ヴァンパイア男子寮 第6話を見る。
ケンカの後の仲直り吸血は燃えるッ!
食欲と愛欲が入り交じる吸血空間恋愛劇、小学生レベルの仲直りモジモジを経ての恋愛リトマス試験紙(メインカップルの気持ちを顕にするためにだけ、作中に存在するワンポイントリリーフキャラのこと。当て馬)投下で、ルカルートまっしぐらッ! …って思ってたら、蓮くんが己の中の獣の血に素直になってきて、まだまだ波乱は続くよ! という塩梅。
吸血秩序を体現する小森が、いちいち主役たちの真心を試すキリスト者的悪魔みてーな立ち回りを続け、物語が発火する燃料を健気に継ぎ足しているのが、なかなかに面白い。
お前は偉いよぉ…仕事してて…。
むせ返るようなロマンティック&エロティックの芳香と反比例して、非常にピュアで真っ直ぐな子ばっかり出てくるこのお話。
『好きピと喧嘩しちゃったぁ~~;;』という悩みを突破していく助けも、超唐突にぶっこまれたサボり&海水浴であり、恋に頑張る友達を間近に見てエネルギー貰うというめっちゃ健気な反転攻勢だった。
性別隠して十数年、『お前、この可憐な桜貝好きだったよな…』と即座に思ってもらえる距離感を維持しながら、神楽坂LOVEを続けている樹里ちゃん、人間強度が高い。
ウジウジ後悔するフェイズが”秒”もなくて、亜音速で助け舟が滑ってくるのは、ストレスコントロールが重視される時代のお話だなーって感じ。
一旦物理的に美人ちゃんとルカくんを引っ剥がさないと、本当は誰の血を飲みたいのか暴き立てる、Hotな展開にはなかなか持っていけないわけで。
愛に育まれ極上のいちご味を宿した、社会一般に高価値とされる異性の血液より、ゲロマズ男子の血以外は飲みたい気にならねぇ、お前以外とセックス(概念)しねぇ! と、ツンツンボーイが自覚するための起爆剤として、舞菜様はやるべき仕事を全部果たしていて、たいへん偉かった。
登場から退場まで、全てが主役のロマンティック燃え上がらせるための薪であったけども、お友達になってくれた美人ちゃんの”勝利”を気高く祝福するその姿は、あまりに美しかった。
あの人マジいい人なんで、恋愛横に退けて友達付き合い絶対続けたほうが良いと思うけど、傍から見てると相当手ひどく便利に使われているのも事実なんで、あのカポーからは離れたほうが舞菜様のためかもしれん…。
作品世界のすべてが合法的にロマンティック&エロティックを過剰摂取するために作られ、あらゆるイベントがその世界律に奉仕して発生する世界で、自分の”好き”に素直に向き合う行動は最高善であり、そのためには何をしたって許される。
それでも舞菜様を勝って当然スカッと吸血種なクズにせず、誰も傷つけないよう傷ついた心を隠すプライドの持ち主にしたの、俺は好きだ。
最後の親友Sのフォローも、大変いい。
小森が(真実の愛によって乗り越えられること前提で)差し出してくる、吸血鬼かくあるべしという規範。
ルカくんは持ち前の純朴でそれを疑わず生きてきたわけだが、今回その価値観軸の中で高値とされている舞菜様との抱擁を、自分の意志で跳ね除けたことで、世界≒小森が押し付けてくる規範ではなく自分の願いをこそ、己の行動基準とする変化を見せた。
これはまー非常に普遍的な、子どもから大人への変化であり、相当尖ったなかよしフォルムに整形されているこのお話でも、スタンダードなBoy to Manはやるんだなー、と思った。
まぁルカくんが頼もしく成長しないと、美人ちゃんが惚れてる状況に疑問符くっつくしな。
久々の吸血は食欲と性欲が背中合わせに張り付いた、エロティックな吸血行為の醍醐味を、たっぷり堪能できた。
どんな年だろうと人間メシは食うわけで、その行為自体にはタブーがない。
何を、どこで、どう食べるかに関しては(人間存在にとって基礎的な行為だからこそ)禁忌が山程あるが、この一般的な行動とドキドキな禁断の果実を組み合わせることで、合法的に禁欲中のガッツキ加減とか、そそり立った屹立が脳髄置いてけぼりに肉を求める暴走加減とか、それを乗り越えて最高のメイク・ラブぶっこむ時の快楽とか、色々合法的に描けるわけだ。
これと可愛い手作りケーキを並列で並べるセンス、イノセントでありながらエロティック…!
テキトーな非常食でもただの友達でもない、選んで齧るボクたちだけの果実として、ケンカの果てに吸血行為を再定義したルカと美人。
『もう”決着(ケリ)”じゃねーの!!?』とアタマの中の誰かが言うが、こっからどんだけこねくり回せるかがラブコメ伝統芸能筋の仕上がりが問われるところなわけで、さんざん無自覚誘惑ブン回して都合よく本命彼ピの胸に飛び込んだ美人ちゃんを追いかけて、蓮くんの獣性が今鎖を解き放つ!
さー、面白くなってまいりました!!
舞菜様の扱いもそうだが、美人ちゃんはうるうるお目々で周りを便利に使いすぎな愛されガール感が強いので、どっかで一発キツいの貰っておいたほうが身のためだと思うマジ。
食欲と性欲が結びついた種族特性の結果、極めておぼこい恋愛で繋がってる美人ちゃんとルカくんが、踏み込めない荒々しく手前勝手な”本気”な領域。
そこに突っ込んでいくのは蓮くんの仕事だよなー、と思いつつ、実は可愛らしい純粋さが最も大事な作品世界において、大人びてしまえば勝ち筋からは外れても行くのだろう。
それでも己の願いのため、作品が求める新たな展開のため、恋心の枷を外した蓮くんは偉いよ…どっからどう見ても、負け犬街道まっしぐらだよ…。
キラキラトキメキ空間の中枢に座すために、主役が何を噛み砕いているか見えても来る、大変面白いエピソードでした。
次回も楽しみッ!!