3月のライオンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
決戦前夜、主人公が兄弟子のおじさんの面倒を見るだけで一話終わり、それがむちゃくちゃ面白く充実感がある。
2クール賭けて積んできたものの成果であるし、作品が捉えているものの豊かさの反映でもあると思う、不思議な展開だ。面白いなぁホント。
零くんは今回、食事を作り服にブラシを掛け寝る場所の世話をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
衣食住の細やかなケアが、弱った身体にどれだけ力を与えてくれるか。三姉妹との交流の中で、その効果を身をもって知ったからこそ、出来る行動だろう。誰かの善意が別の人への優しさに繋がっている感じが、見ていて嬉しい。
とは言うものの、零くんはあかりさんほど余裕を持ってケアできているわけではなく、ワタワタ慌てつつ不格好に世話をする。でも、それがとても零くんらしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
飾らないおうどんには失われた父との思い出が、たっぷり詰まっている。その欠片だけでも、島田さんが自分らしさを守り貫く助けになるはずだ。
主人公をメインヒロインに従え、エピソードの主役に躍り出た島田さんだが、『頼れる兄貴分』というこれまでのペルソナを置き去りにして、弱く脆く、そして強く優しい部分にぐっと潜っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
ここでもやはり『水』が随所にでてきた。薬を飲み込むコップ、胃痛の中の揺らぎなどだ、
窒息するほどの息苦しさのなかで、己を投げ出さずもがく存在。香子がそうであり、零くんがそうであった、陸に上がりきれない、水に適応しきれない半端な生き物たちの連帯。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
島田さんもまた、零くんや他の愛すべき人々と同じように、人生の水に潤され、溺れる存在なのだということを、見せる回である。
というわけで、島田さんのオリジンにじっくりと分け入っていくわけだが、ミキシンのくぐもった声と、シャフトの幻想的な描写力が見事に噛み合い、綺麗で痛ましい映像と仕上がった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
辛い、重い、苦しい。それでも、だからこそ、立ち向かい立ち上がる男の苦闘を嘲笑うことは出来ない。
宗谷の透明な存在感を前に、自称・凡人がどこまで食らいつけるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
それは勝敗であると同時に、勝負に向かう姿勢の話でもあり、だから前夜祭の描写はしっかり描かれる。
あそこで寝床からでて立つからこそ、そんな島田を気遣うからこそ、戦う人たちはただ勝敗を比べているのではないと、僕らに伝わる
そういう強さや尊さがあって初めてたどり着ける頂は、結果だけが全てと見られてしまう険しい山でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
相矛盾したものを全て飲み込み、思いや魂を燃やしてうごめく、将棋という巨大な怪物。宗谷と島田の獅子王戦は、勝負であると同時に作品世界のスケールを見せる舞台でもあるのだ。
ここら辺のおどろおどろしさ、危うさ、尊さはやっぱり、シャフト演出の豊かな語彙があって醸し出されているものだし、シーンごと、エピソードごとの目的にふさわしく、巧く制御されているように感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
ポップなアヴァンギャルドであることが、ドラマと巧く噛み合っている印象だ。
痛みのこもった描写だけではなく、封じ手を回想する頭の中の大爆発とか、いちごちゃんNTRに動揺するスミスとか、笑いで空気を抜くシーンもキレていて、面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
杉田さんをスミスに指定したのはホントドンピシャだよなぁ…あのひょうげた感じに引っ張られて、零くんの可愛げもアップよ、マジ。
傷だらけの亀と、天を高く跳ぶ鷺の闘いは、主役が亀に寄り添っているので高さが強調される。しかし、鷺もまた大きく羽ばたき、嵐に傷つけられながら飛んでいるのだろうということは、『頼れる兄貴』の人間的な痛みを掘り下げた今回を見ていれば、容易に想像はつく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
そして、その想像は裏切られない。
人と人が、誇りと痛みと尊さを混ぜ合わせた血で描くものが棋譜であるなら、来週は棋譜を見る回になるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
零くんと島田さんをじっくり寄り添わせたことで、視聴者的にも思い切り肩入れできる試合になると思う。雷堂さんをどう演出するかも引っくるめて、非常に楽しみである。
