呪術廻戦を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
運命の激流に導かれるまま、呪術高専に籍を置いた悠仁。
そんな彼の前に現れた”3人目”釘崎野薔薇は、田舎嫌いの超強火女だった!
都会に出るために呪術師になった。
堂々言い放つ野薔薇の、棘に秘めたる思いとはッ!?
そんな感じの紅一点(血の色)爆誕ッ! 呪術廻戦第三話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
定形を上手くズラしたキャラ造形が魅力的な本作であるが、『一年生唯一の女性』というヌルくなりそうなポジションを、溢れる自信とプライド、飛び交う暴力と俗っ気で軽やかにぶっ飛ばしてきた。素晴らしい…ッ!
俺の虎杖クンにスナック感覚でバイオレンスぶち込んでくるので『オイオイオイ何だこのアマ…』と思っていたが、廃ビルでの闘争、そこで去来する過去がわかるうちに、茨の棘の奥に咲く一輪の志もまた、しっかり見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
ED流れる頃には、軽やかに踊る彼女にもう夢中って寸法よッ!
うめーなマジ…
田舎が持つ閉鎖性、素直にあるがままを受け止められず呪いを生んでしまう人間のどうしようもなさも描かれ、作品の奥行きも広がったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
藁人形を使った類感呪術で祓えるクリーチャー以上に、厄介な呪い。
それは形にならないが人を追い込む、嫉妬と偏見、そして差別なのだな。生っぽくて大事な視線
というわけで、出だしから快調にぶっ飛ば野薔薇Chang。憧れの原宿でキャッチ相手に強く出て、オラオラムード全開ッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
今回はお上りネタで小刻みに笑いも挟みつつ、いい感じに浮かれたムードもあって話が明るい。
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だが俺の虎杖も伏黒もジャガイモ男子なんぞじゃ絶対ねぇゾ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
『下げて上げる』ってのが今回の基本線だと思うのだが、野薔薇から高専男子への視線も、事件が進むにつれてアガっていく。
だから、初対面の印象は”最悪”から開始だ。
虎杖クンは細かいことに執着しない、風通しいい系男子なので無礼な対応もサラッと流すけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
ここまでの激戦で彼の人となりを知ってる身としては、軽く見てくる野薔薇には『何だコイツ…』と正直なる。
その最悪加減がジャンプボードで、こっちも『下げて上げる』作りなのだろう。
しかし最悪なまま終わらせないのがこの話の特色であり特長でして、東京観光に浮かれ倒すハイテンポなギャグの応酬で、思わず笑っちゃう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
『バカだなーコイツら』と微笑んじゃった時点で、真実相手を嫌いになりきることは難しいのだ。
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ピカピカ煌めく原宿の景色から、一気に地獄オーラ漂う廃ビルへ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
ここらへんの緩急…と、憧れの原宿を綺麗に見せておく手際が良い。
後に明かされる野薔薇の回想で、”原宿”は沙織ちゃんの思い出と紐ついた、非常に大事な場所。そこが明るく楽しいものだと書かれていることが、上手く効いてくる。
野薔薇は初対面の虎杖くんに、一線を引いてなかなか馴染まない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
間に先生が立って、”イカレ具合”を確認する廃ビルテストに追い込みつつも、自分を強く確立した彼女は単独行動を取ろうとする。
『呪術は危ない』
身をもって知った忠告も、どこ吹く風だ。
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今回は野薔薇の紹介エピと同時に、虎杖くんの資質を掘り下げる回でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
迫りくる殺意、”何か”に似ているからこその嫌悪。
訓練して乗り越えるべき呪いへの恐怖を、虎杖くんはナチュラルに麻痺させ、誰かのために自分を捨てられる。
生死を達観してる…部分もあるけど、理想と自分の距離が近い印象
誰かのために戦え。正しい死を守れ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
じいちゃんの”呪い”を自分に引き受け、学長との問答で修正した彼は、空虚になりそうな借り物の理想を血肉に変えて、生き死にの現場に自分を投げ込むことをためらわない。
そういう腹の座り方が、特に理由なくあるものなのか、何らかの因果か。
”器”としての資質、異常な身体能力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
主人公特権に思えるものの背景を、今後掘ってくか掘らないのかは先を見なきゃ判らんけども。
とにかく、虎杖くんの精神性は呪いと闘うのに十分なほど異質で、多分偉大である。
”誰かのため”を自分に引き受けれるのは、やっぱ偉いよね…。
さて、そういう英雄性が都会大好きマカロンバクバク女にあるのか、ないのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
ありますよ、そりゃね。
合理を考えた上で、不合理に天秤を動かし武器を捨てる。
ニタニタと嘲笑う卑怯者の目線と、苦悩のすえ己を投げ捨てられる少女の視線。
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呪いのネトネトした視線が”異物”ではなく、人間社会によくある歪みを宿しているのが、なんともイヤで素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
都会の呪いが持つ狡猾さは、そこに住む人達の反射でもある。
人がいなければ呪いは生まれず、人が生きる以上呪いは必ずそこにあるのだ。
それは人知れず”正しくない死”を呼び込み、倫理の天秤を強制的に突きつけてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
我欲に満ちているように思えた野薔薇は、そこで自分を捨て他人を守る”正しさ”を体現する。
理屈はわかっている。でも、それでも。
そういう苦悩を眉間に刻み、”正しさ”に飛び込む気高さが、暴力女から薫る。
それに報いるように、俺達のヒーロー参上! ド外道が突きつけてくる二択の答えは『壁ぶっ壊して、両方いただく』だッ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
この力づくの解決があまりにも正しく、非常にスカッとした。クズの戦術に乗っかる理由、”ミリ”もねーんだよな!
