イマワノキワ

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サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと:第12話『モニカ、不良になる』感想ツイートまとめ

 学園を離れ訪れた弔慰の祭りで、少女は亡霊と出会う。
 サイレント・ウィッチ 第12話を見る。

 

 

 

 

画像は”サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠し事”第12話より引用

 アニメの末尾を飾るには凄く穏やかなエピソードで、その分美術の素晴らしさがよく分かる回で嬉しかった。
 このアニメいろんな楽しさがあるけど、息を呑むほど美しい異郷の風景を堪能できるのは大きな魅力で、幕引きの前にたっぷり味わえて美しかった。
 今回は夜が主な舞台なので、オレンジ色の灯火が街を満たしている姿がとても素敵で、撮影との合せ技一本だよなぁ…と感じる。

 

 こんだけ学園を舞台に進んできた物語が、ラストエピソードで舞台を外に移すのもなかなか面白いと思うが、第二王子の身の乗り出し方を考えると、彼との関係にフォーカスして終わりたかった…という話なのだろうか?
 能登声の星読みに引っ張られて、秘宝具を巡る小事件に巻き込まれていく展開だが、ゆったりと美しい街を巡る話運びの中、一番力が入っているのは、王子との距離感だと感じた。

 最高の占術士にも見えない謎を抱えた王子と、重たい秘密をまだ明かしてない七賢人は、モニカの性格もあって間合いが遠い。
 微笑ましい「不良」な秘密を共有して、心の通いあった時間を過ごしても、それはお互い明かせない心の壁を超えることはない。

 心を許せばそれが縮まるのか、それとも互いの秘密が邪魔をするのか。
 特別な灯火に照らされ、仮面をつければこそ誰でもない自由な存在に化けれる王子が、一体どんな秘密を抱えているのか。
 1クール話を続けてようやくその輪郭に触れていく回だが、その筆致はあくまで間接的で上品であり、一気に確信に踏み込んで暴き立てるような駆け足ではない。
 その余裕が作品世界をじっくり描き切る筆先にも繋がっているのだが、面白いからこそより真に迫った描写も見たくなり…つまりは二期お願いしますって話なんだが。
 12話使って(多分)メイン攻略対象とこの距離感なの、かなり攻めたお話だよなぁ…次回一気に間合いが縮まるんだろうか?

 

 同時にこの足取り、この画角だからこそ切り取れるものも沢山あって、ピカピカの宝石よりも土に汚れた木の実を、何より嬉しいプレゼントとして受け取るモニカの純粋さが、灯火に照らされとても眩しかった。
 つっかえつっかえでも、そういう気持ちを伝えれるようになった(けど、普段の距離感はやはりぎこちない)モニカの、小さな小さな変化を一個一個しっかり拾い上げていく筆があってこそ、ジュブナイルとしての頼もしさ、ファンタジーとしての繊細な美麗が成立もしている。
 作品の長所だと感じている部分を最後に、たっぷりと味あわせてくれる話運びになったのは、とてもありがたいことだ。

 

 コールラプトンの祭りは、死者への弔意を示す祭祀だ。
 弔いの鐘がなる前は祭りに相応しくガヤガヤ騒がしかったのが、いざ祭りの本分が表に出てくるとスッと背筋を正し、弔いの意思を皆が示す描写がすごく良かったけども。
 そういう場所でモニカが一番に思うのは、やっぱクソ貴族どもに理不尽にぶっ殺されたお父さん…になるのだろう。
 それを思い出すのは事件が確信に踏み込んでからかな、と思うが、死にまつわる祭祀に足を運んで、すぐさまトラウマが発露しないところまでは、モニカも傷が癒えている感じなのかな?
 毎回思い出していては、生き延びちゃった側としては耐えられない…という話かもしれない。

 モニカを人格ボコボコな早熟の天才にしてしまった、父との離別。
 己を亡霊と嘯く第二王子との触れ合いが、そこにどう関わってくるかはとても楽しみである。
 見えない星のミステリと合わせて、彼の謎めいた仕草を紐解いていく後半戦になりそうだが…仮面被らなきゃ立場を捨てた素の自分になれないし、娼家にポケットマネー投げて情報収集してる捻れた賢さは、そういう時間でも消えやしない。
 第二王子を縛る秘密は、ともすればモニカのそれより重たく厄介そうな匂いがある。
 むしろそれこそが、秘密を抱えた二人を引き寄せる鍵…なのか?

 

 モニカが死者を弔むこの祭りで、誰を思い浮かべるかはわかり易い。
 だが己を亡霊とうそぶきつつ、生臭い政治の中心に立つからこそ色々情報も集めなきゃいけない第二王子は、一体誰と出会うのか。
 ここまでチラ見せされつつ、実は全然不鮮明なままの護衛対象の秘密に、ゆったり迫っていくアニメ最終エピソード…になるのかな?

 前後編すごく余裕のある語り口を選んで、あえてこの構成で最後の勝負に出てくるのなかなか凄い。
 ラスト一個前で「出題編」だもんな。
 こういうステップで踊れるからこそ、僕もこのお話に惹きつけられるんだとは思うけど、もうちょい焦った足運びが今のスタンダードではあろう。

 しかしゆったりとした語り口だからこそ、悪党ではあっても悪人ではない偽造おじさんの生き方とか、それがモニカと触れ合う瞬間の微笑ましい眩しさとか、いろんなモノが豊かに描ける。
 ここではないどこかで人が生きる時、どういう色の空気を吸っているのか、一個一個描こうとしてくれるこの作品の良さを、改めて感じる最終話一個前でした。

 

 この穏やかで美しい筆致を、どうまとめ上げてアニメの幕を降ろしていくのか。
 続きを期待する気持ちも大いにありつつ、まずはここまで描ききってくれたことへの敬意を抱きしめながら、最終回を見届けたいと思います。
 次回も楽しみ。