アリアドネの赤い糸が、時を超えてテセウス達を縛る。
迷宮の奥待ち受ける、怪物の名前は未だ、深い闇の奥。
マジで謎が深まる、時光代理人 英都編最終話である。
こーれで三期日本でやらねぇってなったら、マジ承知しねぇからよー!
つーわけで、始まったときよりワケ分かんなくなって終わったぜッ!
この感覚自体は二期もそうだったので、別に良い…つうか待ってましたなんだけど(謎解きマゾヒストの感想)。
トキと同じ能力を持ち、ヒカルと同じ発想で盤面に上がり込んできたかーちゃんの存在と、最後まで底知れなかったリウ・シャオ、サイキック心停止でおっ死んだかと思ったら最後の最後に蘇ったヴェインと、叩き込まれた謎の量が多すぎる…。
自分なり咀嚼するにしても、引っ掛かりすらない状態で結構な時間放置されそうでもあるので、とりあえずこの感想で足場を作っておきたい。
日本版視聴者の未来がどうなるかは、能力者ならざる僕にはサッパリ判らんが、ついに多重能力者ミステリとしての構造がほんのり見えてきた今、面白くなってくるのはこっからだろうしな…。
…全容が全く見えず、矢継ぎ早に叩き込まれる惨事と巨大感情に振り回されていた時より、もっとスゲェモンがやってくるんだろうか?
少なくとも英都編は、ルックの圧倒的な仕上がりと張り詰めたクオリティに助けられ、新鮮な気持ちで見れたなぁやっぱ。




つーわけで唐突なモデル撮影で死ぬほどイチャイチャし、その眩しさに灼かれたフェイがスパイ稼業から手を引き、ついに父の手がかりに手が伸びたと思ったら、さらなる謎が母親の顔で襲いかかってきた。
いやー凄い…ある程度振り回されるだろうと予測してたが、一話に詰め込む量じゃない急展開がバンッバン襲いかかってきて、なのに各々抱くデカい感情は繊細に描かれていて、最後に”時光”をたらふく食わされた感じがある。
二期見てるから、童話調にグロテスクな真実を隠してねじ込んでくる演出には、かなりガード上がるんだよなぁ…。
ほーんとこのアニメは、残酷な世界で生きていくには柔らかすぎる感性を持ち、だからこそ愛すべき青年たちがマジで傷ついてる表情を書くのが上手くて。
罪悪感に耐えきれず、シャオに仕事降りることを伝える時のフェイとか、急変する状況を飲み込みきれぬまま、ようやく母に抱かれてすごく複雑な感情を抱くトキとか、マージで良い顔している。
因果や心理を操作出来る能力が、各々の思惑を抱えて複数介入している、極めて複雑な盤面に翻弄されつつ、不思議とストンと作品全体は飲めているのは、こういう感情を描く筆があまりに豊かだからだと思う。
何がどうなってるのかは分からないけど、何を感じてるかはめっちゃ伝わるというね…。
時光代理人の始まりを描く英都編、とにかくトキが優しく魅力的な男で、ヒカルがクールな顔の奥でそいつにゾッコンな事が、幾重にも描かれていた。
そういう思い出が山と積まれてるから、ヒカルは自分が課した禁忌を破って運命に介入し、愛する人を死から守る道を探った。
結果としてヴェインは息の根を止められ、彼が「最後」と告げる挑戦は別の道に入ったかに思えるが…唐突にポップアップしてきた新たな運命改竄者の存在が、気楽な予想を跳ね除ける。
いやー…これは間違いなく荒れるよなぁ。
というか既に、かーちゃんに荒らされた獣道をそれと知らず、辿ったからこその物語なのかもしれない。
トキの憑依・過去知覚にしてもヒカルの運命改変にしても、通常のロジックで動いてるミステリの基本ルールを揺るがす、すごく強力な力だ。
一期始めはこれを主役が独占し、力ゆえの縛りと切なさにさんざん翻弄されつつ、小さな救いを掴む物語に見えた。
しかし話が転がっていく内に、複数の能力者が別のプレイヤーとして存在していることが解ってきて、ついにこの英都編の終わり、二人の力を併せ持つ(上に、因縁と動機も一部共有してる)かーちゃんが表舞台に立った。
運命を変え父を救う介入が、いつどの段階から、どの物語を書き換え、トキとヒカルはどの程度、その影響を受けているのか。
あまりに能力が何でもありすぎて、どうとでも可能性を考えられる複雑怪奇な状況が、最終話一気に溢れ出した感じがあり、いやー困った困った…。
かーちゃんと同等な介入力と胡散臭さを感じさせるシャオも、超意味深な暗喩を映画館でチラ見せして、全然底を見せてくれないまんまだしな。
ヴェインの謎めいた蘇生、フェイの失踪と合わせて、マージで訳解んない状況であるけど、俺はなんだかんだ”時光”を信じているので、ここで蒔いた種が芽を出す日を信じて待つ。
ニョキニョキ伸びてくるのは希望の花どころか、怪物めいた因縁と暴力の魔樹かもしれねーが、まーしょうがねぇそういうアニメだガハハ!
