リーマンズクラブを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
S/Jリーグ決勝戦、運命の第三試合。
眼を負傷した尊は、不屈の闘志で勝負にしがみつく。
琢磨の不遜を打ち砕くように、泥まみれの意地がコートに突き刺さる。
錯綜する思いの果て、最後の一打の先にあるものを掴み取って、バドリーマンの闘いは…まだまだ続くッ!
そんな感じの、バドリーマン奮戦記最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
一話ほぼ丸々試合にツッコみ、ミツホシ組の思いにも切り込みながら、白鳥くんがたどり着けた場所をしっかり描き切る、良い最終回だった。
試合運びが情念に寄り過ぎた感じを受けなくもないが、まぁ許容範囲内か。
飛ばすトコは飛ばす作風だしな。
やっぱ競技の作画がお話を下支えし、直接には語られない部分を雄弁に補助してた強みはあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
白鳥くん最大の強みである”眼”を奪われ、だからこそ絆と思いが試される良いピンチの中で、鋭い風切りの音も心地よく、汗と闘志が暴れる。
この必死さが、琢磨の驕りと退屈を暴きもする。
手負いの白鳥くんを背負って、ソワソワ落ち着かない健さんの描写が、立花くんの幻影を背負って思い切りが悪かった白鳥くんの過去(それを振りちぎって未来に挑む今)とオーバーラップする所とか、とても良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
心配される立場を越えて、地力で戦場に戻る頼もしさも含め。
主役ペアの最高到達点は第9話で既にマークしてる感じもあって、今回の奮起は新しい爆発というよりは、ここまでの総決算という感じが強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
ここまで積み上げてきた物語を思うとそれで正解であるし、むしろミツホシ組の心境をかき回す余裕が出て、良いバランスだったんじゃなかろうか。
ただ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
曲りなりとも”世界一”って看板を張っちゃった琢磨相手に、基本的には意地一つで噛みつき引きずり下ろすロジックがちょい詰めきれてない感じで、孤独こじらせた天才が舐めプしてる間に刺された…みたいな運びになっちゃった部分は、否めないかなぁ、とも思う。
もともとシビアな勝負のリアリズムよりも、ドラマのダイナミズムと熱い情念で試合結果が出るお話ではあるので、最後の戦いもそれで落とすのは、ある意味一貫性がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
ただもう少し心以外の冷たい理論で、点数の行き来が生まれたほうが、個人的な好みには合致する。
あくまで、個人的な好みではある。
先に述べた競技作画の鋭さはここら辺も補っていて、シャトルが迫りくる緩急の凄み、軽やかながら体重の乗ったステップがちゃんと描けてることで、ドラマが取りこぼしかけてる汗の熱さと冷たさを、巧くすくい取ってる感じもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
スポーツアニメなので、そこで補助できてればそれでいいか、とも思う
作画が生み出す迫力や存在感は、いわばアニメーションの肉体であり、そこに表現を預けて言葉にならないものを託す作りは、”バドミントン”を扱うアニメとしては正解なのかもな、と思うしね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
ずっと燻ってた出雲さんの感情も、最後の最後で燃えてくれたし。間に合った形…ッ!
琢磨の屈折した才能と思いは、兄貴以外が付け入るスキがないわけで、主役コンビではなく隼人が敗戦のラスボス拾いに行くのも、作中構築されたリアリズムに素直な展開だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
ぶっちゃけ白鳥くん、琢磨とポジティブな感情結ぶ接点ねぇからな…。
ただ不遜で孤独な絶対王者を、”ダブルス”の土俵に引っ張り込んで負かせた事が琢磨の小さな変化には確かに繋がってて、そういう熱量が主役の泥臭いプレイにあったことは、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
挫折に怯え、冷めた目をしたルーキーは新天地で、そういう存在に生まれ変わったのだ。
今まで勝負どころでタメて発現してた先読みの”眼”が、健さん巻き込んで常時発動してる描写とか、最終決戦が限界を超え新境地に導く特別な場所として、しっかり機能してる感じもあったし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
色んな意味で、主役コンビがたどり着いた場所をしっかり見せれてくれる、優れた最終戦であった。
その奮戦を背景に、社長と専務が企業スポーツの意味を問う場面は…正直評価が難しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
実業団を舞台にした以上、絶対に語らなければいけないまとめで、場面単体で見るとテーマを良くまとめた仕上がりではある。
だが受け役の専務に格がないのと、泥臭く苦しい部分にあんま踏み込まなかったのが少し…。
例えば専務の妨害を、いかにも漫画的コミカルさとリアリティで軽く描くのではなく、より粘ついた業と執念で描いていたら、話の本筋は大きくズレていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
そうすることで生まれる濁りと、いらないと判断し切り捨てたものに残る必須栄養素、どっちを取るか。
その難しい判断の果てに選ばれた、自作のテーマを総覧する場面であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
あれが作品が描写を積み上げ、嘘なく唯一絶対の答えとして選ばれたシーンなのだと言うには、このお話は大胆に色んなものを切り捨ててきたし、複数の要素が混ざり合わず、個別に浮いてる場所がやや多い…と感じる。
