デカダンスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
少女の涙が、男に火を付けた。
ガドル工場をぶち壊し、デカダンスを終わりにするバグ達の叛逆。素体を盗み、システムの裏をかき…その背後で、静かに亀裂は進んでいく。
狂熱と謀略の入り混じったスープの中で、タービンは回る。
進む先は、自由か破滅か。
そんな感じの、令和のFuck the System! デカダンス第8話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
ナツメの涙で燃え上がったカブラギのテロルが、スリルジャンキーのドナテロと、謎多きジルを巻き込み、その狂気にサルコジとターキーは乗り切れない…といった、サイボーグ側のお仕事事情回といえる。
前回ナツメ側の地道な努力と小さな変化を書いたのに対し、カブラギ側の不協和音が今回は切り取られる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
ナツメへの教官を足がかりに、ゲームと思っていたタンカーの生き様が生々しさを手に入れたように、工場攻略という命がけのゲームが、サイボーグ達の現実を侵食し始める。
虚実に離れ、プレイヤーとNPCに分離していたデカダンス世界は、カブラギが”人間”になるにつれ、境界線を破綻させつつある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
その先にあるのが生存すら難しい無秩序なのか、システムによる抑圧を超えた真なる秩序なのか。
まだまだ、状況は読めない。あと、ミナト司令の感情が重いッ…!
カブラギがブチ上げた叛逆のゲーム。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
工場をぶち壊す特権は、タグで管理されないバグであることが条件となる。
そのために、俺の素体を取り戻す。
『どーせミナトが保管してんだろ…』
声が鳥海だからって、古参組は司令の変態性を信頼しすぎである。
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システム目線では欠落でしかない”バグ”が、そのシステムを切り崩す決定打になりそうなのは、なかなか面白いところだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
工場ぶっ壊してシステムを破壊した後、果たして『人間らしい暮らし』が担保されるかどうかは、なかなかに怪しい所ではある。
システムのプロパガンダを丸呑みするなら、世界は大気汚染でズタズタになってて、デカダンスにシェルターされてないと人類は生き残れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
ゲームのNPC、大事な絶滅危惧種として囲われていないと、生存そのものが怪しい状況に、あの世界の人間は置かれている。
コスト払ってタンカーを維持してるのも、デカダンスというゲームがギアの憂鬱を払う、社会インフラとして機能しているからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
抑圧がなくなれば、鬱屈も飛んでいくのか。義務を取っ払えば、自由が手に入るのか。
ここらへんの疑問は、後々ミナトが言葉にもしてくれる。
カブラギがナツメに見た『真実人間らしい生き方』も、曲りなりとも社会秩序を形成し、混乱を遠ざけているシステムが機能すればこそ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
無政府状態から平和が生まれると考えるのは、アナーキスト特有の楽観主義と言えるが、ぶっ壊してみなきゃ分かんないのは事実…の一部ではある。
それでぶっ壊した荒野が、今日よりマシになる保証も何処にもなく、考えているうちに世界はクソで埋まっていくわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
カブラギの無謀を暴走となじれる資格は、多分誰にもない。だが、あと一つ二つ知恵を足す必要はある気がする。
さて、どう転がしてくのかな…。
火種を孕みつつ動き出した反攻計画を、リードするのはカブラギ…ではなく、謎の多いジルである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
糞溜めからデカダンスにログインし、素体管理所に潜り込む。後にバグの先導までやってのける全能っぷりが、何処から来るのか。
便利すぎて怪しい。そういうキャラである。
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ミナトも逸脱をフギンに見咎められ、危ない橋を渡る事になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
司令、カブ以外は非常にスタンダードなギアなんだけど、おじさんにまつわることだけは超ヤバい事でも平気でするからな…カブラギが好きすぎて頭がおかしい男の、ナツメが好きすぎて頭がおかしい男への片思いじゃん。
この反抗劇、感情の一方通行数珠つなぎな側面が結構あって、ミナトのカブラギへの思いも、カブラギのナツメへの思いも、すれ違いと過剰さを孕んで超危うい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
皆好き勝手に誰かを思って、その思いが運命を駆動もさせるし、すれ違いの源泉にもなる。ここらへんに熱量があるのは、お話として好きなところ
