乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
夢。夢を見ていた。
あまりにも呆気ない死から、新たな場所で始まる新たな生。
知らず多くの人を守り、導いた結果生まれた絆。
そんな夢から醒めて、当たり前の日常を生きる。
それこそが、闇の魔法の生み出した夢と知らぬまま…
という感じの、目覚めろカタリナ! 届け僕らの愛と祈り!! な回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
醒めない眠りに閉ざされたカタリナの周囲で、渦を巻く絶望の闇。それを打ち払う前世からの縁と、今生で培った絆。
大量の思い出ボムが事象界面をぶち破り、主人公ここに帰還…あとは隠しボスの霊を救うだけだ!
完全に多元宇宙迷宮に囚われた戦士が友情の螺旋力で天元突破する流れで、思わず脳内で『"Libera me" from hell』が流れてきた。Fight the power!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
攻略対象の心のどこに、カタリナ様がぶっ刺さったか。
話が終わる直前で彼女の善行をおさらいするのは定番ながら、演出がエモーショナルで非常に良かった
会長が使っていた闇の力は心理操作…”忘却”なので、カタリナは転生先の人生を忘れ、一度死んだ過去へ戻っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
頑なに描かれなかった”私”の表情が鏡に写り、当たり前の高校生としての穏やかな日々が、彼女に取り戻されていく。
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ドレスも魔法も貴族社会も、パッケージの中のフィクションでしかない『普通』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
眠りながら見る現実は、もう戻ることが出来ない黄金の日日だ。家族との生活、あっちゃんとの学園生活。
”私”が若くして唐突に奪われたものが丁寧に書かれてしまうと、やっぱり泣いてしまう。
僕がこの作品で好きなポイントは沢山あるけども、本編前に前提条件のごとく流される”死”を尊重し、しっかり悼んでいることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
その先に波乱万丈でワクワクの大冒険が待っているとしても。
持ち前の無垢さで、沢山の人を救うとしても。
ごくごく普通に善良な少女の”死”は、悲しく辛い。
そこには綺羅びやかな…まるでゲームのようなワクワクと成功はないかもしれないけど、同じように温もりと愛おしさと少しのバカさに満ちた、かけがえのない”私”の生であって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
ずっと続くと思えた”当たり前”が断ち切られる”死”は、転生の前提条件ではなく、当たり前に悲しく辛い。
そう思えるのはそれが愛おしいからこそで、愛と哀しみは常に密接に結びついている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
この裏腹な関係性は、カタリナに置いていかれた連中の嘆きと、深くシンクロしている。
僕らも今まで見守ってきた、愛おしい日々があればこそ
そこで救われた魂が、ずっと続く幸福を求めればこそ。
それが唐突に断たれる苦しみは、重くて深い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
”私”が死んだ後の、あっちゃんや家族の嘆きを”夢”は描かないけども。
明るく温かい日常を丁寧に書くことで、視聴者の想像力がそこに向かうよう、転生前の”生”に意味と尊さがあったのだと無言で語る口調が、鮮烈で良かった。
”夢”の中で忘却の窓ガラス越し、ぼんやり思い起こす今生。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
そこでは絶望の闇に囚われた連中が、すんごい勢いで枕を濡らしまくっていた。が、画面が軋んで暗い…。
んだけども、希望の光はカタリナとともに未だ生きてると見せるライティングが、静かに灯りもする
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鉄面皮メイドの心から溢れた水が、しっとりこっちを濡らしてくるのも、第9話でアンを主役にしたおかげである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
皆がカタリナに救われ、だからこそその喪失を悼み、帰還を乞い願う。
出会わなければ囚われていた心の闇を、知らず振り払ってくれた無垢なる光。その重さを、エモい演出がガンガン重ねる。
灰色だった僕の世界に、色をくれた人よ。心弾む喜びだけでなく、強く軋む嫉心すらもまた愛おしいと、思わせてくれた人よ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
ジオルド王子の焦げ付きが良い解像度で迫ってきて、初手を飾るのに良い回想であった。モノトーン/カラフル…”四月は君の嘘”思い出すネ。
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あんだけカタリナ獲得レースの先頭を切るのに汲々としてたジオルド様が、唇を奪う決定的瞬間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
それを結構さらっと、しかし鮮烈なロマンティックで描くバランス感覚も良かった。
アンが一回水差しを落としていることで、命を繋ぐ”水”が印象付けられて、ジオルド決死の口付けに恋を越えた重さが宿る。
恋心、許嫁という関係はもちろん大事で本当なのだけども、愛を失うというこの局面でジオルド様は、なりふり構わず『水を飲ます』のだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
口付けはそのための手段であって、恋の勝者となった証明ではない。一心不乱のストイシズムが、この若造のこと好きになっちまう”決死”で良かった。
