月がきれいを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
カレンダーは一枚進んで風薫る五月、体育祭。気恥ずかしさとそれなりの本気が入り交じる行事のなかで、少年と少女の関係は半歩ずつ擦り寄っていく。
そんな感じの超! 甘酸っぱい青春を超! ど真ん中からどっしり描く、相変わらずの良いアニメだった。光の表現が好き。
スクールカーストや学校内共同体に分裂し、ちょっと居心地が悪いところもあるけど、基本的には日々を穏やかに過ごせる心地よいシェルター。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
このお話は群像劇であり、学校という『場』、そこで展開する中学三年生という『時間』そのものが主役でもある、そんなお話だと思う。
主役にはそれなりの顔が必要であり、抜けるように爽やかな青い空と、林立する色とりどりのテントは鮮烈な青春のアイコンだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
美術がギリギリありそうなラインでしっかり綺麗なのは、作品のテイストを的確に拾っていて素晴らしい。あのテントのデザインが垢抜けているのは、凄く象徴的だ。
前回のお話が川越市街で結構時間を使ったのに対し、今回は空が朝焼けから夕暮れを抜けて星空になるまで、学校の胎内で展開する閉じた一日を追いかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
前回よりも『場』に目が行ったのは、脇目もふらず体育祭を追いかけ続けるカメラが理由なのかもしれない。ありふれた時間にマニアックに切り込む目
ハネテルくんこと小太郎は、赤い鉢巻を普段はつけない。クラスという共同体に巧く馴染めないけど、排斥されるほどでもない彼の立ち位置を、その仕草一つが巧く切り取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
ろまんの猫耳、女子のリボン。鉢巻は共同体の中での各キャラクターのスタンスを表す記しとして、鮮明に機能している。
鉢巻との中途半端な距離感は、見られることへの恥と、見てほしいという自負と呼応している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
読まれたいから書いているのに、恥ずかしいから読まれたくない。親を呼ばないジレンマは、茜ちゃんと触れ合うことで『見て欲しい』の方向へと舵を切っていく。太宰がなんぼのもんじゃい。
父母の目線を拒絶した小太郎くんと、最後の親子のふれあいを素直に受け取る茜ちゃん。発育の段階、自意識の肥大はそれぞれの子供に固有のものであり、同じ体操服、同じ鉢巻を身に着けていても、中身は個別だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
だから、共同体を演じておいて影では『ウケるー』みたいなことも、まぁ起こる。
そこら辺の陰りを描写しつつも、直撃はさせないさじ加減が見事だなと思う。小太郎くんも、陰気な文学青年ながらそれなりにチャンネルが開いていて、話をする友だちもいるわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
今後話しが展開していくうちに、共同体から排斥されるしんどい展開もあるかもしれないけどもさ。
自意識の矛盾に引き裂かれかけている小太郎くんに対し、茜ちゃんはやや幼い。いもの人形は彼女の安心毛布であり、それを親しい人の前ではあけっぴろげに触ることが出来る程度に、彼女に恥の感覚は薄い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
小太郎くんが自意識の檻に雁字搦めにされて、巧く踏み出せないのとは対照的だ。
『恥ずかしいけど走るのが好き!』と、屈託なく笑える茜ちゃんの笑顔で、そんな檻が少し解ける。幼いということ、成熟していないということは、悪いことばかりではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
すべての子供達が幼さと成熟の中間点にいるこのお話では、そういう視点はとても大事で、必要なものだと思う。
小太郎くんの思春期の目は、胸やお尻や鎖骨を追いかける。性が未分化だった時代を通り過ぎて、異物である異性を当然無視はできなくて、立ち位置を決めかね悶える時間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
執拗な視線の描写は、小太郎くんの中のもう一つの距離感も、巧く映像に焼き付けていた。その意識から恋が動くんだから、大事だ。
気恥ずかしさを共有して、男の子と女の子は仲良くなった。ラインで話し合うようになり、お互いの顔と名前を手に入れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
一話一月で進むっぽいこのお話が、どういう歩みで進んでいくのか。そのテンポとペース、語り口を把握することの出来る、良い二話だったと思う。すっぺー、マジ甘酢っぺぇ。最高。
小太郎くんの自意識、茜ちゃんの幼さと無邪気を主眼に入れつつ、クラス内部の色んなカーストやら、各キャラクターのドラマやら幅広く描いていたのも、面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
体育祭という大きなイベントに凝集されるからこそ、普段は分裂し接点がない各クラスタも描ける。うまい使い方だと思う。
中3女子の手先の雑さとか、なんだかんだ行事に頑張っちゃうところとか、細かいアルアルを丁寧にやってくれるおかげで、作品内部の風が生っぽく感じられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
ど真ん中ボーイ・ミーツ・ガールで勝負するからには、そういう解析度をあらゆる手筋で上げていくのは、凄く大事なのだろう。
千夏ちゃんがざっくばらんな無防備良い子で、クラスの男子は二兆人くらい『西尾は俺に気があるな…』と思ってそうだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
いも人形といい傷の治療といい、今回は『接触』が一つのテーマだったんだろうな。触れることに恐れつつ、触りたいと願う年頃。そこには痛みと快楽が同居している。
あと無邪気に好意を寄せるろまんと、まさかのビデオ自宅回収な園田先生な。そっかー、そっかそっかー。(小刻みに頷くマン)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
メインの距離を一歩、着実な足取りで進めつつ、色んな要素をちまちま切り取る横幅もちゃんとあって、見たいものが見れている満足感があります。面白いなぁ。
アニメとしてみると柔らかな色彩と穏やかなデザインに惹かれますが、陸部と一般人の走り方を明確に分けて、『そら早いわ』と動画で納得させる力の入れ方とか、凄く好きです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
茜ちゃんがぽやっとなりがちなので、かっこいいところ見せて甘くしすぎないのは大事よね。
あ、今週も小太郎くんの青春紐シャドーが炸裂していて、繰り返すの大事だし最高だなって思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
気になる女の子との関係が進んで、脳髄の奥からドパっと万能感が吹き出して暴れだすあの瞬間を、久しぶりに思い出したような、すぐに消えてしまったような、そういう気持ちになった。懐かしくて寂しい。
物語の中の青春はもはや遠い輝きかもしれませんが、彼らが体験したことに似ても似つかない、でもどこか似た時代を、僕もあなたも体験してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月13日
そういうオッサンのキモい同胞意識と見守り願望がぐいっと強まる、良いエピソードでした。このアニメは良いなぁ…本当に良い。