3月のライオンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
半年間のお休みを経て、帰ってきました盤上の悲喜劇。とは言うものの静かな立ち上がり、男子高校生とオッサンとジジイが、それぞれの居場所でキャイキャイイチャイチャしまくって日が暮れる、それぞれの幸福のお話。
色彩や撮影、フィルタが多様で、目に面白い回でした。
今回のお話は主に3つの場所を行き来しながら進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
零ちゃんと野口パイセン達がキャッキャする科学室、ジジイがいい声でイチャイチャする観戦室、そして棋士が駒で殴り合う対局室。
その3つを繋いでいるのが、ちょっとアナログなTVだってのが、面白い演出だった。温もりが大事なのだ
セカンドシーズンの始まりと同時に零くんも目覚めて、学校に行く。今週は川本三姉妹は出てこない。一期の長い道のりを経て、ようやく手に入れた『家』以外の居場所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
ガキンチョのように目をキラキラさせて、日が暮れるまで遊べる科学室で、物語は進行していく。新鮮な感じがして、とても良い。
臓腑をえぐる勝敗の勝ちを野口先輩は問うけども、今の零くんはそれを笑って話すことも出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
さんざん苛まれ、ゲーゲー吐き戻した戦場が消えてなくなったわけじゃないけども、そことは違う場所に自分を置くことを覚えたのだ。ただのガキンチョとして、ラムネが出来る魔法に目もピカピカ出来る。
そういう変化が、野口先輩の人格に大きく頼っているのは間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
零くんが何も考えない『楽しい』に飛び込んだのとはまた違う、あえてよく知らない領域に飛び込んで、全力で調べ上げ、学び、『楽しもう』とする大人な態度。
異物感よりもワクワクを大事にする心持ちは、ほんとよく仕上がっている
零くんを教師役に導いてもらっているように見えて、話題がやばい方向にスライドするとはと麦茶を出し、ラムネを作り、子供が考え込みすぎないよう『楽しい』を提供してくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
野口先輩は周辺視野が凄く広いし、その強みを適切にイカす方法も知ってる。マジ、人間としてチート。
自分自身も積極的に、将棋という零くんの『楽しい』を飲み込んで、世界を共有しようと努力してくれる先輩たちのありがたさを、零くんは分かっているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
当然分かっている。トイレに行った後の大人の表情を知らなくても、そういうのは肌で伝わるもんで、それを無視できるほど鈍感な子でもない。
零くんはしばらくしたら、画面の中で宗谷と熊倉さんが殴り合ってた場所に飛び込んでいく。野口先輩が感じた『負けて悔しい』を二億倍ほど煮詰めた地獄に、当事者として入っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
その時、今回の優しい共犯関係は少しだけ、息継ぎをする手助けになる。ケーキやラムネのような、人生の甘味。
それは勝負事と切り離された、モニターの外側の世界なんだけども、確実につながっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
零くんが今日、科学を楽しいと思って、赤い世界が暗くなるまで夢中で遊んだこと/遊べたことが、盤上で戦い抜く力になる。そういう場所が川本家の外に広がったのは、やっぱ良いことだなと思った。
テレビ越しの棋戦はただ苦しいばかりではなく、食事休憩で外野がキャッキャできる余力もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
思いっきり気合を入れたケーキ食べ食べ演出は、その強張りが良いアクセントになっていて面白かった。時々ヘンテコで難しいことヒョッコリやるから、このアニメ面白いな。『今日の科学』の筆致とか。
脳みそを絞り出すような、本気の殴り合い。選ばれた者たちの特別な戦いだって、楽しいものだ。それは、凡人達が科学室で、外野の気楽さで騒いでいたのとは違うもので、同時に同じでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
いろんな楽しさがあって良いし、それは一人格のなかで同居すら出来る。そういう人間存在の可塑性を感じる話だ
今回は色彩や撮影、緩急のテンポがほんと色々ある回で、見ていて飽きなかった。序盤の部活コメディから対局場、ジジイのキャイキャイからポエムと、一話の中でジャンルがぐるぐる入れ替わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
白く飛んだ色彩を基調に、闇が深くなったり、鮮血のような赤だったり、水彩のぼやけた調子に色合いも変わる
そういう表現上の回転が、色んな人、色んな楽しさを縦断していくエピソードの空気によく合っていて、しみじみ楽しいものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
シャフトのアヴァンギャルドな表現力、前衛に常に挑む方向性は、こういう活かし方をすると非常にしっくり胸に刺さる。ただトンガッてるだけって感じしなくなって、良い。
若き血潮を滾らせる対局室、青春の甘酸っぱさがラムネとシンクロする科学室に対し、ジジイ達は最高にいい声でキャッキャウフフしまくっていた。ありがとうございます!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
柳原棋匠が大塚芳忠さんなのは、枯れた塩梅と消えない炎、溢れ出す年季と艶が声に乗っていて、正にベストチョイス。マジ最高。
ベテラン声優の掛け合いを一生楽しむだけでも幸福なのだが、モニタ越しの会長の振る舞いを見ていると、ほんとに宗谷のことを気にかけているのが伝わってきてホッコリした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
あの才気と性格じゃあ孤独になっちゃうのはしょうがないけども、会長は宗谷を『将棋の神様』ではなくあくまで『若造』と見てる
そのことを宗谷は不器用に感謝していて、ギリギリ破綻しない大きな足場なんじゃないかなぁと、二人が好きな僕は勝手に妄想する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
零くんが部活のなんてことない日々を足場にしているように、会長の熱くうざったい構いっぷりが、将棋の神様を活かしてる、結構大事な部分なんじゃないの、と。
こういう感想になるのは、玄田さんの演技力のおかげでもあるし、仕草一つ一つに愛おしさを込めるアニメートの妙味でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
原作でも込められていた感情だと思うのだが、アニメになって別の色合いで匂い立ってくるのは、わざわざ『アニメ化』してる意義の強くあろうところだ。素晴らしい。
人生それぞれの場面、人それぞれのあり方。それは多様で個別であり、同時に細く強く繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
ブラウン管の向こうで打つ側に必ずなる零くん、あるいは世界を貫通する夕日の赤。色んな場所のバラバラさと同じ調子を同時に切り取ってきたのは、凄く良いなと思う。
そしてそれは橋を渡って、川本家というホームに届く。零くんが『家』ではないもので手に入れた、ラムネという喜び。それを伝えたい人がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
話の根っこを支える一番大きな足場を最後に持ってきて、セカンドシーズン第一話を終えるのは、凄く収まりが良いな、と思った。
ラムネは甘くて酸っぱくて、口の中で溶けて無くなってしまう。今回追いかけたあまりに幸福な時間が嘘のように、この後の物語は重く、辛い展開が待っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
でも、ラムネを食べた思い出が消えてなくなるわけじゃないし、その甘さは嘘にはならない。そういう未来の投射としても、詩的で良い回だった。