ラブライブ! サンシャイン!! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
かくして、Aqoursは勝った。その先にある未来を掴むため、地べたを這いずる少女たち。泥まみれの現実の先に、奇跡はなかった。女神になれなかった少女の間を、白い羽がすり抜けていく。それでも、飛びたいと願うのなら。
最も価値ある敗北へ。Aqours自身の物語。
というわけで、勝ったけど負けが確定したラブライブサンシャインである。正直、ようやく方向性が定まった感じがあって安心している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
目標としてきた『廃校阻止』が流れて、言挙げすべきことではないのだが、『いかに負けるか』に焦点が定まったことで、どこかに漂っていたうわっついた空気が抜けた。
前回に引き続き、今回も千歌の苦しみが、のたうちが画面を埋めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
先週は体を動かし砂にまみれて、等身大の跳躍にたどり着いた。それは地区予選突破という結果を出した。
今週はそういう場所にたどり着けない。奇跡に間に合わない高海千歌と、Aqoursの至らなさがどっしりと描かれる。
μ'sが12話で乗り越えた、『廃校』というハードル。海外に行けないAqoursは、街頭ライブで人を集めたりはしない。残り二人を残してリミットが来て、努力もむなしく浦野星は廃校となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
それはずっと語られてきた、『普通』の限界点。μ'sが成し遂げた奇跡に、どうしても到達できない継承者の物語。
勝って、世界を巻き込んで奇跡を起こして、思う存分青春を駆け抜けて、己を表現し切る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
μ'sが歩いた道を歩かないことは、Aqoursはずっと宣言してきたので、この流れに納得は行く。(G'sの初期設定もそうだし)
掴めなかった白い羽が、μ'sの衣鉢であることは明白だ。法灯はここに絶えたのだ。
地方予選を抜けて、みんなで抱き合って。先週の千歌の言葉を借りれば『出来る流れ』が来てるのに、現実が押し流していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
そういうシビアさは、Aqoursの勝利の影で敗北する名もなきスクールアイドルを、油断なく切り取る視線と共通だ。あれは一期最終話の、描かれなかったAqoursだ。
神に選ばれなかった殆どの少女たちが、みなそうやって泣いている。現実を改変できないまま、白い羽を掴めないまま、物語を閉じている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
それは、勝ち続けたμ'sが描けなかった、描かなかった物語だ。すり抜けた羽根が、空と海の青…Aqoursの涙の色に染まって、ラスト・シーンが始まる。
そこに至るまでに、これまでと同じ調子でこのアニメは、千歌の自己不信と空回りを描く。彼女の奇跡を求める気持ちは、確信のなさに邪魔をされて機能せず、祈るだけの時間が積み重なる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
そのフラストレーションこそが、サンシャインだけが描ける物語なのかもしれない。
終わりが決まった後も続いてしまう日常の中で、千歌は壊れていく。一期第12話で穂乃果が揺らいだような、行動と結果のアンバランス。しかしそれは、綺麗に逆転している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
女神たる穂乃果は戦わずして勝ち、怪物たる千歌は勝ってなお負ける。そのどちらの矛盾も、心を苛む。
奇妙な緊張感と狂気を以て、千歌の無力と焦りを描くサンシャインの筆には、賛否あろう。自分も全部OKってわけじゃないが、今回のフラフラ感、なんとか笑顔でいようとする強がりの描写は、とても良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
自分が始めて、自分が集めて。言い出しっぺの責任を果たそうとするけど心が追いつかない
なんとか笑おうとする痛ましさ含めて、千歌は今週も必死で無様だ。今回決定した『負け』が妙に落ち着くのは、ようやく世界がその無様さに相応しい結果を突きつけたからかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
先週こねくり回した僕とサンシャインの間にある『ズレ』が、少し埋まった感覚がある。
千歌が必死に奇跡を手繰り寄せようとあがくのは、奇跡を掴め自分が『普通』ではないと、証明できるからかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
μ'sのように特別になりたい。小さなエゴイズムはずっと、画面の隅で切り取られてきたし、そういう身勝手さは当然あって然るべきだ。人間だもの。
でももう、千歌に『特別』を証明するチャンスは与えられない。勝ったとしても、現実は書き換えられない。無力で凡庸な人間は、何にもできませんでしたと署名するようなものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
義務と欲望の間で、身の置き所を見失ったAqours。三年間走り回った鞠莉の、苦い敗北の涙は、ダイアの胸の中でだけ流れる。
一番堂々とぶっ壊れることが出来る千歌は、案外幸福な立ち位置かもしれない。曜と梨子は、普通コンプレックスへの理解を示し、ぶっ壊れた普通怪獣も引っくるめて千歌を愛してくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
Aqoursの始動キーでエンジンなのに、圧倒的に不安定。しっかりケアしなきゃいけない危険な部品。面白い立ち位置だ。
思いついたら一直線。コンプレックスで雁字搦めなのに、あるいはだからこそ、世の中の『普通』をぶっ壊す『怪獣』でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
