Dr.STONE 龍水を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
司帝国との激戦を終え、科学王国は概要を目指す。
必要なのは世界一の船乗り! …というわけで、千空は強欲極まる凄腕、龍水を目覚めさせるのだった。
という、久方のアニメドクスト、一時間スペシャルである。
原作は堂々完結したけど、アニメはこっから本番だ!
まぁ言うたかて話の方は戦争要素一切なし、クラフトして調査して組織作って人導いて…と、大変地道である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
龍水の声がデケーので勢いあるけど、石化現象の謎を解くために外洋進出するために大型船を作るために石油を確保するために気球を作って観測力を高めるていう、”ために”の連鎖だかんね。
戯画化されたロードマップがよく出てくるこのアニメ、目的を達成するために必要な地道な準備の大切さは、かなり意識して扱われている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
決戦や成果らしきものがあんまない今回の一時間SP、要素を抜き出すと大変地道なんだが、だからこそゆっくり積み上げていく手応え、争いなく進んでいく確かがある。
未来を見据え、欲望を燃料にして着実に進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
最後にゲンちゃんが綺麗にまとめてくれたけども、過去を記憶できる動物である人間の強みは想像力と団結にあり、それを成し遂げるためには自発的な意思が必要である。
たとえそれが、巧妙に操作され導かれたものでも、『選んだ』という実感は大事だ。
相変わらず雨に濡れ汗まみれで肉体労働にも勤しむ千空は、司帝国残党を内部に繰り込んで不安定化しそうな共同体に、これまでのあらすじとこれからの夢を与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
わかりやすい形に整形された見取り図があることで、人民の思考は誘導され、マンパワーは闘争よりも労働に振り分けられる。
”これまでのあらすじ”を久々に作品と出会う視聴者だけでなく、適切なプロパガンダとして国民にも提示してくる出だしは、なかなか面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
ここら辺の細かい人心掌握は、司帝国を併呑して人数増えたからこそ必要で、そういう共同体のメンテナンスも地道にやってると、解る描写だったね。
んで、司をコールドスリープから目覚めさせるためにも石化現象の謎は解かねばならず、ということは爆心地を実地調査するべく外洋航海技術が必要になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
大型船制作のための労働力は、増えた人員で賄うとして、水先案内人が必要となる。
ここで起きるのが、強欲の権化・龍水くんである。
まだ船が漕ぎ出していないので、セイラーマンとしての実力は未だ未知数なんだが、原油本位制の貨幣経済と先物市場が成立し、科学王国に”経済”が成り立っているのが面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
資源と資本を握っているはずの龍水を、ゲンちゃんの舌先三寸が切り崩している所とか。
貨幣は信用のメディアでしかないので、ブツそれ自体の説得力よりも、それを運用する実体なきシステムによって成立する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
不安を煽りマネーを操って、龍水が作り出したはずの貨幣システムをハッキングして、自分たちの望みを叶える媒介として使い出すあたり、なかなかにエグい。
この『モノより夢』という描き方は、船選びにも共通している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
最初にヨウがショッボい筏を出してヘニャヘニャになり、水の民でもあるマグマの設計案と、それを上回る千空の帆船が、王国の未来を決めていく。
そこにあるモノ、作れるモノよりも、作れそうな夢にこそ人は滾る。
これが壮大過ぎる妄想に終わらず、人の心に突き刺さって駆動しているのは、千空が実際世界を変えてきた実績と信頼ゆえだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
無論情報の出し方と操り方も巧いんだけど、大言壮語を実際形にしてきた男が言えば、デカい夢に体重を預けてみたくもなる。
そんな風に形のないものに踊らされたり、瞳を輝かせたりする根源が何処にあるかを、気球の旅はよく教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
新世代の科学使いであり、純粋なる知識欲の子供であるクロムが大変熱く、その熱量を好ましく思う千空&龍水の瞳も優しかった。
あの旅は、本当に良かったな。
