ダンス・ダンス・ダンスールを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
バレエに出会い直してしまった潤平は、その感性を様々に揺さぶられていく。
特別なダンサーの、心に突き刺さるような動き。
甘やかに弾む恋心。
気に食わないはずなのに、目を奪う圧倒的な才覚。
目を伏せても飛び込んでくる輝きは、何処へ羽ばたかせれば良いのか
そんな感じの思春期ど真ん中バレエ日記、豊かな感性がガタガタと揺れまくる第2話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
第1話を見たあと、あまりに面白くて原作全話読んじゃったけども、アニメは結構アク抜きしてる感じだなー、と思った。
まぁ描くべき物語がとにかく多いので、厳選して再構築している印象である。
それがどんな風に結実していくかは進展を見守るとして、バレエと再会してしまった潤平は持ち前の感性を全開に、色んなモノに揺さぶられていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
心の窓たる瞳のアップが多く、色んな感情がそこに乗っかっていく。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第2話から引用) pic.twitter.com/ahNtJrSRaG
亡父の想いを引き継ぎ、家族を守れる”男らしい男”にならんと、粗暴と人当たりの良さを普段は演じている潤平であるが、その感性は普通の範疇に収まるものではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
歓喜、陶酔、衝撃、失望。
瞳を大きく見開いて、心の中に受け取ったものは様々な色彩で彼を揺さぶり、惹きつけていく。
そんな心の揺れに踊らされず、タフな存在であること…”父”のような存在であることが潤平にとっての規範だったわけだが、バレエはそこを揺らしてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
ダンサーになる存在というのは、柔軟でスラっと長い身体だけでなく、舞台上のキャラクターを豊かに表現する感性、物語世界への没入も含む資質だ。
それは舞台上のフィクションだけでなく、中学生等身大の青春にも、深くつながっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
初恋の予感にときめき、ライバルの存在に揺るがされ、特別な存在に為れるのだと浮かれ、現実に打ちのめされる。
潤平のナイーブで柔らかな感性は、日常と舞台両面に強く食い込みながら、激しく揺さぶられていく。
やはり前回、”男らしくない”と一度はバレエを拒絶した父が、潤平の熱意と純粋に視線を合わせ、しっかり肯定したこと…その死によって、感受性豊かな自分であることを封印されたことは、とても大きいように思える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
潤平は心の振幅が大きい己を、肯定しきれずヘラヘラ、当たり前の中に順応しようとする
しかし躍動する感性は、そういう道を彼に用意していない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
第1話冒頭の運命のステージもそうであったが、潤平が星を見つけると、劇伴だけでなくダンサーの足音、体捌きの音が必ず聞こえてくる。
それを受け取って、彼の世界は美しく色づく。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第2話から引用) pic.twitter.com/tJZCDvaIAG
スタジオパブロの美術は今回も冴えて、バレエと初恋とライバル、人生を揺るがす爆弾に一度に出会ってしまった彼の世界を、見事に活写する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
絵画的ですらある、バレエのある世界。
そこにダンサーの足音を聞くのは、見る側でなく演じる側として、その息遣いを間近に感じ取れるからだろう。
美しい形にスラリと伸び、重力を振りちぎって飛翔する身体。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
その存在感は、うつらうつらと聞き逃していた遠い世界の”バレエ”を、否応なく潤平に叩きつけてくる。
ここにこそ自分の居場所があり、自分が自分らしくいられる瞬間があるのだという、理屈を超えた直感。
それが、少年を突き動かす。
礼服で着飾った一般的な理解を飛び越えて、潤平はジーンズを履いたまま、一流を感覚してしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
そのセンスはひどく普遍的な青春にしっかり繋がっていて、月下の森でプリンセスの手を誘われて取り、花のように微笑む顔が瞳にも刺さってくる。
恋は、嵐のように否応なく潤平を襲う。
『でもそれもしょうがねぇよ…都ちゃん超可愛いし…』と、話運びを納得してしまうヒロインの書き方をしていて、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
