イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

D4DJ All Mix:第11話『セイナルヨルニ』感想

 クリスマスと年越し、一年の締めくくりに相応しいWライブで駆け抜けるAll Mixクライマックス、まずは一期の主役たちの”その後”を描く聖夜のコラボレーションステージである。
 僕はFirst Mixがすごく好きなアニメなので、この二期も見とるわけだけど。
 Lyrical Lilyをメインに立てて、横幅広く色んなユニットを追いかけることで新しい風をコンテンツに吹き込んできたAll Mixが、最後の最後で『First Mixの続き』としての自分に立ち戻り、ど直球の曲作り根性物語、追いつけ追い越せのアツいDJスポ根を描いて終わっていくのは、凄く良いなと思う。

 一期の回想を多めに盛り込んで、あのお話があったからこそ立ってる今と、その先に待ってる夢へみんなで進んでいくHappy Around!の頑是ない仲良し感、それにヒリつきながら後輩の成長を喜ぶPeaky P-key(つうかしのぶ)の先輩力。
 前回肩の力が抜けたオフショットでは踏み込めなかった、ステージ表現に青春を賭けてる連中の汗と努力を真ん中に据えて、懐かしくも嬉しい空気感を一話使って届けてくれたのは、大変嬉しかったです。
 華やかで刺激に満ちた”Peaky Around!!”を一つのマイルストーンに、豊かな手応えでまとまったこのグルーヴを、最終話Lyrical Lilyがどうまとめあげ、未来に解き放つのか。
 最終話にしっかりバトンを繋ぐラス前としても、とてもいい出来でした。
 一見各話野放図にバラエティ重点と思わせておいて、要素やムードの繋ぎがスムーズ&クリアだから12話/十二ヶ月のセットリストとしてまとまりがあるの、All Mixのとても良いところだと思うね。

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第11話より引用

  というわけで一期の思い出を多数サンプリングした、”First to Next Mix”的な味わいのある第11話。
 前回濃厚な湿度を見せつけた犬寄しのぶが、二人の大事な思い出だからこそこだわりたいクリスマスに向けて、後輩にビシバシ発破をかけまくる。
 後のむにちゃん制止もそうだけど、外面整えて『ピキピキにとって大事な日だから……』みたいなこといいつつ、その奥にはめっちゃ個人的で柔らかい感情が常時震え続けてる所、大変好きよ。
 山手との思い出だから本気でやりてーんだろうが犬寄ッ!
 いやまぁ、四人のピキピキの記念日でもあるのは事実で、そこもしのぶにとっては大事なんだろうけどね。

 一期の音楽スポ根力を一手に担っていた真秀→しのぶラインが再発掘されて、一年分の成長を絶対王者に叩きつけてみろと、期待し信頼すればこその挑戦状が叩きつけられる。
 その才能に悩み涙したこともあった、愛本りんくだけが先に行った思い出の先へと自分を進めるべく、真秀はいつも以上にシコシコ機材に向かい音を並べ、目の下にクマを作っていく。
 明るく騒ぐ時は全力で浮かれつつ、地道にシコシコ音作りするこのお話の描写……その静かな熱量が仲間に伝播し、みんな頑張っていく様子が俺は好きだ。
 一期を経た上での現在地として考えると、自分の本気を受け止めて貰える友達を望んでいた麗ちゃんも、飛び抜けた明るさと軽さが時に衝突を生んでたりんくも、思い出と面倒くささに縛られてきたむにちゃんも、ハピアラとして全力で進む中で、変化し成長している。
 しのぶが焚き付けた本気主義は真秀を通じて仲間に伝わり、最高のステージを作るためにそれぞれの個性を活かして、それぞれが出来る限りの努力をする。
 その熱量が、自分が欲しかったプレゼントに手を届かせていく様子は、このアニメらしい真っ直ぐな透明度に満ちていて、大変良い。

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第11話より引用

 犬寄パイセンが後輩をフックアップする頼れる先輩ムーブを完遂する裏で、大鳴門氏は愛本りんくが好き過ぎて頭がややおかしいLove Crazyっぷりも全力全開。
 俺は愛本が好きすぎる大鳴門が本当に大好きなので、隙あらばねじ込んでくれるAll Mixの姿勢は大変ありがたい。
 しのぶに零距離接触しにいったりんくを止めたのも、世間体だの常識だの後々言い訳するんだろうけども、根っこにはただただその唇を独占していたい”熱”があるんだろうむにちゃん……。
 凄く良いよ、そういうのホント。