やっぱ命がけの冒険ってキャラの地金が見えるもんで、空飛ぶまではいまいちハラが見えきらない龍水が、冒険馬鹿の未知マニアだって納得できる、大事なイベントだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
彼は人間の強欲を、時代の推進力として肯定するためのキャラでもあると思うが、何でも欲しがる態度の奥に、凄く澄んだものがある。
それは科学王国の成員皆に宿っている光で、強欲に経済戦を繰り広げた龍水もまた、文明再興というだいそれた夢の船を導く、クルーの一人なのだと良く解る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
そういうバカさが一番濃いのが、シニカルな現実主義者を気取ってる千空ちゃんなのがまー、このお話よね。
夢と野望が詰め込まれた科学サクセスストーリーは、色んな副産物を生む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
今回で言えば気球の副産物として服飾文化が成立し、石油を実際に手にするよりも早くそれをベースにした貨幣経済が形になった。
モノだけでなく、夢を追い一進一退汗を流す中で、ヒトの関わりも深まっていく。
超煽りあってるマグマとヨウは、性格悪いままなんとはなし、関係を構築していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
龍水も一時間の物語の中で、裏をかきあい共に死地を超え、最後はガッチリ科学王国と握手するまでの中になる。
なにかにたどり着くまでの途中経過にも、沢山大事なものは眠っているのだ。
というか永遠に続く発展と欲望の道のりの中、全ては結果ではなく過程でしかなくて、つまりそこで得られるもの全てに意義がある…て話なんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
こういう、総体として計画や関係性を見据えて、失敗に絶望せず成功に驕らず、ワイワイ賑やかに楽しみつつ着実に進んでいく歩みが、科学の歩幅なのだ。
無論それは少年漫画誌に連載されたユートピア的科学であり、社会であり、人間関係ではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
でもやっぱり、『そうだったらいいなぁ』と思えるものをとても真摯に面白く描こうとする意欲ってのは、偉いし大事だしとても面白い。
そういう事を再確認できる、一時間SPでもあった。
地味な話なんだが、ドタバタ騒ぎつつも皆仲良く、力を合わせて何事か成し遂げるべく進んでいく姿は、このお話の一番好きな部分だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
『ヒトはたしかに、何かを成し遂げううる』て理想を、色んな角度から確認させてくれること、そこに手応えと納得があるのは、最高に良い。
布が織れたり気球が飛んだり、”成功”の描写も良いんだけど、俺は最強探検隊が変わり果てた地形を確認して戻ってくる所が、凄く好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
それは期待し思いこんでいた夢とは違うけど、現実を確認してそれを修正するために絶対必要な肯定で、”失敗”することにこそ意味がある。
現代人の思い込みが通用しないなら、現実を直視し新たに確認する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
そのために、新たな技術を確認して、観測手段(同時に時間と距離を縮める、新時代の移動手段でもある)を作り上げる。
そういう貪欲でタフで真っ直ぐな足取りが、力強く話を前に勧めてて良かった。
こういう個別の一歩が、デカいヴィジョンに統合されて揺らがないからこそ、力強い寄り道も楽しめるわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
気球で飛ぶのは別にクライマックスではなく、それで油田を確認し船を作って現地を確認し、人類全てを救うのが目的である。
そのために、何を束ねどう使うか。
千空とゲンちゃんは見据えている
でも気球の冒険は滅茶苦茶ワクワクするし、そこから見えた新しい景色は、彼らが何処を目指すかを的確に教えてもくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
そんな風に、夢への歩みそれ自体が輝く夢に満ちていると描いてくれたのは、凄く良かった。
龍水が科学王国の一員になるまで、一本繋ぎで見せれる形式だったのが効いたかな?
というわけで、大変楽しいSPでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月10日
龍水のキャラのエグさと優秀さ、根っこにある霊の輝きがしっかり解る一時間で、とても良かったです。
かくして頼もしい仲間を手に入れた科学王国が、どんな未来へ漕ぎ出していくか。
来年の三期も、大変楽しみです!