であいもん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
土用。
夏も盛りを越え秋の気配も聞こえる…とは言えぬ、油で煮られるような盆地の夏。
和は唐突なお得意さんからの肘鉄を食らい、謎めいた美女の影を追う事になる。
泳げぬプールに浮かぶ雲。
ぷかぷか迷って、夏の日差しに見えるもの。
有りや、無しや…。
そんな感じの夏のスケッチ、初のAB2エピソードなであいもん第4話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
饅頭屋の跡取り、咲季くんの意外な側面と遭遇したり、フッてフラレてと思い込みつつ、不思議な距離感と温度で繋がる和と佳乃子、それをおずおずと見つめる一果が、やらわかな筆致で描かれていた。
刺すような真夏の日差しもソフトフォーカスに、喧騒もどこか遠く一枚霞をかけて描く、穏やかな上品さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
このお話らしい口当たりの、柔らかなエピソード群だった。
京都の夏のやらしい所を巧く遠ざけて、楽土の景色として角を削ってお出しし続けてるの、良い演出だなぁと思う。
咲季くんを描く中で”饅頭屋”と”和菓子屋”を分けているの、どっしりした取材力が透けてるなぁ、などと思うところであるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
重責から逃避するための女装癖が、岡惚れ気質のお茶屋のボンに思わぬ延焼を引き起こし、和の機転で収まる所に収まるのが、Aパート”風青し”のあらすじ。
暑い盛りだからこそ、青楓の間を抜ける爽やかな山風、その葉が散る清流を菓子に写し取った味わいとともに、上手く幻を消す手紙を届けて丸くまとめる所が、和の風流人たる所以か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
相手も茶道の先生、楓に込めた思いは理解ってくれようという信頼が、押し付けがましくなく漂う。
まぁ他人にカムアウト出来ない秘事を、誰に見られるとも分からん携帯の待受にしてた咲季くんの危うさが、余計な厄介を生んだ…とも言えるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
しかしまぁ、そんな風にどっかで息をつかないと潰れてしまう重たさが、”良く出来た跡取り”にはずっしりのしかかっていたのだろう。
ここら辺はさんざんボンクラしてきた和のテキトーさ、それが上手くハマった時の滑らかな解決力と面白い対比であり、あまりに良く出来た子供である一果と共鳴するところでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
身近な人が異性装でストレス解消してると知って、ヒくどころか助け舟。
つくづく、一果は良う出来とる。
つまり抱え込んだものも、咲季くん同様たっぷりあるはずで、さてその捨てどころに和がなってやれるか…つう話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
今回は一果に結構グイグイ前のめり、親父だか兄さんだか難しい距離感ながら、自分なり繋がろうとしてる和が良く見れて、大変良かった。
後半のプールもそんな距離感を穏やかに描く…と同時に、和と佳乃子、和と音楽なんかの間合いも上手く切り取ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
断ち切るのも手繰り寄せるのもなんか違くて、でも確かに繋がっている縁の現状が、暑いはずなのにどこか涼やかな描線を通じて、良く伝わってきた。
和も佳乃子も、どっちがフッてフラれたか、判然としない曖昧な関係のまま一度離れ、佳乃子が運命に踏み込む形でまた繋がった、不思議な間合いにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
体重預けたもんか、距離を開けたもんか。
嫌いじゃないけど抱きしめられない、この距離感は一果も同じである。
このあやふやな感触それ自体を大事に、意味があるものとして作品に刻んでおきたいから、今回Bパートに話が立ったかな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
不鮮明で、あやふやで、滋味に満ちて、不可思議な。
人と人の繋がりは、それぞれ個別の色と味があり面白い。
まるで和菓子のように、と形容するのが、テーマ的には良いか。
この不思議な間合いは、一果にとっては父であり、和にとっては先輩となる巴とも重なっていて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
夏の逃げ水のように、思い出の中、あるいは遠い演奏にその影を遺して、しかし姿は見せない存在。
何かを言ってやりたいけど、何を言ったものか、形が掴めぬ相手。
果たしてその影を踏む時は来るのか、目にはさやかに見えねども、気配だけはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
それが、一果達の現状であろう。
なんとも煮え切らない感じだが、不思議と不快ではなく、むしろ奥行きのある人生の色が宿ってて、とても面白かった。
弦弄るよりも、あんこ包む仕草を気づくとやってる。
菓子職人として、知らぬうち本腰が入ってきた和と、そんな彼の本気を見つめる佳乃子の表情がよく書けていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
ゆらりと陽炎に惑いながら、確かに何かを掴んだようで、しかしするりと逃げる。
春の出会いから時が転がって、それが第四話の現状である。
一果の頑なさも、和のテキトーと本気が刺さったり刺さらなかったりを、ゆったりテンポ良く描く回となりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
この力まない呼吸で話が流れていく気持ちよさは、このアニメ独特の強みだなー、と思います。
掴みどころのない曖昧にこそ、 何かを掴むための本当が確かにあって、それが未来を変えていく
日々を穏やかに過ごしながらも、確かに前向きに人間を受け止めていく作風が、よく薫ったエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月29日
そんな人生に、和菓子はどんな風に寄り添うのか。
過剰に出しゃばりすぎず、装飾で終わることもない。
主題の扱いも、大変いい感じと思います。
次回も楽しみですね。