幼女戦記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
ダンケルク上空決戦! というわけで、アンソンおじさんとの血闘を良い作画で終わらせ、203部隊と帝国大勝利ー!いやー長い戦いだったなぁ…かーらーのー!ド・ゴールっぽい人が逃げて史実通り戦争は続くのでしたー!って回。
転生チート知識が役立たずなのが、このアニメらしい
今回の空戦は特にリキが入っており、カメラは動くし美術は美麗だし迫力はあるし、まさに血戦であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
心をなくした聖戦士と化したアンソンおじさんに、一人二人と精鋭たちが剥かれていく状況の中で、トカゲ人間が体を張って部下を守る所は、煽り抜きで感動的だった。
ターシャは色々人格に問題アリと描写されてきたわけだが、203は自分で作り上げ、自分で守った自分の居場所、自分の仲間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
そこに打算があるとしても、実際死地で部下を守り、部下に守られる関係が生まれたのは事実である。冷血トカゲも温かみのある何かを生み出せるわけだ。
それはバッタンバッタン撃墜されるハードな戦いでしか現れない地金であり、英部隊が油断のない精鋭だったのはドラマの温度をあげるうえでも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
撤退判断がとにかく早いところとか、自分の優位を分かっているところとか、強さの描写が地味で巧い。イギリスは箒なんだなぁ。
ホラー映画の怪物のように、無言でのっしのっしと迫ってくるアンソンおじさんの恐怖、一回殺された手筋をトレースして殺してくる執念も、強い圧力があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
あの時は頼りなかったムーミンが、頼れる副官に鍛え上げられて最後の一撃を担当するところも、時間の流れを感じさせて良い。
何度も褒めているけど、とにかく雲と空が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
油絵のように分厚く不吉な雲、3Dで表現されグリングリン動く雲、さまざまな戦雲を駆け抜けながら状況が動く、美しき死のワルツ。
やってることは泥臭い総力戦なのに、空の上だけは特権があるように錯覚できる。主人公の立場とうまく重ね合わせている
かくして激戦をくぐり抜け、勝利の美酒に酔う帝国とターシャ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
しかし共和国だってカカシではなく、これは国家と国家が勝った負けたで条約を結び、地図を書き換えればケリが付く旧時代の戦争ではない。
銃後含めてあらゆる場所が戦場となり、いつ戦争が終わるか判らない総力戦に、全てが飲まれていく
戦争の形態が変わったこと、将軍の植民地撤退がそのまま戦争継続となってしまう未来を、転生者であるターシャだけが知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
しかしそのチート知識は、己の生き様と定めた『組織の歯車であること』によって阻まれ、みすみす祖国と自分の立場が地獄に横滑りしていくことを見過ごすことになる。
局地戦での無双が、総力戦での勝利に結びつかない事実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
このアニメはずっと、主人公が圧倒的に勝つ描写の裏でこれを透かし彫りにしてきたし、最終話一個前、お話が収まりそうなこのタイミングでそれが牙をむくのは、必定でもある。
全力を尽くしてなお届かない無念も、ちゃんと強調されていた。
ターシャが願っているのはあくまで己の平穏。この帝国は転生してきた仮初の宿。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
ダンケルク決戦では盾となった同胞意識が、あくまで表面的でしかない事実、トカゲ人間はトカゲ人間としてしか生きられない事実が、状況を無慈悲に刺す。キャラクターに嘘をつかない、いい展開だ。
銃殺覚悟で飛び出しては、いちばん大事な自分の命は守れない。目の前の安寧に執着し、チート能力を己のために使い潰すのは、浅ましかろうがターシャの生き様だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
だから、そこで踏み込んで運命を変える決断は、ターシャには出来ない。待っているのは資源と人材をすり潰し合う、総力戦の地獄絵だ。
共感から巧みに距離を取りつつ、この話は世界の作り込み、アクションの切れ味、奇っ怪ながら魅力のあるキャラクター、組織と運命がうねるダイナミズムで、視聴者を掴んできた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
その果てにある勝利と団結が、それをもたらした主人公のキャラクター性によって手のひらからこぼれ落ちていく不条理。
この落差の作り方はたまらないし、見事に巧妙だとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
そこに落差を感じるのは、なんだかんだトカゲ人間の努力に共感できるくらい、彼女たちの必死さをちゃんと描いてきたってことだし、その裏にある不完全さも丁寧に描写して、失敗を納得できるよう積み上げてきた、ということだ。
かくして、英雄になれるかもしれない条件を持った転生者は、それ故終戦の英雄とは成り得なかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
終わるべき時に終われない現代の戦争を、あの世界は初めて経験することになる。それは痛みを伴うイニシエーションだ。ダッハウがないだけ少しはマシ…なのかなぁ。帝国、差別はほんと無いからなぁ。
ご丁寧にダキアに穴が開いているので、赤い人達がズルズル滑り込んでくる準備はOKだ。亡命政府が成立し、英国に引っ張られる形でメリケンも乗り込んでくるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
国土と人口、資源で上回られつつ、四方に伸びた戦線を維持し、停戦期を待つ。今回逃した魚は、あまりにも大きい。
その大きさを唯一理解できているターシャは、それを伝える手段を、立場的にも、生き様的にも持ち得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
分かっていて求められない、総力戦というジャガーノート。
それこそがこのお話、真の主役なのかもしれないなぁと思ったりもした。いやはや、非常に面白い。頑張れターシャ!負けるなターシャ!
追記
幼女戦記追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月24日
嬉しくない水着サービスシーンが挟まってたが、あれがナチスの『健全なるローマ的肉体』への異常な執着を皮肉ったシーンだとしたら、なかなかクレバーだなぁと思う。
まぁ読み過ぎだとは思うんだが、ほんとああいうキラキラマッチョ好きなんだよ帝国宣伝省……。