スター☆トゥインクルプリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
冷たい雨に誘われるように、星の陰りが顔を出す。
友情を知ったからこその焦燥と孤独。変わっていく環境への恐怖。
いつも明るい星奈ひかるが、笑顔の奥に隠すもの。
プラネタリウムに木霊した寂しさが、雨の中佇む哀しみと呼応する。
そんな感じの、ひかるのトゥインクルイマジネーション回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
他メンバーが激情迸る熱い展開だったので、ひかるもそういう調子で進めていくかと思いきや、非常にしっとりと暗く重たく、アンニュイな風情である。
しかしその質感が、むしろ”星奈ひかる”らしい、とも感じる。
いつもの明るいキラやばが仮面…とは言わないけども、凄くシリアスで冷たい側面を彼女はいつでも持っていて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
社会のスタンダードに馴染みきれない自分を、どう位置づけていくか。
家庭や学校に迎合せず、対立もせず、どう自分でい続けるかということを、かなり考えてきた歴史が、端々に見える。
出だし、けだるげに寝床に身を横たえ、光と闇の淡いに寝転がるひかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
なかなか見ない表情だが、こんな憂鬱を時折飼いならしながら、彼女は中学二年生になってきた。
このシリアスな明暗も、彼女の真実のひとつなのだ。
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自分だけのトゥインクルイマジネーションを見つけ、新しい未来に漕ぎ出していく仲間たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
変わっていけること、繋がっていけることを吠えた結果、より深く仲間と繋がれたララの表情が、微笑ましくも眩しくて、ひかるの口元が締まる。
©ABC-A・東映アニメーション pic.twitter.com/SAuDczrAzQ
今回はBGMも抑えめに、しっとりとした雨の中、こういう細やかな感情の変化、迷いと思い出を丁寧に編んでいく話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
そういう影からの光で主人公を照らすことで、彼女が対峙するべき悩み、向き合うべき想いは鮮明になる。あるいは、明瞭に思い出されていく。
一人足を運んだプラネタリウムで、彼女は子供だった自分の決定的な瞬間を思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
星と出会い、自由を知ったあの日。無限のキャンバスに、自分だけの星座を描けるだけで楽しかった時代は、既に遠くにある。
彼女がそういう、成熟した客観性をちゃんと持っていることは、ここ迄しっかり書かれてきた。
不変に思える空すらも、形を変えていく。自由は時に不安を呼び、友情は比較と寂しさを連れてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
それは、一緒に笑い合う友達にはなかなか切り出せない。そういうモノを受け止めるシェルターが、遼じいのプラネタリウムである。
生まれた時から自分をよく知っている、家族以外の存在。
そんな彼もまた、ひかるの祖父母と無邪気な時間を共有し、そこに取り残され、まだ共にあり続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
時が全てを変えていく中で、不変のものはなんだろうか。
デネブの輝きを見上げながら、少女は静かに思い悩み、老人は過ぎ去った時を思う。
この二つの時間の交錯が、奥行きと詩情を宿して良い。
春吉と陽子、遼じいとの、セピア色の三角関係。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
等間隔で並んでいたはずの三角形は、気づけば夫婦と他人の二等辺三角形になって、それでも繋がり続けた。
ひかるが他のプリキュアに感じる距離感とはまた別だけど、変身しない老人だって、同じ焦燥に突き動かされ、それを飲み込んできた。
サラッと品よくまとめられるが、ひかるという主人公、プリキュアという特別な戦士以外にも、人生という劇場では誰もが主役だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
複雑な人間性を”脇役”も持ってると示しているのは、例えばララの関係性がクラスメートにもしっかり伸びてることから見て取れる。そういう視野の広さが良い。
大人になる途中だからこそ、思い悩む変化と成熟。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
自分の原点でもあるプラネタリウムから出たところで、ひかるは己の影に出会う。
カッパード、宇宙の邂逅。
水豊かな星を故郷とする”河童”にとっては、同じく原点を思い出す空模様。静かなアンニュイを照らす雨は、”敵”との共鳴を生む舞台装置でもある
遂にSSRを引いた武器ガチャの巨大な力を、『お前たちも危うい…』とノットレイを下がらせ握るカッパードさん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
前回身内が蛇鎧に丸呑みにされて、逆に弱者の怨嗟を共有する気持ちに戻ったのか。根源的に、悪党に向いてない男である。
降りしきる雨は、泣けぬ涙と頬を伝う。
©ABC-A・東映アニメーション pic.twitter.com/GaZj5itPgF
部下を戦闘に介在させなかったのは、星奈ひかるという自分の鏡に、自分だけが向き合いたかったからだとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
かつての自分と同じように、異質と新奇を愛し、善良に手を差し伸べる少女。
その先に、乾ききった憎悪、流れぬ涙が焦げ付く。
なぜ、お前は笑える。俺はもう、笑顔も枯れたというのに。
遼じいがポジティブに見せた、変化の裏側。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
妬み、怒り、乾ききってなお可能性を恨む、哀しい”大人”の姿を前に、ひかるは怯む。
かつて叩きつけられた現実の重さ、断絶の深さ。恵まれた幸福が、理解を遠ざけてしまう矛盾。
それに真っ向から答えが出せるほど、星奈ひかるは大人じゃない。
環境にも人間にも恵まれ、人とは違う自分を上手くアジャストしながら活きることが出来たひかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
恵みが悪意を増幅し、略奪といがみ合いの果てに故郷を失ったカッパード。
あまりに遠い二人の激突は、痛ましく冷たい。氷雨が舞台建てを整え、しっとりと胸に突き刺さる。
ひかるのイマジネーションは、この段階ではまだ、カッパードの顔を捕まえない。顔は影に染まり、その表情は判らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
