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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
黄色い薔薇の花言葉は『愛情のゆらぎ』『嫉妬』そして『友情』。
過剰に肥大した自意識が戦友の言葉と師の教えで迷い、ゆらぎ、誠実さに立ち返るまでの歩みを追いかけるエピソード。多々良の青春の千鳥足も心地よいが、花たる女性、それぞれの立ち方が良い。
評価の低い自分を見てくれる、ダンスという競技への興奮。それに出会わせてくれた師・仙石さんへの敬意と依存。まことしずくを適切な位置に戻そうという力み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
色んなものが邪魔をして、多々良の視野が極端に狭くなっているところから物語が始まる。目の良さが武器のド素人が、自分の強みを封じている
今回の試合、多々良の目的はいくつかあって『しずくとガジュをカップリングさせない』『踏みつけにされたまこのプライドを守る』『自分らしいダンスを踊る』などがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
それを達成するためには、実は『多々良が勝者になる』必要はない。『まこが勝てばいい』という真実を、清春は鋭く見抜く。
多々良が失った『目の良さ』を清春が磨き上げ、多々良の迷いを貫通する構図がなかなか面白い。が、清春は感受性の天才であり、言葉選びはド下手だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
そもそも状況がここまで拗れたのも、しずくへの敬意を巧く表現できず、パートナーを傷つけてしまった結果である。天才だからしょうがない。
なので、『しずくをぶっ倒せ』『お前は勝てないし勝つな』『額縁になれ』という清春の言葉は、すぐには多々良には染み渡らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
多々良と共通する『目の良さ』で正鵠を射ぬいてはいるのだが、他人に教えるとなると話は別。ここらへんは仙石さんの指導者としての未熟さにも、通じる部分かもしれない。
頑なになった多々良の精神に正解が染み渡るには、幾つか手順がいる。まこを見ないダンス、ド素人の自分を見ないダンスをあえて踊り、敗北を経験すること。その惨めさを、仙石さんの胸の中で吐き出すこと。しずくと対峙し、彼女の本気、清春への愛情を確認すること。そしてまこと虚神に向かい合うこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
先週は『見られる』自分への喜びに満ちていたダンスホール。今回はそれが覆いになっていろんなものが『見えない』状況から、『見える』位置まで自分を動かしていくお話だといえる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
そういう上がったり下がったりのは、己を見つける時にとても大事だ。体力を削り取られるダンスの厳しさが後押しする。
多々良の天才性、人格の良さを強みとしてちゃんと描きつつ、このアニメは競技経験を絶対的な壁として描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
スタミナ、気位、技術。たたらに足らない武器をしずくもガジュもしっかり備えていて、ヒートが進む度に多々良は削り取られていく。正面からの技の比べ合いでは勝てない。清春の助言は正しい。
では多々良の武器は何か。それを言葉にするのが主人公と直接接触しない、鼻毛石先生だというのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
ダンスに対する誠実さ、パートナーへの献身。ひたむきさと優しさが、『目の良さ』に並ぶ多々良の武器であり、それを取り戻すことで多々良は主人公にふさわしい位置に戻っていく。
踊れる自分に浮かれた後、あまりに踊れない自分に傷つき、多々良は涙する。それはとても大事なことだ。感情の吐き出し場所を先に見つけたことが、泣くに泣けないしずくに多々良が優越する貴重な一手になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
逆にいうと、多々良と仙石にある信頼感を、ガジュはしずくと作れていないのだな。
しかししずくの気位の高さ、競技者としての完成度は、否定しようもなく美しい。長い手足と、震えを押し殺す強い視線。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
誰にももたれかかることなく一人で咲こうとするしずくの『華』を、良い作画がきっちり切り取る。危うく震えつつ、必死に立つ姿があまりに痛ましい。ガジュくんはさぁ~ホントさぁ~
しずくの凛としたプライドは、清春を強く愛するが故だ。高く飛翔する才に置いて行かれたくないという焦り。無視される苦しみ。愛ゆえに思いは空回りし、複雑な関係性はこういう感じになってしまっているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
それを肌で感じたからこそ、多々良はエゴを引っ込め、より善い勝利を目指す決意を固める。
おどおどと控えめで、純真でやさしいまこは、一人咲くしずくとは対極だ。己の背骨でエゴを支えられない、プライドがないようにすら見える弱い華。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
しかし多々良に体重を預けることで、信頼と敬意がまこの中に生まれ、まこなりの姿勢で自ずから立つことを選び取っていく。
リーダーに押し出していく、理想がないこと。それを背負うだけの自負がないこと。そのことが、ガジュとのパートナーシップを破綻させた理由でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
しずくが独力で立とうと踏ん張る中で、まこは己の意志で踏み出し、『ワタシを咲かせてください』と頼る。これも正解を先取りし、優越を取る動きだ。
競技ダンスは一人と一人が自ら立つスポーツであり、同時に接触点から相手の鼓動を感じ、敬意を持って一緒に踊る競技でもある。自尊と依存、敬愛と信頼をオンバランスで踊りきることが、より善い、より多くの人の眼を盗むダンスにも繋がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
まこと多々良は、黄色い花と額縁の前で答えに接触したのだ。
兄相手に自分を出せなかった過去から踏み出し、多々良に新しい自分を引き出してもらう未来をつかもうとするまこ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
清春の不器用な言葉に傷つき、誰の助けも借りずに一人立つしずく。
様々な感情が荒れ狂い、あるいはそれを受けて己も変化する多々良。
感情を切り取る表情の作画が、非常に良かった。
『花の立ち方』という意味では、マリサの強かな自立が若い二人と良い対比にもなっていた。豊かな肉体を強調するドレス、仙石をも翻弄する言動。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
女として、大人としての武器を自在に操り、己の咲きたいように咲き誇る完成形。ああなれば良いわけではないが、一つの答えであるのは間違いない。
青年たちの煮えたぎるような感情と視線が、迷いつつ入り交じるダンスホール。その混迷を一歩先んじて抜け、花と額縁の前に立った多々良とまこは、ダンスホールでそれをどう表現するのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
それを受け、ガジュは、しずくは如何なる踊りでアンサーを返すのか。勝負回にふさわしく、来週は作画が凄く良い
天平杯を追うことで、ダンスという競技が持っているエゴと献身の難しいバランスも、人間ドラマを通して巧く描かれていたと思う。そこに一つの答えが出るのも楽しみだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
マリサの色香でメロメロのエロジジイかと思いきや、鼻毛石先生が凄くダンス好きで、競技にリスペクトあるのが良いんだよなぁ。
人間関係、少年の成長、ダンス競技への取り組み、あるいはそういうものを飛び越えた『何か』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月28日
キャラの内部で渦を巻く感情、その顕れとしての身体をしっかり描くことで、温度は最高に上がっている。色々なものに答えが出るだろう来週、非常に楽しみである。んーむ、やっぱ良いアニメ化だなぁ…。