命の宿敵が二人追加され、つーかシャルラタンにも匹敵する対立軸がポップアップして『終わってねー!』って終わり方なんだが、ヴァニタスとノエの物語としてはしっかり一区切りついてて、満足感が在る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
原作連載中のアニメ化として、かなりいいポイントに落としたなー、と思います。
冒頭、前回の落下が行き着く先がまず描かれるわけだが、ヴァニタスは殺さないことを選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
握りしめたナイフは自分も他人も大事にできなかった過去であり、流れる雫はようやく、降りしきる涙雨に追いついていく。
(画像は”ヴァニタスの手記”第24話より引用) pic.twitter.com/3hIVXTeqzX
それは蒼月の力を用いて、自分という他人を身勝手に操る力を、ノエとの思いでが打ち破った結果でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
ヴァニタスは自分の痛みを遠くにおいて、血の滲む悲惨を他人事と諦めることで、自分を守っているところがあった。
ナイフを捨て、殺せない自分を思い知ることは、その距離を詰める行為だ。
ノエを殺すことを諦めるのは、つまりナイフを握って攻撃的でいなければ生き延びれられなかった自分と、決別するということでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
同時に、そのナイフで引き裂いた師であり父である蒼月への思慕を…それを忘れられない自分と向き合う行為でもある。
ヴァニタスという青年が、決定的に生まれ直す一瞬
その激しいうねりがしっかり描かれたから、この”続く”な最終回に、僕は大満足なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
ヴァニタスは自分の行いを、復讐としての医療行為だとはっきり認める。
蒼月の痕跡を全て拭い去り、暴走した力を消し去るのだと。
それは、蒼月への愛故行われる、終わらない葬送なのだと思う。
バベルによって書き換わった世界は、蒸気技術による産業革命を果たした近代だ。近々、万博もあるし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
しかしヴァニタスは呪いと祈りが強く息づく中世の生物であり、禍名の治癒は近代に混じってしまった中世を始末している…とも取れる。
死と狂気が身近だった時代の、一つのモットー。
memento mori。
『死を忘れるな』という警句が彼の中に色濃いと、最後に解ったのもまた、個人的には面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
”ヴァニタス”という、これまた中世的な警句/美術様式を名前に引き継いだ彼は、生き様である”医師”として過ごす旅に、蒼月への復讐を果たす。
自分が愛し、殺した吸血鬼を思い出す。
その黒服は医師の装束であると同時に喪服で、牙を剥き出しに吠える凶暴性の奥には、愛が去っていった哀しみが常に、強くうづいている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
その哀しみに溺れるよりも、死を隣において生を掴む道を選んだ”優しい子”が、死を鎹に繋がろうと思えた他者。
止まった時を動かした、一人の男。
それこそが我らが方舟の子なのだと解る回で、大変に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
ノエという方舟は、悲嘆の洪水の後を生きるヴァニタスをその内側に取り込み、共に青春を航海する中で、彼をその名前から少し、解き放った。
vanitas…生の虚しさ。
捨てたナイフがその名を引き裂いて、真実の名が鼓動を始める。
砂時計のピアスは非常に”ヴァニタス”的で、寓意画としてのそれは、けして抗うことの出来ない時間、それによってもたらされる死を暗喩する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
装身具を通じて、彼が何に囚われ何を見据えていたかは、既に語られていたわけだ。
止まっていた砂は、否応なく落ちる。
ノエとの日々は、彼を人間にする。
そんな答えに耐えきれず、キチショタ大暴走のバーニング遊園地であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
冷たいのと痛いのが嫌いなミハイルが、命の土壇場で深い傷を追い、ドミの生み出した氷に取り囲まれて、『嫌なもの』に包囲されちゃってるの可愛そうだな…って感じ。
(画像は”ヴァニタスの手記”第24話から引用) pic.twitter.com/nALeY3PeMD
そしてごーめんルスヴン卿!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
アンタじゃなかったわ、こっちの黒幕ッ!
完全に意識の外側からの石田彰で、驚くと同時に納得もした。
確かにお前はそういう事する声しとるわ~~~(超偏見ぶっ放し村から生放送)https://t.co/XlqEeENqNj
先代サド公爵でありサンジェルマン伯爵でもある、妖眼の魔人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
彼が何を思い、昔なじみっぽい蒼月を復活させたいのかはサッパリ分からんが…まーどうせロクでもねぇだろうッ!
