アイドリッシュセブン Third BEAT! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
結成一周年の栄光に包まれるIDOLiSH7、反撃の牙を研ぐRe:vale、地の底で這いずるTRIGGER。
三者三様の”アイドル”を生きながら、陽は昇り沈んでいく。
終わることを宿命付けられた世界の中で、何度でも新しく生まれるために、必要な輝きを探して。
旅は続く
そんな感じの第1話冒頭への帰還! 栄光のTRIGGERどぶ板掃除日記、アニナナ三期第19話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
順調に栄光の道をひた走るアイナナちゃんを鏡に、表舞台から締め出され事務所を追い出され、泥の中を這いずるTRIGGERの現状にクローズアップする回である。
ここから最初に繋がんだなー…面白いね。
同時並走でRe:valeが張り巡らせる謀略も描かれて、こっちはこっちで生臭い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
どす黒い欲望を暴走させ、他人の大事なものを平気で踏みにじるカスを相手取る時は、同じように奸智を巡らせなければ勝てない。
正しい目的のために振るわれる、了と同種の賢さがRe:valeにとって、アイドルにとって、毒か薬か
そこを知りたい気持ちもあるが…さてどうなるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
このお話、人間一人の気持ちでどうにかなる(どうにかしなきゃいけない)部分と、どうにもならない大きなもの両方を、結構クレバーに見据えてもいて。
一人間として譲れない大事なものを守るべく、選んだ手筋が間違ってると、冷徹に結果で殴りつける
ヤバさ全開の鷹匡だって、ゼロへの愛ゆえに今壊れちゃってて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
キレイなものは経年劣化して汚れ、理想は現実的な対応の中で壊れていく。
熱力学第二法則が理念や信条にも適応される世界の中で、答えはどこにあるのか。
それを厳しく問いかけ、幾重にも解答を探る話なんだと思う。
(色々地獄絵図もありつつ)キラキラ夢を追えた一期二期に比べ、あまりに現実的な汚れを掘り下げている三期。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
アイドルたちのピカピカな歩みに、現実感を出すウェザリングの重苦しさは、お話が宙に浮かないためには絶対必要な一手だ。
その上で、人間性の泥から咲く輝きにどう、説得力を出すか。
『何度でも始められる』と、全アイドルが言葉にした今回、TRIGGERは事務所のバックアップなしに、自分の足で地面を歩き、再び進み出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
その決断と挑戦が、因縁を引きちぎって咲く花の種として、確かに運命に根を張るのか。
そんな一瞬に至るまでの歩みを、地道に追いかける回である。
影は光と対置してこそ映えるわけで、物語は全国ツアーの華やかで広いステージ…それを携帯の小さな画面で見るしかない天兄から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
アリーナのスケール感を強調したステージングは、ここまでの物語でアイナナが手に入れた栄光を語る。
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第19話から引用) pic.twitter.com/TCWl4czSoD
そこは空疎な偶像が踊る嘘で満ちてて、同時に生身の人間が流す魂の血が宿っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
バックステージで、大和が回想したここまでの歩み。
望まれる輝きを演じつつ、陸が内心燃やしている肉親への愛。
そんな等身大の思いが分厚い仮面の奥から滲んで、誰かの心を震わせる。
何事もほどほどで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
復讐を果たせば辛くなるから、その道具には思い入れしないようにして。
そうやって生きてきた大和が、”ほどほど”を超えて全力で一瞬を駆けようと、仲間に語りかけているシーンは三月ならずジンと来た。
前回MEZZO"を画題に描かれたように、ここが二階堂大和の現在地だ。
名前のない花を贈るしかないTRIGGERの…兄の現在地を遠くに思って、陸はアイナナのセンターとして”MONSTER GENERATiON”を歌い上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
生身の人間として肉親を思う気持ちは彼最大のエンジンで、そんな私情を表に出すことなく、ファンに向き合うにふさわしい”七瀬陸”を演ってる姿は立派だ。
私人としての熱が、隠していてもファンに伝わって特別な体験を生み出す様子は、ステージを切り取る画角としてかなり鋭いと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