 しのぶにしてもむにちゃんにしても、愛する女への激ヤバ感情をずっと抱えたまんま、だからこそ同じステージで隣り合うためにスキルを磨き視野を広げ、より輝く自分になるためのチャンネルを閉じていない。
 誰か一人がすごく好きだからこそ、強く結んだ手の片側で色んな可能性と握手して、自分を前に引っ張り上げれてる描写がこの二人は多くて、執着と成長の奇妙な共犯関係を、強く味わえる所が好きだ。
 犬寄しのぶは成長を促す良い先輩であると同時に、山手響子に強すぎる感情を抱く大きな星で、大鳴門むには愛本りんくとの思い出に強く縛り付けられながら、二人だけの関係で終わらない広い場所へと、スタイラス握りしめて漕ぎ出してもいる。

 大鳴門むにの根源に一生焼き付いてる、幼い日の思い出が新たに描かれたけども、持ち前のフィジカルを更に鍛え上げようとするりんくの”今”と、そんな彼女の輝きを砂場に焼き付けたむにちゃんの”過去”が、憧れの絶対王者と横に並ぶからこそ本気でやるしかない、Happy Around! としての”未来”に繋がってる所が、やっぱ好きだ。
 むにちゃんが白紙のキャンバスに一番最初に描くのは、いつだってりんくの笑顔で。
 そういう特別な誰かがいてくれるから、シコシコ素材作ってVJ頑張ることも、自分にできない輝きに憧れるのではなく、自分だけの光をより強く出来るよう、自分を前に押し出すことも出来る。
 りんくが筋肉師匠たちに鍛えられて掴む動きまくりパフォーマンスとは、また別の表現をステージにまとめて、豊かに広げようとしてる所が、マッシュアップの良さを追いかける『DJのアニメ』らしい描き方でもあって、凄く良かった。

 

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第11話より引用

 温まりきった客席にMCみいこも思わずニッコリ、最高のクリスマスライブで披露される”Peaky Around!!”
 やっぱ生真面目な努力の成果物として、良い楽曲と華やかなステージがドドンと叩きつけられる充実感は大きい。
 これを毎回連発する方向ではなく、色々理由つけたりドラマの方を分厚くしたりして、緩急付ける形で魅せてきたAll Mixの描き方は、凄く好きだな。

 途中までは正直『むにちゃん踊ろうッ! ネットに『ハピアラの省エネ大臣』とか書かれちゃうよ!』とか思ってたんだが、光る棒一本最高のタイミングで差し込むむにちゃんらしいパフォーマンスで、全てを納得してしまった。
 憧れつつも自分らしさを見失わず、出来ることをステージ上で自分が果たすべき個性へと研ぎ澄ませていく。
 そういうクリアな視界を一期の物語から手に入れていたから、真秀も焦りに食いつぶされずビートを仕上げ、むにちゃんもダンスパフォーマーではない自分をステージ上で表現できた。
 今回のステージは一期から続く二期として、Happy Around!の”通知表”として、凄く説得力のある舞台だったと思う。
 遠く憧れた場所に手を届かせるのに、誰かのコピーになる必要はないんだよなぁ……。
 こういう結構硬いテーマを、大上段に振りかぶらず楽しく自然と届けてくれる所が、俺がこのアニメ好きなところです。

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第11話より引用

 かくして最高の”二期”を描ききって全部終わったムードが漂うけれども、まだまだ何も終わっちゃいねぇ!
 Cパート冒頭、逆光に少女たちの群像が夢舞台から立ち去っていく微かな寂しさが、リリリリちゃんの思い出いっぱい帰り道に繋がって、そこから一番生真面目な委員長が自分たちが追うべき星を見つけ、皆で見上げるComing Soon……って流れ、大変良かったです。
 一期主役の2ユニットが、一期のムードで曲作りと自分探しに勤しむ今回、これまでの””まとめ”として凄く手応えがあって、だからこそなんもかんも終わりきった感じが自然と出ちゃうんだけども。
 コンテンツも少女たちの物語もまだまだ現在進行系な以上、終わりの先にまだ続く未来へと顔を上げなきゃちゃんと終われないわけで、そういう物語的律動をしっかりリリリリちゃんに芝居させて、彼女たちもまた青春の主役なのだという叙情性をラス前、しっかり盛り上げてきたのは素晴らしい。

 一年間色んな輝きを引き出し、ステージに焼き付けてきた歩みの総まとめとしてカウントダウンライブをやり切り、その先に新たに広がる地平へ自分たちを進めていく。
 二期の中核を担ってきた少女たちが、次回何を見せてくれるかしっかり期待できるのは、今回一期の主役たちが今何処にいて、どう進んできたのかをしっかり教えてくれたからこそだと思います。
 そして、その先へと。
 次回All Mix最終回、大変楽しみです。