まぁ俺が”時光”見続けるのは半分、そういう悪魔の樹に絞め殺されちゃったティエンシーちゃんの遺骸に、一体どんな意味があったのか見届けたいからだけどね…。
英都編でなんらか目鼻がつくとは欠片も思っていなかったが、サブタイ通りより深い闇に突き進んでいく感じになって、あのクソ兄貴がどう生き抜くかを見届ける日は、更に遠くなっちまった感じだ。
ただお家に帰りたいだけだったあの子の死が、どういう意味を持つのかはオメーの生き様に全部乗っかってんだから、もし再登場したら光にしろ闇にしろ、全速力で突き進まねぇと許さねぇからな…。
閑話休題、心理テストの形で投げかけられた問いかけは、結構色んなモノを照らしていたように思う。
トキは「犯人はいない」という彼らしい優しさを答えにしたけど、んじゃあ殺意をヴェインに問われていたヒカルはなんて答えたのか、とか。
森の火災が語学学校消失事件のメタファーであるのは間違いないとして、そこに踏み込まれそうになったワン・チンは何故、対話を打ち切るような対応をしたのか、とか。
「ここに謎がありますよ!」という、かなりわかり易いサインは出てたと思う。
まぁ考えても手持ちの材料少なくて、なかなか答えなんて出ねーんだけどなッ!!
色んな人の因縁の始点になってる、語学学校火災の裏にどんな謀略があったのかは、今後の物語を牽引する大きな謎になりそうだ。
というかなるからこそ、わざわざ特別編を作ってまで事件の輪郭をたどり、重要人物の顔見世をした…って話なんだろうけど、チラ見せなんでぜーんぜん分かんない!
事件の真相はそのまま、トキを捨てた両親の真意にも繋がっていて、明るいペルソナの奥に寂しさを抱え続けた彼が、人間として挑むべきドラマに食い込んでいるのが、これまた複雑である。
ここら辺はもうちょい切開してもらわないと、マジなんとも言えない感じである。
”時光”わっかんねーーーー!(全32話見終わった感想)




そんな鳴き声を上げている間にも、異能と殺意の混合気は危険領域にまで膨れ上がり、スゲー濃度の暴力が一気に押し寄せヴェインが死んだ。
仇を睨むヒカルの瞳がマージで良くて、よくもまぁこんだけの泥を仮面の奥に隠したまま、運命が予定した脚本を唯々諾々と飲んでいたよなぁ…と、改めて思う。
かーちゃんとヴェインが共に求めていた、隠された手記に何が書いてあるかがかなり大事だと思うが、それが判明するより早く、ワン・チンの青い異能が完全犯罪ぶっ込んだからなー…。
いやー、証拠が残らない殺人ってマジで怖いねッ!
もう一人の時光代理人であるかーちゃんが、唐突にヒカルの時空を越えたリベンジに乱入してきた結果、スゲー状況がわかりにくくなって来てもいるが。
かーちゃんとワン・チンは面識があって協力してるのかとか、ワン・チン自身の異能はサイキック心停止でいいのかとか、あの苛められっ子がスーパー精神科医になった裏事情とか、知りたいことは山盛りある。
あとかーちゃんがカンフー強かった理由とかなッ!
やっぱ運命改変なんぞ企むからには、ステゴロ強くなきゃ話にならないわけで、唐突にクンフーマスターに修行付けさせ、メレー技能を強化したのは正しい判断だったねホント…。
ここでヴェインが死んだことで、未来彼にトキが殺される未来は無事回避…と思いきや、思いっきりラストに蘇生したので、全く油断できなくなってしまった。
そもそもあの蘇生が何由来かも、なんの思惑で死を捻じ曲げたかも分かんねぇので、混乱に拍車がかかってる感じも凄い。
ヒカルと思惑が対立する、別の運命改竄者(リウ・シャオ? まだ顔を見せてないプレイヤー?)がヴェインを蘇らせたとすると、「死を超越する」っていう願いを叶えられる存在が別にいるって話になり、トキ生存のための闘いも別の局面に突入するってのが、これまたややこしい。
やっぱ運命改変系ミステリ、変数多すぎて演算難しいよ~。




そういう寝言はさておき、母と会話して一応の決着を付け、自分たちの在り方を我が家に刻んで、トキとヒカルの英都探検は一段落。
…とか思ってたら、フェイは失踪するわヴェインは復活するわ、何も終わってねぇぜマジ!
