イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイドルタイムプリパラ:第17話『アイドル借り物バトルっす!』感想

アイドルタイムプリパラ:第17話『アイドル借り物バトルっす!』
女が去っても祭りは続く、ミミ子の後はグランプリ、前夜祭も盛り上がるアイドルタイム第17話です。
話自体は賑やか楽しい感じで、新世代三人がケツ持ちのパイセンたちと絆を深めるお話。
ダンプリの強みを確認したり、だんだんガァルマゲ一家に馴染んできたみちるを描いたりしてましたが、メインはにのとドロシーの関係構築でしたね。
失われしシオンの幻影を追い求める同士として、アイドル家業の先輩として、ドクズの顔を一切崩さないまま、にのの敬意を勝ち取ったドロシーがたくましいお話でした。


つうわけで、ザックザックと話が進む最近のアイドルタイム。
ミミ子の話は先週綺麗に一段落付いているので、ここら辺でキャラ個別ではなく本筋をすすめるべく、グランプリ開幕と相成りました。
みーちるが増えたし、にのもプリパラに馴染んできたし、そこら辺確認するには良いタイミングだと思う。

しかし何分急なもんで、大会やるにしても必然性みたいなものが薄い。
なので今回は、借り物バトルという形式を借りて先輩・後輩の関係性を補強し、『なんで戦うのか』という疑問を掘っていく話になります。
ドタバタ賑やかで楽しい話なんだが、キッチリにのとドロシーに焦点を合わせ、感情が交流する『芯』があるのはプリパラらしい。

ドロシーは開幕からゼニを要求するゴミクズっぷりで、借り物競争でもズルするし、全体的に性悪で適当です。
この悪逆っぷりは生真面目なにのと相性が悪く、ドロシーがドロシーらしく振る舞えば振る舞うほど、二人の気持ちは離れていく。
それは二人の個性が生み出す必然であり、どっちかが折れて衝突を回避する方向には、プリパラは進んでいきません。

では何を足場に二人が先輩・後輩の敬意を結んでいくかというと、第10話からにのと関係を作っていたシオン。
ドロシーがどんだけ適当で面倒くさいツンデレでも、シオンが好きで大事だって感情には嘘がありません。
他のどんなことに不真面目でズルく見えたとしても、シオンへの好意、三人で積み重ねてきたアイドル活動への熱意だけは本物であり、シオンを前にした時は生真面目な地金が見える。
その思いを感じたことで、にのはドロシーを先輩として尊敬できるようになる、と。


ドロシーを急に『いい人』にするのではなく、クズは当然クズで代わりようがないんだけども、それとは別に本気になれる要素がちゃんとあって、そこににのがたどり着くことで関係が変わるという書き方が、プリパラらしくて良い。
にのがドロシーを『マルっす!』と思えるようになるまでを追いかけることで、ゴミクズ人間の根っこにあるアイドルへの思い、仲間への想いを確認して、そこを足場に『自分もアイドル頑張ろう! グランプリ頑張ろう!!』という気持ちになるまでを描く形ですね。
万事控えめである≒自分を押し出しすぎずに他人を補佐できるドロシーが間に入ることで、自己主張の強い二人も巧く融和できると、控えめに言ってくれているところも良かった。

ドロシーは性悪なくせに寂しがり屋で、しかもそういう自分を素直に出せないキャラだと思います。
シオンのこともさんざん調子に乗って腐しておいて、実物と会えるとなると涙目になってしまう辺り、『お前ホントシオンのこと好きな……』って感じです。俺も好きだよ。
そういう姉の脆さをレオナが誰よりも判っていて、苦笑いしつつしっかりサポートするところも含め、ウェスト姉弟の相補的な関係性を掘り下げる話でした。
ドロシーの不真面目さににのが爆発した時、ハンカチ差し出してケアする描写、そしてそれがその場にはいないシオンの行動と繋がっているあたりは福田脚本らしい奥行きの作り方だった。

ドロシーにとってシオンは頼れる戦友であり、大好きなお姉ちゃん……『水平』な視線で繋がってる関係なわけですが、にのにとってはあこがれの対象であり、『垂直』な視線を向けている相手です。
同じ相手に焦がれつつも、その角度はアイドルとしての経験、シオンとの関係性によって異なっている所、そしてその違いにも関わらず『シオンが好きだ』という感情で共感が生まれるところが、今回はなかなか面白かった。
シオンの実体は今後に引っ張る形で登場しないんですが、『これだけ女たちの感情を引き寄せる魅力があるのだ!』と見せることで、不在なのに存在感が強まる運びだったと思います。
女の子に深編笠貸すところといい、シオンは女にモテすぎるなぁ……そこが良いんだが。


にのの生真面目さとドロシーの不真面目さがバチバチぶつかるのが今回のメインでしたが、ゆいとみちるにも結構な尺が使われていました。
なんだかんだ、後輩の面倒を見る無印キャラの先輩っぷり、そんな彼女たちと気の置けない付き合いをしつつ背中を支えられている後輩を見ていると、嬉しい気分になりますね。
世代間の交流と、導く立場になったかつての主役たちの変化を見れるのは、アイドルタイム独特の喜びかもしれん。

ゆいはソラミと一緒に、ダンプリに潜入。
第6話だとトップたるWithを足場に全体を見渡す感じだったけども、今回はジジイもモンスターも頑張ってアイドルしてるボトムからの描写があって、かなり良かった。
年齢も種族も関係なくバリバリ競い合えている辺り、ダンプリもやっぱ多様性と可能性に価値を置いているようで、お兄ちゃんが色々捕らわれてんだなぁ、と再確認。
ミミ子が一旦舞台から去っていったので、壁になってくれそうなのが現状ショウゴしかいないので、しばらく意地悪なお兄ちゃんでいて欲しいもんだ。

みちるはマジ適当にりんご探しているだけでしたが、ガァルマゲとはすっかり仲良くなったようでした。
外に出れないのでお留守番したり、特訓を見守ったり、ガァルルとピツジがセットで子供っぽくしている描写が、なんか詩情があって良かった。
あと現実世界だとあろみかとみちるの身長差がマジ凄くて、アモラルな空気がどこまで加速するのか不安でしょうがない。素晴らしい。
ミーチルがかなりのガタイでシェイプされてセクシー推しなのは、みちるの身体的コンプレックスの反映なんだろうなぁ……色々難儀な子だ。

最終的には物語要素をたっぷり割り振られたにのが、未来を予言するかのようにキッチリ勝利
ドロレオの声援で最後の一歩が踏み出せる辺り、にのの中でドレシが特別な存在になったのがよく見えて、良い決着でした。
まぁ運動能力の比べっ子になったら、新世代でにのに勝てるやついないから順当ではあるけども。


そんなわけで、グランプリまでの穴埋めといえば穴埋め、前座といえば前座。
賑やかで楽しい、ドタバタとした回でした。
そういう話の中でも、にのに足らなかった『先輩世代への敬意』をしっかり埋め、ドロシーのクズっぷりやシオン好きすぎるっぷり、色んな『らしさ』を笑いとともに描写してくるのは、プリパラだなぁと思う。

ただドタバタで終わらず、にのがドレシの熱量を自分に取り込む形で本気になる過程を描いたことで、グランプリへの道も巧く整備されてきました。
メタ的に読むとにのが勝つターンだとは思うけども、そこにどう説得力を載せるか、はたまた別のライバルに勝たせるか。
何やら企んでるWithの動きも気になりますし、第2回グランプリが楽しみですね。