等身大の人間を越えた”何か”になってしまう、凶暴で尊いレンズとして舞台は機能する。
それは誰かの夢を演者に引き寄せ、役者の中にあるものを観客に投影する。
当然歪みもあって、勝手に投げかけられたイメージが生身の誰かを傷つけたり、拡大しすぎた幻像が勝手に世間を歩いたり、レンズを操作されて都合よく、危うい幻を流布されたりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
そういう欠陥を抱えつつ、人間はこの幻想のレンズを手放せない。
そこに、綺麗なものがあるから。
このレンズに呪われた一人が鷹匡で、彼はゼロの喪失に砕かれた夢を、色んな人間をぶっ壊しながら拾い集め続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
親を名乗るにはあまりにも情緒不安定で、見捨てられることに恐怖する危うい子供に、天は膝を曲げて寄り添う。
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第19話から引用) pic.twitter.com/dv6LRC58fN
ヒステリックな貴婦人に、甲斐甲斐しく誓いを立てる騎士のようなその姿勢は、”親子”というにはあまりに歪だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
天は鷹匡がどんな自分を望んでいるのか、レンズの向こう側をよく覗き込んで、”TRIGGERである自分”を守る。
完璧なアイドルを作る。
あのときのゼロと自分を超える。
そういう題目を越えてもっと原始的な、愛ゆえにぶっ壊れちゃった自分を誰かに守ってほしい、見捨てないで欲しいという、鷹匡の叫び。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
それを…もしかしたら世界で唯一聞いているのが天で、それ故見捨てられない。
でもTRIGGERである自分も、九条天である自分も譲りたくない。
そんな状況で眉一つ動かさず、柔らかな声色と溢れかえる感情を行ったり来たりする”父”が満足する答えを手渡して、三人仲良しルームシェアという結果を手に入れてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
TRIGGERを捨てる自分は、いつか貴方も捨てる。
優しい脅迫は偽りない信念でもあって、何もかも背負いたい気負いが天の背中を伸ばす
ファンの期待も、義父の妄念も、”アイドル”であることの宿命も、全部背負って気高く立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
生身の人間が目指すにはあまりに危うい場所で、九条天は背筋を伸ばし続けている。
弟ならずとも心配する生き方だが、そのプライドと博愛は立派だ。
九条天の人間部分は、TRIGGERと一緒にメシ食ってケアしよう。
今回TRIGGERが(姉鷺さんも加えて)一緒にメシ食うシーンが多くて、食わなきゃ戦えない生身の人間っぷり、それを孤独に終わらせてなくていい暖かさが確認できた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
姉鷺さんが語る、終わらない夢としてのアイドル。
それが過酷な要求だと当然理解しつつ、ファン代表として押し付け願う永遠。
綺麗で脆い嘘を作り続けるために、何が犠牲になるかをこの話は描き続けてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
永遠なんてどこにもないこの世界で、それでも永遠であるためには何が必要か。
『メシをみんなで食べれること』つうのは、血の通ったいい答えだと思う。
そこから、全部が始まっていくのだ。
そんな命がけの舞台を守るべく、Re:valeも動く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
見せつけるためのいがみ合い、携帯電話と密約で紡がれる包囲網。
裏口から全てを覗き込んでいるつもりの悪党が、見据えているのはどす黒い栄達か、儚い夢か。
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第19話から引用) pic.twitter.com/hAwN5ZGG3C
アイドルキラキラ物語にしちゃあまりに生臭い社会戦だが、”てっぺん”であるってことは、こういう事をこなす責任を背負う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
綺麗な自分を守るために、黙って突っ立ってたら何もかもぶち壊しにされるのなら、根回し密告偽情報、使えるものは何でも使う。
”大人”であるRe:valeの立場と覚悟は分厚い。
こういう腹芸をRe:valeがこなしてくれるから、アイナナまで地べたに堕ちずにキラキラステージで輝ける…つう構図でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
光と闇は背中合わせ、誰かの夢は誰かの呪い。
…なら闇の中醜く蠢いている救えないバカも、光を見上げた瞬間(とき)があったのだろうか?
