アイドリッシュセブン Vibrato 第7話.第8話『NATSU☆しようぜ! 』を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
真夏のパーティーチューンには不似合いな、悔恨と逡巡の物語。
盗まれた歌を、歌を盗まれた側と盗んだ側はどう禊ぐのか。傷だらけのアイナナと、保護されたTRIGGERは何を信じて歌うのか。
真夏のフェスに向け、感情が渦を巻く
というわけでVibratoも最終章、どっしり重たい男男感情大竜巻である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
一章に重たい陰りを残した、”NATSU☆しようぜ!”盗作事件。
『これを解決しなきゃあ、TRIGGERを主役に話を回せないぜ!』と、ガッツリ彫り込んで枷を外していくエピソードである。
底抜けに明るい曲と季節に、湿度満載感情地獄。
アイナナっぽいなぁとニッコリである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
VibratoはTRIGGER誕生秘話だった一作目が重く、二作目・三作目は比較的軽いファンサービスで運んできたわけだが、最後はきっちり”アイナナ”のど真ん中に入れてきた。
このずっしり重たい感情の色合いこそが、アイナナだなぁ、って感じ。
僕はTV版第三話でアイナナに前のめりになった人であり、”アイドル”を軽く見てたボーイズがプロ根性に当てられるあの話が好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
あの時トリガーは遥か高みから、アイナナの成長を見守る側だった。一期の物語が終わり、アイナナはTRIGGERに”勝っ”た。立場は逆転した。
時間軸を一期最終話後に置いたこのエピソードは、そういう距離感が前提になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
それはつまり、TRIGGERを主役の壁役からもう一人の主役へと扱えるよう、地ならしがすんだ、ということでもある。思えばVibrato初っ端でTRIGGER・EP0をやったのも、そのための布石かもしれんね。
二期がどういう物語を進めていくのか、僕はさっぱり知らないしだからこそ楽しみでもあるのだけれども、TRIGGERが無謬のアイドル神ではなく、傷を負い間違いもする”人間”であると強く印象づけたVibratoの後には、彼らを主役にした物語が、アイナナと並走する気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
既に一期終盤からその気配はあった(天兄の人間味を描かないと、陸のエピソードが終わんない)が、Vibratoは更にTRIGGERの脆く弱い部分、完璧さよりも血の通った過ちを、大事に進めている印象だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
だからその先に来る物語は、彼らをトップではなく挑戦者として掘る形になる…んじゃなかろうか。
先読みはさておき、今回はTRIGGERが主に悩み、アイナナが結構サラッとしている感じで進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
一期前半とは逆転の構図だが、勝ち負けで格付けが逆転した(少なくとも対外的には)状況では、そういう反転も可能だ。
歌に罪なし。存分に輝かせてくれ。アイナナは吹っ切れている(振りをする強さを持つ)
”NATSU☆しようぜ!”に一番濃い感情を持っているのは、サクラハルキの歌に孤独をぶっ壊されたナギだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
グッズ予約合戦で『お、いつものクソオタク』と思わせたところで、ザラつく陰りを秘めた強い感情を、龍之介にぶつけてくる流れは不穏でよかった。アイツ顔綺麗なのに、アイナナで一番狂暴だよな…。
『お前らの後ろめたさで、サクラハルキの曲を殺すな』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
ナギの強い感情は、彼が救われた檻の強さを暗に物語る。三月曰く『秘密主義者』のナギが、具体的にどういう不自由を抱えていたかは描かれないが、まぁ相当濃い闇にいたのだろう。
だからこそ、歌とアイドルに掛ける思いは強い。
道化が見せた本気に気圧される龍之介に、三月が助け舟を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
グッズ争奪戦に真意を仮託し、『手に入らなかった後悔より、手に入れた奴を祝福してやろう!』という思いを語るシーンは、なかなかスマートな演出である。
ここで湿り気のない愛情を見せておいたからこそ、TRIGGERからの贈り物がキく。
真実の不正義と、偽りの夢。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
アイドルが背負うべき重荷を語り合う、薄暗い車内のシーンも良い。
TRIGGERを”人間”に戻す筆が姉鷺マネにも及んで、いい感じにキャラが立ってきてる。シンプルな悪役から、人間的な陰影のあるキャラクターへの方向転換が、Vibratoの仕事の一つかな?