都は潤平自身が持て余しているバレエへの思い、暴走する感性を同じ目線で受け止める同志であり、バレエをする潤平を見つけてくれた恩人でもある。
しかしそんな彼女の視線はもう一人の少年に常に注がれていて、潤平はその端っこに引っかかているだけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
この現状も、豊かな感性でしっかり認識できてしまうところに、潤平の苦しさと未来がある。
周囲がどんな状況で、何を望まれているか、知らず瞳を巡らせて、ヘラヘラ笑いで身を守る。
現状、彼のセンスはそういう自衛に注がれていて、そんな陰りからなかなか抜け出す決心がつかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
”ダサいグループ”に他人を振り分け、自分の立ち位置を常時確認しながら転がる、あまりに普通でつまらない学生生活。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第2話から引用) pic.twitter.com/eImzkvLOJz
その色は、ダンスをするべく生まれてきた存在のいる淡い陰りとは、あまりにも違いすぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
都の陰口を叩く級友が影の中にいて、そこに同調はしない潤平が光にいる構図は、特別な予感に浮かれて飛び出した夜の街で、バレエそのものを体現する少年に出逢った時、反転する。
流鶯は月光の下美しく眩い場所に立ち、潤平はガラスの向こう側、暗くて狭い場所に閉ざされている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
この扉を開けて同じ領域に立つか、色んなものに縛られて日常の沼に沈んでいくか。
ヘラヘラ笑って死んでいくか、全てを振り捨てて翔ぶか。
決断は、段々と迫ってきている。
潤平の感性は否応なく、流鶯が圧倒的な存在であることを見つけてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
自分がその領域に届いていないこと、流鶯が体現する”美”にたどり着きたいことも、彼の瞳は見えてしまう。
ヘラヘラ笑いで誤魔化そうとしても、圧倒的な質量と速度で飛び込んでくる星を、潤平はもう否定できない。
のだが、新たに出会った(あるいは再会し思い出した)ものに飛び込むには、思春期の心身は重たすぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
可能性への怯えや、変わっていくことへの恐怖だけでなく、一度バレエを捨ててでも守りたかった存在への愛着も、潤平を縛っている。
その優しさを思うと、この身悶えも微笑ましいだけでは終わらない
潤平は異性に照れ、バレエの中で表現される美に照れ、そこに体現される”男”にも照れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
そういう当たり前の思春期を置き去りにしたから、流鶯の演じる王子は”バレエ”になっていて、都の頬は赤く華やぐのか。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第2話から引用) pic.twitter.com/pv4h9rOhPm
『女を抱く』という難問は、”男らしさ”を遠目で睨みつつ、その実感は遥か彼方にある少年にはあまりに厳しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
おずおずと、おそるおそる抱きしめる手付きは”バレエ”とはとても言えず、しかし等身大の潤平が宿って可愛らしい。
では流鶯が体現する”バレエ”には、何が宿っているのか。
潤平にとってそうであるように、流鶯は視聴者にとっても魅力的な謎であり、そのあり方を紐解いてみたくなる存在だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
その不器用な人格と、立ち居の全てが”バレエ”に為ってしまう完成度と、都を惹き付ける引力は、一体何処から来るのか。
反発しつつ、潤平はそれに囚われていく。
それはつまり、潤平が流鶯の中に体現されている”バレエ”の答えを感じ取り、憧れと出来るセンスを持っているから、生まれる関係でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
出来ることなら全否定したい、友達にはなれないタイプの少年は、しかし否応なく潤平の心を占拠してくる。
遠く、踏切の音が聞こえている。
この警告音は都の想いを見抜いてしまう場面で強く炸裂して、二人の道を一回引き裂く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
それは恋の予感の破綻だけでなく、自分を特別な存在だと認めてくれたはずの存在が、掌から滑り落ちていく悲しみが、夕日に滲む情景だ。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第2話から引用) pic.twitter.com/2tlUAqAaVI
