学園アイドルマスター Story of Re;IRIS 第7話を見る。
佑芽ちゃん半月のプロデュース期間を終えて、最強ライバルユニットが本格始動し、決戦と敗北まで一気に駆け抜ける回。
主役三人の一番厄介なオタクが雁首揃えたbegraziaは、イントロ効いただけで「うぉ…すっげぇじん節…」と判る強い楽曲を引っ提げ、圧倒的に勝った。
凸凹はありつつワリと順当に成長を重ねてきたRe;IRIS…特にこの勝負に過剰に入れ込んできた咲季が、負けの苦さをどう飲み干し、新たに立ち上がっていくのか。
終章最初っからかなり強めにアクセル踏み込み、(自分が感じている)学マスらしさを強めに浴びている。




オモシロ集団Re;IRISの顔見世を終えたら、準備期間すっ飛ばし気味に決戦まで一気に駆け抜けていく足取りは、この後描くべきものがまだまだ沢山残っているからこそ疾い。
想定してたよりことねに当たりが強い≒手毬への感情がデカい美鈴に大喜びしつつ、久々に毒チワワの鳴き声を聞き、だからこそ荒れ狂う内心に手綱を付けて負けん気をむき出しにする、闘士の瞳に惚れ直した。
さんっざん情けない地金を見せられたからこそ、今回手毬が見せた強がりはとても尊く見えた…し、咲季の負けっぷりも、らしくないからこそよく刺さる。
敗戦を手毬が評して「今動員できる最高を振り絞って、なお負けた」というのならば、あの”雨上がりのアイリス”は確かに今可能な最善手だったのだろう。
その上で負けるしか無かった相手は、現在と未来をバランスよく見つめている十王Pと、ガムシャラな今しかないがゆえに強い最強の未完成と、未だ底を見せない青い未知で構成されている。
姉の愛と姉への敬意で鍛鉄された、今この一瞬に全てを賭けれる規格外。
「いらない」と告げる未来は視野に入っていないわけではなく、むしろ絶対最強になる(なぜなら、お姉ちゃんがそう言ったから)自分を無根拠に信じ、それを手繰り寄せるために全てを今に注ぎ込む。
後退のネジも、前進のための歯車すら取っ払った佑芽ちゃんの異様な生き様は、それが歪なネジレではなく姉への純情に100%支えられているという透明度で、特別な迫力を出していた。
十王さんは凄くバランスが良くクレバーな印象を受け、生徒によるセルフプロデュースを納得させるだけのヴィジョンがしっかりある。
そんな彼女は、姉だけを追いかけてひたすらに走る佑芽ちゃんの危うさを見てしまうが、それを指摘されても佑芽ちゃんは揺るがない。
このどっしり腰を落とした、余人が立ち入る隙間がない人格の分厚さは、武器なのか傷口なのか。
やっぱ花海姉妹、パッと見より遥かに複雑怪奇(complex)な味がする。
結構、好みの味だ。
十王さんの慧眼が、バイト疲れで万年底辺だったことねのどこに可能性を見出したかとか、手毬の認識とはちょっとズレたところに感情の矛先が向いてそうな、美鈴の本心とかも知りたいけども。
やっぱライバル全員が主人公たちにポジティブな執着を抱きつつ、完膚なきまでに叩き潰すのにためらいがない連中は、存在感があって見てて面白い。
そういう位置にライバルユニットを持っていって、早めにある程度関係性をまとめ上げた主役と照応させながら、勝ったり負けたりの渦を強くかき回していく。
いよいよステージが描かれるようになった最終章、なかなか良い感じにグツグツ煮立ってきてて、大変いいと思う。
勝利に説得力を出す修行シーンを。大胆にカットしてでも問いただしておきたかった、闘い挑む勝つ意味。
今回ラストで手毬が先に投げかけた問いかけを、先取りし変奏しながら十王Pは佑芽ちゃんに問う。