変身を解除されたまま、道を見失ったひかるを暴力から守ったのは、かつて抱きしめた親友の背中。
ひかるは、ひかる。その言葉が、歩みを導く。
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第40話、運命の『ララは、ララだもん!』を引き受けて更に広げる一言に、ひかララ派はシンプルに”死”であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
友達と出会ったから生まれる迷いに、答えを与えてくれるのは過去の自分。
星奈ひかるが手を差し伸べ、一緒に前に進んだ羽衣ララが、絶望に足を止める必要がない何よりの証明になる。
第11話から…そのもっと前、二人が出会ったその瞬間から続いている、友情の相互作用。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
片方が迷えば、片方が指し示す。その歩み寄りが変化を生み、喜びを広げていく。
変わっていく星空にも、変わらぬ輝きがある。それは他人の尊厳を反射し、自分自身も輝く人間という星だ。
星奈ひかるの凄いところは、星空に照り返すヒューマニティの光を常に見つめて、何よりも人間が”キラやば”なのだと率直に感じ入る心だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
この凄さを、例えば第9話でえれなはちゃんと見据えていた。見つけて、繋げて、前に進めてくれる凄さを、しっかり讃えていた。
根本的に、自分も他人も敵もひっくるめた”人間”が好きな人なのだ。だから、知りたいと願う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
知らないものを、手を繋げる仲間に変えていきたいと願う。そんな好奇心こそが、ひかるの消えない光であり、今この瞬間の関係性が変わっていくとしても、揺らがないイマジネーションの輝きなのだろう。
ララが放つ光(それは時を超えて届く、自分という星の光でもある)に助けられ、ひかるはカッパードの暴力に抗する。拒絶に踏み込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
判るはずがない。他人の冷たさを認めつつも、そこに踏み込み手を伸ばす。
だって、私は知りたいから。エゴイスティックな博愛が、強い輝きを放つ。
ここはセリフをあえて廃し、見つめ合うことで繋がる運命の強さ、分かり合う気持ちをしっかり演出するシーンだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
言葉にすれば、取りこぼされてしまうものがある。だから、理解ってくれ。
そういう祈りを込めた掌を、泣きぬれた怪物も取ろうとする。
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武器を奪われ呆然と座り尽くすカッパードさんは、手を伸ばしかけていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
荒れ狂う陰りの中で、微かな光を求め続けた心が、少女の見つけた光へ歩みかけていた。
それを、薄暗いイマジネーションは断ち切る。一人、取り残された薄暮の中で、ひかるは寂しさと切なさを知る。
悪辣に痛みを隠し、変われない自分と世界を呪う。そういうものにこそ、イマジネーションの光を当てて、違う場所、似ている場所を探して繋がりたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
好奇心という原点を思い出した矢先に、その限界を思いらされる。静かながら、なかなかに厳しいイニシエーションだと思う。
友の笑顔に微笑みつつ、ひかるは手をとりたかった相手が去った虚空を望む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
輝く星は、いつか姿を変えるだろう。その輝きも、衰え消えていくかもしれない。
星にあるのは、希望ばかりではないことを少女はもう知っている。
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それでも、そこには導きの光があると信じればこそ、トゥインクルイマジネーションは輝いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
拒絶の断崖を乗り越えて、手を伸ばせる可能性を信じ、成し遂げてきた今。そこから続く未来を、震えながら見据える。
そのシリアスな横顔が、とても美しい。知性と優しさがある。
というわけで、最後の一ヶ月を前に主役サイドの準備が整う話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
カッパードが第11話に投げかけてきた、非常に重く大事な問いかけ。それに34話越し追いついて、子供なり本物の答えを、望みで手を繋ごうとする。
手を繋ぎたいと思える自分に出会う。
そういうエピソードであったと思います。
同時に否応なく変化していく時間の残酷と、そこに宿る変わらぬ輝きの話でもあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
全てが決着した後に待つ離別が、とても大切なものを孕んでいると描ききるための滑走路を、丁寧に整える話でもありました。
ここで”そこ”にカメラが向くの、強いなぁ…。
星奈ひかるが震えながらヒーローをやり、少女をやってたってことは、これまで何度も描かれてきて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
そのシリアスさにクローズアップしつつ、当たり前の人間の震えを出発点に、別の場所に飛び立てる力強さを刻む話にもなってました。
最後の個別会で、静かに人間としての肖像画を描く。巧いし強いわ。
ここを越えて、いよいよ物語は最終局面。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
敵さんの大進行、全てを塗りつぶす蛇の鎧と虚無に、プリキュアと社会はどう立ち向かうのか。
待ったなしのクライマックスは、ヒロイズムとヒューマニズムを、青春と祈りをどう描いていくか。
次回も楽しみです。良い終わりが待つのでしょう。スタプリだからね
追記 綺羅びやかな夢を描けばこそ、後に待ち受ける大きな課題への備えが、知らぬうちに整っている。教育とエンターテインメントの両立ってのは、難しいが児童向けメディアが常に目指すべき最重要点だと思う。
スタプリ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月23日
カッパードさんの故郷を枯らした水資源の収奪は、現実でもコチャバンバ水紛争など色んな形で噴出している問題だったりする。
ファンタジックな扮装で鎧いつつ、非常に重たく地繋がりな問題を盛り込んでくるのは、スタプリの特徴だと思う。テンジョウのルッキズム、レインボー星人の被差別