というわけで遅れ馳せながら、ポケモンオリジナルアニメ「雪ほどきし二藍」を見させていただきました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
ポケモン全然知らない身ですけど、とても面白かったです。
以下、見終わっての感想です。
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自分は本当にポケモンに触れてこないまま人生送ってきたので、この後の感想も的外れなものばかりかと思いますが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
門外漢なりのイメージとして、ポケモン世界って近未来な感じが強く、建物や衣服からしてこの作品は過去編…”ポケモン/ZERO”なんだろうな、と思いながら見ました。力ちゃん出るし。
作中幾度も描かれる、門や川といった境界線。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
それは森に住まうカムイとしてのポケモン、人間の愚行と怨念を吸い上げて、巨大な獣の形にした(してしまった)ゾロアークを恐れ遠ざけ、交わらないように生きていくための防衛線でもあります。
そういう時代に、この作品の人々はいる。
主人公はこの境目を超えて、ポケモンと触れ合い傷を癒やされ、その体験故に(おそらく世界初の)ポケモン医という生き方を選んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
暴力的な事故により森に導かれた主人公が、橋の上で戸惑った末に”ともだち”を人間の領域に連れて行こうとして、ゾロアークと父、二つの父権に押し留められる。
釘宮声の少年は内山くんの声帯をした、父に守られ縛られるだけではない大人になって故郷に戻り、自分の意志で門を出て、森の外の災害にわざわざ関与しようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
結果傷ついたポケモンを人里に運んで、癒やし交わっていく時代が始まることになる。
少年時代は冷たく、木の橋がかからなければ渡れなかった流れが、雪解けを経て飛び越えられるくらいに狭くなっている描写が、ポケモンと人間の距離感が縮まり、エンタメとしてイニシエーションとして共に旅をし戦える”今”がいかにして生まれたのか、良く語ってる感じがしました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
危険な野生動物、あるいは森に住まう神としてのポケモンの描画は、ぼんやりなんとなく、可愛く頼もしい”ポケモン”の輪郭だけは知ってて…つまりは何も知らない自分にとって、かなり新鮮でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
そういう側面が、これまで描かれただろうポケモンの”今”、どんな物語として生きてたか。
あるいはそういう側面は時の流れで削られて、神は零落してペットになったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
ここら辺はポケモンジャンルに親しみ、ゲームを体験しているとより精妙に観察できるところなのかなー、とか、見ながら思いました。
あの恐ろしく神々しい森は、多分現在のポケモン世界には無い(か、非常に限られている)
アニメの中では現在進行系の変化として描かれているものが、境界線を超えて一般化した後の世界を知っていると、今回描かれたものにどんな意味があるかも、よりインパクト強く受け止めれたんだろうなー、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
ここら辺は、ミリしらの弱みですね。新鮮味と奥行きがトレードオフ。
さておき、青写真の美術も最高に生き、主人公が生きる世界の厳しさ、ポケモンと出会ったことで生まれる光のまばゆさは、大変鮮烈に描かれています。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
穏やかで優しい場面では管楽器を、緊迫するシーンでは弦楽器を表に出して、リッチな緩急をつけたオーケストレーションも良い。
害獣として、あるいは禍津神として、ポケモンを遠ざけて生きている世界の解像度を上げるべく、作画力がぶん回されていたのも良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
雪の斜面は滑りやすいので、斜めに降りていくところとか、寒さに耳がしもやけになっている(ほど、ゾロアとの時間に夢中になってる)描写とかね。
全体的にアニメとしてのクオリティが凄く高く、下世話な話ですが今刺さる流行りの表現もきっちり抑えてて、凄く今っぽいアニメに仕上がってるなー、と思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
外部から観察してると、ポケモンの映像表現はポップアートとしての最先端を常時捕まえてて、時代にキャッチアップする意識が高い印象。
話を本編に戻しますと、仮面という小道具の使い方が面白かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
最初はポケモンであることを装い、人間である自分をごまかすための偽装として被って、それが堕ちることでゾロアとの交流が始まる道具なんですが、主人公が大人になり、自分で新しい時代を作った後は、憑依のメディアとして扱われる
森の中にいる恐ろしい存在を、自分たちに同化し恐怖を乗りこなすための壁として作られてきたアイテムが、より身近にポケモンを感じ、そのワイルドな生命力、傷に手を差し伸べてくれる優しさを己に取り込むための、ある種のファングッズとして機能するようになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
そういう変化を表す指標として、仮面はとてもうまく使われていたと思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
境界の描写にしても、仮面というアイテムの時代的な変化にしても、相当に民俗学、宗教学のエッセンスを意図して大量投入してある作品で、自分の興味と重なって楽しかったですね。
ポケモン医を主役にすることで、お互い様の助け合いとして新しい関係が生まれ、相互理解を阻む感情のしこりを取り除いていく物語として、フェアな作りになっていたのも良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
過去シーンでは、主人公が最初に自分を崖下に置き去りにしてでも、傷を押してゾロアを助けてる。
それに報いる形でゾロアがギョウジャニンニクを患部に塗ってくれて、この経験が主人公の運命を決めていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
恐れ憎み、怨念の獣を生み出してしまう関係が変化するためには、そういう相互のコミュニケーションが必要だというのは、爽やかで公正な視線だと思いました。
ギョウジャニンニクを咥えていたゾロアの口周りが汚れてて、”ポケモン”を知る前の主人公はそこに触れない(おそらく血だと思っている)ところから、助け合いを経てそれを拭う距離感になる描写とか、関係性の変化がしっかり届く形で演出されていて、大変良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
そうやって、お互いを知る。
境目を超え、内側に入れ、助け合って解っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
その先頭を、兎にも角にもポケモンだいすきなキッズが突っ走っているのが、まず誰に向けて作品と文化を作っているのか、その担い手が誰なのか、自覚とプライドのある描写だったと感じました。
というわけで、大変楽しく、優れたアニメでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
今回初見で感じたものの”答え合わせ”は、自分なりじっくり取り組んだほうが面白いかなー、とも思わされますが、知らんなりにしっかり届くものが、非常に美麗かつ精妙な形で磨き上げられていて、大変良かったです。
解らななりに『そういうもん』で食べさせる腕力は強かったし、その奥にあるだろうものを門外漢に想像させる馬力も強く、何よりアニメとして滅茶苦茶力入ってましたね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
光の表現やっぱ好きだなー…雪っていう、アルベド高い素材でそれがどう変化するのか、考えて演出してた感じが良い。
って、ここまで書いて思い出したけど、俺”黎明の翼”見てんじゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
ポケットモンスター ソード・シールド オリジナルアニメ「薄明の翼」 感想ツイートまとめhttps://t.co/QG7zCvdcGx
”ミリも知らない”ではないわな……ポケモンおぼこブッてすんませんでした。
あのお話で描かれていたポケモンと人間の距離感を思い出すと、やっぱ今回のアニメの遠さ、怖さ、冷たさは特別で、そこを越えていく一歩が作品のコア…ってことなのかなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
自分の中の貧弱な経験値を活用すると、もうちょい奥行きのある感想も紡げそうですが、それは先の課題とします。
ともあれ、優れて面白いアニメを見ることが出来て、大変楽しかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月5日
こういうのがWeb限定のアニメとして、無料でガシュガシュ提供されている強さ、やっぱ凄いなぁと思う。