仲良し姉妹が勝ち負けに別れ、片や迷いなく”今”に飛び込み、片や勝ちに執着すればこそ迷っているのは、やっぱり花海姉妹(を話の真ん中に置くこの物語)にとって、勝負なるものがどのようなものかは、かなり大事な課題だからだと思う。
勝ってしまえば終わってしまう物語と、負けたからこそ始まり直す物語。
それを描くべく、花海姉妹が主人公に選ばれてる感じがあんだよなぁ…。




学生の選考会レベルじゃないステージのデカさに一瞬ビビった後「でもスターライト学園もおんなじ感じだったしな…」と、体内のアイカツ酵素を活性化させることで飲み干したけども。
スポットライトも眩しいbegraziaに負けて、先はあんなに表情豊かだった顔を失い、今までぶっ放してきた不屈のストイシズムがネジ曲がる。
むしろ今までの咲季っぽいことを言う/行うのは、ことねが指摘するとおり手毬だ。
なんもかんも後悔ばかりの生きるのヘタクソガールは、敗残を前に次なる勝利を信じ、己と仲間を奮い立たせる。
そこに滲むプライドと決意は、かつて自分の隣に追いついてナメたこと抜かしてきた友達の姿に、魂を灼かれ必死に追いすがったからこそ、手毬の中に宿ったものだと思う。
揺るがず本気で夢を追いかけ、何度負けても挑み続ける。
自分以外にもそういう人間がいるんだと、咲季が教えてくれたから、手毬はここで負けてなお、凹んで立ち止まる時間が無駄だと吠える。
それはユニット爆散の痛みを抱えたまま、トゲトゲ他人に噛みついて前に進もうとしなかった、過去の己を振りちぎる姿勢だ。
それを教えてくれた女が、顔を失い大嫌いなかつての自分と、同じことをしている。
手毬の牙には、愛という毒が確かに塗り込められている。
俺はなんだかんだ手毬が仲間たちのこと好きで、でもそれを上手く言葉にも態度にも表せない、不器用でバカな所が好きだ。
そういううまく行かなさと裏腹に、あの子はNO1アイドルへの道をどうしても諦められないし、そんな欠落を埋めてもらえる誰かと、上手く繋がるのも難しい。
それでも変えられない己の業を強く肯定して、確かに特別な出会いによってちょっとずつ変わって、言い争ったり一緒に笑ったり、楽しい日々を過ごしてきた。
これまで7話描かれてきた三人の時間が、確かに手毬を変えているのだ。
その前に向かって這いずって進む歩みと、負けられない勝負に負けた痛みにうずくまる今の咲季は、さかしまな位置にいる。
それは多分、手毬が好きになれたいつもの咲季とも真逆で、だからあの子はあんなに怒ったんだと思う。
自分の魂を震わせた、どんなに負けても、事実や現実に夢を否定されても、たった一つの願いへ突き進む在り方を、今更裏切るのか。
手毬は未完成で幼いからこそ純粋な祈りを、刃に変えて咲季を切り裂く。
耐え難く逃げ出したあの子に、優しく正しくなんていられない…ただ、月村手毬でいることしか出来ない愚直が、今はとても眩しく頼もしい。
やっぱ一番ヘニャヘニャ人間に見えた女が、愛故にその身を刃に変えて触れるもの皆傷つけ、その切断面から赤い魂の血が流れてる様子を見届けるのが、いっちゃん好きなんだから…。
この燃え盛る赤心…そこに反射している、砕かれてしまった花海咲季らしさを、敗残に耐えきれず逃げ出した咲季はどう取り戻していくのか。
勝利によって何かを失うと、プリマステラの慧眼に予言されていた妹と合わせて、この勝負の”次”が大変気になるところだ。
譲れぬ闘いの後にも…あるいはだからこそ、勝者も敗者も”次”を生きる。
燃え盛る灼熱の”瞬”だけを求めて走った佑芽ちゃんも、耐え難い屈辱をそれでも耐えて”次”に走り出す手毬も、時計の針を巻き戻した…というか、今まで多分経験したことがないタイプの挫折に逃げ出した咲季にも、”次”は来てしまうのだ。