姉鷺さんは『不安な衆生を救うべく、完璧な偶像であり続けろ』と言い含める。ガッツストーリーなんて、誰も求めていないと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
しかしアイナナは重たい感情に思い悩み、傷ついて血を流す”人間”を描いたからこそ支持を受けた。自分たちが持っていない強さに、TRIGGERは気づいている。
これは旧式のアイドル像と、ライブフィクション要素を多分に含んだ”会いに行ける”アイドル像の対立だとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
完璧な偶像を演じ続けるTRIGGERを、時代に合わせて身近にアップデートするか。車中の口論は個人の自由の話であると同時に、経済ユニットの方向性の話でもある。
ここら辺の俯瞰の視座がしっかりしている所が、アイナナの面白いところでもある。少なくとも僕はとても好きで、キッチリやってくれてよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
どちらが正解というわけではない。皆がしんどい現実を忘れる夢を求め、それを演じる”アイドル”は立派な仕事だ。だが同時に”人間”でもある。
そんな板挟みに苦しみつつ、ファンの夢と残酷な真実の間でも、TRIGGERは悩む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
海を渡って南の島、フェスが近づいても答えは出ない。TRIGGERが乗り越えられない壁を、陸が笑顔で力強く乗り越えてくるのは象徴的だ。
今、そういう強さを持っているのはかつてTRIGGERが引っ張った、アイナナの側なのだ。
兄と先輩アイドルの間を行ったり来たりしながら、陸は天に『歌え』と告げる。『歌に罪なし、存分に輝かせて、あなたも輝け』と。強くなったなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
兄弟でイチャコラした後、返す刀で一織を切りに行く陸の天然ジゴロっぷりにひとしきり笑う。キテル…(醜い生き物特有の鳴き声)
『優しくなんてされたくない。極限を求められたい』という、陸の身体的事情を活かした夢。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
それは透明なガラスケースで守られ、窒息寸前のTRIGGERの夢でもある。『兄が病床の自分に夢をくれた』という回想と合わせて、良い重ね合わせだと思う。
ハッピーなリゾートソングを、そのまんまには歌えない因縁。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
結局”アイドル”は真実をぶちまけるより、優しい嘘で全てを押し流す方向を選ぶ。
アイナナサイドの解決策が頓挫して、TRIGGERがその想定を追い抜き、もう一度『引っ張る側』に戻る流れは、最高にカッコよかった。
俺、TRIGGERがどんな感情と事情を内側に抱えていても、客の前では”アイドル”の仮面をかぶり切るのが好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
グジグジ悩む”人間”の表情も好きで、スゲー大事だと思うけども、望まれる偶像を必死に演じきる奴らの光は、素顔勝負のアイナナとはまた違う輝きをもってると思う。
良い作画でそういうカッコよさをビカビカさせてくれるステージシーンは、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
カラフルなTシャツ、マージで似合わない。似合わない服を顔のいい男が来ている無様が、覚悟を滲ませて最高に良いのだ。ダンディズムはやせ我慢と不格好に宿るのだ。
TRIGGERが祭りの熱気に、アイナナとのこじれた過去、自分たちの後ろめたさを蒸発させようと、”盗まれた曲”を”みんなのうた”に変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
その裏には姉鷺さんの変化があり、”人間”としてのTRIGGERをガラスケースの外に出す決断がある。父への叛逆って意味でも、かなりデカい一歩よなこれ。
TRIGGERが”NATSU☆しようぜ! ”に拘ったのは、彼らが歌うだけの機械ではないからだ。不正義に怒り、不条理に悲しむ心を持っているからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
それは社長≒父には望まれていない、牢獄の中の革命者。ここであの演出を選んだということは、VS会社バトル大勃発の予感…ッ!
まぁそれは未来の話として、”NATSU☆しようぜ! ”の禊と同時に、完璧な偶像としてのTRIGGER、窃盗者・敵役としてのTRIGGERも、別の位相に移った印象がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
アイナナの少年たちと同様、血を流し自由と自分らしさを探し求めて迷う、等身大の”人間”…つまり”主役”へと、スタンスを変えるための物語。
それがこの、番外編最終エピソードだったのかな、と思った。答え合わせは二期になろう。非常に楽しみだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
同時に今この瞬間、このキャラクターだけの人生の物語としても、味わい深く陰影が深い、いいお話だった。ナギのザラついた殺意が顔を出すシーンがマジ好きなので、道化止めるシーン多くてグッド
アイナナとぶつかりあうことで、TRIGGERは変わった。しかしbTRGを見て判るように、TRIGGERはその結成当初からずっと”人間”で、高い志と熱い血潮が流れていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
むしろTRIGGERは、今まさにTRIGGER”らしさ”を再獲得しつつあるのかもしれない。
そういう意味で、原点と最新点で番外編を挟む構成は、TRIGGERの肖像をより鮮明に見せる見事な作りだったと言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
TRIGGERを(ある一点では)追い抜き、しかしまだ不穏な伏せ札を多数残したアイナナもまた、人間味とプロ意識、”アイドル”への矜持と強さを刻んでくれた。
この番外編で絵がいたものをどう活かして、どんな物語を紡いでいくか。二期が非常に楽しみになる、良い特別編だったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
ベストを選ぶとやっぱbTRG前編かなぁ…ダイアログの過剰なポエムっぽさが最高に良い。酔っ払い過ぎだが、その酩酊に思わず引きづられ、TRIGGERが好きになっちまう。
他のエピソードも本編ではやれない気楽な楽しさあり、今後の展開への伏線(だと思えるもの)ありで、リッチに的確に仕上げてくれました。面白かったし、ワクワクしたし、思わず今後を色々考えてしまったなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年3月7日
番外編に欲しいものをたっぷり詰め込み、期待以上の仕上がりで見せる。いいアニメでした。