答え合わせはまだ先だ。
後半はどっしりと、事務所を追い出されたTRIGGERの歩みを追う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
アリーナクラスが当たり前、約束された栄光に浸っていた時代には見えなかった身の丈を、否応なく思い知らされる生身の苦労。
人生を藪を切り裂く先達として、姉鷺頼もしい…
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第19話から引用) pic.twitter.com/CrRuGMqaTK
Re:valeからの派手な選別は、寄る辺ない今のTRIGGERの移動する”家”であり、そこにŹOOĻが威圧的なアド・トラックで寄せてくるのは、とても象徴的なカットだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
そこに、ŹOOĻは乗っていない。
巨大で悪辣なイメージだけが街を走り、移り気な人々はハーメルンの子供のように、幻影を追う。
その虚しい冷たさに圧倒されないよう、姉鷺さんはアイドルをかばう位置で舵輪を握って、進むべき道を指し示す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
マネージャーとして、アイドルファンとしての彼のブレなさが、不安定な状況でもこちらを安心させてくれる楔となってくれた。
こういう描写があるから、TRIGGERは影を抜けると信じれる。
もう一つ、欠かしてはいけない導きの光は、TRIGGERを信じ愛してくれるファンの視線だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
地に落ちたとはいえ綺羅星、再び輝けばその光を求め集う人は多い。
手が届く小さいハコでは収まりきらず、自由に翼を伸ばせるだけのスペースは用意されていないジレンマ。
悩むTRIGGERの現在地を、生身の言葉と温もりが教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
これからどうなっていくのか不安だったファン以上に、彼女を鏡に”アイドル”である自分を確認したTRIGGERの方に、あの路上握手は救いだったのだと思う。
俺たちはまだ、輝きを求められている。
その確信が、男たちの魂を燃やす。
重苦しい曇天、狭い車中。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
失墜したTRIGGER再起の挨拶は、不意打ちで路上から。
三期冒頭に帰還する場面であるが、当時は描かれなかった車の内部にカメラは入っている。
そこは薄暗く湿っていて、奇妙に熱い。
(画像は”アイドリッシュセブン Third BEAT!”第19話から引用) pic.twitter.com/fkLD49PiRZ
『お前らは世間の笑いもの、飛んでくるのは罵声だけ』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
鋭い視線で覚悟を問う姉鷺の、仮面の裏の真心を天は敏感に感じ取って、大事な”嘘”を言葉にしてくれた礼…言わせてしまった謝罪を果たす。
こういうセンサーが異様に敏感なの、九条天の強さで危なさだと思うね…。
永遠を演じ続けること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
姉鷺さんがTRIGGERに求めた”アイドル”の形は、ありえないほど苛烈だ。
そこに寄り添う一人の人間として、憎まれ役ぐらい買って出なきゃ釣り合わないという侠気が、明暗入り交じる舞台の中で眩い。
彼もまた、人生という舞台で”なりたい自分”を演じている。
極度のドルオタである彼がそう出来るのは、どこにもない永遠をそれでも演じようともがく”アイドル”がいてくれるからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
その奇跡を自覚し、TRIGGERに賭けているからこそ、事務所を追い出されてさまよう三人に、人生預ける気にもなったのだろう。
…この人、TRIGGER一番のファンなんじゃないか?
そういう人に見守られ、導かれてるありがたさを噛み締めながら、TRIGGERは顔を上げて影の中に出ていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
雨を凌ぎ、行きたい場所へ連れて行ってくれる”家”に閉じこもっていては、己の存在を世界に吠えることは出来ない。
自分たちの足で迷い、選んだ勝負の舞台は、TRIGGERに何を連れてくるのか。
そんな感じのお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
事務所の手厚い加護、約束された栄光に浸っていては見えないもの…これからのTRIGGERを揺るがず支えるものが何かを、しっかり追いかけるエピソードだったと思います。
こういう泥臭く影が濃い部分を、生身で進んだことがTRIGGERの陰影を増し、新たに生まれ変わらせる。
そういう説得力がある書き方になってたし、なにより姉崎兄貴の人間力が分厚すぎた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
彼が語る”アイドル”はTRIGGERのみならず、Re:valeやŹOOĻやIDOLiSH7が追わなきゃならない夢だ。
全てが終わっていく宿命の中で、ままならない人間の限界をこれでもかと自覚した上で、永遠であろうとする足掻き。
未完成な僕らが神様になろうとする、あまりにも人間的な営為が生み出す輝きと荒波は、色んな人を傷つけ、弄び、闇の中それでも生きていく希望を与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
与えてしまう。
それが奪われたあとの虚無を、どうにか取り戻そうとする無様と切実は、鷹匡見てれば良く解る。
涙がでるほど綺麗なものと、耐え難いほど汚いもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月7日
入り混じって渦を巻くこの舞台で、それでも立ち続け歌う価値があるのは、どんな詩か。
それを叫ぶための強さは、どうすれば証を立てれるのか。
次回、始まりを越えて新たに動き出すステージが、描いてくれるもの。
とても楽しみです。