阿波連さんははかれない 第1話・第2話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
水あさと原作のシュールテイスト・青春ラブコメ…でいいのか、キャラも全体的な雰囲気も『コレ!』と一言にまとめづらい、独自の面白さを持ったアニメである。
距離感ぶっ壊れた人付き合い苦手な女子の、隣りに座ったライドウ青年との日常を描く。
阿波連さんはとにかく変な子で、小動物系…ともまた違った、独特で極端なボリュームバランスで生きている少女である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
何かと生きづらかろうその個性を、ライドウくんは特に問題にせず…正確には気には止めるものの問題視も排斥もせず、友人としての適切な間合いで受け止める。
阿波連さんだけがヘンテコなのかというと、ライドウくんも豊かな想像力(妄想癖ともいう)を持ったヘンテコな青年で、二人の凸凹は噛み合わないまま奇妙な速度でシンクロし、寄り添ってゆっくり歩いていくことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
それは一般の尺度からズレた、ともすれば異様で奇怪と判断される歩調だ。
阿波連さんもそんな自分の特質が、世間一般の”普通”からズレていることに気づいていて、友達が欲しい気持ちを押し殺して高校生活を送ろうとしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
しかしライドウくんはヘンテコながら情の解る人で、距離感ぶっ壊れた阿波連さんのアプローチにも怯まず、彼女のメッセージを読み解こうとする。
コミカルで可愛らしい色合いに上手く染まっているが、そこには分かり合いたいのに分かり合えない異形の悲しみと、それを分かろうとする人間味の根源が、静かに息をしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
第1話では”解られる側”である阿波連さんは、第2話では同じくトンチキ人間である大城さんの異常監視を受けることとなる。
ここで彼女の”見守り”をストーキングと拒絶せず、けして形にならない真意を受け取って感謝できるのは、半分は阿波連さんの、普段は小さな声とぶっ壊れた間合い感覚で形にならない、優しさのたまものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
そしてもう半分は、自分を分かってくれたライドウくんから、受け取ったものなんじゃないかと思う
ライドウくんも相当な変人なので、『特殊な個性を持った人と、段々相互理解を深めていく』みたいな階段を一気に飛び越えて、ゼロ距離にスルリと身を置くわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
そうして奇妙な共鳴を通じて、ずっと誰かに受け取ってほしかったものを受け止めてくれた実感が、阿波連さんを少し強く、正しくする。
それは世間一般に”正しい”とされるお仕着せの強制力ではなく、ヘンテコながら痛みも優しさも知っている人たちが、自分たちなり大事にしようと思った、とても柔かななにかであり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
そういうモンをちょとずつ、強火の天然ボケとシュールな空気に満ちたコメディの中、一個ずつ削り出していく手付きが良い
阿波連さんの珍妙な可愛さは、作品を前に押し出す強力なエンジンであるけど、そこに甘えきらず彼女の小さな苦しさと難しさ、それに手を伸ばすライドウくんの掛け替えなさに、結構腰を入れて向き合っているのが良いと感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
もちろん、良くふにゃふにゃになる口とか、ポケーっとした目つきとか…
徹底的にズレた仕草の可愛らしさとか、全パーツがちっちゃい雛な造形とか魅力的ではある…し、それをアニメの中で的確にぶん回して視聴者に襲いかかる、萌力高い攻めも強力だが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
”小動物”とか”珍獣”とか、一見寄り添ってるようで自分の一個外側に異質なものを遠ざける手付きとは、ちと違う匂いがある
阿波連さんもライドウくんも、そしてそれ以上に第2話で強烈な吹き上がりっぷりをみせた大城さんも、”普通”の範疇を大きく越えたトンチキ人間なのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
作品は低体温な静けさを維持し、彼らの逸脱を彼らなりの一つの”普通”と見据えて、その混ざり合いを追っても行く。
正直強めのヤバさを感じる大城さんの阿波連LOVEが、今後どういう方向に転がっていくか分からんけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
ズレてるなりにお互い大事にしたい部分とか、痛くて怒ってる所とか、不器用に伝えようと試み、確かに伝わっている感触が面白く、また善くもあった。
ライドウくんが自分の思い込みで世界を囲わない、大変拓けたナイスガイなので、エゴに囚われたすれ違いが起こりにくいのは見ててありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
