シャインポストを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
専用劇場満員を果たし、本格的に動きだした直輝とTiNgS。
真に輝くにはまだ足りないと、異能の瞳が捉えた嘘の主は、強がりと弱気を同居させる杏夏だった…というお話。
手応えのある序章を追え、ドタバタコミカルな日常と、セカンドヒロインの内面を掘り下げていく第3話。
直輝がメガネクイクイ言わせて状況を見切り、妙手を打つのにも慣れてきた…つうかそれこそが面白くなってきた、軍師系アイドル根性物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
春の怪物的適性を描き、何かをやってくれそうな気配を高めたところで、《引き立て役》の玉城杏夏が真ん中にやってくる。
サブタイトルの《》はただ嘘というだけでなく、否定し乗り越えるべき固定観念を囲ってもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
過去の失敗から、自分を凡人の引き立て役と押し込めてしまっている杏夏の檻を、それで小さくまとまってしまっているTiNgSの現状を、見抜いてぶち壊す前フリは、なかなかいい感じに刺さっていた。
冒頭、杏夏の悪夢の中で仲間すらのっぺらぼうの怪物になる中、トッカさんだけは悲しい瞳を持ち続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
それは杏夏が、どんだけトラウマになっても、自分を誰よりも求めてくれるファンの顔を、忘れることが出来ない少女だ教えてくれる。
作った天然ボケの奥で、かなり篤い心が燃えてる女なのだ。
第2話で描かれた、思い込みを壊して道/未知を開いていくマネージャーの仕事。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
直輝は杏夏が『自分はこの程度だ』と思いこんでしまっている檻を丁寧に調べ上げて、それを壊す最善手を厳しく打つ。
杏夏は喋ることしか出来ない役、春は天才で出来ない仲間をフォローする役、理王はただただ頑張る役。
そういう役割固定による安定を揺らして、全員がセンターとなりメインMCともなれる、強いアイドルユニットへと羽化させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
トラウマのど真ん中にわざわざ突っ込む荒業は、そういう進化を期待し、そうなれる可能性を信じてのことだ。
これを掴めるよう、直輝は現状観察にしっかり時間を使う。
『ザ・ラノベ味!』って感じのキャラころがしが気持ちいい、肩の力が抜けた事務所の日常。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
学校での三つ編み春が、縦ロールお嬢を間近に置いてキャッキャしてるのが可愛らしい。
俺はゼロ距離で学生アイドルを応援してくれる、舞台に立たない親友枠が好きでな…”ゲキドル”のまこちんとかね。
『自分だけが輝くのではなく、仲間にも目立って欲しかった』と語る春の心に、一点の嘘もないことは直輝の異能で確認済みである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
素だと受け取るにはあんまりに底抜けピーカンな、真っ直ぐ過ぎる春の主人公力を疑わずにすむのに、破幻の瞳がいい仕事してるの、ドルモノつうより現代異能伝奇の文法ね…
春のピュアっぷりに比べると、杏夏も理王も嘘の鎧で自分を守ってるフツーの子で、この健気な強がりもまた、直輝の瞳を通じ僕らに見透かされている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
余計な勘ぐりをして、キャラが背負っている属性や心情を見間違えなくてすむ伝達の確かさとして、主人公の異能を活かしてるのは、凄い話運びだと思う。
記号と感情表現して見えてるものを、100%そのまま受け取って良いというお墨付きとして、直輝の異才が機能して、作品を受け取る姿勢がブレなくてすむのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
これがあるから、杏夏の面倒くせーフリとビビリをどう受け止めればいいか、凄く素直に飲み込める。発明だ。
凡人でなんていたくないから”アイドル”やってるのに、否応なく自分の限界を思い知らされて、欲望を抑え込みながら端っこに立ってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
この現状を周囲も歯がゆく感じ、しかし突破できない壁を、異才と叡智に満ちた主人公が突破する。
そういうカタルシスも、全体構造が把握しやすいので受け取りやすい。
前回はちょっと嫌な同僚に思えた雪音ちゃんが、イノセントな可愛さを暴れさせてた紅葉ちゃんと合わせて、素直にいい子だと解る今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
話の真ん中を支える春の強さをしっかり描いたからこそ、横幅広くキャラを書けるようになった…とも言えるか。
やや濃い口の味付けながら、素朴なツンデレ味でGOOD。
今までのTiNgSのチケット売りから、しばらく帰ってこないと想像してたのが、予想外の見つかり方でアッサリ終わって、ちょっと違う今日が始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
接触系イベントの書き方と合わせて、あそこらへんの描写はコミカルなだけではなく事務所の空気がしっかり伝わってきて、なかなか良かった。
いかにもラノベ味な軽妙さと、不思議に細やかなリアリティの同居、これが入り混じった独特の味が、このアニメの大きな魅力だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
例えば握手会、理王はファンに『頑張ってて良かった』と言われる。
それはつまり、実力を期待されていない裏返しだ。頑張ってるから可愛い、マスコット扱いだ。
獅子を演じつつも、子猫でしか無い自分を何処かで自覚して、それを直視できないから上手くも強くもならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
この杏夏エピソードを超えたら理王様のターンだと思うが、事前に彼女の問題点はひそかに、確実に描かれているのだ。
こういう情報圧縮力が、このアニメ実はかなり高い。
理王が勇なき獅子、計算高い杏夏がブリキの木こり、結構バカであることが今回わかった春が脳無しカカシで、天才マネージャーに魔法をかけてもらう”オズの魔法使い”モチーフなのかな…などとも思ったりするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
あの作品で、魔法使いが旅を終えた怪物たちに使ったのは、ただのペテンである。
ドロシーとともに進む道それ自体が、無いからこそ渇望した願いをいつの間にか叶えていて、オズの魔法はそれを思い出させただけである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
