プロセカイベスト”The Vivid Old Tale ”を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
伝説超えを目指すビビバスは、その中心にいた凪の人柄を杏から伝えられる。
街に育てられ、人に育まれた少女の思い出に、宿る思い出とは…という感じのお話。
杏ちゃんがVivid Street、RADderとどう向き合って育ってきたか、良く解るエピソードだった。
お互いの意思を尊重し、優しさを伝えあえる幸福な家庭もあれば、無理解の中すれ違い傷つけ合う家族もいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
プロセカが切り取る”家”なるものも、他の要素と同じく多彩であるが、白石家とその周辺は作中最高レベルで恵まれている。
子供の人格をすりつぶすことも、孤独の中押しつぶすこともない。
そんな家族でも忙しさの中すれ違ってしまうことはあって、しかし杏ちゃんは寂しさと怒りをちゃんと表現して、彼女を寂しくさせた大人たちに家出という形で伝えることが許されていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
負の感情を表出し、正当に怒ることを妨げられない、真実自由出会いに満ちた家。
この豊かな可塑性は、白石の血族だけで閉じていないからこそ生まれもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
RADderの仲間も家族同然、凪は姉のように杏を抱きしめ、導き、憧れを与えてくれる。
街の人達も杏を見守り、杏の無垢な活力に元気を貰って、自分自身の人生を良い方向に引っ張っても行く。
幸福で、理想的な関係性。
白石杏という人は作中の子どもたちでも、最も人格のバランスが良く、負の要素から自分を引っ張り上げて、広い視野を確保するタフネスがある少女だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
リア充…というバズワードにはまとめきれない、充実している自分の幸福を、ポジティブに周囲に分け与え、相手を見て動ける能力の高さ。
これを育んだのが、数も質も繋がりも豊かな生育環境と、喜びも寂しさも怒りも、全部対等に目線を合わせ、なおかつ守り導く立場を忘れない人々なのだということが、良く解るエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
杏ちゃんの周りの人は、みな彼女の言葉をよく聞く。
押し付けず、バカにせず、微笑みながら。
そうして対等な人間として遇してもらい、なおかつ過剰な荷物を背負わないようしっかり配慮してもらった結果、失敗に折れず幸福の意味を知る、前向きで賢い少女が生まれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
そんな彼女が伝説を超えるべく、色んな人と触れ合い一緒に進んでいる歩みは、街から貰ったものを街へ還す行為なのかなとも思う
キャラクターの過去に立ち戻って、未来に進む足場を掘り下げていくのは、ここ一年くらいのプロセカのトレンドだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
特に”家”が荒れに荒れてるニーゴのイベストは、家族との愛憎トラウマ満載で、今回描かれた喜ばしい幼年期とは、一見真逆に思える。
しかしニーゴの連中も、好きだからこそ同じ夢を追ってブチ折られて心と未来がねじ曲がったり、カーネーションと野球の思い出があまりに大事だったからこそそれが壊れてメサイアコンプレックスに囚われたり、お母さんを悲しませず嫌われたくないから人形になったり、してるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
愛されたいという願いは人間普遍だと思うが、でもそれが叶うこともあれば、叶わないこともある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
叶っていたからこそそれが壊れてしまって、荒廃した場所で迷って苦しむ姿も描かれているし、たしかに幸福があったからこそ霧の中、道を見つけられることだってある。
杏ちゃんの寂しさと怒りにけして怒らず、寄り添って抱きしめてくれた凪や謙さんは、確かに理想の大人、理想の親だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
なにか理由があって街を去った凪が、今どうなっているかは分からないけども、謙さんはあの時の頼もしさと優しさを曲げることなく、ずっと杏ちゃんの”親”を続けている。
それはとても幸福で、全ての家族がかくあって欲しい理想だけども、当然でも普通でもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