素体を巡る攻防は、管理所の広漠さ、ジャンプアクションの切れ味含め、非常にゲーム的だ。『ミッション:タイミングよくジャンプして、素体を回収しろ!』って感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
デカダンスでナツメたちの現実に及んでいたゲームナイゼーションが、サイボーグにも及んできた印象。
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サルコジの首をゴキっとひねって強制ログアウトさせるやり口も、フギンのあからさまに法則書き換えている動きも、現実化されたゲーム(あるいはゲーム化されていく現実)を強調する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
素体の死は終わりではなく、やり直しに過ぎない。タンカーが苦しむ重力も、システムの使徒は自在に操る。
そういうインチキは否定しようのないもう一つの”現実”であり、なんならカブラギが気づいていないだけで、ナツメから学び取ったのと同質(だが同種ではない)な”リアル”があるかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
ここら辺、フギン(と、もしかしたらジル)が何考えてシステムに使えてるか、確認したい部分でもある。
確かにシステムの抑圧はクソだし、タンカーに一切真実知らせず権利と自由を搾取してるのは最悪だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
しかしそれを取っ払って原始に戻れば生の実感が取り戻せるってほど、人類種もプリミティブではないだろう。
壁を作り、武装して群れなければ、タンカーだって生きれない。
そんな生存の術の一つが、秩序と権利にまつわる知恵だったりする。まぁデカダンス世界では、ルソーも忘却の彼方だろうけどさ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
やっぱカブラギのシンプルなテロルだけだと、あーんまいい結果は呼ばない気がするなぁ…。ここらへんの違和感、どう使ってくるかは楽しみ。
高難易度のステルス・アクションをクリアして、一行は素体を手に入れる。ミナトの窮地も快楽ポワワ銃でごまかして、一件落着! テロルも次の段階だッ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
ウンコ処理に続き、ギア達の”性”が滲む生っぽい描写で、ポワワ銃はかなり好き。ピンクビームで全部解決ッ!!
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こっから、お話は2つに分かれていく。カブラギが向き合うべきものと、その足場で蠢くもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
素体(に焼き付けられた、身体的アイデンティティ)を取り戻した男は、”カブラギ”としてナツメに出会い直し、共犯を持ちかける。世界の真実も、己の願いも告げないままに。
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カブラギの振る舞いはナツメの個人的な成熟、人間としての強度を過度に信頼した、非常にズルいものだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
当のナツメがそのズルさを指摘した上で肯定しちゃってるので、外野が突っ込む隙間がなくなってるのがなおズルい。
ナツメへの個人的信頼と信仰を、社会レベルにまで拡大してっからなカブさん
ナツメ自身も、カブラギに手を改良され生きる道を示され、救われた事実がある。深い事情を聞かないまま、ガッチリ手を取り死地に赴く信頼が生まれるのも、まぁ納得ではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
しかしその先にあるのは、二人で収まりきらない世界の大変革であり、おそらくは大混乱なんだよな…。
そこら辺を最低限、ウンコ工場のバグ共では共有しておけって話なんだが…ドナテロは圧倒的暴力で抑え込むスタイルで理屈がなく、アジテートはやっぱりジルがやることになる。発案者のカブラギは、ここにはいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
そらー、ターキーも悪い顔するよなぁ…。
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有象無象のバグ共は、従順も反攻も気分一つ、流されるばかりの衆愚として描かれている。ここら辺は、後方で身を縮めているタンカーと重なる部分か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
前回ナツメが果たした誠実な歩み寄りは、タンカーの足踏みを前に勧めた。しかしジルが焚き付けたウンコとゲロへの反発には、そういうモノがあるのか。
生存領域を確保するために壁を作るのと、ゲロまみれの自分たちのヤケクソを工場に叩きつけるのは、どういう差異があるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
彫り込みどころだと思うが、それにしたってクソとゲロが多いなバグの描写は…俺は好きだけども。
カトゥーン調じゃなかったら耐えられない生々しさだわな。
かくして盟友の協力を取り付けたカブラギを待つのは、もう一人の盟友。デカダンス司令として、秩序を守護するミナトとの対面である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
ここがまーすれ違うすれ違う、衝突しそこねた巨大感情の余波で友情崩壊ッ!って感じだった。マージミナト司令、激重感情のブラックホール。
