異世界おじさん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
過酷な異世界生活を生き延びた糧は、虚しく砕けて散った。
雨の中木霊する叫びは、異邦人を更に孤立させていく。
甦る氷の記憶と、突然の来訪者。
消えない思い出は凶器となって、現実の皮相を切り裂いていく。
その先に、見えるものとは…。
っていう、ハード&シリアスな味付けは特になく、ボンクラメガネ共が異世界と現実で、ベキべキフラグをへし折る第2話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
第1話からヤバの血脈が匂っていたが、やっぱたかふみも相当なもんだな…。
あとおじさんは一度、しっかりカウンセリング受けたほうが良いと思う。フラッシュバック酷すぎ。
お話としては17年間時間が止まってるおじさんのヤバさを笑いの種に、コアなセガネタと、アニメになったが故のCV子安ネタが奇妙なハーモニーを奏でつつ進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
ガーヒーはいいゲームだよ、紳士協定を守る限りは…。
あとEve Burst Errorもエヴァンゲリオンも、両方おじさん出てたよね?
今回は時代遅れのおじさんがオタクとしても特にスーパーではなく、偏った嗜好と能力でゲームだけ摂取してた、ごくごくフツーの限界人間だと解る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
この偏った栄養摂取がなければ、あの時代でもRPGのお約束をチート知識として活かし、異世界でもいい思い出来てたかもしれない。
しかし現実にはそんなことはなく、怪物と襲われフラグを踏み潰し、祭りにも交わらない、極めて残念な異郷の17年であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
藤宮への対応は完全に、過酷な戦場から舞い戻り、鍛え上げた能力を活かす術を知らぬまま生きる帰還兵のソレであり、風の精霊との語らいを聞く人は、”現実”にはいない。
おじさんの現状を客観的に見れば惨めで悲惨なのだが、おじさん自身が己を憐れまないので、ギリギリブラックジョークの範疇ですんでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
ぶっ壊れ加減が結構似ているたかふみが、一緒にカップ蕎麦食ってゲームして、おじさんの異様さを受け入れてくれるのも救いだ。
惨めな現実から逃避し、新たな人生をチートで爆速キメる異世界転生の醍醐味は、生きることに不器用なおじさんには訪れなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
他人の心を慮ることも、異国の風習に馴染むことも出来ぬまま、それでも必死に魔法を収め、排斥される異邦人なりに生き延びた17年間。
100万再生Youtuberとして、一応のポジションを獲得できた彼の人生は世間一般のまともさからは大きくズレて、端から見れば情けなく…しかし、奇妙に楽しそうでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
甥っ子と二人、腐れボンクラとしてノスタルジーに浸ったり、止まった時のぬるま湯で傷を癒やしたり。
それなりに幸せで、バッチリ狂ってもいる時間はいい塩梅に灰色だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
あんだけ苦しい時間を過ごし、特別な力を手に入れたのなら、それを生かして現実転生チート無双しそうなもんだが、そんな軽妙な道も拓いてはいない。
団地で甥っ子と二人、まぁまぁ悪くないボンクラライフが、おじさんの身の丈だ。
それを憐れむ視線は、観客席で見てるモノの特権であり、つまり作中世界を自分なり必死に生きているものには届かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
狂って惨めでまともじゃないが、それがどうした。
そんな猛烈な開き直りが、チャールズ・ブコウスキーめいて匂っているのは、結構好きである。
たかふみはおじさんがフラグ逃したのを認識し、幼馴染とワンチャンある自分の現実は見えてない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
おじさんは藤宮の感情へ理解は示すが、公園で精霊に語りかける行為があからさまなヤバである自覚はない。
焦ると異世界の言葉が口をついて出る、ぶっ壊れの社会不適合者達。
それでも灰色の団地の外側に広がってる”まとも”なるものに、別に潰されも適応もせず、テキトーに逞しく生きていく姿が、僕にはちょっと眩しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
二人は世間とのズレとか自分のヤバさとかを、思い悩まず大声で吠え、共にゲームし、ガヤガヤ楽しい時間を過ごす。
それの、何が悪いのか。
ここに”まともさ”でツッコミを入れられるのが、今回登場した第三の眼鏡、幼馴染の藤宮…なんだろうが、ボンクラ共の珍妙空気に飲み込まれ、おんなじようにグダグダしそうな気配がプンプンである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
