ダンス・ダンス・ダンスールを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
実力を証明し、サマースクールにも馴染み始めた潤平と流鶯。
正反対のはずの夏姫とのパ・ドゥ・ドゥは、潤平に新しい世界を見せる。
夏風に浮かれるように、都と重ねた唇。
少年たちの琴線は、誰の指に手繰られているのか?
そんな感じのサマースクール恋愛編ッ! ロマンティックが加速するダンスール第8話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
踊れる喜びに浮かれ、周囲が見れていなかった自分を顧みる視線が育ってきた夏の潤平。
海咲くんのドス黒い誘導もあって、”異性”という他者を意識し、翻弄され、溺れる日々の開始である。
まぁ元々都へはバチバチに初恋だったわけで、咲くべき花が開いただけ…とも言えるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
恋した相手は純粋で幼く脆いライバルが、外界で立つための杖でもあるので、ここの複雑な事情がどう転がっていくか。
依存、陶酔、策略、執着…。
様々な色の糸で、人間関係が編まれていく。
誰かを好きになって、でもそれが誰かを傷つけて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
潤平が初めて経験する、個人的で普遍的な恋の難しさは、ダンサーになるべく生まれてきた存在にどんな傷を刻み、踊りを豊かにするのか。
人間と表現がどう繋がっているかを彫り込む、序奏が色彩豊かに舞うエピソードである。
潤平と女の子達の関係が目立つ回だが、その後景には流鶯との複雑な関係がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
虐待まがいの指導から、腕を折りたたんで自分を守っていた幼い日々。
自室、ベッドの上の流鶯はそこから、一歩も出ていない。出たくても出れない。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第8話から引用) pic.twitter.com/ER5Nyzkck7
その手を引いて”生川”に連れて行ってくれるのは、あくまで潤平である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
イラつく山猿と出会ったから、彼は祖母と母の思い出が首を締め付ける場所から踏み出し、新しい友達を作ったり、一緒に綺麗な夜を見上げたり、バカ盛りラーメン食べたりするようになった。
そんな流鶯がどんだけ潤平を想っているかは、険が取れた純粋な視線に良く表れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
一般的な発育過程を剥奪された流鶯は、中学生とは思えぬほど純粋で幼く、脆い。
そのイノセンスを守り、より良く発露させれるのは、彼の姫であり騎士でもある都ではない…かもしれない。
今回燃え始める恋の鞘当ては、関わる者たちの勘定が複雑に絡んで、シンプルな盗った・盗られたで終わらないからややこしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
潤平は流鶯に世界を変えられてしまったし、流鶯もまた、潤平の掌をたぐることで、自分を育みつつある。
お互い好きで、だからこそ譲れないライバルでもある。
一筋縄ではいかない感情は、桜色の唇と眩い汗で、さらに揺れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
祖母としての機能を果たしてくれなかった祖母、母であることを捨てて去っていった母。
流鶯が都の輪郭を際立たせる額縁足りうる裏では、縋るように全体重を預ける関係性が軋む
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第8話から引用) pic.twitter.com/KECiNAmC9V
それが信頼なのか、依存なのか、愛情なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
女の子がただ女の子である不思議に、めっきり翻弄されている潤平には、未だ分からぬ領域である。
しかしダンサーとして覚醒しつつある”眼”は、流鶯のエスコートの凄み、かつての自分と違いをしっかり認識してしまう。
ダンスに対して真摯であること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
それが段違いの表現として、確かに形をなすこと。
潤平はその眩しさに目を閉じれないし、それに刺激されて動き出す心を止められない。
自分が大好きなものに、自分以上に魂を捧げ、美しい表現へと己を高めている存在は、愛するに値する。
そういう価値観が、自覚されないにしても潤平を突き動かしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
これは流鶯も似たりよったりだが、”男らしく”家族を守ってきた(守られてきた)潤平は、ダンスをしない存在のありがたさも身に染みている。
ダンス以外を剥奪され、踊れない自分にも他人にも価値を見いだせない流鶯とは、そこが違う。
人間として”まとも”に見えるのは潤平だが、それがダンサーとして幸福なのか不幸なのか、有利なのか不利なのかは、一般的な判断を大きくはみ出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
苛烈でストイックな夏姫のひたむきさも、彼女が”生川”であることと無縁ではないだろう。
その名を背負うなら、一番であること以外は許されない。
『プリマは無理だ』と、不器用に叩きつけてしまう千鶴さんと、傷つきつつも愛に微笑む都にも、親子の葛藤が漂っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
それぞれの家、それぞれの愛。
巣立ちの頃を迎え、恋に浮かれる子供たちを描きながら、その後景には”家庭”なる不可思議がうっすら滲む。
ビンタ一閃、最悪の出会いをした潤平と夏姫だが、潤平は自分の額縁の中に、少女の努力を入れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
携帯電話のフレーム、あるいは閉まる扉。
夏姫が潤平の世界に入っていく窓を、一人称で描く筆が鮮明である。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第8話から引用) pic.twitter.com/IZsAYO5c5N
四角形に縁取られた、潤平の主観。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
恋に友情に、そしてバレエに。
感受性豊かに揺れる少年が、自分の目で見て心で受け取ったものは、これまでも大事に積み重ねられてきた。
今回も潤平が何を見ているか、何に誘惑されているかは、大事な主題として扱われている。
一つは都の唇であり、もう一つは夏姫の汗だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
下手くそな自分を殺したくなるほどの、圧倒的な情熱と努力。
それを目の当たりにしてしまえば、潤平はエゴを引っ込め、花を際立たせる額縁に徹する事を躊躇わない。
