であいもん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
葉月も半ば、盆が迫る京都を三人の女が歩く。
一人の男を思いつつ、日々を楽しみ互いを思いやる。
そんな菩薩の微笑みの奥に、隠した棘が静かに光る。
一果が垣間見た大人の世界は、優しくて少し怖い鬼の住処か。
残暑にゆったり漂う時間が思い出を連れてきて、静かに流れていった
そんな感じの京都はんなり菓子紀行、今日も2エピソードを1話に納めた進行である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
Aパートは和に縁の深い佳乃子と美弦に挟まれ、気の利く一果が胃の痛い思いをするお話。
賢い子供の考え過ぎが、ゆったり夏の京都を回る穏やかな時間が溶けていく…と思いきや、鬼はそこにいた! つうオチが良い。
前半は和不在で、クニャクニャとらえどころがないのに不思議と人を引き付ける主役の輪郭を、恋色鉛筆でなぞっていくエピソードでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
なんであの人、好きになるのか。
その中心に直接触れないまま、粘っこく渦を巻く感情がジリジリ火花を散らして、独特の味わいがあった。
一果も焼け木杭に手を突っ込まんで、子供らしくぼんやりしとれば良いものを、元々の視力が良いので色々見えてしまい、災難でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
この気遣いが彼女を”いい子”にしとるわけだが、自分にぶつかりかねないものがよく見える分、その立ち居振る舞いは、否応なく窮屈になっていく。
今回はその視線を、友情と牽制が同居する女と女の不思議な距離感を図る、メジャーとして活用した回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
一緒に夏の京都を回り、和菓子で涼を取り神社を巡ってはしゃぐ。
そこで生まれる気持ちは表面を飾る嘘ってわけではなく、しかし恋を譲る気もサラサラない。
人生、そういう同居はままある。
なかなかスパッと割り切れない難しさを、人生の面白さとテキトーに受け取るには、一果はまだまだ子供である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
つうか、本来そういうのが見えてはいけない年だしな…。
実際心の奥底に愛憎の泥がある二人の、衝突を危惧してビクビクしていたのは、完全な取越苦労でもないわけだ。
ここら辺の複雑な事情を、極楽とんぼな主人公がぼんやり放置しているから、一果がいらん気をもむ…て話でもあるが、そもそも今の和に恋のチャンネルが開いてるのか、分からんしね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
一度は終わったはずの恋と、恋というには青すぎる思い。
どっちも腰入れて受け取るには、ちと熟成が足りない。
しかし女達の中には確かに愛の修羅が育ってきていて、しかし朗らかな時間をぶち壊しに暴れるほど、手綱が握れてないわけでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
そんな現状が、いい雰囲気の京都巡りに乗っかって届くエピソードとなった。
こういうスケッチがあると、作中の空気をしっかり吸えて有り難い。
後半は和主観の物語であり、盆に合わせた祖母の帰郷でビシビシしごかれたり、家族の縁をしみじみ感じたりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
仏壇に手を合わせる姿、受け継いだ味を確かめてもらう時の緊張。
太平楽に、話の周辺を浮遊して過ごす時とはちと違う風景が、巧く切り出されていく。
こうして和主役で話が転がってみると、前半で女達を捉えていた恋の網とは違うものが、和を包んでいるのが良く分かる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
彼の視界の中心にあるのはあくまで家族であり、そこには既に高いした祖父も、血縁にない一果も含まれている。
出戻りで奮戦している、和菓子という家業もそうだろう。
家族であること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
家族になること。
祖霊も戻る大文字焼きを照明にして、とらえどころのない和が何を大事に今を生きているかが、じんわり見えてくるエピソードとなった。
正直主役の人格が掴みにくかったので、これは有り難い。
これは普段”緑松”にはいない、祖母というイレギュラーが良い化学変化を生んでくれた結果だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
親父とだと”いつものやり取り”になってしまう一喝も、普段いない人が振るうとよく刺さる。
至らぬなりに誠心誠意、和菓子屋になろうとしてる努力もしっかり見えた。
Aパートで不在の和の心境を『一体何考えてんだろうなぁ…』と想像させておいて、Bパートで盆の風景をスケッチしつつ答えを刻んでいくのは、なかなか良い運びだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
こういう感じでコール&レスポンスが成立するのも、1話を2つに分割して話を編む形式ゆえ…かもしれない。
ある意味不意打ちに騙されてへらへらと、戻ってきた我が家。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
そこに積み重なっているものを、和なり重く受け止めて日々を歩いていると描くのに、盆という頃合いはとても良かったのだろう。
その重たさに囚われすぎずに、我らが主役はあくまで軽妙に、人生を歩く。
そんな足取りこそが、周りが見えすぎる一果の荷物を受け取り、ちったぁ楽にしてあげれるのかな…という納得が、しみじみ湧き上がるお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
強くメッセージを揮毫するわけではないけど、淡い口当たりを楽しんでいるうちに、じんわりと作品の滋味が解ってくる。
そういう作りが、上品で良かった。
こういう土台を整えた上で、次回は秋の運動会を舞台に、一果の実母が一波乱持ってきそうですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月4日
気楽で淡麗な日常スケッチで培ったものが問われる、重くて大きなエピソード。
だからこそ描けるものに期待しつつ、次回を待ちたいと思います。
楽しみですね。