んでまー、他の連中もカタリナ様には魂を救われちまっっているわけで、それぞれ譲れねぇ諦められねぇ思いがあるわけです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
やっぱ幼年期編をしっかりやって、人間の心に特別な誰かがぶっ刺さる様子に説得力積んだのは良かったな-。
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キースが後悔にふけるのは、かつて姉が斧でぶっ壊してくれた”扉”の前であり。メアリもまた、”緑の魔法の手”を褒めてくれた菜園に身を置いて、過去を思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
それは現在と繋がるかけがえのない過去で、その時その人に出会わなければ、全く別の人間になっていただろう決定的瞬間なのだ。
そういうものを強く胸に刻んで、より良い方向に己を進めていく。『カタリナ・クラエスの友人』に恥じぬよう、揺れる自分を支えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
カタリナ自身は、アランの前を進んで、背中で導いている意識などないだろう。無理解の迷宮から、ニコルを救い出した自覚などないだろう。
しかし幼少期の出会いと、その瞬間差し伸べた手の暖かさは、決定的に彼らを変えてしまった。”ゲーム”が始まるよりも早く、自覚なき攻略を果たしてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
私心も計算もなく、ただ誰かの傷に共鳴し、自分の差し出せる言葉を、行いを届ける。
特別ではない人間の当たり前は、しかしあまりに難しい。
普遍的な善行をしっかり成し遂げているからこそ、カタリナ様はみんなに好かれるし、その消滅は皆を暗い闇にも落とす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
その暗い魔法に飲み込まれそうになった時、もう一人の転生者が声を上げる。
二回、運命に負けるつもりはない。
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あっちゃんは”死”と戦うチャンスすらなく、”私”を理不尽に奪われたわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
多分”私”が死んだ後、無茶苦茶泣いて無茶苦茶忘れられなかったと思うのね…今回描かれたように、今までそうだったように、あの子は凄くいい子だったので。
その思いが転生を引き寄せたか、はたまた別のルールがあるのか。
そこらへんの理屈は解んないけども、ソフィアに宿る守護霊様は今を生きる若人の魂を奮い立たせ、闇から光へと進ませていく。かつてカタリナが、彼らをそう導いたように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
顔を上げて、立ち上がる。光るのある内に光の方へ。
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絶望の闇はカタリナから離れた場所に宿り、『カタリナ・クラエスと出会い、救われた自分』を思い出して立ち上がると、光≒カタリナが世界に満ちてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
主人公がどんな存在なのか、何を成し遂げたかが精妙なライティングで巧く表現されていて、ここら辺は流石の巧さだった。
そしてあっちゃんは祈りを背負って、幸福な夢に終わりを告げる。”私”が駆け抜ける世界の空が、なんとも綺麗で寂しい茜色なのが、凄く良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
それは愛おしさと寂しさを、忘却のパレットで混ぜ合わせた色彩だ。
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ソフィアが闇の中、もう一人の自分を窓ガラスに幻視したように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
”私”もあっちゃんに重なる、もう一つの人生、今まさに主人公として生きている、たった一つの物語を思い出していく。
それは、あっちゃんが教えたから動きだした、夢の終わりだ。
カタリナ様はバカなので、ゲームの世界と認識してても第二の性を自分ごとと引受けて、本気で走ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
目の前に可哀想な義弟がいれば、斧で扉をぶち破って手をとり。
不正に泣く少女がいれば、大暴れしてその手をとり。
道に迷う子供がいれば、知らず征くべき兆しを教え導いてきた。
カタリナ様は”攻略”なんぞしていなかったのだ。他人を心のない駒として見るのではなく、血の通った人間としてみて、同じ人間として精一杯出来ることを、ただただやってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
そういう”私”だから、あっちゃんは好きになった。死んじゃって、いっぱい泣いた。二度目の生も見守ってきた。
物語の舞台は変わっても、その只中で必死に生きて、誰かを幸福に出来る力を知っていたから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
あっちゃんは幸福な夢が終わると知ってて、ソフィアに語りかけ、カタリナを忘却から引っ張り上げたのだろう。
偉い。
過去に縛られる亡霊ならば、手を離せず夢に溺れていただろう。
あっちゃんをそういうエゴから救ったのもまた、カタリナ≒”私”の無自覚な善行…と言えるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
かくして思い出した、現在進行系の物語。私が”カタリナ”として駆け抜ける、ゲームじゃない人生。
その自覚が、世界を壊していく。夢を殺していく。
