燃えろ臨海副都心! 唸れ過剰な刃牙バロ!!
あらゆる場所で対戦ラッシュな、対ありアニメ第8話である。




つーわけで冒頭ちょっと百合っぽい匂いを漂わせた後は、殺気の籠もった視線でお姉ちゃんがてゃ先輩を呑んだり、プロが”気合”入れるために頭から血出したり、異様な尺と濃度でモブが対戦の凄みを語ったりする回だった。
実際に変な棒握ってる選手たちがイカレるのはまぁアリとして、周りデベが立ちしてる連中まで板垣時空に飲み込まれていくの、ドンッドン作品のタガが外れてる感じがあって良い。
今やってる闘いに何がすごいか、当事者に喋らせすぎるとテンポはワリーし集中してる感じ削がれるしで、観戦者が全部喋ってリテラシー上げるのは、まぁバトルモノの情動ではある。
なんだがちょっとクスグッて笑い作る領域を遥かに越えて、クドさそれ自体が異様な熱を宿してしまうレベルの刃牙パロでもって、延々美緒の異常性を削り出していくのは、ホンマに凄い。
これが参照するゲーム画面、アニメに書かれた独自作だったらまた味も(多分悪い方に)変わるんだろうけど、アニメ対ありがやっとるのは今すぐ現実でプレイ可能なスト6で、戦法もテクニックもキャラグラフィックも実在のものだ。
そこに、独自の味がある。
セオリーから外れた波動連射、飛んだときだけ打ってない嗅覚、最後の決めに「やってない」。
禍腐餌悪霊さんもブチギレの、お綺麗に整備されたeスポーツには存在し得ない異常個体は、普段は陰キャのビビリであり、妙なところで異様に図太くなる格ゲージャンキーだ。
その原動力である真っ直ぐな幼さに、何かと考えすぎる綾の成熟がどんだけ切り崩され、ツラがいいし百合の才能もあるけど本人にその気がない、感情のブラックホールにメチャクチャにされてる様子も、濃い展開の中ちゃんと書いてきた。
ああいう救済をポンと手渡せるので、綾もどんどん美緒に狂っていく。
無自覚なので、狂わせてる責任を全く取らないのが残酷だ。
美緒にとって綾は数少ない友達であり、自分の人生飲み込んでいる趣味に同じ熱量で向き合ってくれる、かけがえない同志だ。
そのかけがえなさを自覚できないくらい、美緒はナチュラルで幼い。
そのあどけなさは、いつの間にか格ゲーに熱を失ってしまっていた綾にとっては救いであり憧れであり…一方通行の釣り合わない片恋でもある。
プロゲーマー相手にヒヨッてた美緒にとって、手を握って震えを相殺してくれる綾は凄く大きな存在なんだけど、一足先に大人になってしまった綾には、それじゃ足りない。
自分と同じだけの気持ちを、同じだけの熱と質感で伝えて欲しい、ネジレた純情が、そこには静かに燃えている。
このネジレに美緒が自覚的になったり、綾が解らせたり、そのための唯一絶対の「答え」として格ゲーを書けたのなら、多分物語は終わってしまう。
格ゲージャンキーのイカれっぷりを、ブレーキぶっ壊した過剰で場違いなパロにまじえてパナす独自性の奥には、誰かを強く思う気持ちがなかなか伝わらない、普遍的な青春が豊かに広がっている。
この爽やかで真っ直ぐな構図を、奇妙なヒネクレ方と異様なテンションでゴンゴンぶっ叩いてお出しされる、この作品だけのオリジナリティ。
あらゆる場所でバトルしてる今回は、それが濃く煮出されてる回でもあった。
余計なことを考えすぎてる大人から、一匹の格ゲーキッズに戻ることで、綾は憧れのgekidoに食らいつく。
そのアグレッシブなスタイルは、一生横対戦してた綾の影響が濃く、「こんな場所で”カプ”の匂い嗅ぎたくねぇ~~~」って気持ちになった。
でもま、格ゲーに狂ってそれで通じ合い殴り合い判り合う話なんだから、そらー魂染めた相手の影は、対空釣りと前ステに出るよねぇ~。
セオリーとフレームを煮詰めた理合に、熱と独自性を与える、ライバルへの特別な感情。
それが滲むからこそからこそ、格ゲーはフィクションでもリアルでも面白い。
…アニメでフィクションとリアルが混ざり合う度合いが増えて、なお面白い感じね
綾も美緒も緊張を乗り越え、プロを呑む前のめりで自分らしいプレイが出来ているわけだが、珠樹先輩は対お姉ちゃん意識過剰のまんま、ヒヨッて画面端に沈んでいった。
お姉ちゃんの使用キャラがAKIなの、底が見えず悪辣なキャラ付けにビタっとハマってて、これもリアルとフィクションが混ざり合う面白さだなと感じた。
プロゲーマー達は最初に燃え盛る感情を顕わに、何にこだわって格ゲーやってるか教えてくれたけど、お姉ちゃんがなんであんなに可愛い可愛い妹にあたり強いのかは、さっぱり分かんねぇからな…。
しかしやっぱ女が女に抱く、強い感情から生まれる火花が見れるのは、とても嬉しい。(先輩泣いてはいるが…)
何かにこだわり、頭で考えすぎると指がもつれるのは、格ゲーに限らずあらゆる勝負がそうだろう。
その過剰な賢さを煮えたぎる憤怒で溶かし、剥き出しの自分で対戦相手にぶつかれるからこそ、格ゲーは楽しい。
そのあったまりっぷりが、格ゲーの最悪な部分と繋がっていること含め、無心に夢中になっていく強さ…そうなれない弱さを、グツグツ煮立っていく会場に描く回でした。
異様な闘い方でかき回してくるパンピー相手に、一生ネットでこすられるレベルの昇天芸見せつけるキャラの元ネタがマゴさんなの、「江島先生は格ゲー界隈、本当に好きなんだなぁ!」って感じがする。
クソガキさんと黒美女子学院格ゲー部との因縁も、先鋒・犬井先輩がコナつけて深まって、こっからどう爆裂してくかって感じですが…。
どうあがいても巧さと凄さが伝わりきらない競技に、ガキの頃からズッポリハマって大体言いたいこと判るのは、恵まれた立場だなぁと思ったりする。
しかし百合とヤンキーの相互作用で、解んねぇなりに飲み干せる味に仕上がっているとも思うので、こっからどんだけグツグツさせられるのか…次回も楽しみ!
…やっぱFAVが中の人を務める「殺陣」が、作品が醸し出したい凄みをしっかりゲーム画面に反映させてくれてるのが、相当デカいと思う。
アニメ化、頑張ってくれてとても嬉しいです。