ルイの顛末といい、『子供が可愛いんで!』って動機じゃないのは確実だから、ミハイルが心配よ。
三人幸せに生きられた時代で時を止め、砂時計を逆しまにひっくり返すためなら何でもするミハイル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
彼が物語に顔を出したことで、否応なくヴァニタスの過去は暴かれ、その傷、痛み、悲哀と後悔が表になった。
そこに溺れ、足を止められない今の彼も。
陰惨な運命に導かれ、自己卑下に呪われていた青年であるが、救済という復讐を求める生き様は確かに誰かを救い、新たな愛を生み出した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
死者を弔う死者として歩むのではなく、死を思いながら今を生きる人間として、自分が確かにここにいること。
もう、ナイフを握ってはいられないこと。
それを思い知った顔からは険が取れ、ショタ味がすんごい…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
雨の中ミハイルを待っていたのは、つまり過去と対峙し己を伝える心が整ったということで、自分を縛る罪の鎖を、少し解いていいかなと思えたのだろう。
それは、とても良いことだ。
(画像は”ヴァニタスの手記”第24話より引用) pic.twitter.com/bbjRJTjLdS
ミハイルとヴァニタス・ノエの立ち位置が、明瞭に分断されている影絵のレイアウトが、鮮烈で残酷でいいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
砂時計は落ちきり、時は巻き戻らない。
ある意味死者蘇生の物語である”吸血鬼”のお話で、限りある生の意味を告げるのも、示唆的で良い。
ミハイルの周囲で静止していた滴は、彼自身の涙であり記憶であり、既に涙雨が激しく流れたヴァニタスは、もう同じ場所にはいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
蒼月はこの手で殺したのであり、その尊厳を護るためにも、死を思いながら生を掴み、呪いに蝕まれながら祈りを編むことから、”ヴァニタス”を継いだ男は逃げない。
蒼い呪いが自分を怪物にした時、殺すのはコイツでいて欲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
あまりにロマンティックな告白であるが、共に生きるでも治すでもなく、”殺す”で繋がるのが、この話らしいな、と思う。
その確信と信頼こそが、二人の奇妙な友情を繋いでいるのだ。
ヴァニタスとノエの旅路が何処にたどり着くかは、アニメの外側の…現在進行系の物語で読みきれないけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
吸血鬼の習俗では首を切り落とすしかない禍名持ちの、優しき真の名前を取り戻し救う主人公の歩みを考えると、彼を蝕む蒼の呪いも、また治癒されるのかなと願う。
運命が追いついた時、ノエが望む結末を欲するのなら彼は”ヴァニタス”的な医師になって、呪いを祈りへと転嫁する治療を果たさねばならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
なかなか大変そうだが、やってくれそうな頼もしさもある。
ヴァニタスの死の予言は、未だ明かされざる人の名と共に生きていける結末を、示唆するのではないか。
そんな事も考えるが…まぁ甘くねぇ話だからな、そこはドラマの行き着く先を見届けにゃならん部分だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
とまれ、死を思いつつも生を歩む存在として、ヴァニタスは自分の過去と現在を、ミハイルに叩きつける。
子供のように泣きはらし、一気に醒めるミハイルくんが素晴らしい。
かくして道は分かたれ、雨は上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
Après la pluie…雨上がりには光が差し込み、未来に虹が繋がるもんで。
このお話も、そんな感じで終わっていく。
素晴らしい。
その掌が、本当に繋がれるのか描かずに幕が閉じるところ含めて。
(画像は”ヴァニタスの手記”第24話から引用) pic.twitter.com/uypWgSvzr9
書き換えがたい絶望のルールとして、吸血鬼社会を蝕んでいた禍名を、一方的に書き換える救済者。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
そんな風に見えていたヴァニタスが、力の代償として存在を蝕まれ、自分以外の誰かに書き換えられる犠牲でもあると示したこと含めて、良い最終回でした。
というわけで、ヴァニタスの手記全2クール無事終了しました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
凄く良かったです。
伝統的な吸血鬼物語をしっかり踏まえた上で、独自の奇想とドラマ、面白さをしっかり盛り込み、新たなゴシック・ロマンス・ルネサンスを巻き起こそうとする気概が、感じられる快作でした。
とにかく美術とレイアウトが良くて、麗しきパリの風をたっぷりと吸い込み、シャープな描線で溢れかえる感情と因果を味わうことが出来ました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
エロティシズムの使い方も鋭く、リビドーの物語である”吸血鬼”に必要な紅い色合いを、巧く作品に盛り込んでくれました。
そういうおどろおどろしい味付けと同じくらい、深く傷つきながら必死に生きようとする青年たちの歩みが豊かに踊り、絡み合う情感がとても爽やかだったのも、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
切なさともどかしさを抱えながら、自分が大嫌いなやけっぱち人間どもがちょっとずつ、生きてもいいかなと思える場を掴む
そういう人格蘇生の物語としても大変良くて、2クールたっぷりと時間を使ったことが、そこに宿る感情をしっかり伝えてくれました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
たくさん寄り道する余裕があったので、美しい景色に眼を喜ばせ、コミカルな面白さ、ラブコメの甘酸っぱさなど、多彩な味わいで楽しませもくれた。
キャラには可愛げがあり、独特の設定と話運びをしっかり食わせる土台として、その魅力が存分に振るわれていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
皆チャーミングだったけども、やっぱジャンヌとヴァニタスが好きだな…。
あとローランね!
凄く面白い信仰者の書き方で、いいキャラだなーと思う。
スチームパンク化した19世紀を表舞台、赤きアルタスパリを舞台裏に、新しきものと古きものがぶつかり、混ざりあう面白さが鮮明だったのも、個人的なツボを強く押してきて良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
”ヴァニタス”と聞いた時に『もしや…』と思った要素が、しっかり作中で元気に暴れてて、歴史オタクに嬉しい。
西洋文化史を大きなキャンバスとしてしっかり調べ上げつつ、あくまでヴァニタスとノエの暴力的な青春にしっかりフォーカスして、残酷な運命に傷つけられた心と、それ故誰かを求める強い祈りをしっかり描いていたのも、力強い筆運びでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
やっぱドラマが強いと、楽しく見れるね。
いよいよ謎も深まり新たな敵も出て、この後のドラマが楽しみ…という所で、アニメの幕は閉じてしまいますが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
ヴァニタスという青年が24話の物語の中、どう変わったかはしっかりと最終回で示されて、未来に踏み出す歩みが危ういばかりではないと見せて終わったのは、凄く良かった。
可能であれば、アニメという媒介でこの先の物語も見てみたいものですが、ともあれ今はお疲れ様を。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月1日
独特の格調を保ちつつ、ポップでエロティックで、とても楽しいアニメでした。
作品とキャラクターを好きになれるアニメ化で、とても良かったと思います。
ありがとう、楽しかったですッ!