カードキャプターさくらクリアカード編を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
父も兄もいないさくらの休日に、新たな仲間がやってきた。料理と恋心で繋がる少女の、緩やかで暖かい日々をゆったり追いかけつつ、複合カードとのアクションも鮮明に。
キャラを絞ってじっくり見せる運びと、攻めた画作りが楽しい同居を果たしていた。
というわけで、秋穂ちゃんとの絆稼ぎ回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
露骨に『なにかがあるッ！ この少女と穏やかイケメンには『なにか』があるッ！！』と推してる新キャラが、今後話しの中心に居座るのは間違いない。
なので、穏やかな日常を共有する話を、マンツーマンで回して関係を深めていく話は大事だ。
名前にしても好物にしても、お互い恋に恋してるピンキーな内面にしても、桜と秋穂は似たもの通し、お互いがお互いのシャドウとして配置されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
鏡合わせのようでいて、ちょっと違う二人。そんな二人の絡み合いがクリアカード編を牽引する以上、足場づくりは重要なわけだ。
そこでデカいスペクタクルに巻き込むわけではなく、まるで少女同士の新婚家庭のようなソフトで、暖かな日常を描く所が、このアニメらしい部分だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
無論ハードなアクションも物語を進めるわけだが、それも当たり前の日常に潜む、静かな喜びあって。リッチで焦りのない時間を共有することが大事なのだ。
というわけで、前半部分で起こっていることは非常に地味だ。料理の支度をしていたら友達がやってきて、クッキーを貰ってアルバムを見て、手製の料理を食べてもらう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
何ら特別なことはない、少女達の青春。そのスケッチはしかし、かなり凝った絵で演出される。しかも、バリエーションが多い。
まず目立つのは、非常に凝った画角と構図で、不思議な印象を出してくるシーン。。カメラと被写体の間に何かを挟んだり、シーン自体を戸棚にしまってしまったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
ありふれた日常が実はとても不思議で、素敵なものだとヴィジュアルで語りかけるような演出だ。
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顔の映らない構図も多用されていて、ちょっと不穏でエロティック…フェティッシュな印象を強く見せる。ローアングルに置いたカメラで細やかな仕草を切り取り、キャラクターの人格を浮遊させるような絵作り。足が喋る演出。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
これも、当たり前の日常を異化していく。
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かと思えば、ど真ん中に少女漫画なお花満開、フワフワしたボール状のきらめきが画面を埋める演出なども、大胆に使ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
恋の話をする度に世界は花に満ち、愛しい彼は想像を飛び越えて世界にドカンと顔を出す。ロマンチック全開である。
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顔を写さない不安定な絵の力と、弾む恋心を真正面から射抜いてくる画面。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
絵のトーンを統一せず、様々な角度から『普通じゃない』画面が作られるのに、起こっている事自体は非常にオーソドックスな、当たり前の日常だ。特別ではないものが特別な筆で描かれる酩酊感が、妙に気持ちいい。
わざわざそのような演出を選んだのは、幾度も繰り返されそうなこの交流が実は特別で、カードの魔法とは別種のマジックに満ちている、と見せたいからかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
当たり前に思える会話も目配せも、実は特別な暗喩に満ちたメッセージであり、その意味を読んでいくことで、さくらと物語は前に進む。
日常の中に埋もれている食の、恋の、友情の喜び。それをしっかり掘り返し、形作って共有する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
クッキーを手渡し、ビーフシチューを一緒に食べ、好きな人に美味しいものを食べてもらいたい気持ちで共感する。二人の関係が前進する足場は、奇妙に美しく、不思議で温かい世界に満ちている。
そういう製作者と作品の視座が、今回のちょっと奇妙な絵を選ばせたのかなあ、などと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
プレーンに演出したら平らになりすぎる話であるが、秋穂が背負う（だろう）物語的役割を考えると、主役とタイマンする今回は結構大事で。その重要な話を突き刺すための手段として、不思議な絵があるのかも。
そこら辺は今後を見ないと分からないが、丁寧に枚数を使って描かれた日常の芝居が、『特別な当たり前』を際立たせていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
スパークリング・アイスレモンティーを作る時の、細やかで心配りを感じさせる動き。キッチンを動き回る足の可愛らしさ。動き自体が、不思議な主張を秘めて迫ってくる。
これは後半のアクションシーンでも生きていて、上下左右の概念がグチャグチャになる空間、そこを『引力』で縦横無尽に駆け回る立ち回りを、分かりやすく、かつ魅力的に見せれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
アクション作画が良いと、さくらの身体能力の高さが浮き彫りになってとっても良い。あの側転受け身、マジ歴戦。
『迷宮』と『転寝』の複合戦は、厄介な状況に知恵を絞り、久々のアクションでの出番となったケロちゃんと協力して状況を打破していく、なかなか見ごたえのあるバトルだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
暴力は一切出てこないんだが、ちゃんと興奮できる見せ場に仕上げてるのは凄いなぁ。
『迷宮』の不思議空間は、前半日常を切り取っていた奇妙なカメラと、そこまで違和感がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
魔法で作られた世界と、日々を過ごす空間がシームレスに繋がっているエブリデイ・マジックらしさを、日常を異界化することで出していた感じもある。
それは楽しい日の終り、素敵な恋のお相手が迎えに来た後のシーンで、もう一度顔を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
世界全てに祝福されてしかるべき、ひだまりのような恋。しかしそれを見守る月は異常に巨大で赤く、不穏なイメージを強く打ち出す。
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タロットの『月』は不安定さや潜在的な不安を暗示する。その意味を赤く焼き付けたような異質さが、秋穂の素敵な恋のお相手にはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
クリアカード編の中心にいるだろう新参カップルには、『なにか』があるわけだ。
それは未だ予感に過ぎないが、しっかり強調され続けてもいる。
その不吉さが表に出た時、さくらは秋穂の親友として、杖を携えて事件に切り込んでいくことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
今回共有した日常と感情がその起点となるし、穏やかな幸福を生み出せる優しさが、危機を前に背中を向けない強さに繋がっていることも、今回のエピソードはよく示している。
それと同時に、今日二人が二人きりで共有した『当たり前の特別』は、とても不思議で楽しい、彼女たちだけの時間でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
未来の暗示、物語の基点を散りばめつつ、キャラクターが感じている世界や気持ちそのものを丁寧に切り取るもする、現在と未来をよく見たエピソードだったと思う。来週も楽しみ。