娘の才に押しつぶされ目覚めぬ眠りに捕らわれるものもいるし、画業の苦しさを知るがゆえにあまりに口下手に人格を叩き潰してしまうこともあるし、自分の愛が娘を殺していると気づかぬまま正しく生きる人もいる
かの、最近人口に膾炙するようになった言葉を使えば”毒親”とされてしまうかもしれない大人たちは、確かに子に求められ、愛を返した存在だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
その温もりがあればこそ、今少女たちは苦しい。
その温もりがあればこそ、今少女たちは生きてる。
微笑んで思い出せる記憶ばかりでは、けして無いけど…
愛憎が切り離せない背中合わせの双子となり、裏腹な縁と感情に翻弄されているニーゴの過去と、怒りや寂しさすら正当に受け止め、明日への糧に出来ている杏の思い出は、一見全く遠くにあるようにも見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
しかしそこには、たしかに共通するものがあり、同時に全く真逆の逆説と正接、その分断がある。
愛が愛のまま正しく、優しく未来に繋がる人生と、それがいつしか捻くれて、己を苛む毒になってしまっている生き方。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
その両方が、確かにあり得るのだと語れるのは、やっぱ沢山のユニットを一つにまとめてパッケージし、彼らの人生が時に交わり、影響し合う物語を紡げている強みだと思う。
愛が理不尽に反転し、人生を捻じ曲げる重しになっていた奏であるけど、彼女はカーネーションと野球の意味を思い出した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
辛いはずの過去には確かに楽しいことがあって、それはとても大事な、苦しいからと投げ捨ててはいけないものだったことを、友だちと一緒に進んだ先、奏は思い出しつつある。
絵名は未だ父を許さず(それは今回、家出した杏ちゃんの怒りと全く同じ意味で正当である)、しかし書きたかった自分、逃げ出した自分を苦しみつつ見つめ直して、ぶっ潰れた人生をもう一度おっ立てようと奮戦している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
その先に、父を許せる未来があるのか。
あっても善いし、なくても良いと思う。
お母さんの願いを自分に取り込み、”朝比奈まふゆ”を殺し続けた人形は、消えたいという願望を救済に呪われることで受け止め、空っぽの自分を抱えたまま、ゆらゆらと思春期に迷っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
その情緒は優等生の仮面と真逆に、頑是ない子供のままだ。
母は、まふゆの時と心を殺したのだ。
実母による朝比奈まふゆ殺人事件を当人が許してしまっているのは、お母さんが好きだからで、その愛と許容がなんとも悲しく、俺には認め難い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
まふゆがやりたいこと、なりたいものを抱きしめず、自分がなって欲しい人形の型に押し込める態度は、今回凪たちが見せた姿勢と、真逆のものだろう。
そこには一人間として娘を、小さな子供を尊重する態度がなく、自分の願望を鋳型に、魂をすり潰して流し込む蛮行がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
その犠牲になってなお、まふゆには奏でたい音楽があり、救われたいと願う苦しみが、何かを感じたいと疼く心が、まだ生きている。
そんな風に、必死に生きようとする身じろぎ。
それは今回、杏の幸福で理想的な幼年期がVividな今に繋がり、彼女の夢となっていること…凪から受け取った鼓動が杏の初期衝動であることと、僕は同質だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
リア充と非リア、愛された子供と殺された子供、光と闇。
真逆に見えて…なんというか、魂の奥底にあるものが皆同じに、僕には見える。
みなより幸せに、より楽しく、より自分が自分でいられる場所を強く願って、自分たちなりの音楽にたどり着いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
愛と敬意を以て生かされれば、それはVividに輝き。
捻くれて凶器になっても、諦め果て虚無に食われたように見えても、誰もいないセカイで確かに、まだ生きているもの。
それを育み、また窒息もさせる揺籃としての”家”をプロセカがどう書くか、もう一つ作品を読み込む画角が増えるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
”家”なるものがかなり多角的で、家庭ごと人間ごと、様々な感情と環境、関係を飲み込んで、非常に巨大な影響力を持っているのだと、多彩に描く。
”家”はこのお話が人が生きることを切り取る、色彩豊かなパレットの一つなのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