ダンスに本気なやつはすぐ分かるし、尊敬も出来るからだ。
潤平が夏姫を心に受け入れる時、顔を出す一人称のフレーム。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
それは『俺の気持ちを表現したい!』という、洋舞祭当時の到達点から、潤平の感性が動いてきていることを示す。
流鶯が都をエスコートする時、立ち現れる美。
自分勝手に踊ることを、恥ずかしく思うようになった認識の変化。
ツンツン小学生の勝ち気の裏に何が在るかを、潤平が理解していくように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
夏姫が”無難”となじる、基礎を大事にした踊りに潤平が何を込めているかを、夏姫も解っていく。
それは都と過ごしてきた、甘く優しい距離感ではない。
言い合い、手も出て、でもお互いが良く分かる。
そんなコミュニケーションが見せる地平は、輝きに満ちて眩しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
心が重なり、同じ景色を共に飛ぶ。
最初想定していた『自分はここまで飛べる』は大幅に更新され、小学六年生が受け止めるには大きすぎるトキメキが、心臓を叩く。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第8話から引用) pic.twitter.com/RvVQdD3Ovw
洋舞祭でそうであったように、バレエはかくも人の心を解放し、溶け合わせ、眩く色付ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
エロティックで根源的な情感の奔流を、どう扱ったものか分からず、夏姫はとりあえず、ビンタ
で逃げる。
この当惑を噛み締め咀嚼し、舞踏表現に混ぜ合わせた時、二人はどんなダンサーになるのか。
それはまだまだ続く、長い長い物語である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
誰かを好きになったり、心が重なったりする喜びも苦しさは、全ての人に開かれた普遍的な体験だ。
だがそれを己の身体で、磨き上げられた技術で表現へと昇華し、他人に届けられる存在は少ない。
だからこそ、ダンサーの生き様は尊く厳しいのだろう。
ここで星瞬く景色を共有できた二人は、そんな世界への入門資格があろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
だが眩い頂きに魅せられているのは、潤平達だけではない。
周りを操り、利用してでも、踊っていたい。
バレエに選ばれた存在であり続けたい。
そう願う青年の、仕掛けた罠
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第8話から引用) pic.twitter.com/gqdr57NHNJ
海咲の策略の犠牲というには、私服の都が可愛すぎる…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
そらー潤平も、足をフラフラ誘惑されるわな。
海咲が背中を押してはいるものの、都は”踊っても良い自分”を最初に見つけてくれた存在であるし、問答無用に可憐で健気でもあるので、欲しくなっちゃうのも無理はない。
しかし都を自分だけの特別にすることは、おっかなびっくり世界に漕ぎ出しつつ在る流鶯から、杖を奪うことでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
海咲が恋と愛と性を逆手に握って、純情少年たちに揺さぶりを書けてきたのは、無論その意味を知ってのことである。
ここでスカラシップを取れなければ、海咲の”バレエ”は終わりなのだ。
かくして恋は甘く踊り、一度目は軽く眦に、二度目は本で隠して。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
”二回”する事でロマンティックは更に高まるが、教科書程度じゃあ裏切りは隠せない。
隠さないために、海咲も八方手を尽くしてこの状況を作ったわけだが…。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第8話から引用) pic.twitter.com/ouCe5nTZwn
流鶯は都に、キスしたいと想ったことは無いだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
側にいてくれて当然、守ってくれて当然。
そういう存在が、実は簡単に誰かに特別になってしまう事実に…それが強く心を繋いだ親友/ライバルであることに、流鶯は大きく揺れている。
それで舞が乱れ、選ばれず潰れてしまえ。
海咲はそういう算段で、三人の恋を弄んでいるわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
恋も友情も苦悩も憎悪も、己の全てを”バレエ”に出来てしまう存在にとって、人生の荒波は即ち、新たな表現を掴むための鍛錬になりかねない。
”お祖母様”に価値観を押し付けられ、身を丸めて守ることしか出来なかった、泣いている子供。
流鶯がそこから進み出て、より高く自由に飛ぶための燃料を、海咲の策略は継ぎ足してしまっている感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
これで潤平を”敵”と認識するなら、流鶯は杖なく自分で立つしかなくなるわけで、また一つ幼さを剥ぎ取られていく。
その時生まれる成長痛が、彼を更に高く飛ばすだろう。
誰にも秘密の、特別な関係。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
火照る頬を隠しながら日常に戻る二人だが、キスの波紋は夕暮れ、長い影を伸ばしている。
甘酸っぱく微笑ましいだけでは、けして終わらない青春でこぼこ道は、まだまだ始まったばかりだ。
(画像は"ダンス・ダンス・ダンスール"第8話から引用) pic.twitter.com/3Jg7Lqu3HC
そんな感じの、潤平くんのドキドキ青春日記でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
いやー…みんな可愛いねぇ…。
ツンと背筋を伸ばし、一番であり続けんと汗を流す夏姫の幼い高貴も、選ばれない哀しさを微笑みで包んむ都の可憐も、そらー…そらードキドキしちゃうよ…。キスもしたくなっちゃうよ…。
しかしそれは、自分を変え自分に縋る流鶯の掌を、冷たく裏切ることにもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
頼れる先輩の恋の後押しに、滲む卑劣で必死な想いは、どこに行き着くのか。
色恋に手慣れて、汚いことも出来る海咲は大人に見えるけども、当然彼も10代なわけでね…柔らかく瑞々しい気持ちが、そこには在るわけよ。
そんな成熟の中の幼気と、夏姫がビビって逃げた共鳴のエクスタシーを並走して描いてるのが、力強く思春期の物語である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月28日
あまりにも熱く多様な感情が入り交じる、混沌の群像劇はしかし、不思議に爽やかで切ない。
青い季節は、どこに流れていくのか。
次回も楽しみです。