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虎杖くんは運命に愛された主役として、凡人が思い悩む葛藤を横殴りし、正しい…けど普通は掴み取れない正解を、がっぽり稼ぐパワーに満ちてる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
気持ちのいい男だけに良いところ見せらんないと、唸るハンマー吠える釘!
闘い方だけピックアップすると、主役全員敵に見えるな…。
血肉を依り代に、遠く離れた相手とリンクを繋ぎ、傷を共有させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
非常に正統派な類感呪術に”共鳴り”と付けるセンス、凄く好きだなぁ…。
伏黒くんの式もそうだけど、”呪い”って聞いてイメージするモノを素直に、しかしオリジナリティ満載で絵になるまとめ方してくるの、凄く良い。
誰かのために武器を捨て、誰かのために武器を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
そんな野薔薇の不屈は、どこから来たのか。
老朽化して渡れない橋は、地域共同体をまたぐ境界線。
狭い世間で腐り果てた根性が、妬み嫉み誰かを殺す、寒くて暗い地獄橋だ。
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都会と田舎の境界を超えて自分の近くに来た沙織ちゃんを、幼い野薔薇は素直に受け入れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
しかし腐った橋のかかる地域は、勝手なイメージで都会モノを羨み、橋を渡れないよう待ち構え追い出した。
それは怪物の姿にならないからこそ、打ち倒すことも難しい呪いだ。
そういうモノが満ち満ちた場所を呪って、野薔薇は都会へと出てきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
そこに、呪いがないわけじゃない。人がいる場所には、必ず怨嗟が渦を巻く。怪物の苗床は、どこにでもある。
それでも、都会に出たかった。
なぜなら、それは沙織ちゃんが来た場所だから。
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彼女の内面はそのプライドの源泉であり、柔らかな優しさの宿る場所なので、出逢ったばかりの虎杖くんには話さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
コミカルに最悪に、エゴイスティックな欲望をぶん回し、それでも清らかに微笑む。あの時の沙織ちゃんみたいに。
一連の流れで、オッサンは少し泣いてしまった…。
野薔薇は田舎が嫌いなんじゃなくて、沙織ちゃんを無形の呪いで殺された事が、それを幼い自分が守れなかったことが許せないのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
東京が好きなんじゃなくて、沙織ちゃんが自分にくれたマカロンとか絵本とか、暖かくて優しいものを忘れていないのだと思う。
そういう、人の温もりを知る人なのだ。
でもそういうモノを表に出して、同情してもらったりいい人だと思ってもらうのは、まっぴら御免なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
野茨の棘の奥にある美しい思い出は、自分の中だけに咲けばいい。
田舎が呪いで汚した沙織ちゃんの美しい部分を、引き継いで忘れないで堂々と生き抜くことが、野薔薇の復讐戦なのだろう。
卑劣な呪いを前に武器を捨てたのは、沙織ちゃんなら子供を見捨てることは、しないからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
優しく絵本を読んでくれて、手作りのマカロンを食べさせてくれた。
そういう人を忘れたくないからそういう人になって、そういう人がやってきた場所に、背丈が大きくなってたどり着いた。
彼女の”東京”での初勝利には、そういう意味があるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
もう二度と、自分の前で”沙織ちゃん”を殺させない。
呪術と闘う道を選んだのは、そういう思いもあるのだろう。そして、それを表には出さない。湿って露骨な共感は、田舎臭くて反吐が出るから。
プライドと優しさのある、立派な女(ひと)だ
共同体の腐れ落ちた橋ではなく、自分の信念で支える橋を超えて、たどり着いた場所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
そこで食べるマカロンは、多分思い出より美味しくない。野薔薇の心にあるものより美味しいものは、多分世界には存在しないのだ。
そういうモノを追い求め、少女は子供を守る。
