少女終末旅行を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
鉄パイプの上を歩いて、鉄パイプの中を歩いて、食料工場で飯作る。これだけで24分、これが少女たちの終末。
ワリとどっしり話が進む回で、それだけに彼女らの毎日がよく見えるエピソードというか。スナック感覚で死にかける浅はかささと、何かを生み出す穏やかな幸福の同居。
つうわけで、『んぉおおおお! 巨大建造物萌えッ!! 京浜コンビナートに忠誠を誓え!!!』って感じの、鉄パイプむっちゃ組み上がり系廃墟へのフェティシズムが全開になったエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
鉄管がミシミシ軋む音が、空間の巨大さ・空疎さを演出していて好き。つくづく音がいい。
お話としては歩いて飯作って食べるだけの、終末日常系である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
淡々と進む描写の中に、想像力が仇とも武器ともなるチトの特性とか、想像力のなさで相棒をスナック感覚でミンチに仕掛けるユーの浅はかさとか、そんなふたりが凸凹支え合って生きてるコンビ感とか、じわりと光るものがある。
ここ最近メッセージ性の濃いエピソードが続いたので、特に芯なく日常をスケッチする感じは久々だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
描かれてみると、やっぱ終わった世界自体がキャラクターとして猛烈に『立って』いて、そこをウロウロするだけで話がある程度成立してしまう強さを感じる。美意識とフェティシズムに貫かれた空疎。
話のムードとしては第1話と似通った淡々調子なんだけども、話に付き合いキャラを掘った結果、あのときは見えなかったものも見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
チトのユー依存、ほんと凄いな…ユーの『チーちゃんいなかったら秒で死んでる』感も凄いが。弱い生き物が、強さを装ってなんとか生き延びていく、必死な話なのだ。
そういう生臭い足掻きは、あんま表には出ない。のっぺりしたまんじゅう顔、抑揚の薄い声優の名演、無彩色で見せる色合い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
語り口はあくまで冷淡に、終わった世界の可愛い少女を観葉植物のごとく描く。その遠さと、飯を作って必死に生きる姿を切り取る近さが、同居し遠近感を生む。
露骨に食物の形をしておらず、作られ方もまたナチュラルではない芋。でも少女は、それが『異常』だとは思わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
僕らが足場を置く『正常』な世界、終わってない世界なんて、一度も見たことはないからだ。終末旅行だけが、彼女らが選べた『日常』なのだ。複層的な『常』のズレが生む不思議な可笑しみ
遠い彼女たちも、俺らと同じように腹が減り、俺らと同じように料理をする。レーションや芋をそのまま食べていた少女たちが、過去の記憶と文明の名残を駆使して、『食事』を生み出す姿は、コンパクトな希望に満ちている。仲良しで、可愛らしくて、見ていると気持ちがほっこりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
でも、その技術は偶然の産物だ。集落を造り、社会の中で知識を蓄積し、継続させていく人間的文化は、あの世界にはもう無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
ユーとチトがこの後、もう一回料理を作れるかどうかは無明の闇の中だ。そういう刹那的快楽を遠くから見守る寂しさも、暖かさの中に同居している。マッチ売りの少女だなぁ。
嫌いな高所をブルブル震えながら歩き、ずっとプンプン張り詰めていたちーちゃんが、パンを造りながら鼻歌を歌う。自分の指でレーションを造り、食べる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
それが幽き光だと知りつつも、淡々と切り取られる生の喜びは、じわりと温かい。そしてその温もりは、終わりと死を睨んで初めて成立する。
第1話の時点で作品の強みだと感じていた、淡々として怜悧な遠近法が、キャラへの愛着を宿して別の意味を持ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
少女終末旅行『らしい』エピソードが再び、このタイミングでやってくることで、モノトーンの世界で必死に生きてるキャラと、このお話が好きになっている自分を再発見できる話でした。
彼岸と現世、静止した時間のテーマ性を分厚く切り取ったり、廃墟の中で出会う人とのふれあいを描いたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
違う物語を展開されたからこそ、作品のオーソドックスが持つ気持ちよさも新しい色彩で輝く感じだなぁ。『らしさ』は『らしくなさ』にはみ出すことで、初めて武器として機能する感じだ。
次週も直球で勝負してくるのか、はたまた心地よい変化球を投げてくるのか。廃墟と少女と静謐。基本骨子は変わらないながらも、実は色彩に満ちたバリエーションのあるアニメだと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月17日
そこら辺のストイックな欲望が肌で感じられるのは、作品への愛着を強めてくれていい。来週も楽しみです。