その残酷と希望を掘り下げる尺を残して、最終章の第一コーナー切ったのはなかなかワクワクする。
個人的な見方になるけど、咲季を真ん中に据えたこの物語、真実勝つとはどういうことか、負けないとはどういうことかが、一つの大きなテーマなんじゃないかな、と思う。
鍛えすぎて共感能力のないバトルサイボーグになってはいるものの、咲季が自分を突き動かしてる勝負論…そこに宿るストイシズムとプライドは、何も間違っていない。
元々正しかったからこそ、手毬は彼女に影響を受けて強くなったと、今回最後に示し…その正しさは、今当人から消えかけている。
その状況こそが、改めてより深く、咲季が言っていたことを照らし直す。
あんだけ自信満々で揺らがなかった咲季が、こんだけ追い込まれると結構ハラハラするわけだが、当人の影に深く潜るより早く、手毬が「咲季らしさ」
を借り受けて吠えてくれたのが、結構大きな安心をくれた。
ここまで内面をモノローグしてこなかった咲季が、揺らぎ逃げたくなる矛盾に直面している状況自体が、彼女が確かに”人間”だと教えてくれてかなりいいんだけども。
そんな彼女が己の言動によって、仲間に確かに与えていた強い影響を、手毬は既にこの段階で炸裂させてんだよね。
それは花海咲季って存在が、妹以外の誰かの生き方を確かに変えれるくらい、鮮烈で美しい強さと正しさを、その歪な在り方から迸らせてた証明だ。
手毬は臆病で優しいので、自分が他人を傷つけてしまえる人間であることを、ユニット解散で思い知らされて凄くショックだったと思う。
だから一人でやろうとした彼女が、抱えた寂しさ人恋しさ全部込みで、咲季は隣りにいてやった。
そんな咲季だからこそ手毬は、自分の中に他人を置く怖さ、それが壊れたり離れたりする辛さを乗り越えて、大事な人として自分の中に”花海咲季”を入れたのだ。
その愛がタイムカプセルのように、敗北によって打ち砕かれたものを保存していると、僕は思う(というか信じている)。
そういう善き「らしさ」を、当人手放しても鷲掴みにしている、物わかりの悪いガキは、やっぱ好きなんだ。
こっからのリカバリーをどう描くかが、挑み負け立ち上がり勝つことの意味を問う物語においては、凄く大事なんだと思うけど。
ギャグにしてもシリアスにしても、分かりやすい前フリをしっかり効かせ、ハイスピードな展開を飲み込ませてるこのお話、事前に手毬が「負けること」を危惧してたのが今後どう効くのかは、かなり気になっている。
今まで非人間的なほど己を揺るがせなかった、内言なき咲季がネジ曲がった今、こっから逆転ホームランぶちかますには、手毬のガムシャラな幼さだけでなく、手毬の靭やかな成熟と客観性が絶対必要になる…はずだ。
そこで三人が、それぞれの「らしさ」を持ち寄ってこそのクライマックスだろう。
俺はことねが理不尽な現実に凹まされつつ、もしかしたら夢に向き合えるかもしれない可能性に心踊らされて、チョロく夢なぞ追っている姿が好きだ。
咲季がこのまま似合わねー負け犬の首輪を自分にハメていると、そういうチョロい姿を見れないので大変困る。
何よりどれだけ内側ズタズタでも”姉”であろうともがいた、花海咲季の気高い嘘が俺は好きなので、花海咲季が最愛の妹に負けた程度で、それを手放してしまうのは、あんまりにも寂しい。
そんな結末をひっくり返す前フリも、手毬が丁寧に投げかけて…一体どんな旅を経て、咲季はもう一度立ち上がるのか。
大変良い感じのクライマックスで、次回もとても楽しみです!