イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 22/06/02 ストリテラ『放課後サンドリヨン』

昨日は自作のストリテラシナリオ、二度目のプレイを楽しんできました。

シナリオタイトル:放課後サンドリヨン システム:ストリテラ

千本松さん:ファルト・アラバスター:17才男性:図書館の主/王子様 学園の闇にて行われる激闘”舞踏会”の中心に位置する、神経質で繊細な青年。実は既に死人であり、悪魔と契約して生を永らえさせている。願いの薔薇を摂取し続けたその身は、もはや人間の領域を遥かに超えている。
間高健:荊木遊馬:22才男性:教員/剣闘士 5年前の”舞踏会”において、恋人を勝者にするために自ら薔薇を手折った男。しかし恋人は目覚めぬ夢に堕ち、教育実習生として母校に戻った彼は再び薔薇を手にする。歪みきった願いと知りつつ、もはや戻れぬ道へと踏み出した、美しき愚者。
カノンさん:仗創糸:16才男性:転校生/改革者 日本最強最悪の殺人鬼一族の末っ子に生まれつき、友を求めつつ触れ合うものを鏖にする、自動的な糸繰り蜘蛛。一般的な感覚を置き去りに、己の絶技の渦中でも生き残れる”友達”を求めて、激闘に身を投げる。
コバヤシ:”鏡像劇団”ミロワール:性別年齢不詳:学園の七不思議/傍観者 学園に秘匿された聖遺物”棺”に封じられていた、道化の姿をした人造悪魔。『死にたくない』という望みを叶え、欲望を啜り上げる舞踏会場に決闘者たちを送り込む。言葉巧みに麗しき悪夢を囁くが、己自身は感情も希望も持たない、願望の機械。

こんな感じの地獄の住人たちが、ゾロゾロと学園の闇を蠢き、譲れぬ生き様を吠えていく物語となりました。
一回目(プレイレポート 22/04/03 ストリテラ『放課後サンドリヨン』 - イマワノキワ)は最初から舞踏会システムをぶっ壊す方向にコンセンサスが取れていて、どう譲れぬネガイを昇華し綺麗に開放されて終わっていくか……つう方向に話が転がっていったわけですが、今回は話の落とし所が見えねー所からスタートし、ゴツゴツとお互いの歪さをぶつけ合いながら道を探っていく感じの展開となりました。
人倫を越えた殺人鬼である糸くんが、デスゲームに釣り合う願いなく死地に飛び込む異質さをむき出しにしてきて、根っこは常人(だからこそ他人を蹴落としてでも叶えたいエゴがある)ファルとと遊馬が翻弄される形に。
こういう時はぶっ壊れた達観者の出番……というわけで、ルールにはない追加シーンで自分がシャシャって、状況を整地する動きを取りました。
こういう事が出来るので、話の中心軸から遠いところに高みからモノ言っても許されるキャラを配置しておくのは便利だなぁ……。
かくして各々の欲望が渦巻く”舞踏会”の日、欲望に滾る機械として己を自覚した糸くんも、愛ゆえの卑劣さで全てを手に入れようとした荊木先生も、欲望を食らう魔王と化したファルトくんを殺しきれず、終わらぬロンドが続くことに。
鏡合わせの地獄の中で、くるくると回り続ける宿命は新たな突破者を奥底で求めつつ、今日も学園に薔薇が降り積もりのでした……という結末になりました。

フツーならバッドエンドなんですが、ストリテラはGMがいない=歪な物語の中心にいる側をPCがやっても良いし、物語的な勝者にもなりうるシステムなので、キャラクターに誠実に向き合い、その歪みと願いを貫いた先にある一つの結末として、卓全体で納得してヒドい終わり方となりました。
システム自体がコンセンサスの形成に特化している(というか、あまりに尖ったシステム故にそこに注力しないとゲームが成立しない)ので、他のシステムだとどんより暗い気分になりがちな展開や結末でも、『でも、これがこの卓の答えなんだ!』と納得して飲み込む力が強いのは、ストリテラの特色だなー、と思います。
最終的な物語の方向を決定するキャラクターが決まる以前の、メインチャプターでどんなシーンを作り上げるか、提示されたシナリオに対しどんなキャラを提出するか。
そして各プレイヤーの『こうすれば面白くなるぞ!』が込もったそういう球を、どう受け止めて化学反応を作っていくかという認識。
そこをジャズのアドリブよろしく、お互いのセンスと思いやりと期待感をフル動員して一つの話にまとめ上げていく行為は、やっぱストリテラ独特のものだし、この手応えは独特の強さがあるな、と思いました。

あと同じシナリオをニ回やったわけですが、参加者と実際の立ち回りでマージで全然別のゲーム、別の物語になっていて、本当に新しい気持ちで楽しむことが出来ました。
『完全ネタバレOK、同じシナリオに何度も挑める』てのが空疎なカンバンに終わらず、マジで毎回違う物語となって幾度も楽しめるのは、本当に凄いことだと思います。
シナリオ最初に全公開して、秘匿される項目がない(正確には、それはプレイの最中、他人の『こうすれば面白くなるぞ!』を受け止めて広げていく中で、発展的に生成されていく)ゲームなので、かなり高度なことやってても安定度高いしね。
ここら辺、作家性の強いシナリオメイカーが指定したシチュエーションとドラマに浸り切るのではなく、独自のアイデアで持って白紙の物語に色を足していくのを好む層をフックしようとする、結構シビアな現状分析が関わってんじゃないかなー、と思う。
TRPGのプレイ人口が広がって、色んな『コレが楽しいんだ!』がありうる中で、デファクト・スタンダードが拾い切れていない……けど、大変に力強い”源TRPG”的な面白さを、どう遊びやすく、オリジナリティ強く形にするか。
やっぱそういうことに、しっかり目を配り実現してるシステムだなーと感じます。

というわけで、大変楽しいセッションでした。同卓していただいた方、ありがとうございました。