薔薇王の葬列を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
内乱終結より10年。
エドワード四世の玉座は色欲と酒毒に汚され、死人と化したリチャードの心は冷たく凍っていた。
宮廷に紛れ込んだ魔女が撒き散らす内乱の種が、悪土に芽を出し茨を咲かす。
国を正すべく、リチャードはバッキンガム公を傍らに、兄に刃を向けるのだった。
そんな感じの”ヘンリー六世”終わり”リチャード三世”開始ッ! な、薔薇王の葬列第2クール第1話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
いやー…出だしから最高にドロンドロンで、ロクでもないことになる予感しかしないねッ!
新たな世代が育まれ、玉座は安泰家名は永久、なべて世はこともなし。
そう歌いたくても、”ヨーク家”の内情はアルコールとセックスでズタズタであり、魔女の持ってきたドラッグで更にボロボロになっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
セレブ残酷転落劇の中世版といった趣だが、史書でもこんな感じなんで、人間のやることは時を経ても変わりがない、という話なのかもしれない。
ランカスターとの戦が終わり、一見すべてが平らに収まったように見えるが、フランスとのせめぎ合いは未だ火花を散らしていて、リチャードはその始末に追われている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
対岸の火事をほったらかしで、王は祝祭にふけり荒淫に身を焼いている。
二番目の兄貴は酒浸りで、女達の謀略は留まることを知らない。
ここにかの高名なるジェーン・ショアが滑り込むことで、爛熟した罪の果実は腐敗を早め、運命が動き出す…というのが、このお話のタイミングである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
カーニバルの乱痴気、キリスト教圏でも元気なウィッカと、濃厚に中世的な空気を浴びて、そっちで悪酔い出来る話でもあるな…。
”真実の愛”とやらに殉じることでウォリックを怒らし、いらん内紛呼び込んだエドワード四世は、王として君臨してなお…つうか権力握ってより好き放題に、愛を求める狩人気質を悪化させている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
もともとエリザベスも復讐のために褥に滑り込んだ、ジェーンと同じ穴の狢であるけども、それにしたって…。
王に見限られたエリザベスが、生きる縁とすがる可愛い二人の王子が今後どうなっていくかを考えると、実父の天真な面影が色濃いエドワード王子と合わせて、なんとも憂鬱である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
時経て主役が大人になると、彼らの子供が表舞台に出てきて、運命に食い殺される様を見届けなきゃならんのは気が重いな…。
第二部序章は女たちの闘いという色が濃く、ジェーンを中心にエリザベス、イザベル、アンと、妻であり母である存在が、愛と呪いと毒をばらまきながら、話を回転させていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
まず運命の薪になったのは、酒浸りのジョージに未来を賭けた哀れなイザベルであった。
魔女にハメられて、夫が人生の勝ち馬どころかロンドン塔に引っ張れられるきっかけを作ってしまった形だが、ジェーンは一体何を望んで、悪徳を宮廷に蒔くのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
媚薬に縛られオルギアに興じるエドワード四世は、柔弱なるヘンリー六世とはまた違った意味で、国の柱たりえない。
この事実を、のちの簒奪者…血みどろの環を予兆として掴んだリチャードに認識させ、一度は諦めた玉座に引っ張り出すべく、色々企んでいるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
なかなか読みきれない所だが、状況はバッキンガム公を強く巻き込み、急流のごとく流れていく。
杉田声の似合う美丈夫になっちゃってまぁ…。
エドワード四世とウォリック伯の”けして崩れぬ誓い”がどんな決着に終わったかを考えると、リチャードとバッキンガム公が今回交わした真実の誓いも、嘘と裏切りに汚れる気配ビンビンである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
ヘンリーにすら拒絶された悪魔の身体を、バッキンガムに見せられるわけもねぇしなぁ…。
王冠の向こうにあるはずの楽園は、エドワード四世の足下にあっては、愛欲に汚れた偽りの園でしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
”ヨークの男”として父に恥じぬ王道を背負うためには、王を呪った大逆の次兄を殺し、国を腐らせる愚王を殺し…。
魔女を相手にそんな風に思考を誘導されながら、リチャードは王冠へ進むのだろうか?
予兆のリングケーキを、ジェーンは血まみれのGとして愚王に読ませたわけだが、同じものを掴んでリチャードは別の意味を読み取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
狂宴の只中地に落ちた、宝石と性欲まみれの偽物の冠ではなく、その環の先に楽園があるはずの、真実の王冠を己が掴む。
その助けを得るために、リチャードはバッキンガムに偽りの誓いを立て、己のセックスをけして顕にはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
アンにも、息子エドワードにも、悪魔と呪われた自身の身体を預けることはない。
エドワード・オブ・ミドラムが父を見る視線が、かつてのリチャードにそっくりなのが、哀れでしょうがない。
王冠の向う側にある楽園、光とみまごうばかりに美しい誰かに魅入られながら、幾度も同じ場所に迷う、救えぬ者たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
その物語は内乱が終わり、ランカスターが滅ぼされても終わらない。
つーかリッチモンド公の道化芝居から幕が上がる時点で、ランカスター死んでねぇ…。
かくして策謀と裏切りに満ちた喜劇の幕が再び上がって、兄弟親子が殺し合う残酷劇が、放埒なるオルギアを伴奏に再び奏でられていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
魔女の秘薬で加速したエドワードの”狩り”が、闘いに明け暮れてた第1クールより醜悪に見えるの、リチャードの性嫌悪が作品全体に敷衍してる感じねぇ…。
こっから先、更に粘度を増した地獄がリチャードを待つわけだが、その何処かで自身の身体と魂と性を、率直に肯定できる時が訪れればいいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
しかしそれは、あの森の中の楽園を経てすら、リチャードに訪れなかった奇跡だ。
ならば、酒と精液と毒薬の濁流が、その背中を押すのか。
『そいつぁ悲しすぎ、寂しすぎるだろ…』とは思うけど、しょうがねぇだろ歴史に書いてあんだからッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
そういうものを引き付けつつ、様々なファンタジーを交えて史劇を語り直す作品が、魔女を中心に再動するのは面白い。
ジャンヌ・ダルクは魔女として火刑台に上がり、名誉を回復され聖女ともなった。
エドワード四世の宮廷と治世に毒を流し込むジェーンもまた、二面性のある存在として今後立ち上がってくるのかなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
…リチャードを両性具有として描くことで、”魔女”の属性がこの二人を結びあわせる形になってるの、ちょっと面白い構図だな。
冷血の簒奪者と、性に狂わされた魔女。
あるいは決意の善王と、悲しき定めに引き裂かれた聖女。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月12日
どちらともなり得、どれでもないリチャードの未来が、一体何処に転がっていくのか。
その新たな端緒たるこの話数で、もう既に血と愛欲でネトネト超ロクでもないのは、ほんと可哀想…。
次回も楽しみですねッ!!(半ギレ)