イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うる星やつら:第8話『転入生、危機一髪…/お別れパーティー危機一髪…』感想

 銀河級のお騒がせが四畳半で暴れる、奇妙奇天烈カオティックラブコメ、ピンクの嵐が吹き荒れる第9話である。
 俺の大好きなタイプの花澤香菜がバッチリハマって、2022のランちゃんも大変火力の強い仕上がりであった。
 制服に身を包み地に足をつけたラムが、日常をかき回し振り回すトリックスターからその一部へと変わりつつある流れの中で、新たに投入された糖衣に包まれし怨念の権化。
 その本性と本意が復讐対象に伝わってない空回りと合わせて、なかなか鮮烈なデビューとなった。
 こうしてラムに強い感情持ってるキャラが出てくると、その天然ボケっぷりが際立っても来るよなぁ……。

 

 

画像は”うる星やつら”第8話から引用

 幼なじみの豹変っぷりにドン引きしとるけど、お前も第1話では急に空から押し寄せガールフレンド付きの少年に無理くりひっつき、電撃ひっかき百叩き、嫉妬を燃やして大暴れするヤバ女だからなッ!
 自分のトボケを横に置いて、振り回す役と振り回される役を話ごと交代しながら続ける、日常系ラブコメという永遠の輪舞曲に、新しく強烈な変拍子が加わった……というところだろうか。
 しっかしこの制服姿でキョトンとしてるラム、かわいいね……。

 今回はランちゃんがこんだけ鬼になる具体的エピソードが薄いので、ラムの当惑に見てる側としては心が寄るけども、そうなるだけのハチャメチャをこの鬼娘、幼なじみに叩き込んでもいるわけで……。
 個性とアクが図太い輩でなければ生き残れない、スーパーカオスな友引町……ヒロイン役もただただ可愛いだけで終わらないことは、ここまでのお話でご存知かと思う。
 俺はセックスへの向き合い方含めて、そこら辺の手触りがツルンとしきってないところが好きである。
 『キスで老いる』って、つまり少年誌ナイズされた吸精行為だろうし。
 サキュバス気取るにしては、ぶりっ子の皮が分厚すぎてアプローチへっぽこなところも、ギャップ萌えの先取りといえる……かなぁ?

 

画像は”うる星やつら”第8話から引用

 そらーこんな爆エモ夕焼けから、荒れた口調で全部ダイナシなハチャメチャ因縁絵図にも落ちていくわ……という、二人の関係性。
 第5話では同じような夕焼けの土手で、あたるとの関係が確かに変化する真心が切り取られていたのに、二人の間柄はまだまだこじれてラムはカマトトぶり、ランちゃんは声帯を荒らすことになる。能登さんに負けっぞ!!
 しかしこうして並べてみると、二人のカラーリングとボリュームバランスの釣り合い、白でラインを取るセンスの良さが際立って、新しい絵面に古いネタを流し込むスタイルが、どういう仕事してるか良く解る。
 どピンクふわふわ髪が重くなりすぎず、必要十分なだけクドいこの感じ、ホント良いところ射抜いたな、って思うよ。

 

画像は”うる星やつら”第8話から引用

 爆発の煙すらピンクに”ブッ”てるランちゃんの、甘ロリ(という言葉すらなく、”ぶりっ子”という死語が斬新新鮮だった時代)満載なふわふわ感と、ラムのシャープなツナギ・パンツスタイル。
 幼なじみとの長いお別れを一人覚悟してきてるラムは正装で、ダーリンは気楽なスカジャンって対比は、ラムがランちゃんのことどう思ってるのか垣間見えて、結構好きだ。
 そのくせ、ランちゃんの分厚い面の皮よりなお図太い、天然の鎧で思いで包んで解り会えないからな……世が世なら、確実に強めの百合をねじ込まれている関係性だと思う。
 どーなんだろうか、当時のファンダムではアツかったんだろうか、”ラムラン”。
 明確なヘテロカプが作中に存在するから、幼なじみであり恋敵でもあり、しかし一方通行で噛み合いきらずでも大事には思ってるネジレは、あんま美味しいネタ扱いではなかったのかもしれない。
 でも今見ると、かなりキテるよなぁこの二人……。

 そして『宇宙船みたいな家』に当たり前のように置かれている、圧倒的に昭和な台所。
 令和うる星、住空間における昭和リバイバルにかなり気合入ってて、なかなかまとめて浴びることが出来ない当時の風俗を過剰摂取できるのは、個人的にはありがたい。
 実際の話、こういう服着てこういうライフスタイルを己に任じていた人ってのは、実際一定数いた。いたのだ……。
 メッセージ人形が自動的に消滅する”スパイ大作戦”ネタといい、あたるの即時発情直結浮気力といい、時代に合わせて牙を抜くより、そのまま刺さるよう色々整えてお出しするスタイルを選んでるのは、挑戦的かつ適切だなぁ、と思う。
 そういや、体操着もブッチギリでブルマだったしな……。
 第6話での”キングコング”ネタと合わせて、『リメイクが現役だからそのままでいいっしょ!』という判断なのかもだけど。

 

 というわけで自慢の科学力を生かして罠を仕掛けるも、あたるの悪運とラムの天然に阻まれ、本懐を遂げられなかった偽装宇宙人はこのまま友引町残留とあいなった。
 二人の関係がこじれる一員となった、宇宙イケメンが星空に吠え、またまたトラブルの種はつきまじ。
 コミック・リリーフ的に使っても、どっしり腰を据えてキャラを掘っても面白い逸材が雁首揃えているお話ですが、まだまだ顔見世すらしていないオモシロ人材は山盛りだ!
 ……フツーのアニメなら半分越えて最終コーナー回ってるタイミングで、まだまだ新キャラ投入終わらないのは凄いよね。
 次回投下される新たな爆弾は、どんな波乱を巻き起こすのやら。
 ラムが制服に身を包んでも収まらない友引町の混沌、来週も楽しみですね。