プロセカイベスト”つなぐPainful Hope”を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
新衣装も最高の仕上がり、次は新曲だッ!と意気上がるモモジャンに、繋がる新たな縁と災厄。
痛みを前にうずくまる者に、”アイドル”は一体何が出来るのか。
桐谷遥の新たな戦いが始まる! …というお話。
順調に新たなサクセスストーリーを歩んでいるモモジャンが、”作曲”という要素をクリアする話…に見えて、遙の過去と向き合い、”アイドル”の光と影に切り込む、結構大事なエピソードだと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
『バズるってことの影の側面を、お前らに見せてやる…ッ!』ていうお話でもある。
モモジャンはアイドルのてっぺんから一回地べたに落っこち、人生の泥をたらふく飲んだ上で夢に向かって立ち上がった、タフな女達の集団である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
挫折と痛みを知っているだけに、ただノンキに希望を歌う偶像とは、ちょっと違った陰影がある。
いつでも明るく、元気にハッピー。
そんなんばっかりが人生じゃないのを重々承知で、それだけが絶望への処方箋になりうることを知っているので、誰かの輝きであり続けることを選んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
そんなタフな在り方でも、飲み込めない難題が人生には満ちていて、なお、それでも…。
そんな泥まみれの行ったり来たりを、ずっと進んでいる。
今回描かれる人たちは、多くの視線に晒されることで生まれる影に初めて飲まれた長谷川さんとか、飲まれた上で新たな舞台に立った真依とか、どん底を見た上で同じ境遇の存在にどう希望を届けたものか苦しむ遙とか、皆絶望の暗い影に飲まれた上で、それに飲まれず立ち上がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
軽く聞いて『モモジャンらしい! 歌いたい!』と思えた長谷川さんの曲が、希望の押しつけで苦しみの源泉になってしまう人も世界にはいて、それでもなお、自分の想いを載せて何かを生み出す意味はあるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
最近のプロセカ全体の傾向だが、クリエイティブの深い所に筆が入ってきた印象がある。
一つの答えとしては『そういうヤツはニーゴ聞いてろ!』であり、どうやっても万能の処方箋なんて出せないからこそ、ボカロ文化もプロセカのユニットも、色んなジャンルに分かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
闇の中の微かな光も、影をかき消す眩い輝きも、どちらも必要とする人がいて、毒になる人もいる。
生きる苦しみをたっぷり味わった上で、”アイドル”を求める自分をかき消せないと思い知ったから、モモジャンはアイドルを続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
もっともっと、高く眩しい場所へ。
薄暗い重力の存在を知りつつ、それでもそこから離れたいと願う人を導けるように、彼女たちは今日も希望を歌う。
しかしその舞台裏はいつでも血みどろであり、彼女たちが笑っているようにみえるのは、笑うように努力し続ける結果だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
似たような経験をしても、助け舟を出せるとは限らないし、届かない無力に苦しむことも沢山ある。
一つの物語が完成した後も、難問山積のステージは続いていく。
ここで助けになるのはいつでも、一人にならないことである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
誰かがいること。
孤独ではない自分を思い出すこと。
差し出された手を、強く取って立ち上がること。
遙はそうすることで幸運にも(これを幸運でしか無いと自覚している所に、桐谷遥の人徳があるが)、深い闇から抜け出すことが出来た。
モモリンちゃんとか真依とか、色んな人の絶望への処方箋を聞きながら、遙は一人間として長谷川さんに向き合い、一人間としての彼女に隣り合うと決める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
出逢った奇跡、生まれる歌、繋がる想い。
そのどれもが、誰に傷つけられてもけして、嘘ではないと信じるから。
そんな風に信じられる自分を、二度手放したくはないから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
希望を押し付けがましく届ける長谷川さんの曲想は”アイドル”的であり、彼女へのリアクションとそこから生まれる苦悩は、凄くモモジャン的だと思う。
自分が信じる希望が、届かない人が必ずいる事実。
それでも歌わざるをえない業と矛盾に、どういう答えを出すか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
これは長谷川さん個人、彼女に向き合った遙個人の問題と解答であると同時に、モモジャンというユニット、”アイドル”というジャンルにも、広く繋がる描写だと感じた。
そんな事は知ってるし、理解ってる。
痛いし辛いし、答えは出ない。
それでも、歌うと決めたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
キラキラと眩く、また業の深い解答であるけども、遙はそれを硬直した絶対の信条とはせず、常に過去の痛みを蘇らせ、自分を引き上げてくれた奇跡を思い出し、今目を向けるものに悩みながら、日々新たな輝きに向かって、自分と仲間を変化させ続ける。