奇妙にささくれて生ぬるい、おじさんとたかふみのパライソをぶっ壊されてもヤダから、それでいいが。
おじさんの『終わった恋バナ』だけでなく、たかふみが現在進行系で取り逃すロマンスの芽が出てきたのは、話のバリエーションを増やしてくれそうでいい感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
回想される異世界も、目の前の現実も、どっちもロクでもなくてそれ故笑えて、ちょっと過酷で少し悲しい。
そのヌルくてしょっぱい涙味が、ゲラゲラ笑った後しっとり心に突き刺さって、なかなかいい感じである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
昔も今も、恋に冒険になんかいい具合に転がっていきそうな要素は沢山あるのに、ボンクラ眼鏡共の人生はいつでも灰色にくすんで、ハッピーエンドには程遠い。
しかしまぁ、人生そんなもんであろう。
この惨めさへの灰色の視線をしっかり宿した上で、それを笑い飛ばす”コメディ”であることは、自分的にはこのお話を考える上で、結構大事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
おじさんのヤバさ、たかふみの鈍感は笑えるように客観視され、僕らは画面越しそれを笑い飛ばした後、静かに笑えない要素が棘として少し残る。
このザラついた残留物がブラックジョークにはいつでも必要で、どうあがいても惨めならせめて笑おうという、タフな開き直りが宿る証拠でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
おじさんは異世界帰りの超人だが、時代に取り残され自分を客観視できない未成熟は、大変生々しい。
異質なはずなのに、隣人としてリアルにダメ。
んじゃあこんだけ笑えるヤバ人間を、見てられないと遠ざけるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
そんなナメた態度を許さない笑いの強さも、このお話にはしっかりある。
否応なくゲラゲラ笑わされて、そのためにはボンクラ眼鏡共の人生劇場を見つめて、その奥にある自分と似た部分を、ずっしり胃もたれさせる必要がある。
おじさんの惨めさヤバさは、異世界由来のど派手なチートで加速してはいるものの、確かに僕の人生を彩る灰色と同じ匂い、同じ手触りがする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
そういうモンを一個一個、”まとも”からズレきった楽しい人生を切り取る中積み上げていってるのが、底意地悪くクレバーで、大変いい感じである。
おじさん達の愉快の壊れた人生は、三人目の適格者を仲間に加えてどんどん進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
魔法系Youtuberの暮らしは別にチートでもなんでもなく、無駄遣いが許されない程度にシビアで、サターン通販してうかれ狂う程度には、はみだしものに居場所と幸せを許してくれてもいる。
この塩梅が、かなり好きだ。
世代直撃セガサターンなので細かいクスグリがいちいち刺さりはするが、それよりもファンタジー帰還兵のぶっ壊れて楽しい日常と、それに巻き込まれて愉快なダメダメ現代人を見つめる視線に、不思議な引力を感じてきている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
転生モノっつうより、福満しげゆきとか”最強伝説黒沢”に近い匂い…かな?
今後ボンクラ共の人生がどういう方向に転がっていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
まともに成功してくのかどん底に落ちるのか、それともこのヌルい壊れ方で走り続けるのか。
お話の語り口に注目しつつ、今後もおじさん達の生活を愛でていきたい。
そんな、お話との向き合い方が見えてきた第2話だった。
次回も楽しみ。
追記 惨めさを安全圏から笑うのならば、そうして道化を遠くに置く己自身の薄汚さと身勝手、遠くにあるはずなのに自分と同じ人生の体温にしっかり自覚的であってくれたほうが、僕はコメディを食べやすいのだ。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
ぶっ壊れてようが惨めだろうが、おじさんは17年分の停滞と狂気を背負ってなお、一人間として生きてる。
甥っ子の少し早い誕生日プレゼントに、こんないい顔で笑う。
それは今確かにそこにある、幸福の存在証明だ。
(画像は”異世界おじさん”第2話から引用) pic.twitter.com/hatVNQOC7U
この絶妙にかわいくねぇ、でも生き生きとした表情を描けたのは、僕が作品に体重を乗せる、かなりクリティカルな足場かもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月14日
笑えるヤバっぷりを遠くから見つめスケッチする筆は、同じようにこういう顔もちゃんと描くのだ。
おじさんは、ただの異世界帰りの道化ではない。今ここで生きているのだ