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カブラギはナツメに出逢ってしまい、ミナトはカブラギに出会ってしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
システムに反抗し、生き方を変えるほど巨大な他者は、二人に共通していない。
タンカーとギア、上位存在と奴隷、秩序と混沌。そういう断絶が、二人の生き方をすれ違わせていく。
ナツメだって、命の意味がわからないわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
しかしその人間定義には(ギアのスタンダードを反映して)、絶滅危惧種は含まれない。大事な友人が命を賭して、既存のシステムをぶっ壊す理由にはならない。
それと同じように、カブラギにとってもうギア共の”普通”は、立ち止まる理由にならない。
カブラギが好き勝手に生きれたのも、ミナトがヤバい橋を渡って色々手を尽くしてくれた結果だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
その献身も、カブラギが足を止める理由にはならない。
自分に生き方を教えてくれた少女が、涙を流している。
それこそが、胸のエンジンをテロルに向かわせる、唯一の理由なのだ。あぶねーやつだなカブ…。
カブラギさんは純粋すぎて危うい男で、社会の多様性とかを全然考慮に入れない。かなりイノセントな性善説主義者なんだな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
ミナトが司令の立場で直面し続けている、「世の中色んな人がいて、秩序のタガでまとめないと世界は簡単に崩壊する』という事実は、カブラギの視界には入らない。
ここがカブラギぶん回すテロルの脆弱性で、しっかりアンサーを返さなきゃいけないところではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
人は愚かで醜い。安楽な夢に溺れ、世界を変えて生の実感を掴みたいなんぞ思えるのは、当然少数派だ。
そういう事実を気にかけず、理念と情熱一本で突っ走れるのはカブさんの強みであり、弱みでもある。
こういう部分でも、ナツメは師匠より成熟し、いいバランスで実効のある変化を、着実に生み出す立ち位置にいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
ハンディキャップ・パーソンから戦士になり、後方とコミュニケーションを取って穏当に世界を変えていく。周りの人にも、穏やかでいい変化を傷つきつつも積み上げていく。
この優等生っぷりはやっぱり、暴走するイノセンスたるカブラギさんとの対比なんだろうな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
世界の真実を知らないまま、目の前できる範囲で”正解”し続けるナツメと、クソみたいなシステムを知り暴走破壊に突き進むカブラギ。
両方いて、始めて何かが変わる話…なんだろう。
そんなバランスから、司令は弾き出されてしまっている。交わっていた道は離れていき、もう重なることはない…のか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
ミナトの秩序指向は、無軌道なテロルをいいところに落ち着ける大事なギアになりそうなので、うまく合流してくれるといいんだがなぁ…あと、ほっとくと司令は感情拗らせて暴走しそう。
そして、現実主義者は当然の生存戦略を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
ボスとカブラギを売って、俺たちがヒーローになる。システムは維持され、世は事もなし。
そらー、そういう意見も出てくるわなぁ…カブさん、自分の革命への情熱を、集団と共有してないもん。
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心が重なっているように見えるドナテロとの繋がりも、リスクジャンキーに最高の麻薬を提供しただけ…とも言えるわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
そんなカブさんの生き様に何かを感じたサルコジも、英雄願望をうまく操られ、危うい道に進んでいく。
クソから生まれた酒が、寿ぐ卑劣な同盟。さて、どうなるか。
というわけで、一見順当に進んでいくテロル計画と、随所に走る亀裂のエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
カブさんアツいキャラなんだが、八方破れのあぶねー男でもあって。その不安定と未成熟をしっかり見据えて、ドラマと描写を嘘なく積んでいるところは、僕結構好きなのだ。
そらヤベーわな、この男。
ナツメとの出会いでヤベー部分が覚醒し、サルコジもその背中に惹かれている。あるいはミナトも、そんな秘めた情熱が好きだったのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
色んな男に好かれる割に、カブラギの視界には一人の少女しか入っていない。
このすれ違いが、破滅を呼ぶのか変化を生み出すのか。先が読めねぇな…。
ターキーのコスい生存戦略の奥に、ドナテロへのじっとりした感情とかあるとまー好みなんだが、そこも含めてどう転がるか。ジルの正体とかも気になるしなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月27日
終盤戦に向け加速する、抑圧世界の群像劇。突き進んだ先に何が待つか、読みきれないのが面白い。
デカダンス、次回も楽しみですね。