いやー本当に凄い。
「二秒あれば、サスペンスの盤面はいくらでもひっくり返せる」とは言うけども、それを成立させるだけの緊張感と牽引力をしっかり保って、新たな爆弾をバンバンばら撒いて次なる物語に強引に引っ張っていくの、辛いけど気持ちいい…。
ハイ! 私は時光代理人に夢中です!!(白昼堂々、コンテンツ奴隷宣言)
かーちゃんという新たな介入者が、「これ以上盤面揺らすな」と釘を差してきて、ヒカル自身も自分の能力が時の大河を前に、蟷螂の斧かもしれないことを思い知っての最終話。
何が凄いって、ここはあくまで物語が動き出す前にすぎず、作中最新の時系列ではトキはヴェインにぶっ殺されていることだ。
それをひっくり返すために、さんざん必死にあがいたわけだが…果たしてこの旅が何を生み出すのか、この最終話は全然書いてくれていない。
この未解決こそが、「謎ばっか増えて全然終わってねー!」という印象を、見てる僕らに刻み込む主因だと思う。
そしてその不安は、作り手が狙ったど真ん中なのだろう。
ヒリつくぜぇ…マジ気持ちいい。
というわけで最後に特大の疑問符を連発されて、無事(!?)英都編全8話終了であります。
いやー…なんだかんだ面白かったなッ!
今までの”時光”をおさらいするようなスタートから、華やかな異国で描かれる二人のアーリーデイズも眩しく、不穏なサスペンスも山盛り。
常時バキバキにキマり続ける画作りと、眉目秀麗な男たちが抱え込む巨大感情の連発を、たっぷり堪能することが出来た。
血生臭く悲惨な二期をなんとか乗り越えたことで、”時光”がどういう物語なのか、見てる僕のレセプターが広がっていたのが、楽しく見れた理由かなぁ。
受け身が取れる角度で作品にぶつかるの、マジ大事。
とはいっても二期のダメージは大きく、最初は探り探りの再会だったけども、拡大特別版第1話が、”時光”でやること全部を贅沢に盛り合わせた作りで、心地よい振り返りさせてもらったのは大きかった。
あそこで「ああ、こういう話だったね…」という感覚を蘇らせた上で、異国で紡がれる二人の原点、そこに宿る複雑で巨大な感情をたっぷり味わい、とてもいい気分で見終われた。
やっぱ画面のあらゆる場所、あらゆる瞬間がバッキバキにキマり続けてるの、最高に気持がいいし、本朝の”作画アニメ”ともまたちょっと違ったクオリティのぶん回し方してるの、心の底からシビれるんだよなぁ…。
俺はクールボーイがその硬い殻をぶち破り、特大の熱い感情をぶっ放す瞬間が死ぬほど大好きなので、英都編はヒカルがどんだけトキ大好きなのか、ド濃厚に感じられて大変良かった。
その愛が血飛沫で裏切られた結果、ヒカルは観測者から干渉者へと立場を変えたわけだが、感情を押し殺して必死に運命をなぞる旅路がどのような結果を生み出すかは、三期始まってみないと解らない。
間違いなく超ロクでもないことになる覚悟はできている(”時光”だから)けど、より過酷さを増すだろう残酷と美麗の果てに、彼らの幸せが待っててくれると良いな、と思う。
なんだかんだ、俺はあいつらが好きだし可愛いんだよ…。
トキとヒカルのオリジンを描いてくれたおかげで、この感情が鮮明に蘇ってきたのは、ファンとして凄く嬉しいことだなと思っている。
なんだかんだあいつらは愛すべき奴らで、だからこそ悲劇に負けず幸せになってほしくて、でも複雑に絡み合う因縁や異能、思惑や欲望が、それを感嘆には叶えてくれない。
そういう物語の基本構造が、改めて浮き彫りになる特別編だったと思います。
こっからどういう物語が転がるにしろ、まず日本で放送されることを祈らねーといけないわけですが。
「やっぱ”時光”…マジオモシロッ!」とさせてくれる全8話だったので、続きはマジで見たいです。
心の底から楽しみにしてます、ありがとう!

































