ヴィンランド・サガ 第一話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
1000年台、北欧。
雪嵐と略奪が吹き荒れるヴィーキングの土地。アイスランド。
冒険を夢見る少年トルフィンは、未来に待ち構える激浪を何も知らぬまま微睡んでいた。寡黙ながら強き父、優しい母。平穏は約束された破断へと、静かに時を刻む…。
そんな感じの超歴史大河巨編、堂々開幕である。当方、原作未読。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
バッチンバッチンに歴史ネタをぶっ込むムード、遊びと逃げのない本気の中世北欧描写に肌がビリビリ震えつつ、お話としては静かな立ち上がり。サーガ序章、という感じである。
焦りのない物語進行が、見据える展開のデカさを感じさせる。
静かな立ち上がりながら退屈ということはなく、特に冒頭の船上戦は凄まじい迫力であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
人が獣となり、凍てつく海に投げ落とされる無常の修羅界。優しく強いトールズ父さんは、あの地獄に身を置く運命が決まっているわけだ。
荒ぶる武者たちの吐息の熱さ、振りかぶられる戦斧の風すら感じられそうな、ハイクオリティの合戦シーン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
あそこまで突き詰められると、否応なくこのお話が殺し合いの物語、そこで流れる血と魂の無常を追うのだと言うことは、しっかり判る。
とても良い挨拶だった。殺伐としすぎてるけども。
お話は異国・アイスランドの空気をたっぷり描きながら進む。とにかく美術の気合が尋常ではなく、現代日本とは全く違う場所と時代を余すところなく切り取ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
自分は歴史ネタ大好きなので、みっしりと描いてくれるのは凄く良い。あ、レイフ・エリクソンだ…。
史実を丁寧に追っているので、ある意味年表がネタバレ、みたいな部分もあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
最終的にトナカイの蹄すら食い尽くすほどの飢餓に見舞われ、全滅に終わるヴィンランド入植。そこに至る夢をどう描くかは気になるところだ。原作、そこにたどり着けるか怪しいくらい分厚いらしいけど。
あと公式ページのキャラ紹介にクヌート王がいんだけど、あの人の北海帝国も一代で分解するからなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
遠い未来に砕けるとしても、争いのないカナンを求めた男たちの夢は確かにあって、無慈悲な殺戮、強悪な略奪が当たり前の時代を変えようと願ったものたちがいた。そう云う話になる…のか?
まぁあの時代の北海が血みどろのヴァルハラ、世はまさに世紀末なのは冒頭見れば一発でわかる。いやまぁ、新たなミレニアムが開始したばっかだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
奴隷、不具、苛烈な法。のどかなアイスランドの日々にも、修羅の掟が全てを縛る厳しさは見え隠れする。凍りついた”北斗の拳”だなこりゃ…。
雪を白一色ではなく、光を内包したプリズムとして書く美術とかほんまアホみたいな観察眼、表現力であるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
氷に閉ざされた日常がしっかり暖かく面白いのは、解像度の高さ故か。ある意味旅番組、ファンタジー的な楽しさ。贅沢だ。
©幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会 pic.twitter.com/481NrNJeNR
話はトルフィン少年ではなく、父トールズを軸に進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
東からの逃亡者が集う国、アイスランド。父は何から逃げたかは未だ明らかではないが、腰抜けではないことはよく判る。
奴隷を当然視する法の暴力を前に、この座相…相当”出来て”るな…。
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普段は落ち着いた姿勢を保ちつつも、暴力を前にすっくと立ち上がれば誰よりも大きい。太い木製の梁と一体化し、”家”を守る覚悟を感じさせるスタンスが頼もしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
死にゆく奴隷の尊厳を守るために羊八頭を差し出せる、背中のデカい男。それが主人公の父である。
そんな男に、死にゆく奴隷は幻想を見る。現実のオレンジとは明瞭に違う、美しく儚い虹色の光。直行した柱と梁は、まだ伝来して浅いだろうキリスト教の十字架を思わせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
誰もが平和に、平等に暮らせる、麦と葡萄豊かなる虹色の国。
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そこがレイフおじさんがたどり着き戻ってきた、遙かなるヴィンランドと重ねられているのは間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
約600年後に同じく約束のカナンを求め、ピルグリムが旅だったのを感じさせる夢路である。あっちはなんとか定着し合衆国を築くが、こっちは徒花に終わるんだよなぁ…。
まぁピルグリムが夢の新天地に流れ着いた後も、レイフおじさんみたいに原住民と仲良くなれる人は数少なく、首に鎖つけて死地に追いやっていくわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
雪と氷に閉ざされようが、緑の大地が広がろうが、人は奪い、殺す。それでも、虹色の世界を夢見る。そんな重ね合わせを、勝手に見て取る。
厳しい北の果て、略奪が常態、優しさは仇。そういう生き方に背中を向けて、トールズお父さんは生きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
しかし過去の因縁は長い手を伸ばし、運命の瞬間は刻々と近づいてくる。そしてその炸裂が、トルフィン少年を運命へと巻き込んでいく…って感じかな?
どっしりと腰を落とした静かな立ち上がりを、徹底的に磨き抜いたヴィーキング世界の分厚さ、異国の面白さで食わせる第一話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
あの風の冷たさ、むき出しの暴力の中では、僕らを取り囲むヌルい倫理は通用しない。隔絶しているようで、確かに歴史で繋がってるヴァルハラで、どんな物語が進むか。
なかなか楽しみになる出だしでした。トールズ父さんを現代人の倫理に近寄らせつつ、それはあの時代、”変わり者”の不利な生き方だと冷静に突き放す配置が巧妙ですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月10日
優しさは大事だけど、地獄では贅沢品。戦乱の北海とはまだ遠い、トルフィン少年の幼年期がどう進むか、来週も楽しみです。