自身は舞台に立たない直輝のやり方も、本当の願いを暴き立て、『絶対ですからね!』に込められた真意に恐れず踏み込んで、目を開かせることにある。
”輝き”が大きなモチーフとなってる(このことも、黄色いレンガ道繋がりでオズモチーフ説を妄想させるけど)この作品、それは透明度の高い夢の色だけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
エゴや弱さから生まれる、ギラついた渇望の光もまた、色んなキャラに宿っていると思う。
無いからこそ求め、届かないからこそ諦めを装う。
このままならない人間の業を描くのに、春はあまりに嘘がなさすぎるキャラだろう。そこが強みだし、可愛げだし、良さでもあるんだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
自分自身に嘘をつき、そのことが”アイドル”に重たい夢/嘘を求めてるファンに応えられない、大きな枷になっている杏夏。
彼女が、ステージの影と光を照らす役だ。
本当は特別でいたいし、期待にも答えたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
そんなギラついた夢はしかし、自分に輝く夢を求めてる”誰か”を悪夢の中でも忘れられない、杏夏の純粋な魂から生まれてもいる。
執着が必ずしも悪いわけじゃないし、純粋であることが万能の鬼札でもない。
春がどんだけ怪物的センター適性を持っていても、他の二人が化けない限りTiNgSは飛躍できないし、仲間にも輝いて欲しい春の願いだって叶わないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
色んな願いと適性を持ったキャラが、それぞれの物語を背負って、お互いに高めあっていく。
群像劇の面白さが、三話にして高まってきた。
春の透明度高いキラキラと、杏夏のちょっと陰ったギラつき。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
それは違うからこそ照らし合って、個性がぶつかるからこそ面白い、ユニットとしての”アイドル”の面白さを照らす。
理王様メイン回で、ここにさらにどんな色が加わってくるのかも、また楽しみである。
理王さまの『出来ないなり頑張ってる姿が売り』『稚拙だからこそ価値がある』感じって、ホントJアイドル特有の魅力で、メイン三人に”ここ”担当がいるの、目がいいなー、って思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
アイドル工場でガッチガチに鍛え上げられて出荷されるK式とはまた違う、未完成を許容する、雛愛づる文化。
杏夏にはそういう拙い可愛げを武器にできる特性はなく、失敗は深い傷として翼をへし折り、トッカさんの重い期待を引き寄せている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
いやー…ガチ恋勢とはまた違う、あまりにも凶暴な純愛をぶん回すタイプのファンで、トッカさんの書き方好きだなぁ。
ああいう狂わせ方、確かに起きるよね”アイドル”…。
それはそうさせるだけの引力が”アイドル”玉城杏夏にある、という証明でもあり、しかし自己否定と抑圧が強い現状、枷にしかなってない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
これをぶち砕き、色んな人の願いを叶えられるTiNgSになるために、メガネクイクイ系マネージャーがぶち込んだのがトラウマ爆破大作戦…と。
一見、直輝が無神経に他人の過去に踏み込んでいるように見えて、杏夏が大事だからこそ伝えられない若造の願いを引き受け、”大人”として鉄面皮を作って突っ込んでると解るよう書かれているので、全員の好感度が上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
杏夏の足踏みも、人間臭さへの共感が強くなる見せ方だしね。
超えるべき問題をこういう筆で書かれると、『誰も悪くね~し、なんとか上手く行って欲しいな…』と思えるわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
キャラを切り取る画角を拡げたけど、心情を捉える深さが弱まったわけではないので、一個一個の描写が上滑りせず、ちゃんと届いている結果でもある。
…やっぱつえーわこのアニメ。
ガワだけ見てると過酷な試練を投げつけてるように見えて、各キャラの抱えてるものをちゃんと描いたから、それをしなきゃ先には進めない必然と納得できんのよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
こういう地固めをしながらサクセスの階段、夢かない己を見つけていく道のりを走ってくれると、しっかりノれてありがたい。
前回当人が気づいていない本当の強さを、マニアやマネージャーが外部から見据えたように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
捻くれた心の奥、嘘に覆われた願いもまた、当人には見えにくいものだ。
そんな覆いをぶち壊すには、荒療治も当然必要で。
それを恐れずぶちかます直輝は、勇気のある人として描かれてる。そこが好き。
こんだけ子供らのケアしてる”大人”も、自分自身の真実には自分で気づけていないはずで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
魔法使いに夢へと飛ばしてもらってる現状を超えて、直輝自身を己の輝きで照らせた時…影になってる願いを暴けるだけ強くなれた時、TiNgSは真実”アイドル”になるのかもなー、って感じがある。
かなりクレバーにお話の構造とかテーマへのアプローチとかを見据えてる話なので、結構いびつな在り方してる直輝を、特権的に見抜き救う無敵の魔法使いとして終わらせない気が済んだよな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
そういう公平な話のほうが、個人的な好みにシックリくる…つう話でもあるけど。
ここらへんへの突破口を拓くのが、絶対アイドルとして天上界でフワフワしてるように見えて、直輝だけには重たい執着と子供っぽさを見せてる螢=ケイ……なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
お兄ちゃんだけには偶像止めて、個人的で強い感情見せてる所、かなり好みなんだよなぁ…ネトつけッ!!!
さておき、自分を諦めることで夢を見なくなった少女が、気づかぬまま囚われてる捨てれない輝き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年7月28日
その嘘を、悪夢のステージはどう暴き、どう壊すのか。
大変良いヒキで、次回も楽しみであります。
これが機能すんのも、今回で杏夏のことが解り、好きになったからこそだしなー…物語の背筋が強い。