幼女戦記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
前線から離れ、夢の後方大学生活! の中で、今起こっている戦争と、思いの外正気のままの帝国のモラルを説明し、小器用に立ち回るほどに戦争の中心に飲み込まれていくままならなさを見せる回。
いけ好かない主人公を持ち上げギャフンと言わせる緩急が見事で、喋りっぱなのに面白い
今回は細かい所の説明回でもあって、北方と西で先端が開いてなお総力戦概念を手に入れていない帝国上層部とか、超・能力主義が徹底されて九歳児軍人を一切バカにしないどころか、実力を尊重した上で人権を認めてドロップアウトを進めてくれるまともな人間が出てきたりした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
人間が数字でしかカウントされない総力戦を、異世界知識と共感能力に賭けた人格で冷静に証言するターシャ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
それは泥沼と知りつつ実感はできないために、国家全体を地獄まで追い込んでしまった帝国には異質かつ鮮烈な概念であり、それがゆえにターニャは高く評価される。
それが彼女を、望んでもいない前線エリート部隊へと押し上げるという皮肉。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
総力戦という、局所戦でエースがどれだけ勝っても戦況には影響がない、むしろ圧倒的エースが生まれてしまうこと自体が国力の低下を示す状況を、チート無双主人公自体が最初に認識するという皮肉。
加えて、割りと戦況に余裕があるこの状況から、あるのは軍事優性だけで経済や政治力においては劣勢であり、政治的勝利は出血を長引かせた上での早期講和にしかないと、主人公が非常に正しく認識している皮肉。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
皮肉まみれの論文提出であり、表面繕って完璧なプレゼンした結果前線行きというのも皮肉。
内心戦争状況を望んでいないし、自分さえ生き残れるなら帝国の敗北や破滅すら許容できるターシャの文章が、『いかに戦争を続けるか』をスパッと省略し『いかに戦争を続けるか』の部分だけ読まれてしまうのも、また皮肉だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
表面と内実が起こす摩擦が、ターシャの人生をどんどん捻じ曲げていく。
@lastbreath0902 一個目の『いかに戦争を続けるか』を『いかに戦争を終えるか』に訂正。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
それは必然でもあって、戦術レベルを超えた総力戦論が終戦に結びつかないのは、現場(というか個人)レベルでの安寧しか考えていない、上で全体を引っ張るなんぞまっぴらゴメンなターシャの性格ゆえだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
モノローグの多用が巧くその乖離を示している。悠木碧の巧さが光る。
内面を明かさないので、『国家の勝利に挺身する、天晴可憐なる戦乙女』という外面だけが加速し、ターシャの真実に成り代わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
チートで無双な快楽はあくまで皮相であり、その内側には望んでいないのに状況が動いていく困惑と、それが戦争のあらゆる局面に及ぶ狂った喜劇がある。
喜劇。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
嘘つきで鼻持ちならないターシャが、どんどんヒドい目にあっていく様は笑えるし、面白い。持ち上がっては落ち、その先で結果を出してしまうターシャの生き方はまさに喜劇だ。
しかし起こっている事自体は死体と銃弾まみれの悲劇であり、今回の後方劇もまた、悲劇の準備でしかない。
ここでも皮相と内実はスレ違い、連動しながら遠い破滅に向かって進んでいる。地獄行きの列車に乗っていることを知らないまま、乗客は足を引っ張り合ったり、ワンワン喚いたり、人間味を出したりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
近景としての喜劇と、遠景としての悲劇のバランスが良くて、落ち着いている。
ドイツベースの異世界国家なので、すげー偏見モリモリなんだろうなぁと思っていたら、帝国は建前の能力主義を本気で信じ、幼女軍人もしっかり認める倫理国家だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
これもまた、個人的には皮相と内実の摩擦かなぁと思う。
政治はダメダメだが、少なくとも高等教育に於いては素晴らしいな、帝国。
あそこでウーガ大尉の好意に甘えて、後方で暮らしていれば、少なくとも本土侵攻くらいまではターシャは安寧な生活を貪れただろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
しかし彼女の中身は狂ったオッサンであり、帝国軍人としての綺麗事も嘘、内心も嘘、全てウソである。真心は受け止めず、出世コースからは外す。
持ち前の賢しさで瞬間を取り繕った結果、大目的に反する結果が生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
帝国とターシャは正しくシンクロして進んでいて、素直に状況を見定める怜悧さはそこにはない。
それを持っているのは神…では当然なく(彼もこの作品では喜劇役者だ)、俯瞰で見れる視聴者だけだ。
チート主人公の悪戦苦闘すらも笑いだねにして、悲喜こもごもで奮闘/悪あがきと破滅/カタルシスを楽しむ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
それを可能にしているのは、主人公を気持ち悪い爬虫類人間としてちゃんと描き、過度の共感を発生させない演出のパワーであり、つまずきを笑いでくるんで飲み込ませるコメディの巧さだろう。
作品世界でキャラクターが生きる必死さをちゃんと切り取りつつも、一枚幕を置いた安全圏をちゃんと確保し、悲喜劇を楽しめるように仕上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
性格が悪くてIQが高いお話だと、再確認するエピソードだった。素晴らしい。
レルゲンを活用し、主人公の無双のヤダ味を巧く減らしているのが上手い。
来週からはまた戦場でドンパチである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
有象無象の雑兵共がバタバタ死んで、主人公はチート安全圏から成果を出し、それがまたヒドい結果に繋がるのだろう。
喜劇は悲劇、悲劇は喜劇。価値が破綻するニヒリズムに溺れきらず、ターシャの悪戦苦闘を応援したくなるお話を維持しているのは凄いな。楽しみ
そういや、地上兵力と航空兵の連動を提案したターシャは、総力戦のみならず電撃戦も発案したことになるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月27日
ルーテンドルフとグーデリアンの合いの子って、そらチートだわな。ついでにフォードとブラケットも引っ張り出して、国家経営戦略レベルでテコ入れれば…勝っちゃうからダメか。