変人女子に常識人男子がぶん回され、一方通行のやらずぶったくりが横行してヤダ味が煮出される…みたいな、偏った構図にもなりにくいしね。
現状世界に二人、大城さんに遠目で見守られ見張られながら転がってるライドウくんと阿波連さんの関係だが、それが”普通”の世界と接触し、かつてそうなったように摩擦熱で発火したり、あるいは出会いから生まれた変化で、二度の痛みを生まない成長を見せたりしていくのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
主人公とヒロインの造形が大変優れているので、1ON1の閉じた距離感でも十分以上に面白いお話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
しかし思いの外コミュニケーションと特質のお話だったので、その狭さからちょっとずつ出ていく展開にも、個人的には期待したくなる。
ここら辺、全く焦らず足場を固めながら進むペースは、大きな強みか
第1話でメイン二人の出会いと関係性、第2話で追加キャラと出会いから広がる日常…と、各話ごとフォーカスを鮮明にして着実に進めていく構成は、あまり騒ぎ立てない話の作り、笑いの温度と上手く噛み合っていて、全体的な波長が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
価値観軸と時計の進みが、”普通”から相当にズレてて…
しかしそのズレを問題視しないというか、ズレをズレのまま笑いという価値に包んでいるというか…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
別に『優しい世界』というわけではなく、持ち前の優しさの使い方を知らない少女が、優しい少年に出逢ったことで、求めていた優しさに受け止めてもらう、ありきたりで大事な出会いの奇跡。
そこにはズレたままでも面白い日々があって、普通じゃないけど大事な絆があって、それは繋がりを保ったまま日々を重ね、独自の形のまま変化していける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
そんな不思議に屈折した前向きさが、作品世界を見る視線に宿ってるような感じがあった。
温度感も呼吸も、肌に合うし好きである。
なにしろ距離が近いので、すぐさま色恋に直結しそうな状況設定であるが、ライドウくんのズレた感性はちょっとドギマギしつつも、焦ることなく阿波連さんとの友情を育んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
恋なんだか奇妙な青春なんだか、そんな区別はつけないまま、不思議な味わいを楽しめば良いのか。
作品との向き合い方が分かりきらないことが、不親切ではなく面白さとして受け止められるのは、自作の強みをしっかり把握した上で、適切に届ける物語を描けている証拠とだと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
なんとも名状しがたい感覚であるが、面白いし好きなアニメだなぁ、と思え、大変に良かった。
ライドウくんが奇矯なジェントルメンなのが大変に良いので、今後も阿波連さんと仲良く、噛み合わないまま青春を転がっていって欲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
そして阿波連さんは今後も鼻提灯を膨らませたり、よくわかんないジェスチャーをしたり、不思議な面白さを持った一匹の異物として、堂々可愛くあって欲しい。
ライドウくんと阿波連さんが極端な”近”を第1話で完成させたのに呼応して、新キャラ大城さんが極端な”遠”を保ったまま心を繋げたのとか、面白い話の作りだなぁ、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
なかなか上手くは繋がれない、それでも繋がりたいと願ういろんな人達の肖像。
それを笑いに変えながら、嘲笑いはしない。
むしろ精妙なシュールさに包むことで、隣人として不可思議な”個”が確かにそこにあって、彼らなりの距離感と不器用さで誰かと繋がろうとしている事実を、柔らかに大事にしている感覚が、僕には心地よかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
大変良かったので、今後もこの調子で行ってくれると有り難い。
次回も楽しみです。
追記 我々は常に、世に打ち捨てられた一孤の獣なのだ。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
僕個人の世界観として、人は分かり合えないくせに分かり合おうとする不完全な動物で、その歪さを埋めるべく様々な装置を考案してきたと思っているので、不器用な異物たちを離しの真ん中に据えつつ、その奇妙さを嗤わないお話のトーンが、心地よいのかもしれない。
それが奇人の面白い身じろぎとして笑いを生むのだと判断できる冷静さと、それだけで済ましてはいけないと考え何かを宿し描こうとする指先の同居が、画面の端々から匂うように感じるのは、そうあってほしいと念じる僕の思い込みなのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月9日
これを確認するべく、次週も見ることとする。