他には”青春”とか”友情”とか、”音楽”とか名付けられたパレットがある。あと”VOCALOID”。
そんな風に一筆一色、個別の人生を丁寧に塗り重ねながらプロセカって絵を書いてくれてる所が、俺は好きだ。
なので半分以上ニーゴの話になってしまったが、杏ちゃんイベントとっても良かった、という感想でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
杏ちゃんのハンサムな生き方が何処から来たのか、周囲から与えられたもので育った結果なのだとよく解って、彼女の優れて真っ直ぐな人格をより深く飲み込める、良いエピソードでした。
今回は”家”という視点から感想を書いたけど、イベストとしてはビビバスが伝説を超えるための大事な一歩であり、この語りを通じて凪さんを知ったことが、より熱くより自分らしいイベントを形にする、重要な契機ともなるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
こういう意味合いで過去から未来につながっていくものも、確かにある。
イベントプロデュースという、手応えと決意に満ちた段階に進んでみて、『良い歌をうたうためには、歌ってるだけじゃダメ』つうビビバスらしい横幅が、より強調されるようになったな、とも感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
街に流れる人の息吹を、それぞれの人生と想いを、肌で感じて喉で吠える。
街という”場”をマテリアルで冷たいものではなく、人生が流動していくステージとして受け取ることを、多分大河さんは”RADder”を継ぐ子供らに求めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
しかし大人たちには大人の事情と秘密があり、意味深な沈黙が見守る視線には交じる。
杏ちゃんには、過去も今もなかなか見えないもの。
あんなに満たされ幸福で、正しく優しかった季節が何故終わり、”RADder”は解散しているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
その梯子は、至高天へと届いたのか。
大人サイドに、物語を動かすかなり大きな部分が預けられてて、このミステリに踏み入っていく資格を、成長とともに証明していく話になってるのは、ビビバス独特ね。
遠ざけ、隠していたものを預けてもいいと思える人間的成長。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
杏ちゃんを昔も今も見守ってる大人たちは、歌の巧さよりもそこを見ている感じがある。
というか、真実歌がうまいということは、人生の重たい真実を背負って潰れない逞しさと優しさを、己に育んで初めて成し遂げられると、考えているのだろう
そんな親たちの試練と観察を、天真爛漫な杏ちゃんは意識せず越えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
仲間と手を取り本気で歌うことで、真っ直ぐ夢に進むことで、思い通りにはならなかった思い出を、美しき幼年期の影になった部分を、自分に引き寄せる資格を育んでいく。
それは思い出の続きにある、眩い未来だ。
この足取りに陰りが少なめなのが、ビビバスと白石杏の特徴だなぁ…などと思いつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
ストリートらしい”闘い”の要素を話に盛り込む関係上、エゴに足を引っ張られ迷走する要素を残すと、物語が濁る…つうことなんかなー。
スカッとバトルするためには、真っ直ぐな奴らのほうが良いもんな。
んで杏ちゃんがそうなれたのは、そんな人になって欲しいと常々願って、ガキの目線に膝を曲げカレーを作り、雨の中迷わず飛び出せる自分であることを、大人たちが頑張ったからで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
彼らも別にナチュラルに、立派な大人をやれてたわけじゃない。
むしろ立派な大人だから、頼られ忙しすぎた。
それでも”大人”をやってると生まれる波に、杏ちゃんを巻き込まぬよう、巻き込んで涙で溺れるなら身体で防ぐよう、必死に走ったわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
そういう人たちが周りにいると、こういう幸福な思い出と、真っ直ぐな未来が待っている。
こういう人生もある。ニーゴの捻くれライフもある。
そういう話であったし、今後もそういう話を積み上げていくのだなぁと、思わされるイベストでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
大変良かったです。
一切イベストに顔出さない連中が奥の暗がりにいるからこそ、眩いだけじゃない立体感が出た話だと思いました。
すげープロセカらしくて、とても面白かったです。