リコリス・リコイルを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
騒がしくも楽しく駆けていくリコリコの日常と、真島の訪問をトリガーにした急転直下が同居する、いつにも増してハイテンポ&ハイセンスな構成。
フツーのアニメなら、Aパートのコメディだけで1話使ってしまいそうな所で、水気を切ってシャープに区切りをつけるのは流石。
同時にただ手早くコメディとシリアスを終わらせたわけではなく、分断され別個の時間だと思われがちな二つが、色んなもので繋がっていることも解るエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
天分は果たして、人の意思や未来すらも決めてしまうのか?
そこからはみ出した”向いていないこと”は、存在する意味がないのか?
うんこパフェで鬼バズりし、リコリコの放埒経営を立て直したたきなの姿が、アバンとラストをはささみ込む形でエピソード(と作品全体)を管理するシンジの傲慢に、上手く否を唱えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
殺戮機械と育てられた少女の意外な才能は、全く狙ってない下ネタが変なウケ方することで、世間に笑顔をもたらす
”才”とされるもの、世間や大人がそれを利用して子供にさせようとすることが、どういう芽生え方をするかは予測できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
思わぬ偶然と微かな願い、不思議な出会いと優しい日常によって、思わぬ花が咲くことだってありうる。
今後千束が残酷に試されるだろう問いかけに、相棒は先んじて笑いで応えてる。
人殺しの人形として、DAで認められることだけを価値だと考えていたたきなは、あの光の中で千束に抱きしめられ、愛に振り回されることで変われた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
そうしてくれた人の大事な場所を守りたいから、銭勘定も頑張るし、新メニューも思いつく。
そのかけがえなさを、千束はちゃんと理解し礼を言う。
ベタベタウザくたきなをからかいつつ、相棒が自分にしてくれることとか、そんな相棒が大好きな自分とか、世界で真実大事なものに対し、千束が誠実なのが俺は好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
あの子は”ありがとう”をちゃんと言うし、胸に刻まれたその思いが、彼女に殺しを許さない。
Aパートが天分と運命なるもの(シンジ的なもの)に対する叛逆の笑撃だったとしたら、Bパートはその厳しさを問う序章だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
”耳”に怪物的才能を持っていた真島も、ふくろうに見守られた子供である。
アランは善悪を区別しない。
善きものと受け入れやすい成果が、ニュースに載って人目につくだけの話だ。
アランチルドレンの大活躍の裏で、謀略や詐術やら脅迫やらの大天才たちもお金と支援を受け取って、人目のつかない所で(それこそ真島のように)その天分を発揮している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
これが隠蔽される世界だという描写は、これまでリコリスを描く筆でも既に示されている。
世の中、嘘まみれなのだ。
怪物的能力に似合わない、千束の幼さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
これまで幾度も、今回も注射をフェティシュに描かれたそれは、自分に命と意味をくれたアランを”善い”組織だと思いたがる。
その純情を愛する周囲の人達は、幼い千束を守るために残酷で、嘘ではない事実を隠す。
その過保護が、何処に彼女を流れ着かせるのか。
リコリコ自体が、天才の自由意志と可能性を認めないシンジ的価値観から、ミカが千束を守ってやるために作ったシェルター…ともいえる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
ぶつくさ悪態付きつつ、補助金まで出しているあたり、DAも心の何処かで非リコリス的な夢を見る”善い”組織なのかもしれない。
そういう存在でも、殺人も隠蔽もするが
千束は不殺の銃弾を手に、暴力の現場に身を置いて現実を見てきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
その上でアランはいい組織で、自分の才能は殺し以外にも使えるという、甘っちょろい夢を見たがっている。
シンジの言う通り、確かにままごとだ。
しかしそのままごとが成立しない世界は、剥き出しの荒野だ。
そんな実相を覆い隠すべくDAはリコリスを使って殺しを重ね、虚実のバランスをとるべく真島は爆弾を握る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
優しい夢と残酷な真実、どっちが見るのに相応しいのか。
