呪術廻戦を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
特級呪霊・真人と行き合った青年、純平は魔に魅惑され、呪いによる復讐に指をかける。
魂を捏ね繰り回し、人の形を変える怪物。その前に、一人立ちふさがる七海。
純平が呪いを放つ寸前で出会う、悠仁。
運命の行方は、大渦の中の木の葉のように…。
そんな感じの、川崎地獄変第二幕、呪術廻戦第10話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
真人のろくでもなさがフルスピードでブン周り、クズに誘惑された純平くんを虎杖くんが押し止めれるか、非常に危ういところである。
つーかナナミンは…怪物に落ちた人間の涙を拭える男は、窮地を切り抜けられるのか。
色々ハラハラしっぱなしである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
『善い大人と、善い子供』としての七海・虎杖コンビが、『悪い大人と、悪い子供』としての真人・純平コンビと今回。
大人組と子供組がそれぞれ接触するところまで、話が進んだ。”いじめ”という身近な呪いが背景にある物語は、非常に生臭く、重苦しい。
純平がどうなるのか、その顛末で虎杖くんがどう変わるかは全く読めないが、作品が睨みつける世界のどうしようも無さ、遍在する呪いの重たさを考えると、まぁヒドいことにはなりそうで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
人の悪意から生まれ、尊厳を吸う黒い孔のような真人の存在が、その予感を更に加速させる。
純平が囚われている呪詛は、虎杖くんが祓えるものなのか。人を恐れる想いが形になった真人の、どこまでもドス黒く澄んだ悪意が、何もかも飲み込んでいくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
おぞましくも…おぞましいからこそ目が離せない物語が、ジクジクと加速していて、なんとも楽しくイヤな気分である。呪いの話だねぇ…。
開幕純平が食われた呪いの、現実的で重たい質感からエピソードが始まり、なかなかに辛い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
『なるほどなー、それで”映画”で特訓させてたのかぁ…』て感じの、ボンクラの楽園とその破壊である。後々接点に使う感じだ。
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純平が浴びている呪いの、ありふれて重苦しい質感は、日常を飛び越えたところにある呪霊狩りとは空気が違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
しかしこの暗がりからこそ、あらゆる呪いが生まれてくる。悪魔を生み出す胎盤は、日常に繋がっているのだ。
その密接感を出すためとは言え、まぁ容赦がない。
そういう場所から抜け出す特別な出口を、真人は偽装する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
感性が鋭く頭が良いからこそ、自分の大事なものを踏みつけにされて黙っていられないからこそ、食われた地獄。
純平のヒネたセンスを、真人は全肯定する…ふりをする。
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言葉遊びが好きだよねと、言ってる自分が一番言葉で遊んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
シンプルな答えに満足できないから、想念を捏ね繰り回して考えすぎてしまう。
シニカルな態度で距離を取らないと、鋭敏なセンスがズタズタにされるから、醒めた態度も取ってみる。
純平のヒネ方は、ひどくありふれて、親近感さえ覚える
特別でない死に動揺せず、他人事に本気で怒れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
そんな鈍麻の裏で、うっかり『死んだのが母なら』とか言ってしまえる危うさが、地下の対話には満ちている。
『いや、このゴミクズの前でそんなこと言ったら、確実に身内殺すだろ…』と、見てるだけの外野は思うけども。
殴られ、自分を否定され続けた純平にとって、真人が呟く魂と人間の真実は、このワケのわからない世界を切り分ける福音の刃のように、心地よく響いているはずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
しかし彼のナイーブでありふれた青春と呪いを、多分真人は侮蔑している。心底あざ笑ってる。
何しろ、二本足で歩く”呪い”なのだから。
純平は『正しいことをしたいし、世界も正しくあって欲しい』という、とても人間的な願いを持った、普通に善良な子供だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
虎杖くんはその願いのままに死地に飛び込み、呪いを殴りつけた。じいちゃんの遺言に支えられ…あるいは呪われて、特別な戦いに身を投げた。
しかし純平は、そんな特別な力も在り方も持ち得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
正しくない世を恨み、呪いによって”正しい復讐”を遂げたいと思ってしまう、ごくごく普通の人間だ。
そんな彼が、特級の呪いと出会った。
末路はありふれたバッドエンド…となるか、虎杖くんがそこを突破していくか。
全ては主人公の真っ直ぐな頑張りと、呪いに囚われた世界を睨む作者の”譲れなさ”にかかっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
アニメしか見てねーけども、芥見先生は相当人間の業をよく見た作家で、だからこそヌルい救済を拒絶する”匂い”がある。そうじゃなきゃ、”呪い”を主題にはしないと思うんだよなぁ…主役補正は期待せんッ!
