まちカドまぞく 2丁目を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
記憶の深淵に飲まれたシャミ子を助けるべく、桃は一時的な眷属化を決意する。
一方シャミ子はさくらの残留思念と出会い、一つの真実を告げられる。
誰かの大事なものを奪って、繋がれてきたこの生命。
果たすべき使命は、どんな道の先にあるのか!?
そんな感じのまちカドまぞく完ッ! 友情よ永遠にッ!! な、二期第6話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
ここまで話を牽引してきた『桜の行方を知る』『桃の笑顔を見る』というクエストが叶い、新たな使命を胸に刻んで少女たちが進み出す、とても良い話だった。
何かを成し遂げれば何かを新たに背負い、その重責に苛まれる。
負荷が筋肉を育てるように、重すぎる使命は少女たちをもっと強く、もっと優しくしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
それで潰れないためには誰かの助けがとても大事で、それは思い出の底と未来の中にこそある。
ほのぼのギャグ一色に見えて、人間のややこしさが詰まった世界の物語は、ここを超えてさらに続くのだ。
全体的に掌の芝居が冴えるエピソードで、譲れぬ決意、包み込むような愛おしさ、言い出せないもどかしさなど、人生の色んな顔が手と指に宿っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
こういうリリカルな表現は、やっぱ岡本監督の本領発揮だなぁ、という感じがする。
(画像は"まちカドまぞく 2丁目"第6話から引用) pic.twitter.com/onWDuRDJyL
書き文字が暴れしっぽが感情を表し、あいも変わらずワイワイ賑やかな多魔市であるけども、そういうコメディテイストに負けない…というか、笑いに満ちた日常があればこその真摯な思いが、確かに宿る街でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
だからこそ桜は守護の使命をシャミ子に託し、その重さに夢魔は悩むのだ。
というわけで、桜のコアがシャミ子に埋め込まれ、壊れかけの魂を支えているという事実が明らかになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
幼い頃からの病弱が設定で終わらず、むしろキャラクターとドラマの根幹に食い込んで、『強くなること』の意味を問い続けているのは、面白い作りである。
シャミ子は病魔にされるがままの幼い子供から、自分を育んでくれた優しさに報いる強い存在へと変わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
自分の意志で未来を選び、困難と戦って勝つことが出来る自分を、シャミ子はずっと夢見ている。
しかしその身体は桃ほどインチキな強さがなく、鍛えても無敵にはなってくれない。
それでもなお強くなろうと鍛錬してきたのは、桃の笑顔をもう一度見るためであり、幸せを分け与えれる自分に近づいていくためだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
シャミ子が強さと力を求めるのは、いつでもより優しく、正しく在るためだ。
そんな主役の倫理的靭やかさが、作品に爽やかな風を送り込み、展開を支えてもいる。
これに絆されて師匠兼親友になった桃は、リスクを承知で半闇落ちし、夢というシャミ子の領分まで降りて親友を救う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
そうしなければ、二度と顔を見れない気がしたからだ。
この報恩の発想は、シャミ子が強くなりたい根っこと同じである。
意気に感じ義に報いる。魔法少女は心意気である。
ダークな意味合いが濃い”闇落ち”であるが、主役が魔の種族である以上それは、通り一遍の堕落と=ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
それはシャミ子的なものに染まり、力だけではなく生き方が彼女に近づいていくことを意味する。
親友、伴侶、相棒。
色んな意味合いを飲み込んでる、シャミ子と桃だけの特別な関係性。
それがこの作品での”闇落ち”であり”眷属”なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
シャミ子は悪い魔族の責務として、一種トロフィー的に桃を堕落させることを最初狙っていたが、桃色魔法少女に刻まれた傷、己との因縁を知る内、そういう題目がキレイに吹っ飛んでいく。
桃が大事で、苦しそうなら助けたいから。
それは世間一般では”救済”と呼ばれる行為で、お互いに刻まれた弱さとか苦しさの刻印を少しでも和らげ、運命を前に無力ではない自分を確認するべく、二人はお互いに近しくなっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
その相互作用が、心の奥底に眠った真実を暴き、シャミ子を現世に戻していく。
桃はたまさくらちゃんに狂っているが、そのモデルは姉のコアである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
それがシャミ子の中で魂を支え、切り離せないほど一体化していることを考えると、クールな表情の奥で彼女が何を狂うほどに求めているか、見える気もする。
それは奪われ失われ、しかし確かにそこにある。
一般的には死と=であろう肉体の消滅は、魔法少女には終わりを意味しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
死を超えて託されるもの、忘却の果てに思い出されるものは確かにあって、シャミ子と桃は共に進んでいくことで、儚く消えていくはずのものを、永遠に出来るかもしれない。
それは、シャミ子が誠実に認識しているように、難しい
自分の全霊を使い、人生を賭けて何かを成し遂げる重さを、シャミ子は魂で理解している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