アイディアを出し、実務をこなし、真摯なアドバイスを差し出し、意見に耳を傾ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
彼女が高校生離れした才覚でモモジャンを切り盛りするのは、その能力を以てもっともっと、自分たちらしい正しさで進むことを、諦めたくないからだ。
なので、今回も諦めない。功徳なことである。
こんだけ魂がデカい存在に全身全霊で向き合われたら、そらー長谷川さんも何人目かの『桐谷遥一生神推し』になっちゃうわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
これを職業アイドルとしての計算ではなく、桐谷遥一個人として引き受けられる所に、凄みと強さがあるなぁ、と思う。
遙のカリスマの書き方は、やっぱ好きだなぁ。
こんだけ剥き出しの才を、一度絶望に腐らせかけていた事実を思うと、やっぱみのりってとんでもねぇ女なんだな、と再度思ったりもするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
『みんなはアイドルが元気にする。じゃあアイドルは、誰が元気にしたら良いの?』つう問いかけに、モモジャンの物語はよく答えてくれる。
みんなで、で良いのだ。
それは顔の見えない数多のファンであるし、そこから縁を手繰って仕事仲間になった人たちであるし、友達でありライバルでもあるユニットメンバーでもあり、セカイで見守ってくれる電子の妖精たちでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
いろんな”みんな”がいていいし、助ける役は交代制でもいい。
絶望への処方箋として、完全にノー計算で”こちょこちょ”言い出すモモミクさんのパーフェクトナチュラルパワーに、思わず白目を剥いたが。ミク…おそろしい子!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
やっぱセカイの住人て、ある種のイデアっていうか観念のモジュール的な側面あるよなー。
だからこそ、けして変わらず揺るがない。
遙がASURANで現実に揉まれ、一度見失ったものがみのりの中にあって、それがモモミクさんにずっと継承されてて…と考えると、時を超え人を超え、伝わるものは確かにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
苦しかった過去の記憶が、今回遙の中で新たな希望とつながったように、逃れようのない切なさを輝きに変えていくことも出来る…
かもしれない、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
ここ最近、過去と向き合う物語が多めのプロセカくんは、幾度目か描いている気がする。
そういう風に辛かった体験を受け止める足腰が、ユニット内外での交流を通じて子供らに生まれてきたタイミング…って話でもあるか。
あと、外に対して広がっていける”機”でもある。
今回のエピソードでうまいなぁ、と思うのは、楽曲がバズったことが長谷川さんに苦しみを生みつつ、今後長谷川さんに曲を作ってもらうモモジャンが成功していく足場を、説得力で固める描写にもなっていることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
苦悩を呼び込むほどにウケちゃった人が曲作るなら、ドカンとウケてもしょうがない。
こういうロジックを地道に編んであるの、上手い所だなぁと感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
結構話が積み重なってきて、モモジャンも修行時代から飛躍する頃合い。
その時、話の都合が悪目立ちするより、こうして注目の悪しき側面を書いた上でブースターにしたほうが喰いやすいもんなぁ…上手い運びだ。
こういうお話が積み上がったからこそ変わっていく景色と、そこで見えるものの解像度をどう切り取るかはプロセカ、とても気にして話し転がしてると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
それぞれのユニットが楽曲に向き合う、クリエイティビティの違いとか…あるいはそれぞれの”音楽”がどんな風に、どんな相手に届いているのかとか。
ここら辺を個別のエピソードごと、キャラクターとユニットごとに色彩を変えて描き、それを統合して新しい全体像を点描してるのは、複数ユニットが同時並列に物語を進めていく、アプリというストーリメディアの特性を生かした語り口だと思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
最後に個人的な感慨を記しておくと、僕もこういして否応なく色んな人の目に触れる文言を書いて、色々言われてショックだったり、傷ついたりもする。毒マショマロ届いたりね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
ちょうどそういうタイミングでこのお話に行きあって、大げさながら救われた。ありがたいことだ。
幸福やら喜びやらが毒にしかならない人の気持ちに、桃井姉貴が理解を示したり、モモジャンが救いきれないものを見据えた上で切り捨てないのは、やっぱいい視線だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
そういうモノは、確かにあるのだ。
その上で何を支えに、何処に進んでいくか。
譲れないものは何なのか。
時に虚しさと苦しみを抱えつつ、それでも進んでいく姿は眩い希望と、微かな翳りに満ちて綺麗だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月2日
強力な楽曲提供者と手を携え、絶望の引力を引きちぎりながら、少女たちはもっともっと、高く輝いていく。
そんなミライを、もっと見ていたくなるエピソードでした。とても良かったです。