千歌の不穏な気持ちをじっくり切り取るカメラは、遂に『ラブライブ』の否定にまで行き着く。
パンクスだ。俺が第一期最終回に肯定的なのは、ああいう千歌が見たいからだ。
自分や結果を探っても、もう戦う理由は出てこない。結果は出た。無様に負けた。特別な自分も、輝く奇跡も、高海千歌とAqoursからは遠かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
クソックラエだ! と世界に中指突き立てたところで、地面から声がする。天国に近い場所に立つ資格すらない、衆生の祈りが。
どれだけ無様に終わっても。たとえ奇跡の白い羽は掴めなくても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
Aqoursが始まり、動いて、周囲を巻き込んで心を動かしてきたことは事実だ。ここまでの物語は、終わりが約束されたからって消えない。
あの場所に集まった生徒たちは、みな高海千歌に夢を見た。そのくらいの奇跡は、確かにあったのだ。
そう。ラブライブの勝利が奇跡を約束しなくても、Aqoursの小さなステージが生み出した波が誰かの心に到達したことは嘘じゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
そこに物語が帰還し、目的と尊厳を見失った千歌に一歩を進ませる展開も、僕とサンシャインの『ズレ』を一つ、埋めてくれたと思う。ああ、確かにそれは嘘じゃない。
今後、サンシャインは負けるために戦うことになる。全国大会に優勝したところで、実のある奇跡は手にはいらない。刻むのは虚名。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
確かに私たちがそこにいたのだと、滅びゆく種族が叫びを谺させるために、Aqoursは決勝に向けて進んでいく。
無様で、夢のない戦いだ。でも、嘘もないと思う。
そして浦の星の遺命を優勝旗に刻んだ時、己の凡庸さと戦い続けた千歌は、ようやく自分を『特別』だと思えるのかもしれない。そこまでやって、ようやく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
溌溂と青春のようでいて、相当にねじ曲がった主人公の自意識と、限りなくそれを愛する女たちの物語は、まだまだ続くのだ。
その力みと歪みは、なんか良いな、と思う。ここに至ってなお、『ラブライブ』とは何かを考え、描き直さないと気がすまない強張りも含めて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
Aqoursの物語は、μ'sになれない全ての少女の物語になりうるのか。そこに実感を持ってくるのは、ここからの勝ち方と負け方にかかってくるだろう。
廃校阻止という公益性を掴んでなお走り続け、スクールアイドルという巨大なものを捕まえて、音ノ木坂に伝説だけを残して消えたμ's。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
その白い羽が指をすり抜けて、公益を夢見て果たせないまま、実態のない虚名だけを刻むべく戦いに挑むAqours。
交錯する空疎と実感は、綺麗に対を成している。
奇跡を約束されたμ'sが、けして到達できなかった敗北。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
それがAqoursの描くべき、Aqoursだけの物語だというのは、なかなか凄い。負けが確定した物語にあまりカタルシスはないし、奇跡の疑似体験を望む多くの消費者を、満足もさせられないだろう。
でもそれは、語る意義のある物語だと思う。
それが『ラブライブ』という巨大な構造物を支えるために必要なアンチ・テーゼだ、というだけではなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
『普通怪獣』が『ラブライブ』という巨大建造物に、己と仲間と浦の星を叩きつけて、実りのない虚名だけを奪い去って本物の『怪物』となる軌跡に、妙な愛おしさを感じるから。
そういう視点で千歌を見れるのは、彼女の足掻きを見守り続ける曜と梨子を、しつこくしつこく描いているからかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
特に渡辺。ここぞとばかりにピトピトピトピト零距離戦闘を仕掛けて、『私が高見千歌の”特別”だッ!』というアピールを虚空にぶっ放すその姿勢、俺は好きだよ。ガンガンやれ。
他にも、『Aqours』と微妙な距離がありつつその一員として愛を持った一年坊主の描き方とか、必死に道化を演じ続ける小原の痛ましさとか、やっぱ細かい感情の襞を書き込む筆は、なかなか細密だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
一番戦って、一番傷ついて疲れてるはずなのに『三年生』やろうとする小原と、受け止めるダイヤは偉い。
先週書き忘れたが、Saint Snowとマブな関係になってて、連絡とり合ってる描写が好きだ。なんかこー、凡人があがいた結果掴めた、大事な宝物って感じがする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
そんな彼女たちが待つ北の国に、来週Aqoursは向かうらしい。まーたアホ回の予感もするが、さてはてどうなるか。
ようやく自分色に染め上げた青い羽が、Aqoursそのものだとはまだ言えない。『普通』であることに震え続け負け続けて、ようやく全てを蹴り飛ばす『怪獣』への道に歩き出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
そういう不安定な歩みを、終わりを約束された戦いを。自分のものだと大声で叫べる所まで、サンシャインは飛べるのか。
そういう見取り図が、ようやく自分の中で描ける話でした。賛否は別れるでしょう。色々強張りすぎている部分もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
でも、これから戦う負け戦、面白いものになるし、描かれる意義だって絶対にある。そう思えるエピソードでした。来週も楽しみです。