イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

宇崎ちゃんは遊びたい!ω:第8話『柳と桐も楽しみたい!』感想

 七転八倒モラトリアムの身悶え系ラブコメ、引き続き宇崎家にフォーカスを当てた二期第8話である。
 宇崎と先輩の煮詰まった関係を追いかけつつ、上手いこと柳ちゃんを起爆剤にしてポロッと先輩の内心が表に出たり、それをふっ飛ばすべくタグボートみてぇにガッシュガッシュ泳いでたらド小物な桐くんのプライドを粉砕したり。
 宇崎家メインなんだから当然ではあるが、良い感じのファミリーコメディの新鮮な味わいが出ていて、なかなか面白かった。
 先輩も宇崎も人間が良いので、桐くんの思春期らしい歪さは新しい感じだったな……生々しいクズ感と可愛げがいいバランスで、かなり好き。
 あ、宇崎月はホント自分のニンフォマニア気質を、勝手に家族とか他人とかに投影して認知を歪めて暮らしていくの止めたほうが良いと思います。人生に対して無礼。

 

 つうわけで前回柳ちゃんが持ち込んだ名前呼び爆弾が炸裂し、むき出しの宇崎がむき出しの先輩にぶち当たって、恋の不発弾が見事に炸裂する前編。
 アイツラの恋が進展しないのは周りの目を気にしすぎてるからなので、亜実やら妹やらの視線ガン無視で心情ダダ漏れにせざるをえないくらい、心の内圧が上がっているのは良かったと思う。
 つーか恥や外聞にみみっちく縛られ、なにかとマウント取ったり本心を無視したりしながら転がっていくラブコメなので、率直さは掴み取るのが一番難しい美徳なのだな。
 逆に言えば(榊の慧眼が既に見抜いているように)素直になりゃお話は終わりなので、今回の『お前が特別だからかな……』は、結構大事な一歩だね。
 あ、無言で白米出してパクパクしだす亜実は他者コンテンツ人間のキワミとして、大変面白くて良かったです。絶対自分の半径5mにいてほしくない。

 そこに踏み出すまで時間かかりすぎ……って話なんだが、素直にも強くもなりきれない宇崎と先輩の等身大の恋を、コトコト愉快に煮込んで進めていく足取りはかなり好きなんだよね。
 二期は進展のないじゃれ合いを愛しく見つめつつ、もう一歩踏み込んだ距離に二人を導こうとする物語的努力が結構目立っていて、宇崎家にクローズアップしたのもその一環だと思う。(もちろん話のバリエーションを広げたり、連載を安定軌道に乗せる意味合いもあろう)
 宇崎は身近に驚異がないと、ヤバさを実感して焦ることが出来ないからな……。

 

 んで、思わず飛び出した恋心を先輩がどーするよ! ……って話なんだが、身体をガチガチに追い込んで裸一貫向き合うことから逃げてた。
 流石だシンイチくん……そらー宇崎もキレるわ。
 これでナチュラルに面倒見良くて優しいんだから、宇崎ひとりをヘタレだ脳の恋愛野中学生レベルだの、言うことも出来ない。
 そんな現実逃避に巻き込まれ、ドラゴニックドチンポ見せつけられてなけなしのプライドを砕かれた桐くんは、かわいそうで可愛かった。
 宇崎父ともども、ジムで面識を作っておいていざ彼氏(候補)紹介となった時、『あーあの時の!』って外堀埋めるための、事前工作なんだろうなジム編。
 ”トレーニングジム”っていう、あんま日常アニメで舞台にならないところの、トレーニーじゃない人たちの情景が結構面白く描かれていて、あるあるスケッチとしての切れ味も良かったな、今回。

 喫茶店で宇崎の気持ちを叩きつけられ、真摯に向き合った結果出てきた『お前が特別』は、間違いなく先輩の真実だ。
 でも彼はそれに、まっすぐ向き合えない。
 それが真実を全力で突き出して否定される怖さに由来するのか、突き出すことで宇崎との生ぬるく満ち足りた関係が変わってしまうことへの怖さ故かは……その全部が混ざっているんだろう。
 コンプレックスゆえに迷いから抜け出せない青年が、身悶えしつつ出口を探すモラトリアムのお話として、笑いを交えて一歩ずつ転がってくれてる手触りが、やっぱり好きである。

 とにもかくにも”答え”が一つ飛び出して、宇崎に聞かれたことは……当事者に取っちゃ悶絶モノなんだろうけども、やっぱ良かったと思う。
 筋肉燃やすマスキュラーな現実逃避を終えて、自分の中の真実に先輩が向き合うところまで、お話はどう転がっていくのか。
 そうして思いを告げた時、宇崎花の世界はどう変わるのか。
 そういう結論だけでなく、恋の絶頂に至るまでの迷い道獣道も、また楽しいアニメです。
 次回も楽しみですね。