リコリス・リコイルを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
ライセンス更新のためDA本部に向かった千束に、復帰を願うふきなは同行する。
味方殺しの悪名が噂を呼び、唯一残った”家”を追い出された寂しさが心に染みる。
痛みにうずくまるたきなを抱き上げる千束が、見据える新たな未来。
傷ついた鳥は、再び嵐に羽ばたけるのか。
そんな感じのDA回である。フキちゃんKAWAIIッ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
国が戸籍ねぇ孤児を集めて殺人兵器に仕立て、平和な東京を守る狩人に仕立て上げてるヤバさが目立っていたが、内側に入ってみるとただしく年頃の少女のねぐらであり、陰口も躊躇も友情も、制服の中渦を巻いている。
どう考えても超ロクでもねぇ”家”であるが、それしか与えられなかったのならば、そこは唯一の居場所であり憧れ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
命令違反と仲間殺し、良心なき兵器であることを求められる場所では”使えない”扱いのふきなにとって、山奥の学園は輝く夢…だった。
今はおんだされ、喫茶店と裏稼業に腰掛けである。
第1話では硬く自分を守っていたふきなが、どうしても”家”に戻りたい気持ち、叶わない辛さを千束に見せてる時点で、かなり心を許している感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
それはリコリコでの日々が精密兵器を狂わせた結果であり、気の赴くまま生きてる千束のたきなLOVEが、ちゃんと届いていたからだ。
そこら辺の成果を、DA学園の内情を描きつつ確認する回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
たきなが最初混じらず、旅を経て踏み込む閉店ボドゲ会。
日常の象徴であると同時に、ただの喫茶店としてのリコリコがどんだけ世間に馴染んでいるか、そこにくるみちゃんがサラッと溶け込んでる様子も良く解る。
全体的にアップテンポ、水切りが良くモッタリしない小気味よさを活かして、色んなものを描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
この器用さが、キャラクターの心情と状況を濃厚に描くスペースを作ってもいて、巧さが面白さに直結してる感じがある。
描くべきものをコンパクトに纏め、的確に繋げれてるから、情報量が多いのに素直に入る
山奥の国有地、厳重なセキュリティから垣間見える国家機関のヤダ味とか、その重苦しさにそぐわない、めっちゃ学園モノなリコリス寮の雰囲気とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
親なき子供は国の都合にどっぷりハマってはいるが、他人に嫌味いう人間味はまだ残ってて、機械ではないのだと良く解る。
ここら辺の生っぽい小市民感は、ウザくムカつくと同時に、妙に安心した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
銃弾避けまくり一人FPS、無敵の千束様がリコリス基準でも超人で、フツーのリコリスはあんな無茶苦茶出来ねーんだな、と納得したのと合わせて、作品が描いているものへの納得がより強くなる回だったね。
これを説明ではなく描写として、生き生きした青春の息吹を殺すことなく、テンポ良く紡げていることが、自然と世界観が見てる側に伝わる効果も生む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
そうして納得した設定がキャラの描写を裏打ちして、もっと物語を身近に感じられるようにもなる。
ここら辺の共犯関係が理想的な描き方、動き方しとるね
DA寮のスズメ共が千束を噂する時”電波塔さん”と呼んでる描写が、対テロの奇妙なオブジェと化した歪なタワーと重なって、過去”何か”があって今の奔放な千束になったんだな、と推測できる…とかね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
これは今後効かせてくる描写なはずで、本筋を邪魔するほど重くはなく、しかし静かに刺さる。
一個一個の描写をなんとなくやらないで、『こういう効かせ方しよう、こう受け取ってもらおう』という意思がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
しかしそれが押し付けがましくなく、矢継ぎ早に転がっていく物語の中、自然と感得されるよう工夫されていること…その工夫を極力見せないこと。
巧いし凄いなー、と思う。
ここら辺の小気味よさは、新たに提示された人間関係でも元気だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
たきなの元相棒であり、現ファーストのフキちゃんは、千束と仲良く喧嘩しつつ、寮に残った側、DAの道具として生きる側もまた赤い血が流れてると、良く教えてくれるいいキャラだ。
可愛いねぇ…ぜってぇ死なないでね…。
軽薄に嫌味ぶん回してくるサクラを鏡にして、相手の顔を見つつも簡単には譲らない、『芯のあるヤなやつ』の造形が凄くいい感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
フキちゃんは”普通のリコリス”の最高傑作として、DAの価値観を内面化している。
命令には絶対服従で、守ることより殺すこと、自分の意志より組織の都合が優先される。
それ自体は傀儡の生き様だが、それを選び取った事実にプライドがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
だから、規格外品になってしまったたきなを認める訳にはいかない。
主役を押しのける原理が、感情より信念から出ているのだと、自然と伝わり好きになれる書き方は、大変良かった。
言い争ったり撃ったり殴ったり、してんのにねー