どんな顔で、自分の才能を褒めそやし求めているか、潤平は都の顔を見れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
しかし「流鶯のこと、好きなんだ」と指摘した時、赤くまばゆく光るその瞳は、真っすぐに届く。
届いてしまう。
潤平の視力は、自分がどんな存在なのかを照らす時、どうしても弱くなってしまう。
警告音が鳴り響く中、潤平は踏切を超えて都の瞳を追い、どんな自分がその中に写っているかを確認する勇気に、背を向けてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
それはとてもありふれた青春の情景であり、ステージから遠い場所に彼を遠ざけていく一歩だ。
求めるものは、警告音の向こう側にしかない。
彼が危険で美しく、嘘がない…許されない場所へと踏み込んでいく予兆は、兵ちゃんとのやり取りにも滲んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
自分を特別な存在にしてくれる潤平を、強く求める緑の瞳を向けられ、潤平の瞳は描かれない。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第2話から引用) pic.twitter.com/XVHk30kwwp
踏切の向こう側にいる都と同じ、顔の見えない場所へと潤平自身、バンドの誘いを交わして迷い込んでしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
では答えは何処にあるのかといえば、それは”ロージー”を伴奏に月下で見せるダンスが、何よりも雄弁に語っている。
そのしなやかさ、自由、眩さ。
扉の向こう側の、特別な輝き。
そこに飛び込むことこそが潤平の青春を導くわけだが、ガラスの向こう側には魔王がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
自分の思いをメチャクチャにかき乱し、その美しさで心を揺さぶり、逃げ出し否定したくても回り込んで、瞳の奥に感動を突き刺してくる存在。
それは、兵ちゃんではないのだ。
ヘラヘラ笑いながらやるバンドでもサッカーでもなく、選ばれない苦しさに、出来ない辛さに思い悩みながら必死で走る場所にしか、潤平の光はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
真実”男らしく”あることも、”自分らしく”あることも、今まで身を置いてきた薄暗い嘘をぶち壊した、生命の躍動する場所にこそあるのだ。
その中心に一人の少年と一人の少女がいて、激しく揺すぶられながら、その引力に潤平が惹かれている様子を、丁寧に描いた第二話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
恋とか性とか自意識とか劣等感とか、色んなものに縛られる潤平が重力から解き放たれる時、世界は絵画のように美しく、舞台のように強く弾む。
その軽快なしなやかさが、バレエという身体表現をアニメートさせる作画の力、演出の力でもって、説得力を込めて彫塑されていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
踊ることにしか、答えがない少年。
その迷いを追うと同時に、答えが何処にあるかも示されていて、見通しの良いエピソードだったと思います。
潤平少年青春の身悶えが、微笑ましくも切なく、体温を込めて書かれてる所が好きです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
女の子にどう触れたら良いかとか、自分がどんな存在なのかとか、誰もが悩み答えが出ない難問にブンブン振り回され、湧き上がる衝動にひた走る。
走っても良いのだと、己を開放していく。
やっぱ俺は、親父さんが死んじゃって自分一人、”男”として家族を守ろうとした幼い潤平に惹かれて、このお話好きになったから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
ズルかったり弱かったりも当たり前にするけど、その等身大の悩みや苦しさもひっくるめて、彼を応援したいんだ。
ぶっちゃけキモいと自分でも思うが、真実なのでしょうがない
出会ってしまった恋と美に背を向け、疼く心を封じた潤平の、明日はどっちか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
日常をかき乱す美しき魔王との学園生活、次週どう描くか大変楽しみです。
『感性開いてると、ある意味人生大変辛い』つう描写が個人的に身につまされて、とても面白いよなー…。
あ、今回お披露目となったEDはOPと同じく大変挑戦的で、この作品らしい刺激的なものでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
動きの連続として”バレエ”を描いたり、コラージュで魅せたり、向純平のセンスが暴れてて大変に良かったです。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第2話から引用) pic.twitter.com/8UzJDjM4Pd