キャロル&チューズデイを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
黒い箱から吹き出した愛が、ディスコミュニケーションを加速させる。
深まる疑心、動かぬ腕、言えない言葉。
差し出せないプレゼントを抱えたまま、少女たちの運命が揺れる。
キミがいても、いなくても。
僕らを置き去りに、世界は石のように転がっていく。
そんな感じの決戦前夜、アッチでギクシャクコッチでギスギスな、しっとり重たいエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
シベールのプレゼントを起爆剤に、色んな場所で重い感情が炸裂するエピソードであり、すれ違いが痛い。じわじわケイティとの距離が縮まっていた描写から、アンジーの棘が彼女を刺す展開とかね。
アンジーは思春期トゲトゲガールなので、自己防衛のためなら誰でも刺す。凄くナイーブな表情を見せて、パーソナルエリアに誰かを入れる素振りを見せつつも、それを硬い鎧で覆い隠してしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
衝突する直前の距離感は、例えばこんな感じだ。
©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会 pic.twitter.com/YkXNDFNEdW
例えば第8話での距離感がこんな感じで、二人の間合いは縮まっているし、同じものを見てもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
マネジとして気を配り、花を飾ってくれるケイティに、アンジーは気持ちを向けつつ全てを預けられない。
『アンタにファンなんて言われるの、迷惑』なんて言葉も飛び出してくる。https://t.co/U5A0cjDwbo
僕はアンジーのファンなので、彼女の横顔をついつい追いかけてしまう。そうすると、結構多彩な表情をしているのが判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
衝突して離れて、モヤモヤを抱えつつ、客前で顔を作る瞬間。
自分の疑念が、間違っていたとわかった時の顔。
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一番大好きで一番大嫌いなママを疑う時の、潤んだ瞳。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
アンジーがシンガーとしてMBに挑むのは、ママの影響力から脱して、自分ひとりの足で立てると証明するためだ。
負けたくない、自己愛を満たしたい。
そういう欲望が蠢きつつも、フェアーに勝ちきって、文句なく自分を証明したい気持ちが強い。
与えられるものを疑わず、曖昧な笑顔を作って、誰かの設計図に乗り続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
そういう生き方に飽き飽きしたからこそ、アンジーは勝負に出た。
でもそこでプロデュースされるのは、"ナチュラル"なアンジェラでは当然ない。
子役としてのイメージ、周囲の後押し、商業的戦術。AIのアシスト。
様々な外延が否応なく付随してしまう『私自身』を、ショービジネスの真ん中にいたアンジーはよく知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
勝たなければ意味がないことも、そのためには汚れ仕事も必要になることも。
だから震えつつ、ママに真意を聞く。
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真正面からぶつかるには母なる暗黒は巨大すぎて、アンジーはママの横にポジションする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
幸運にも疑念は空振りに終わり、アンジーはやれやれとため息をつく。それは幸運(で、ちょっと笑える)すれ違いだが、この後のケイティとの衝突は洒落にならない。
キャロルが上手く、プレゼントを渡せないように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
アンジーもケイティへのシンパシーを、上手く制御できない。『一番のファン』相手に尖って、ぶつかってしまう。
シベールとチューズデイもまた、『一番のファン』として最悪のぶつかり方をする。FanはFanatic(狂気)のFanなのだ。
誰かを信じる。信頼を手渡す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
それはシンプルで、だからこそとても難しい行為だ。ステージに自分を投影し、誰かの狂気を引き受けるスター…を目指す少女たちにとっては、特に。
皆が信頼を手渡すのに少し成功し、大きく失敗していく。真っ直ぐ顔を見て、素直に真実を伝えられるなら、どれだけ楽だろう
シベールは最悪の形で、自分勝手な信頼を投げかけて、それを掴んでくれなかったチューズデイを傷つける。自分が勝手に傷ついた痛みを、せめて憧れのスターと共有しようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
キャロルが言うように、はっきりしなかったチューも少しは悪いのか。曖昧な子供時代を、とっとと終わらせる時なのか。
これまではまっすぐに密着できたキャロル&チューズデイは、今回背中合わせに座る。同じものを見れないし、お互いの顔も見れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
そんなすれ違いの中で、チューズデイのポケットに閉じ込められた真心は、汚れ仕事に巻き込まれてしまう
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アンジーが疑い、母への信頼をちょっと深め、ケイティとすれ違った『汚い大人の事情』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
それはキャロチューにも投影されて、ふわふわお姫様はお城の牢獄に連れ去られてしまう。ずっと秘めて守ってきた、気恥ずかしい信頼と愛情は、クシャクシャに汚されてしまった。
シベールのプレゼント爆弾と言い、真心のフェティッシュが軒並み上手く機能しない様子は、見ていてとても悲しい。(ケイティが飾っていた花も、多分その文脈上にあるのだろう)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
すれ違っていく思いが、いつかどこかにたどり着く。そんな夢を、ザラついた質感の現実はいつでも裏切っていく。
そういう"当たり前"を人気子役としてよく知ってたから、アンジーはママを疑い、ケイティを傷つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
そういう"当たり前"を全然知らなかったから、チューズデイは指を損ない、キャロルは相棒を奪われていく。
少女たちのナチュラルな幼さは、いつでも厳しく試されている。
それを噛み砕いて栄養に変えて、子供の背丈は伸びていくのか。その時、"プレゼント"は渡せないまま消えていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
そこら辺の決着は、MB以降アーティストとしてどう花開いていくかとシンクロしてくと、より面白い気がする。
私的な舞台裏と、人目のあるステージのギャップを、少女達はどう活かすか。
前回はあやふやさのフェティッシュだったモニタ内部の映像(鏡像、幻影)は、今回何かにたどり着くための投射として活用される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
ストリーミングの中の犯人。どこにいるかわからない誰かに向けた『私はここにいる』というメッセージ。
©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会 pic.twitter.com/oqBL51XGUL
それは不確実な嘘だからこそ、どんな形にもなりうる可能性に満ちていて。キャロチューがピョートルに勝つロジックも、そこに置かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
まー難しい。パフォーマンス自体の優劣で勝負を決める段階は終わってて、そこに込められたコンセプトをどう的確にキュレーション出来るかでジャッジされてる印象。
チューの負傷をチャンスに変えて、『新しい自分を見せる』というアンジーのコンセプトを踏襲しつつ、デュオにしか出来ない歌を聞かせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
キャロルが頭で考えたわけではないけども、ナチュラルな立ち回りがセルフプロデュースになっているのは強みだ。
物怖じせず、的確に正解を出す才能。
でもその真っ直ぐさがチューズデイの届く前に、家出娘は家に連れ戻されてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
お兄ちゃんが徒歩で探しに来てくれた事実を、お姫様はさっぱり知らない。その愚かさ、身勝手さが僕は良いな、と思う。
何も完璧じゃないからこそ、何かになりうる季節に少女達はいるのだ。
アンジーの棘もまた、そういう未完成さの現れかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
欠けたり、奪われたり、届けられなかったり。欠落がたくさん書かれたエピソードだけど、だからこその飛躍を次回はしっかり書いて欲しいと思った。
シベールは良い爆弾になったなぁ…彼女の闇で、少女達の欠落が強く浮き彫りになった。
チューズデイに何かを身勝手に投影するしかなかったシベールの欠落も、どっかで埋め合わせてほしいな、と少し思うけども、まぁそれはコマの外側の物語かな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年6月19日
黄金の季節を過ぎて、薄暗い陰りが伸びる夕景。その先にまた、青春の太陽が登るのか。次回MB決勝、楽しみですね。