その裏側で、七海は大人としての責務を果たすべく、悪意の渦に独り潜る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
純平にメンターッ面してた時には見せない、グロテスクに細やかな真人の前歯が、キモくていい。
澄み切った下卑をサングラスの下で睨みつけながら、七海は大鉈を振るう。
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七海は呪術師からドロップアウトして、わざわざ戻ってきて、シニカル演じつつ熱すぎる魂を燃やしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
その過程で、呪いに絡みつく人間の業、切り分けられないどうしようもなさと、幾度も向き合ってきたのだと思う。
それと虎杖くんが向き合うのは早すぎると、厳しさを演じて遠ざけ、独りで挑む。
それは人間の魂と命を歪め、道具に使い捨てる真人と真逆の在り方だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
相容れない二人は、当然殺し合う。
その時むき出しの怒りは弱さになってしまうから、七海はサングラスで目を隠しているのだと思う。
侮蔑を隠して純平を誘導する真人と、そこも真逆だ。
聖邪相反の”大人”が、地下の空洞でせめぎ合う裏側で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
子供達は奇妙な出会いを果たす。
”見て見ぬ振り”どころか、見ようともしない無神経。前髪の奥にある傷に、目を向けない教師に純平は呪を構え、虎杖くんは飛び込むようにそれを止める。
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誰も本当の興味や思いを大事に見てくれない、残酷で当たり前の世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
そこで”殺す”という選択肢を握りかけた少年に、”救う”という選択肢を既に掴んだ少年はブレーキを掛ける。
真人という特大級の呪いと出逢ってしまったことで、動き出した運命を、それを止めうるのか。
予断を許さない所だが、少なくとも虎杖くんは純平をよく見ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
彼が呪いを見れる現状だけでなく、その内側にある痛みにも目を配っている。無茶苦茶やって、痛みを減らしてくれる。
そんな彼が走り去った先に純平が見てるのは、真っ白な光だ。
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学校ではついぞ出会うことがなかった光は、超人的な脚力であっという間に戻ってきて、しっかり目を見て話をしてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
多分そういう体験を、純平はずっと望んでいた。だから真人にも引っ掛けられちゃうわけだが…。
このボーイ・ミーツ・ボーイ、遅すぎるのか間に合うのか。OPが怖えんだよな…。
心は魂の代謝、人に尊きもの一切なし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
人が人を呪って生まれ、魂をこねくり回す異能を持つ真人の、即物的で透明なニヒリズム。
それだけが人の全てではないと、虎杖くんの真っ直ぐな善良は純平に教えるだろう。膝を突き合わせ、相手を見て届ける誠実も、虎杖くんにはある。
だが”正しい”ことが何も変え得ない無力というのも、否応なく呪いが生み出される世界の事実であり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
純平との出会いは、ピュアで真っ直ぐな虎杖くんにそれを教える、血みどろの教材になりそうで僕は怖い。
共鳴するものの多い二人だからこそ、主役の心を抉るには最高の素材なんだよなぁ…。
そんな僕の震えをよそに、七海は自分を狙う凶器に浮かんだ涙を、その指で拭う。菩薩かこの男…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
真人の悪意に食われた”元”人間は、感情を交えず殺せ。
そんな”大人”の決断を飲み下しながらも、七海は人の人たる由縁を忘れない。
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その不透明なレンズの奥で、どれだけの憤怒が燃えているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
呪いにまみれ、どうにもならない世界でそれでも、どうにかしたいものが確かにあるという信念が、彼を支えているのか。
それがよく判る、闘いの真っ只中で怪物に差し出した、救いの指先である。”人間”じゃんナナミン…。
無論、そんな尊厳は真人の世界にはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
自分に見えるもの、捏ね繰り回し侮蔑できるものしか、人型の呪いは理解しない。
自分に見えているものが真実なのだと証明するために、悪意と呪詛を撒き散らしている感じもある。生まれからして救えねぇな、特級呪霊…。
無形の嘲弄と衝動と奸智と憎悪を、練り上げて生まれた人型の呪詛。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
人のあり方を捻じ曲げる真人に、時間外労働にキレる大人が立ち向かう。
唸れネクタイパンチ、帰ってきてナナミン! アンタが死ぬのは人類の損失だッ!!
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”無為転変”を土手っ腹に食らって、一見ピンチに見えるナナミンだが、向かう先はあくまで光。誘い出した感じは強くある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
次回炸裂するだろう切り札が楽しみではあるが、相手は悪意とニヒリズムの権化、早々簡単には潰れない臭いプンプンだからなぁ…長い因縁になりそう。
”縛り”で呪術が強くなるのは、能力バトルとして面白いところだなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
能力説明をブースターとして描写に組み込むことで、ペラペラ力のロジックを喋っても、作品内部での理屈が通るからね。
お前を殺す技法をわざわざ喋ったほうが、殺傷能力が上がる。だから喋る。面白い組み立て。
という感じの、少年と少年、聖人と呪詛それぞれの出会いでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
やっぱナナミンが、クソ真人に捻じ曲げられた犠牲者の涙を、その指で拭うシーンが非常に良かった。
優しすぎるからクソと断じるしかない世界に、それでも戦いを挑む。子供を傷つけないよう、独りで死地に踏み込む。
七海健人はそういう男(ひと)なのだと、よく伝わるシーンでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
マージ死なないで欲しい…でも、こういう人から死にそうな作品でもある。怖い…。
ナナミンの静謐なる聖性と対置する形で、真人のクソっぷりもよく見えた。能力も性根もクソの塊だなッ!!
しかしそのろくでもなさも、また人の鏡であって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
己を嘘のない真の人間と断じる、特級呪霊。
彼らと呪術師の闘いは、人の在り様は真実どんなものなのかせめぎ合う、永遠の闘いの一部なのだろう。
そして純平も、その間で迷っている。片方の天秤に傾かないよう、虎杖くんも飛び込んで止めている。
人間の”本当”を必死に見ようとする虎杖くんとの出会いが、純平の救いとなるのか。嘲笑う呪霊が、光を飲み込んでいくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月5日
スゲー嫌な予感しかしない状況ですが、どう運ぶか。
ずっしりと次回が楽しみです。
妥協のない厳しさで、人の真実を問う。その”覚悟”見せるに、絶好のエピソードなんだよなぁ…