不帰の道を覚悟で記憶の闇に沈んだ桃も、決意を込めて友を魔法の矢で撃ったミカンも、生きることは気軽なコメディではないと考え、行動している。
それは重たくシリアスで、でも可能なら楽しく在って欲しい舞台だ
例えばシャミ子が闇から帰らなければ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
あるいはミカンの矢が、桃の命を貫いていたら。
楽しいまぞくの明るい話は壊れていただろうけど、そういう事にはならない。
しかしそれは”日常系”というジャンルによって無条件に許された法則ではなく、死と終わりを覚悟しつつ踏み込む強さで掴み取られる。
そういう重たさから、実験マニアの小倉だけ浮いてる感じもあるが…アイツも『まともな人間』では無いだろうからなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
グシオンは召喚者に過去現在未来の知識を授ける魔神なので、そういう側面が強調されてマッド・ソーサラーとして描かれてる感じか。
まぁ、とにもかくにも協力ありがとう…。
プレハブがぶっ潰れたりしつつ、一つの真実を掴んで日常に戻ってきたシャミ子。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
自分が生きていること自体が、桃と桜を再開させるという使命の妨げになる。
シャミ子の命は、誰かの幸せを侵しながら成立している。
(画像は"まちカドまぞく 2丁目"第6話から引用) pic.twitter.com/dirMPHuUAH
その申し訳無さに視線を伏せつつ、姉の居場所を知った桃は、街を守るという大きな使命から自分を解き放つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
指で作った小さなフレームの中の、小さな幸せだけを守れる強さを、己の意志で求めていく。
それは家族と友人の幸せを、第一に考えるシャミ子イズムに、強く影響された決断だ。
そして姉は大事なシャミ子の中で確かに生きていて、その魂が独力でも砕けぬほど強くなったら…”大人”になれたら、再び出会うことも出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
シャミ子が己のトラウマに潜る行為は、桃の笑顔を縛っていた不鮮明な過去を、より良い方向へと暴いてもいく。
色んな人の助けを借りて真実への道を作り、勇気を込めて辛さと戦ったことは、シャミ子が己に定めた使命を果たさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
桃にもう一度笑ってもらう。
桃の笑顔は、本当に大切なものが何か、泥の中見失ってた少女が見つけ直せるよう、その親友が必死にあがいた勲章なのだ。
桃が『これは私の使命じゃない』と、優しく遠ざけた(が、フレームの中には相変わらず街が写っている)大きなモノは、桜からの遺言を通じてシャミ子に託される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
そこに生きる存在の悲喜全てが詰まった、日常という器。
これを守ることが、桃の笑顔を取り戻したシャミ子の、新しい使命になる。
私的で家族的な幸福を大事にしてきたシャミ子と触れ合う内、失われた姉の居場所を捕まえ、何より大事な”眷属”に助けられて、笑顔を取り戻した桃。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
弱い存在でありながら己の真実を必死に探り、託されたものに報いる自分であるために、”街”という大きなモノに向き合うことになったシャミ子。
広くて大きなものと、狭く暖かなものは二人を接点に交換され、お互い無くてはならないモノとして確認されていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
こうして物語が大きく動く起点が、”夢と記憶”という最も個人的で狭い場所にあるのは、非常に的確な物語展開だと言える。
シャミ子は桃的な広い強さを、桃はシャミ子的な狭い優しさを…
お互いに受け取ることで、より新しく強く優しい自分になっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
それはとても普遍的な成長の物語であり、友情の物語であり、生きるということを精一杯生きているお話だと、僕は思う。
時は過ぎて、あの時の桜は散ったが、桃色の空は変わらず美しい。
お互いに欠けているものを補い、もしくは新たに掴み取りながら、少女たちの青春は続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
そういうエピソードでした。
大変良かったです。
狭い”私”の幸せと、広い”公”の幸福。
街を守ることと、笑顔で居続けること。
それは確かに繋がっていて、だから片方を追うと、もう一方の背中が必ず見える。
このお話がばんだ荘でも学校でもなく”多魔市”を舞台にしている意味も、じんわり見えてくる話だったかと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
シャミ子達の想いに強くクローズアップして、嘘なく個人の物語を描くことが、即ちかなり大きなモノの輪郭を切り取る行為にもなってるのは、物語としてシンプルに強いわな。
桃とシャミ子の間柄を、友情とも恋とも因縁とも断言せず、”眷属”という作品独自、この二人特有の概念に納めてるところが、凄く好きなんよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
アリモノの関係にまとめてしまったら、どうしても切り落とされてしまうだろう名もなき震えにこそ、繊細な妙味があると思うので…。
新たな使命と決意を込めて、もっと強く優しくなる道を探していく少女たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月13日
次回は息抜き夏休み回ということで、そんなシャミ子達の可愛く面白い姿が、たくさん見れることでしょう。
それを楽しみに待ちつつ、今回成し遂げた一つの区切りを、幸せに反芻する。
つくづく、ありがたいことである。