白鳥くんが健さんを選んで、唯一絶対の”ダブルス”と吠えるまでの、個人的で情動的な物語が主軸のお話であることは解るし、僕もそこには大きく、体重を置かせてもらっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
ただ個人的な好みを言えば、会社という組織形態、そこで行われるスポーツの実在感に、もう少し踏み込んで欲しかった。
恋よりも熱く愛よりも強い、ロマンスの類型を借りつつも恋愛ではない絆。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
それを主役二人描き切ろうという気迫を頼もしく感じつつ、それが別の要素…僕にとってはもう少し深く描いて欲しかったモノを押しのけてしまった感覚は、正直最後まで拭えなかった。
しかし主役二人の関係性を太い柱として彫り込み、ダブルス崩壊のトラウマから始まったこの物語で、後ろに”預ける”決断を白鳥くんが成し遂げた…健さんがさせる瞬間を描けたことは、やっぱり良かったな、とも思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
あれは、脇目も振らず男二人の思いを、ずっと追ったから描ける場面だ。
あの汗まみれの一撃は二人だけで終わらず、会場で見守ったすべての人、それで傲慢を打ち砕かれた対戦相手にも、波紋を広げていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
悩める一青年が新たな居場所を見つけ、導きを手に入れ一つごとを成し遂げ、人生にふらついた先輩を対等に支えて、世界を変えていける。
そういうシンプルな成長譚としてとても収まりの良い、気持ちの良いエンディングになったのを、強く喜んでいる自分もいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
やっぱ白鳥くんが面白くて、ずっと見ていたくなる主人公であったことが、自分の中でこのアニメを見続ける大きな足場であった。
つくづく、主役は大事だ。
エピローグに長めの尺を割いて、戦いおわっても続いていくバドリーマンの日々をちゃんと描いてくれたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
かつての自分に似た新人を、あの日と同じように助手席に乗せて、データだけに還元できない面白さに満ちた世界へと導いていく。
白鳥くんはこの12話を経て、健さんと同じ位置に立った。
それは大きめの年齢差があって、様々なライフステージを飲み込みながら競技と業務を続けていく”実業団”だからこその風景なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
新入りは先輩になって、託されたもの、掴み取ったものを頼りない新人に手渡しながら、変化を続けていく。
競技を引退しても業務も”バド”も続くし、一度手放した夢をもう一度掴む時もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
隣に立つ存在は変化しながら、変わらないものも確かにある。
そういう景色を描いてお話が終われたのは、やっぱ良いなと感じた。
そういう意味では、全話を使って”実業団”してたのかな…。
というわけで、リーマンズクラブ無事全話終了です。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
面白かったです。
飛ばす所は大胆にかっ飛ばす筆致にビビりつつも、スピーディーにテンポ良く彫り込まれる物語の口当たりは、濃厚な感情を宿して熱かったです。
バドとリーマン、とにかく書くモンが多いからなぁ。必要な筆だった…かな?
競技の描写が緩むことなく鋭くて、一球に乗っかる感情、譲れない思いがしっかりと作画されていたのは、スポーツアニメとして優れたポイントでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
実はあんま筋道立てて”バドミントン”を説明しない作品なんだが、そこを実際の描写で補って、巧く奥行きと余韻を作ってたかな、という感想。
僕自身巨大な感情が不定形のままグネグネうねる様子は好きで、なおかつそれを独自の爽やかさと思い切りをもって引きずりすぎない筆致は、喉越し良くて好きでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
それを主軸に据えるべく、(おそらくあえてで)切り捨てたものの値付けは…最後まで見終わっても、正直難しいね。
屈折青年白鳥くんが、熱血オジサン健さんに手を引かれ、社会人としてもスポーツマンとしても成長していく様子は、凄く良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
前半の山場として、ネットリ時間を使って立花くんとの因縁を掘り込んだのが、トラウマを越えて先に進むドラマを強く熱して、後半に巧く繋がってた。
題材として選び取った”バド”と”リーマン”を100%描き抜けたかは、正直首ひねるポイントもあり、納得して飲み込める部分もあり…というまだら模様。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
良い所は本当に良くて、竹田さんの競技人生始末とその先の書き方とか、かなり好きな筆致ですね。
佐伯兄弟の書き方も、霧島兄弟に繋がっててグッド。
Cパートの短い時間を巧く使って、その先に転がる展開の予兆を巧く作ったり、書ききれなかったものの補足を入れたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
大人数を捌くのに大事な細かい技芸が冴えてたのは、この作品の良いところだと思います。
こういう端っこの処理が巧いと、俄然話し飲みやすくなんだなー、という再発見があった。
というわけで全12話、楽しく見終えることの出来るアニメでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月18日
バドミントンという競技に魅入られ、人生の様々なステージを共に歩き、生きていく姿が様々見れたのは、とても面白かった。
お疲れ様でした、ありがとう。
良いアニメだったと思います。