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”死”によって断ち切られた日々が愛おしいのは、あっちゃんだけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
”私”にとってもそれは優しく甘い夢で、しかし夢は夢だ。闇の魔法はそれを忘れさせ、醒めない眠りに”私”を閉ざしていくが、あっちゃんの助けを受けたカタリナは、勇気と決意を持って前世から決別していく。
さよなら家族。さよなら学校。さよなら、私が過ごせなかったもう一つの可能性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
さよなら、あっちゃん。
指先だけで微かに触れ合う、目覚めの永訣。その瞬間に微笑めたのは、あっちゃんの強さであり、それが僕には哀しい。
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選ぶことが幼年期の終わりに絶対必要なイニシエーションであるとするなら、恋の対象として誰かを選ぶよりも早く、カタリナは思い出を殺すことで”大人”に一歩近づいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
あっちゃんもまた、愛しさを手放し、”今”を生き直す親友の背中を押すことで、”私”の死により続いた幼年期を、終えたのかもしれない
それは正しい。人は亡霊ではなく、転生先の人生はゲームではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
だからこそ、その正しさに涙を含みつつもちゃんと向き合い、決意を込めて手を離した彼女たちの”情”に…それをしっかりと表現したアニメーションに、心を揺さぶられる。
よく選んだし、よく進んだ。みんな偉いよマジ…。
会長がぶっ放した夢に溺れて、失われた慰みに耽る選択肢も、彼女たちにはあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
そうしたいと、”死”が引き裂いたものをもう一度取り戻したいと、思ったからこそ。彼女たちは別れに涙する。
しかしその執着は、彼女たちを過去に閉じ込めはしない。前へ、あくまでも光の方へ。
そういう生き様を体現してきた女(ひと)が、此岸へと帰ってきて物語は先に進む。主人公様のご帰還だよッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
ノータイムでゼロ距離接触に飛び込むメアリに、相変わらずの信頼感だが。
目覚めてすぐ『マリアの居場所は?』なあたり、カタリナ様は間違えねぇな…。
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あっちゃんからの攻略アドバイスをブン回し、チート知識で人命救助。霧深い悪の館が、一体なんぼのもんじゃい!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
足かせが一瞬クローズアップされることで、”鎖”を解く存在としてのカタリナ様が強調されるのも良い。
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友を縛り付け、自分を醒めない眠りに落とした悪人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
カタリナは会長を一切責めず、ただ『判らない』ことにこだわる。
知りたい。歪みの産まれる源泉を。叶うのであれば手を伸ばし、一緒に笑える未来へと進みたい。
今回激重感情ぶん投げてた幼馴染を、救ったのと同じ無辺の共感力は、会長にも及ぶ。
んで、その問いかけへのヒントも描写されて次回へ、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
闇の魔法は贄を必要とするらしいが、会長の場合は”母”だったわけか…。喪失の痛みが、無垢な優しさを浴びて軋むッ!
望まぬ手に入れた力を制御しきれず、囁くもう一人の”私”。
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ここら辺の描写を見ると、会長にも事情があり、呪いに負けぬよう頑張ってた様子も見て取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
男集はそこらへん気にかけずダンビラを抜くが、剣林を割ってずずいと手を差し伸べるのは、我らの主人公。
剣より遥かに強いもので、知らず破滅フラグを越えてきた女(ひと)である。
会長は己を苛む力に、復讐にとりつかれた亡霊に、打ち勝つことが出来るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
これが(少なくとも今回のアニメでは)カタリナ・クラエス最後の戦いになると思うわけだが、彼女が既にその戦いに”勝って”いるのは見逃せない。
あっちゃんと一緒に、彼女は夢を殺した。過去を超え、光に踏み込んだ。
カタリナ様の行いが人に届くのは、それが常に自分から出る誠に満ちて、口先だけの嘘ではないからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
いつでも本気で、安全圏に下がるのではなくおバカに前のめりに、他人の領域にズカズカ踏み込んでいく。
その歩みの力強さがどれだけ沢山、他人を救ってきたかは、今回確認したとおりだ。
なので、幼年期に出会えなかった隠しボスの心にも、カタリナ様の無垢なる救済はぶっ刺さって、亡霊を打ち払うことでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
そういう大団円への道は、かつて唐突に切り離され、再び出会えた奇跡を決意を込めて手放してくれた、大親友が開いてくれました。あっちゃんアンタ…。
最終話直前に、『自分たちがどういうお話を作ってきたか』『その主人公は何を成し遂げ、どういう人物なのか』を丁寧に、感動的に描き抜く、見事なエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月14日
後は会長に取り付いた亡霊をぶっ飛ばして、みんなで楽しく暮らすだけ! 唸れ土ボコ、飛び交え偽ヘビ!!
次回最終回…楽しみです!