ここら辺はサクラやらモブやらが治安底辺のゴミ煽りを乱打してくれたから、認めはしねぇがそういう事もしねぇフキちゃんの背筋が、よく目立つ形でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
DAの価値観って、その外側に出たリコリコとは間逆なんだけども、単純に否定されるべきものとして描かなかったのは、かなりいいなと思う。
それは説明ゼリフを長々垂れ流すのではなく、DAにも信念を持つ”人間”がいるのだと、かっこよくかわいく描くことで伝わるもんで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
ここら辺は、お礼を言いたいのに言えない元チームメイトの、等身大の善良さからも醸し出されてた。
そこに千束が目を向けてる、一瞬の描写が流石ね。
制服を着た殺戮集団だったDAの内側に入ることで、そこに人間のきたねー部分も尊敬できる部分も、当たり前にあって複雑だということが伝わってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
孤児であるたきなにとって、あるいは寮のリコリスにとって、そこは確かに夢であり光だ。
外に出なきゃ、その異常さは観察できない。
千束は一足先に檻から出て、リコリスのスタンダードからはみ出す(つまり、人間のスタンダードを生きる)ことを選んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
あるいは、”電波塔”を爆心地に選ばざるを得なかった。
うつむくたきなをひょいと抱き上げ、愛と希望を伝える軽やかな仕草には、何かを選び諦めた傷が、微かに滲んでいる。
あそこは気楽に見える千束さまも、色々当たり前に辛い経験があって軽妙を選んでるのだと伝わり、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
そういう体温をゼロ距離で感じ取るから、たきなもリコリコ側の生き方に片足追いてもいいかなと、DAという卵の殻から出ていく決心を固めるのだ。
そういう人情のやり取り、俺ァ好きよ。
行きの電車じゃ拒絶していた飴玉を、手ずから受け取って飲み込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
甘い希望、人間らしい喜び、自分で未来を選べる自由。
あの美しい檻の中では得られない、想像することすら贅沢な当たり前に踏み込むには、たきな…全てのリコリスには怖いことなんだと思う。
それでも手を取り、進むことを選んだ。
その決算が拳と銃弾なのが、暴力の現場に身を置くお話に相応しくて、荒々しくも清々しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
あそこで殴っておいたことで、フキちゃんとの関係、DAとの距離感がいい具合にフェアになって、わだかまりが蒸発しているのは、今後お話を見ていく上で結構大事そう。
今回のお話でDAは、敵ではなく隣人なのだと飲み込めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
異質な価値観を持ち、しかしそこにはたしかに人間の情と業と欲が宿って、反発しつつも隣あえる。
では誰が”敵”なのか…つう所を、たきなが追い出される原因の事件が尋常じゃないと匂わせて、上手く未来に繋いでいる。
超AI・ラディアータ(元ネタはEucalyptus radiataか? 基本、ネーミング植物だしな)をクラックして、存在しない空白を作った存在。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
偽りの平和を維持するDAに牙を突き立て、たきなを檻から出した相手は、一体何を企むのか。
ここら辺も、今後大きく転がっていくネタだろう。
まーとにかく、千束さまとたきなの距離が縮まり、真心のある言葉が受け渡されてたので、僕は大変満足です。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
千束さま軽薄に見えて、嘘のねぇ言葉で近づかなきゃいけねぇタイミングでは自分の中から体温ある誠を差し出して、迷える仲間に導きを与えれるの善い。頼れる女(ひと)だ…。
かつての憧れだった明るい部屋から立ち上がって、追い出された場所にある輝きを掴む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
殺戮組織の規格外品が、生き直す一歩目を力強く踏み出す話でもあり、この手応えが巧さを上滑りさせず、確かな見ごたえを生んでもいよう。
やっぱ人間の心と運命が移り変わる様子が、一番おもしれーの!
んで、ただ抱きしめるよりもっと強く、お尻に手を回してグイと高い場所を見せてあげた千束さまが、そういう人生のドラマにガッチリ食い込んでることで、もっと好きになるって寸法よ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
かなり好印象与えるの難しい造形なんだが、現状ほぼ完璧に制御しきってるよなー…そこも凄い。
DA以外を知らなかったたきなにとって、リコリコは不本意に追い出され、流れ着いた仮宿だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
しかし今回、戻れないことを知り、戻らないことを選んで、新しい”家”としてあの暖かな場所がたきなの心に、しっかり食い込んだと思います。
俺ァ殺人サイボーグ”人間”を生き直す話、マジで好きだからな…。
こうして人と人、人と”家”の距離が縮まった後で、どんな幸せと惨劇が待ち構えているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月17日
次回以降がもっと楽しみになる、良い第三話でした。
こういう話をやってくれると、リコリコのヌルい日常にもしみじみ、ありがたみを感じられるわな。
受け取った人生の甘みは、どう少女に響くか。
次回も楽しみ