期せずして囚われの眠り姫の立場となった千束は、加速していく展開の中でこれを問われるだろう。
サラッとヤサ割って、千束殺すだけならなんとでも出来ただろう真島がわざわざ、その顔を見て声を聞きに来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
鏡合わせのアランの子供達は、相容れぬ哲学を胸に刻むからこそ、相手のことを知りたがっている。
真逆だと納得するほどに、自分のことが世くわかる。
似てる部分をいくつも探していくたきなとはまた違った、千束のシャドウとしての真島の特異性と魅力も、よく見えてくる回だと言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
電波塔事件での、幼い千束の人間離れした破壊の権化っぷり。
かけつけたたきなをあっさりいなし、常識外の体術で消え去る真島のスタイリッシュ。
高速高密度で展開される、チャーミングでコミカルな日常と同じくらい、硝煙香るアクションのキレが良い回で、大変リコリコらしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
千束とたきなが過ごす、いい具合にダイナシ感のある楽しい日常は楽しく愛しく、彼女たちが守りたいものを上手く伝える。
たきなにとってそれが、最初は大して大事じゃなくて、大事にしたいと思っても仕方が分かんないモノだったことが、僕には結構重要だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
そういうのが大事に思える心ってのを、千束はたきなと一緒に過ごす中で思い出させたし、日常と向き合うやり方も教えたのだ。履いて良いパンツとかね。
そのちっぽけでありふれた奇跡こそが、至近距離で放たれた弾丸を避けるよりももっと大事で、素敵な千束の”才能”なんじゃないかと、僕は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
『そんなこと当たり前で、誰にでもできる』と思われるかもしれないけど、そうじゃないから作中も現実も銃弾飛び交い、テロルが横行してんでしょって話よ。
仲間を守ろうとして不器用なやり方しか理解らず、DAを追い出されたたきなが、その生真面目な不器用は変わらぬまま、大事な人と自分の大事なものを守ろうと、必死に頑張って今度は成功できた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
それはシンジやアランが何を企もうと、誇って良い奇跡なんだ。それはもう、しっかり形になっている。
同時にその奇跡は儚い嘘でもあり、必死に守らなければ壊れてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
これを暴こうとしているのが真島の赤色テロルで、リコリスを犠牲に維持しようとしてるのがDAの白色テロルだが、千束たちは謀略が加速する中で、いま出ている以外の答えを選び、示さなければいけない。
問いかけはいつだって、爆炎と謀略で為される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
東京がそういう街だからこそリコリスがいて、それが嫌だから千束はリコリスでなくなった。
『たとえ殺しの機械だとしても、誰かの役に立ちたい』という嘘っぱちを、それでも信じたいから。
しかし、シンジと世界はそれを許してくれない。
黒幕の放った一手が大きく状況を動かして、続きはどんな物語が転がりだすか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
大変気になるところに踏み込んで、次週も大変楽しみです。
この大胆な展開速度を、チャーミングな日常という強みを殺すことなく維持できてるの、やっぱ凄い。
展開と描写の贅肉を大胆にカットして、隙間を詰めつつクリティカルな描写で埋める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
群像の持つ個性や信念、キャラを好きになれる仕草やスタイリッシュな世界、その奥にある矛盾と問。
色々てんこ盛りにしているのに、詰め込まれてる感じがなく個別の味わいが際立つのは、つくづく流石。
個人的な才能に甘えすぎて、脇が甘いという弱点をキレイに突かれた千束だが、凡人だからこその冷静な実務能力、油断しない注意力でたきながそこを補えるの、前半のドタバタキャッキャで既に示してあるの、やっぱキレてんなと思うよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
予感と印象を狙ったところに落とし込む能力が、極端に強い。
これから千束は、シンジに見初められた殺しの才では乗り越えられない課題に直面し、一人では勝てない相手に、彼女自身が救った相棒と一緒に挑んで勝っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年8月22日
銃弾と決意が生み出す答えには、楽しさと説得力が必ず宿ることを、ここまでの語り口が既に示している。
次回も楽しみだ。