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かくして即席コンビは無事呪いを祓い、人を守った。試験合格ッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
傍観者にも見える五条先生と伏黒くんが、少年を光の側に戻してあげる描写、好きだなぁ…。
ダークヒーロー達は、あくまで影の中から日常を守るのだ。逢魔が時の境界にも、架け橋はかかっている。
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というわけでご褒美の寿司ッ! たっぷり食べて親睦も深まるぞッ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
ノリがバラバラに見えて、結構呼吸があってる一年トリオの魅力も見えてきて、非常にいい感じ。
伏黒クンノリ悪いように見えて、かなーり友達思いだからな…俺は理解ってるからね!(後方理解者面)
呪いのどす黒い部分を相変わらず滲ませつつ、学友になった三人(+五条先生)が明るく楽しくチャーミングなのは、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
死を約束されていても、過酷な戦いが待ってても。
日常には笑顔があり、人が出逢えば絆も生まれる。
そういう人間の在り方を描いてこそ、それが崩れる怖さも見える。
野薔薇の表層と内面、虎杖くんの特異性などが良く見えるエピソードでしたが、合間合間にこの作品が”呪い”をどう捉えるか、しっかり刻んできたのも良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
それは超自然的な”外部”から侵略するのではなく、人の心が生み出す澱から染み出し、形をなす。
人を苗床に、人を喰うものは生まれるのだ。
墓地それ自体ではなく、墓地を恐れる感情が凝固して、”呪いの廃ビル”が生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
今回の事件の背景は、人間が持っている思い込みや偏見こそが呪いの根幹だということを、しっかり示した。
野薔薇が嫌悪する田舎で、沙織ちゃんを喰ったのもまた、そういう人の業だ。
野薔薇が橋の腐り落ちた場所から出てきたのも、出るしかなかったのも、そういうカルマは祓おうとしても祓えない、扱いの難しい毒だからで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
自分がそれに染まらず、ありのままの沙織ちゃんを憶えていて、その温もりと強さを体現した強く正しい人間になることくらいしか、復讐の手立てはない。
清く正しく、折れずに強くあり続けることは孤独で難しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
偏見に視界を歪めず、世界をありのまま見るためには、資質と鍛錬、あるいはその両方が必要だ。
しかしこの物語に出てくる青年たちは、皆そんな志をしっかり抱いている。親しみやすい造形を、鋼のような倫理が支えている。
同時にどうしようもなく呪いを生み出す人の醜さも、しっかり見据えているからこそ、沙織ちゃんを呪い殺す『田舎にありふれた事件』を切り取るのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
それはいつでも、そこにある。正しくあるように見える呪術師達も、呪いでしか呪いを殺せない。
そういう苛烈な目線と、漆黒のヒロイズムの同居。
それを、刑務所に現臨した呪いとの闘いが、どう炙り出していくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
3人揃った一年生、さてどう肩を組み、どういがみ合うか。
なかなか気になるヒキで、次回もまた楽しみであります。クリティカルな所にビシバシ矢継ぎ早、惜しげもなく物語を叩き込んでくるな…
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ユルい態度の奥に、靭やかな強さと優しさを兼ね備えた虎杖くん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
掟に従順なようで、燃え盛る正義と情愛を隠し持つ伏黒くん。
パンクスの気概の奥に、柔らかな思い出と誇りを抱えた野薔薇。
三者三様の一年、非常に魅力的です。
彼らのアンサンブルもより濃く見れそうで、次回も楽しみですね!
追記 俺はハンサムな女が大好きなのだ。
しかし野薔薇が自分を譲らないハンサムな女なのが、幼い自分から見た沙織ちゃんの輝きを忘れず、自分の身を持って体現した結果ってのが、”継承”すぎてやべぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月17日
自分の芯を他人から借り受け、清廉なる思いで磨き上げていく。
こういう歩みは、虎杖くんとじいちゃんに通じるものがあるね。